死の支配者とその影『六天将』達   作:暗愚丸

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誤字脱字を指摘していただいた方、全話読んでいただいた方、お待たせしました。王国の冒険者組は原作通りモモンガさんが行きます。もちろんオリ主もこっちに来てます。(でなきゃ原作と変わらなくなる)
基本的には原作通りに話が進みますが展開はオリ主が絡んでいるので若干異なります。
まず王国で諜報活動と資金調達に行ったモモンガとオリ主のお供がナーベラル → ルプスレギナとハルカ(弐式炎雷が41人の人造人間メイドの一人をLV80のメイド忍者に改造したオリジナルNPC)になってます。
次に貨幣の価値が変わってます。
交易用白金貨1枚⇒金貨10枚⇒銀貨100枚⇒銅貨10000枚(原作では銀貨1枚が銅貨10枚分。これは筆者が銀と金より銅貨の方が産出量がはるかに多く原作の価値観はおかしいと感じたため銀貨1枚が銅貨100枚になりました)
さらに前話にも書きましたが時間軸と日付の記述が原作と異なります。そしてモンガー(原作ではモモン)や仮の肉体に憑依した闇信刃の体格はもちろんオリジナル設定です。そこを注意してお読みください。※なお、其の事に関しての質問はノーコメントとさせていただきます。



王国の冒険者たち編
第12話 現実の冒険者はゲーム程甘くない~王国編


 [3月25日午前8時頃 城塞都市エ・ランテル 街道]

 

 ここは、隣国バハルス帝国とスレイン法国との要所となる境界に位置する、リ・エスティーゼ王国領の城塞都市エ・ランテルだ。三重の城壁に囲まれ、その内部はそれぞれ3つの区画に別れている。

 一番外の外壁に2か所、縦幅約8M、横幅約10Mの大きな門がある。本来敵に攻められた時、立て籠る目的で作られた門は精々直径5m以下のはずだ。(これは敵兵が一度に大勢入ってこられないように入られても広く戦力を展開できないようにする為だ)しかし、エ・ランテルは城塞都市。馬車に乗った商人や農民が毎日数多く出入りする為に道の中間に白線を引いて左側から入場し、右側から出られるように(現実の車道が石畳で出来た物をイメージして下さい)工夫されている。

 一つ目の外壁の内側(外周部)は軍事系統の設備が整い、王国軍の駐屯所として利用されている。戦時、兵士たちや下級貴族達は此処に簡易テントを組み立てて寝泊まりする。※因みに宿代が無い農民や登録したての冒険者などは此処で一夜を過ごすが当然安全は保障できない。それでもゴブリンやオーガが出現する可能性がある外よりは余程安全なので利用者は1日5~20名いる。

 二番目の区画は一般市民の生活の場。露店等の大小様々な店が立ち並び、居住区画にもなっている。

 三番目は行政区画。都市の中枢を担う場所であり、王侯貴族やそれに雇われた代官が寝泊まりする施設がある。戦時には作戦会議施設として利用される。

 

 

 エ・ランテルの街道は財政上の関係で整備されているのは大店の前と行政区画の一部だけでそれ以外は外と同じ土で出来た道で雨が降ると靴が泥でべちゃべちゃに汚れる。しかし道行く人々の声は明るく朝6時頃から夕方5時頃まで街道は多くの人で賑わい露店では働き盛りの男女が元気よく商売している。

 ところがその日はいつもと少し違った。王都とは違い碌に舗装されてない街道を歩く4人の旅人に道行く人の目は奪われていた。

 

 

 一人は女性だ。青と白を基調とした女性用の法衣。恐らく『神官=クレリック』だろう。真っ白なヴェールが付いた法衣帽子からはこの辺りではよく見かける茶髪が三つ編み状に二本肩にかかるまで垂れている。

 だが、何より目を見張ったのはその美貌だ。自分達の頭にあった美人という概念そのものが間違っていたのではと思わせるほどの美しさだった。法衣の胸の部分を押し上げた平均値よりやや大きい胸が歩くたびにわずかに揺れたり、それでいて体の線が崩れない熟練の戦士を思わせる歩き方。彼女の整った動作のひとつひとつが、その考えに拍車をかける。

 

 二人目は男性だ。身長180㎝位の中世の時代には大柄な体型だ。体格は筋肉質のわりに少しやせ気味なので体重は80kgより下と思われる。

 顔は痩せ型の体格に反して偉丈夫と言った面持ちで右目に縦方向に頬まで続く傷があり眼帯を掛けている。髪は珍しい水色で染めているのかと思えば根元まで水色であり地毛だという事が伺える。体は鉄等級~金等級までが良く身に着ける大型の猛獣の毛皮を着けた『硬革鎧=ハードレザーアーマー』を着用し、靴は金属のプレートを付けた毛皮のブーツを着けている。

