補足:原作の下火月とか面倒なんでこの作品ではリアルの暦使ってます。
私たちは現在旧首都フェオ・ベルカナにむかっている。
道案内は引き続きゴンド氏が担当してくれた。一泊しただけで疲れが取れたのか不安だったが「恩人だけに危険を押し付け、自分だけ安全な場所で高みの見物というわけにはいかん」と同行してくれた。無理はしないでほしい。彼にはナザリック地下大墳墓の為にルーン技術を開発してもらいたいのだから。最もナザリック地下大墳墓に招くのか近くの森の中で居住地を構えてほしいのかはまだ検討中だが。ちなみにロック氏は薬草を卸した後大地の裂け目の関門に残った。何でも守備隊長から人手が足りないと引っ張られた。
道中敵に関する様々な事を聞いた。元首都のフェオ・ベルカナは堅牢な城塞で当時からクアゴア族とは諍いがあったがその度に撃退していた。当時のドワーフ王は伝説として語られるほど強かったが二百年ほど前、魔人の出現によって草原にある国が一つ滅ぼされた時、生き残った人間たちの要請に応えドワーフ族の王と側近2名が国を開けて魔人と闘うことになった。
しかし魔人を倒した後、王は戻らず側近の一人が戻ってきて王の死を告げた。その事を知ったクアゴア族はフロストドラゴンと手を組みフェオ・ベルカナを奪ったと言われている。
私はその話に少なからず興味を持ったため索敵をしながら聞いていると何故か妙な胸騒ぎを覚えた。
弐式「どうしました?闇信刃さん。何か気になっているようですが」
流石は弐式炎雷さん。私の様子がおかしいことに気づくとは…。彼の索敵能力は感情の変化も読み取れるのだろうか
闇「上手くは言えないのですが…今の話何か引っかかります。不可解な不自然さがあるというか…」
弐式「もしかして魔人というのがプレイヤーもしくはNPCだと?」
闇「…ウム。多分我の思い過ごしだと思うが」
弐式「そうですね…。私もいささか引っ掛かりますがこういう事は考えても答えは出ないでしょう。この世界のモンスターや戦士、魔法使いの実力はまだほとんど判明していません。ドワーフ族やクアゴア族には居なくても人間やエルフの中には我々の脅威となりうる存在がいる可能性は十分にあります。いずれにしろ判断するには情報が少なすぎます。今は解らないことを悩むより目先の事を考えましょう」
弐式炎雷さんの意見は実に正論だ。私も「弐式殿、感謝する」といい先ずはクアゴア族との戦いに集中することにした。他の事に囚われていたら足元を掬われてしまう。ユグドラシルで何度も経験したことだ。
途中シャルティアやアウラが「至高の御方々の脅威となる存在などいるはずありません」「その様な者わらわが必ずや仕留めて…」と言ったやり取りやクアゴア族の守備隊50名と遭遇したがシャルティアとアウラが一閃して始末した(数名はわざと逃がした)と言うことがあったがゴンドさんの為に途中で休憩して翌日の昼頃フェオ・ベルカナの前に到着した。
さてどうしたものかと思っていたら守備隊と思しきクアゴア族の兵士が100名程此方へ来た。
すぐさま戦闘態勢に入るが(何故かユグドラシル時代以上に切り替えが機敏になっていた)戦闘のクアゴアが一人で両手を上げまるで降伏するかのように向かってきたので身構えたまま話すことにした。ちなみに弐式炎雷さんが交渉を担当した。私に見せる意味合いもあるらしい。
クアゴア族の兵士「待ってくれ、戦闘の意思はない。わが主が貴様らに話をしたいと言っている」
弐式「散々喧嘩売ってきておいてどういう風の吹き回しだ?」
兵士「お前たちが…いや、あなた方が我々の先遣隊を壊滅させたことは伝え聞いてはいる。故に我らはまともにぶつかるは得策ではないと判断した。わが主オラサーダルクとの会見を願いたい」