 武器は腰にブロードソードを一本だけ、しかも新品で使い込まれた形跡がない。鎧は使い込まれた感じなのになんかちぐはぐで冒険者になりたてなのか熟練者なのか判断が難しいが、顔つきは鋭くある程度の修羅場は潜っていそうな雰囲気を出していた。

 

 三人目は性別不明だ。全身を漆黒の全身鎧で覆っているため、男か女かわからない。

だがどちらにしても、相当な金持ちであることは、全身鎧と背中に背負った二本のグレートソードを見れば明らかだった。何処かの貴族の道楽か、はたまた装備に見合った実力を持つ冒険者なのか。

 

 最後尾の4人目は女性だ。フードを深めに被っており恐らくマジックアイテムであろう白い仮面を被っているため素顔は不明だが、マントの下から見える服を押し上げた胸部から辛うじて女性だと解る。

 身長165㎝位で、体格はこの時代の男子の平均値位だ。マントは前を閉じているが角ばったところがまるでないことから鎧は身に着けていないことが解る。

 

 

 

 

 その4人組のリーダー格のフルプレートの男は人類の歴史を思い出しながら考えていた。

 中世ヨーロッパでは、馬車の馬が垂らす糞尿が道端に巻き散らかっていて強烈な臭いを放っていたらしいから、ここも似たようなものなのかと悪いほうに考えていた。

 だが見る限りでは汚物は無いし、臭いだって普通だ。(鼻はないけど)

 正直、あまりにも酷ければ他の都市に移動しようと思っていたので助かったな。と。

 

 

 

 

 この異常な組み合わせの四人組は衆目を集めながら「エ・ランテル冒険者組合」と書かれた建物に入っていった。木造の5階建てで一階は地震対策なのかレンガと鉄柱で補強されている。

 

 その建物内部には様々な人間がいた。

 頭には鎖帷子の付いた鉄兜に体は革鎧に鉄板を貼り付けた鎧と恐らく鉄製のメイスを持った戦士風の男。禿頭で白衣を纏った恐らく神官の男。緑色のとんがり帽子にローブを羽織った木製の杖を持つ目元のきつい女性は恐らく魔法詠唱者「マジックキャスター」だろう。一般人に比べ背は低いがロングボウを背負い革鎧と革の兜を身に着けた身軽そうな男は野伏か盗賊だろう。

 全員がそうとは言わないが入り口付近やソファーに座った者、二階のテーブルに座った何人かはドアの音に気付き視線を向けた。

 

 喧騒に包まれた建物は突如静寂に包まれた。テーブルやソファーで談笑していた冒険者がドアから入ってきた4人組を見て息を飲み固まってしまった。受付嬢と依頼のやり取りをしていた冒険者もそれに気づき何事かと後ろを向き息を呑んだ。

 

 一番の理由が最初に入ってきた神官風の女性だ。法衣帽子を被っているため顔の全体が解りにくいが正面から見れば絶世の美女だという事が解る。身長は大体160㎝位と平均レベルだが青と白を基調とした法衣を押し上げる胸は歩くたびに揺れ法衣の上からでも女性の色気が伝わってくる。

 我に返った冒険者の一人が固唾を飲んでナンパをしようと声をかけようとするがそれはすぐ後ろから入ってきた3人組に阻まれた。

 

???「私の連れに何か御用かな」

 

 その男の口調は静かだが明らかに威圧が感じられ、ナンパをしようとした冒険者はその威圧に押され冷や汗を流しながらたじろき黙ってしまった。

 

 右目に眼帯をした戦士風の男、黒を基調としたフルプレートの戦士、そして仮面とフードとマントで顔と体を隠した正体不明の人物。共に入ってきたことから仲間であると推察された。

 その異様な雰囲気に先頭を歩く美女に誰も話しかけられなかった。

 

 

 其の四人組は受付らしき女性に近づいていき、冒険者になりたい旨を伝えたところやや呆然としていた受付嬢イシュペン・ロンブルは冷や汗をかきながら説明を始めた。

 

 内容は、登録料として一人銀貨2枚と代筆代金銅貨5枚が必要だったり、冒険者の簡単な規則だったり、階級は『カッパー』『アイアン』『シルバー』『ゴールド』『プラチナ』『ミスリル』『オリハルコン』『アダマンタイト』という風に上がっていくこと。

 俺たちはもちろんカッパーの冒険者として登録されるなどの説明を受けた。

 どの階級でどんな依頼が来るのか、又報酬の最低額などの質問をしたら受付嬢は「今説明しても意味が無いのでアイアンの昇格試験に合格したら話します」と言われてしまった。

 

イシュペン「最後になりますがあなた方はもうパーティーを組んでいると考えてよろしいでしょうか?。でしたら此処でチーム名を登録しますか?」

???「チーム名ですか」

イシュペン「今此処でチーム名を決めてパーティー申請しておけば次から依頼を受ける時一人ずつ書類を提出したり一人ずつ申請したりといった手間がかかりませんよ」

???「ムウ…。どうするジーク?」

ジークムンド(以後ジーク)「そうだな…漆黒の剣というのはどうだ」

 

 その言葉を聞いた周囲がざわつく。不審に思ったのが表情に出たのを察したのか受付嬢が話しかけた。

 

イシュペン「申し訳ございません。そのチーム名はすでにこちらで登録されており、他の町でも同名で登録しているチームが一つ存在しています。既に同名で2チーム存在しているため規則上の事もありますし、なにより混乱を避けるためにも別の名をおすすめいたします」

???「直ぐには思いつかないな…。名前は後から変更可能ですか?」

イシュペン「可能ですがそれだと本人確認の為審査が必要になり時間がとられてしまいますが…」

ジーク「仕方がありません。チーム名は後日登録するとして銅等級で受けられる依頼を紹介していただけますか?」

 

 

 紹介された仕事はたった3件。それも2件はドブさらいだった。

 しかもドブさらいの報酬は必要人数は2人以上で報酬は銅貨80枚。もちろん調査費用が引かれるので手取りは銅貨64枚。(エ・ランテルの冒険者一人の生活費は一泊二食で銅貨10枚。この時代は貴族は1日3食。平民は1日2食)

 流石にそれはと思い、取り敢えず荷運びの依頼を検討するという方向で今日は宿を探すことにした。受付嬢の話では割のいい依頼は朝早くから来ないとすぐ無くなってしまうし3~5日に最低1件は良い依頼が必ず来るというので明日の早朝に期待したいものだ。

 

 

 4人組の新人冒険者が組合所から去った後、堰を切ったように組合内の人々が話し始めた。話題は当然先程の4人組である。

 

冒険者A「ナニモンだあいつ等…。知ってる奴いるか?」

冒険者B「いや…あれだけの実力者が王国に居れば少しは名が知れ渡ってるもんだが」

冒険者C「神官っぽい服着た女、スゲー美人だったよなー。受付に居た時帽子取ったところ見たけど間違いなく今まで見た中で一番だった。横顔だけだったがな」

冒険者D「髪が茶色だったな、この国にも茶髪がたくさんいるが多分他所から来たんだろうな。あんな美人がエ・ランデルにいたらとっくに噂になってるか、欲深い貴族どもに攫われてるよ」

冒険者A「フルプレートの戦士はどこぞの大貴族の三男坊か?」

冒険者E「俺は仮面を被ったやつが気になったね。多分女だと思うが…」

 

 仕事にありつけなかった冒険者たちは昼前までその話題で時間を費やした。

 

 

 

 

 ここはエ・ランテルの冒険者組合から500M程歩いたところに在る『旅の宿り木停』。利用者は銅等級から金等級の冒険者で所謂なりたてから装備を揃えて手持ち無沙汰の中堅クラス冒険者が利用する。三階建てで宿泊部屋は二階と三階で二階が相部屋と個室で三階が二人又は四人部屋となっている。店長は一階の酒場に居り夕方16時頃から20時頃まで冒険者たちが軽食や安いエールを呑みながらだべっている。24時間明かりが消えない21世紀の繁華街とは違い夜間警備の衛兵以外は21時頃までには寝てしまう。21時以降騒いでいる奴は寝ている冒険者たちが起きて怒鳴って来るからだ。ましてや殺人事件など起こしたら情状酌量の余地があっても冒険者資格を剥奪されてしまうからである。(ちなみに王国の法では情状酌量の余地があれば1~2年間の地下牢暮らしor鉱山送り※生存率50~70% 悪質な計画犯罪ならば死刑)

 

 午前9時半頃その宿のウエスタンドアが開き一階の酒場でだべっていた冒険者たちの視線が自然と集まる。どの客も仲間になるかもしれない相手の品定めが癖になってるからだろう。

 