弐式「会見ねえ…。念のために聞くがそれは1対1か?」
兵士「いえ、そちらの全員で構いません。勿論武器防具の所持も結構」
弐式「それならお引き受けしよう」
それから少し時間が欲しいと断って50Mほど離れた所で相談した。
シャル「弐式炎雷様。闇信刃様。これからどういたしんすか?」
弐式「とりあえず私の考えを述べよう。私は二手に分かれることを提案する」
ゴンド「ど、どういうこった?」
弐式「闇信刃さんは解りますか?」
闇「う~ん。クアゴア族の二正面作戦への警戒ですかね?此方がフロストドラゴンに掛かり切りでいる隙に後ろからっていう…」
弐式「流石ですね。もし敵のボスであるフロストドラゴンやクアゴア族の長がプレイヤーもしくはLV70以上だった場合それをされると多少厄介なことになります」
アウラ「それほどの相手が近くに居れば私のスキルに引っ掛かりそうなんですけど」
弐式「相手が高LEVELプレイヤーだったら感知できなくても不思議はないさ。この世界にしかないマジックアイテム等の可能性もね」
確かにこの世界にはタレントや武技といった能力がある。ユグドラシルにはない特別な効果を持ったアイテムがあっても不思議ではない。
闇「解りました。内訳はどうします」
弐式「我儘を言わせてもらえばフロストドラゴンは私に任せて貰いたいですね」
シャル「弐式炎雷様おまちを。ユグドラシルにおいてドラゴンはモンスターの中でも最強種。もしLV70を超えていたら危険でありんす。危険な魔物退治ならわらわが」
アウラ「あたしもシャルティアの意見に賛成です。勿論弐式炎雷の身体能力は存じております。しかし・・・相手が動きを封じるスキルを所持していた場合敗北の可能性がゼロとは言えません。あたしとシャルティアにお任せいただけないのであればせめてナザリックよりLV60以上の兵を複数連れてきてから会見に臨んだほうが…」
弐式「半蔵(LV50)二体だけで十分だよ。もしやばかったらスキルを駆使して半蔵を盾にして逃げるから」
その後、フロストドラゴンには弐式炎雷さん、アウラ、ゴンド、半蔵×2が、クアゴア族の説得は私とシャルティアと念のためモモンガさんに連絡して送ってもらったデスナイト+エルダーリッチ×5となった。やはりモモンガさんを始め待機組は弐式炎雷さんに増援を出したかったがデスナイトでは建物の中ではかえって邪魔になると断った。
[転移から9日目の3月10日午前8時半 首都フェオ・ベルカナ正門前]
ヘジンマール(以下ヘジ)「はあ…。相手が怖かったらどうしよう」
ヘジンマールはそういってため息を漏らした。
ヘジンマールはフロストドラゴンの長オラサーダルクの長男である。身長は6~7Mとフロストドラゴンのなかではやや低いが体積は横に大きく体重も弟の約1.3倍と所謂デブドラゴン。しかもフロストドラゴンの中では弱い部類で城に保管されていた本ばかり読んでた。母は「知識は豊富なのでただ力が強いだけの存在よりは役に立つ」と評価してくれたが父は攻撃力至上主義なのでヘジンマールを嫌っていた。
その為、今回彼は父オラサーダルクから正門前で侵入者を迎え撃つ仕事を与えられた。
父から「負けたら殺す」と言われ引けなかった彼は目の前に相対している敵が身長が2Mも無い二人組を目撃し取り敢えず安堵した。これなら自分の体格とブレスで逃げてくれるだろうと。
しかし目の前の相手は強敵どころでは無かった。
この世界に来てから9日目の午前8時45分、弐式炎雷は困惑していた。
現在私こと弐式炎雷、アウラ、伴蔵×2 そして、モモンガさんに送ってもらったデスナイト二名と共にフェオ・ベルカナの正門前でこの世界初のドラゴンと対峙している。