 入ってきた客は4人組だった。先頭はフード付きの厚手のマントを羽織り仮面をつけた怪しさ十分の人間?だった。フードを深めに被り、仮面をつけていたため表情は読めず、マントも厚手の為性別も不明だ。武器は背中の腰回り辺りにマント越しにかろうじてわかるふくらみと腰に下げている一般的な長さの剣があることから剣士か野伏か盗賊、あるいはマジックキャスターか意見が分かれる所か。

 二人目も性別は不明だった。黒を基調としたフルプレートで覆った戦士だったからだ。さらに驚いたのは体格だ。エールを呑んでいた客の中に盗賊がおり、ダンジョンや森などで罠や木々の影に隠れた穴や崖などを発見しながら進まねばならないので地形や相手を観察する能力は鍛えている。後にその男が言うにはその戦士の身長は明らかに2ⅿ近くあったという。(正確には196㎝)リ・エスティーゼ王国の男子の平均値が158㎝位だから190㎝以上の体格はかなり珍しい。背には2本の両手持ちの大剣に紅のマントで肩と背中を覆っている

 三人目は傭兵風の男だ。水色に見える髪に右目の傷に眼帯。少し痩せているようにも見えるがよく見ると筋肉が引き締まっている。かなり鍛えてる証拠だろう。胴体には硬皮革鎧「ハードレザーアーマー」、武器は新品の柄のダイヤ型の宝石が目に付くブロードソード。銀等級~金等級によく見られる戦士もしくは野伏だ。

 4人目は神官風の女だ。神官の制服とも言える法衣帽子に青と白を基調とした法衣。なにより正面から見れば100人中90人以上が美人と答えるだろう。法衣の上からでも解る発育した胸と腰の括れと尻は男の視線を集め情欲を駆り立てる。

 

 何と言うかちぐはぐながらも個性的で珍しい組み合わせだった。

 

 

 4人組は集まる視線に気づきつつも気にしない様子で真っ直ぐカウンターの店長と思しき男の所へ行った。

 その男の顔立ちは精悍と野獣の中間位で、右頬と左側頭部に傷がある40代後半から50代前半の年季の入った顔立ちだ。

 頭部は坊主頭に見える程短く刈り込まれている。恐らく戦闘や料理を作る時邪魔にならないようにするためであろう。

 袖を捲くり上げ、露出した太い二の腕には獣とも刀剣とも予測の付かない傷跡が幾つも浮かび上がっていた。

 身長は160㎝位とこの時代の平均値あたりだが店の人間というより傭兵に見える。後で組合に聞いた話ではこの宿の主人は元金等級の冒険者で、引退後組合から頼まれて初心冒険者のアドバイスをしているらしい。

 

宿の主人(以下宿屋)「初めて見る顔だな。宿なら相部屋で朝食付きで一泊5銅貨。夕飯も食うなら10銅貨だ。飯はオートミールにウサギと大豆のスープとサラダだ。他におかずが欲しけりゃ追加で2銅貨。おかずは日替わりで豚肉か鶏肉か魚の塩焼きが出る」

???「4人部屋を希望したい」

宿屋「あんたら初めて見る顔だな…。銅等級「カッパー」のプレートってことは今日登録したばっかだろ?」

???「正解だ」

宿屋「何故冒険者組合がこの宿を薦めたか解るか?」

???「さあ」

宿屋「ちったあ考えろ。無駄に年食ってんじゃねえ、早死にするぞ」

 

 宿の主人は怒鳴ったが前の4人組は全く動じていなかった。まるで駄々をこねた子供を相手にしているようだった。

 

宿屋「ほう…。肝は据わってるようだな。うちは二階に相部屋と個室、三階が二人部屋と四人部屋だ。相部屋でなら他の冒険者と顔見知りになるチャンスがある。そこでお互いに顔を売っておけばパーティーを組むきっかけになる。それには俺の店はもってこいだからだ。カッパーやアイアンならともかく銀等級「シルバー」になると野伏やマジックキャスター等と組まないと達成できないような依頼が増えるからだ。・・・とはいえお前さんらは要らん世話のようだな」

???「ああ。御覧の通りパーティーメンバーなら間に合ってる」

宿屋「はあ…。夕食はどうする?」

???「今日は遠慮しておく」

宿屋「一人一泊朝食付きで7銅貨。前払いだ」

???「それで構わん」

 

 フルプレートの戦士は腰に付けたポーチから金貨1枚を取り出しカウンターに並べた。

 宿の主人はそれを噛んで本物の金貨であると確認するとそれを奥の机の鍵付きの引き出しに持っていき、すぐ近くに建て掛けてあった2つの鍵束とお釣りの銀貨9枚と銅貨72枚を持って客の戦士に渡した。