ユグドラシルを数ヵ月プレイした者ならドラゴンがモンスターの中でも1,2を争う強敵だという事は誰でも理解している。
しかしユグドラシルプレイヤーにとって目の前にいるドラゴンはがっかりするかレア者と喜ぶか困るところだ。
目の前のフロストドラゴンは一言でいうと『デブ』だ(控えめに言っても)。顔を見ると牙は鋭いが目は覇気と言うかすごくダルそうで迫力を感じない。しかも何故が眼鏡をかけておりそれが一層竜としての威厳や恐怖を感じさせない。翼もあるもののなんか翼自体はおろか背中に余り筋肉が付いているとは思えず、空も上手く飛べるか不明
だ。
私は忍者職を取得しているので半径2kmの敵味方の位置とステータスを把握できるがそのスキルで見た目の前の竜は魔力が高いので魔法は使えるらしいがLVは18しかない。すごいカルチャーショックだ。
相手は一応闘う意思があるようなので此方も構える。たとえ相手が格下でも私の防御力は無いも同然なので攻撃を受けるわけにはいかない。
取り敢えずスキルが通じるか否か試すため〔影縫い〕を発動してみた。どうやら効いたらしく驚愕の表情を浮かべている。
この世界のモンスターは未知数な部分が多いため一先ず情報収集を試みた。
弐式「お前の身体は私の術で封じた。お前の命は風前の灯火だ」
ヘジンマール(以下ヘジン)「!!?」
弐式「さて、取り敢えず動きを封じさせてもらうぞ?」
私はそう言うと素早く翼を切断し、更に後ろ足二本の腱と思しき箇所を伝説級武器(陽光)(月詠)で切断する。
その間ジャスト一秒、しかも〔影縫い〕のせいで声も上げられない。(ユグドラシルでは高LEVELのぷれいやーには動きが少し遅くなる程度だったがリアルになったせいで効果が変わっているらしい)
弐式「これで逃げられまい。人語が理解できるなら聞け。後3分程で術が解ける。そしたら質問する。嘘偽りが発覚したり、一分を超える沈黙を確認したら拷問する。解ったら何らか伏せろ」
どうやら言語は共通しているようで〔影縫い〕が解けると頭を下げ「伏せ」の姿勢を取った。
ヘジン「お待ちください。どうか命だけは…」
後で知ったがヘジンマールはフロストドラゴン(というか家族)の中では魔力は高いが戦闘力は低く、更に本ばかり読んでいるため実戦経験も生まれてから3回位しか無いが先の私のスキルと身のこなしで敵わないと感覚で悟ったらしい。(確かにユグドラシルでも誘導系魔法以外は余裕で躱していたが)
その後、いくつかの質問で様々なことが分かった。フロストドラゴンのリーダーはオラサーダルク、勢力は妃が3匹、子供が12匹、合計16体でクアゴア族8万を支配下に加えており同じくアゼルリシア山脈に住むフロストジャイアントと支配者の座をかけて争っているらしい。最も現在は両勢力とも子供を鍛えて兵力を整えている最中らしいが。
私は早速〔伝言〕で闇信刃さんとモモンガさんに連絡を取った。
モモ「そのままボス戦まで行っていいと思いますよ」
モモンガさんの開口一番は極めて簡潔だった。
闇「一応は計画通りに行ってますし」
弐式「問題は敵の首領がどの程度の強さかという事ですが」
闇「ヘジンマールというやつが18程でしたよね。いくら弐式さんが紙装甲だからと言っても90レベル以下の敵の攻撃なら1,2発ではやられません。警戒を怠らなければ大丈夫でしょう」
闇信刃さんの意見は最もだ。私は種族も職業も防御力を無視し、隠密と攻撃力に特化したビルド構成だ。現在の身体なら大抵の攻撃は目をつむってたって避けられるし、攻撃力に特化した100レベルプレイヤーであれば私を一撃で殺すこともできるが、それを防ぐスキルやアイテムは所持している。相手がスキルとアイテムを無効化する手段を持っているもしくは、必中スキルを4回以上使用できない限り勝てる自信はある。
それに魔法防御力もかなり低いが物理防御力程ではない。ヘジンマールのように第2位階程度なら〔中位魔法無効化〕のスキルで無効化できるしヘジンマールの話ではオラサーダルクや母親のキーリストランも第3位階までの魔法しか使えないと聞いている。アウラもいれば十分すぎる。
その後、アウラやゴンドとも相談した。
ゴンド「なあ旦那、あのヘジンマールと言うやつには母親と兄弟がいるんだろ。俺が頼むことじゃねえが実の母親と弟妹は助けちゃくれねえか?」
弐式「その理由は?」
ゴンド「大抵の種族は親兄弟を殺されると遺族は全滅するまで闘うもんだからだ。でも身内を何人か助ければこちらの狙いが虐殺じゃないってことが伝わり、服従させやすくなる。ドラゴンがいれば今後何かと役に立つんじゃねえか?それにドラゴンが絶滅したら山の生態系が狂って色んな害獣が跳梁跋扈することに繋がりかねねえしそいつらを駆除したら、今度は害虫が繁殖しちまう」
アウラ「弐式炎雷様。あたしの魔獣でも体長1m以上の害獣ならともかく小さな害虫を駆除させるのは難しいですので一理あるかと。それにそのう…。私も個人的にゴンドの案を取り上げて欲しいのですが…」
弐式「なんだ、お願いがあるというのか?」
アウラ「も、申し訳ございません。至高の御方を前に出すぎた真似を・・・こ、これは決して害虫駆除が苦手というわけでは…いえ、それも事実なのですが」
弐式「落ち着け、大丈夫だ怒りはしない。親友の娘であるお前の願いを理由なく無下にはしない。言いなさい。私もお前たちが何を望んでいるのか知りたいのだ」
アウラ「で、ではお言葉に甘えて…。個人的にフロストドラゴンを飼ってみたいので…」
弐式「はははっ、分かった。大丈夫だ。それぐらい皆も許してくれる。大丈夫だアウラ」
アウラ「あ、ありがとうございます。」
アウラは感激し涙を流していた。「こりゃ益々皆殺しと言うわけにはいかなくなったな」と気を引き締めつつ敵首領の下に向かった。
蓋を開けてみればあっけなかった。話を聞く限りドラゴンは誇り高い種族なので徹底抗戦の構えを見せてくると考え、何匹かは〔影縫い〕で動けなくして数匹をばらして持ち帰り、有効活用しようとモモンガさんとヘロヘロさんに相談して戦いを挑んだ。しかし探知系スキルを使用したらオラサーダルクですらLV46しかなかった。アウラにも確認してもらったから間違いない。
戦闘は数秒で終わった。出会い頭に「見事な短刀だ。小さき者よ、命が惜しければその短刀を献上せよ」などと言われたので〔影縫い〕で動けなくしてから素早く頭上に上り先ず目をくりぬき眼窩に手を入れて脳を潰した。竜の素材は貴重なので素材を傷つけずに得る配慮だ。
私はオラサーダルクの後ろに控えていた3匹の竜に向いて言った。
弐式「ヘジンマール、あいつ等が父親の妃とやらか?お前の母親は誰だ。そいつの命は助ける。残りの二匹は従うなら助けるがあくまで抵抗するなら容赦なく殺す」
三匹の雌竜「「「私です」」」
三匹の竜はそう言って全員頭を下げた。
弐式「・・・何だこりゃ、んんっこれは、生みの親育ての親温めの親でもいるのか?」
私は半ば呆れながらゴンドやヘジンマールと相談し、最後にモモンガさんにも相談して全匹助けることに決めた。
その後、徹底抗戦を主張した一匹をさっきのやり方で倒すと(期待したがLVは31程度だった)残りの10匹はあっさり降参した。
こうしてフロストドラゴンはナザリックの支配下に入った。
スキルなどが原作と若干違いますが、そこはオリジナル要素として認識してください。
次は私のオリジナル主人公闇信刃VSクアゴア族です。原作では一万匹しか生き残りませんでしたがこの作品ではもう少し生かして有効活用します。