 

宿屋「部屋は三階の奥の『305号室』だ。最後に言っておくが冒険者ってのは職業柄気性が激しい奴らが多い。トラブルが起こっても俺に頼るなよ」

 

 そういって階段が有る方向を親指で刺した。

 

 一向が階段に向かって歩こうとすると先頭を歩くマントを羽織り仮面をつけた者に冒険者の一人がずいっと足を出してきた。

 禿頭の男で、鉄板を貼り付けた革鎧(一般的に鉄鎧という)にブロードソードを背負っている。

 同じテーブルに座っているその男の仲間と思しき者も下卑た笑みを浮かべてこちらを見ている。店の中を見渡すと何人かの客がニヤニヤしながら見ている。まるでこれから起こるイベントを楽しみにしているように。

 

 4人組の一人、ジークと呼ばれた男がフルプレートの戦士に小声で話した。

ジーク「モンガー、どうやら連中喧嘩売ってるようだがどうする?」

モンガー(以下モンガ)「しかも周りの連中の様子だとこれが初めてじゃないらしいな」

ジーク「ユグドラシルに似たようなイベントが確かあったと思う。確か酒場でさっきのマスターと似たような話の後、絡まれて勝負を挑まれ、戦闘力が認められたら特別な仕事を紹介してくれるやつ」

モンガ「俺もそう思った。恐らく通過儀礼と言うやつだろう。むしろアイアンのレベルを図るのに丁度いい。俺が行く」

 

 そういってモンガーと呼ばれた男は無造作に歩いて行って足を出した冒険者(アイアンのプレートを下げてるからほぼ間違いない)の足を軽く蹴った。何気に力加減に気を使った。もし一般人レベルだったら普通にぶつかっただけで骨折ものだからだ。

 

 足を払われた男は待ってましたとばかり立ち上がり不良が威圧するように絡んできた。

 

客A「オイオイ痛えじゃねえか。どーしてくれんだおい」

モンガ「ははっ悪い悪い、こんな狭い場所で足を広げてるとそうなるから気を付けたほうがいいと思うぞ」

客A「金払えよ、それとも仲間が出すか、あーん。ん…どうやらそっちの女にやさしく介抱してもらうしかねえな」

 

 その台詞を聞いた直後モンガーとジークがクククと忍び笑いを漏らした。

 

客A「オイオイなに笑ってんだ、ああーん」

モンガ「いやいや許してくれ。余りにも雑魚にふさわしいセリフに笑いをこらえきれなかった」

 

 そう言うとモンガーは突然その男の胸倉を掴んで持ち上げた。

 見物を決め込んでいた者たちは驚いた。持ち上げられている男はランクこそアイアンとはいえ鉄鎧と鉄の剣「ブロードソード」で武装している為総合体重はかなりある。(60+7+4=71kg)それを片手で持ち上げるのだから相当の腕力だろう。最も経験を積んだ冒険者なら二本のグレートソードを装備しているのを見れば人並外れた膂力の持ち主だと気づきそうなものだが。

そしてそれに気付かなかった事がこの冒険者最大の過ちだ。

 

モンガ「貴様相手なら遊ぶ程度の力も出さなくて良さそうだな」

 

 そういってその冒険者を投げ飛ばした。

 その男は大きく放物線を描きながら赤髪の冒険者が座っている机に激突した。

 

モンガ「さあ、次は誰だ、時間を無駄にするのも馬鹿馬鹿しい。かかって来るなら早くしろ」

 

 モンガーはそう言ってさっきの冒険者と同じテーブルに居たアイアンのプレートを下げた二人を睨んだ。

 二人がたじろいたあと、突如「うっきゃ―――」という女性の悲鳴が聞こえた。

 

 その後その女冒険者がポーションの弁償をしろと言ってきて絡んできた奴に請求しろと言ったら「銀貨一枚と銅貨50枚が毎日飲んだくれてる奴らに払えるはずないわよね」と言い女神官と仮面の魔法詠唱者が殺気を出し始めたので仕方なくユグドラシル産の下級回復薬「マイナーヒーリングポーション」を渡して三階の部屋へ向かった。

 

 新人冒険者たちが上の階に上がった後、一階の酒場では先程の新人冒険者の事で持ちきりだった。

 

冒険者B「オイオイ、あいつ等誰だ。おい、この中で知ってる奴いるか」

冒険者C「多分王国人じゃないと思うぜ。この町のモンなら噂になってるはずだ」

冒険者D「俺は二年前まで傭兵だったがあんな連中は聞いたことねえな」

冒険者A「やれやれ、また俺らの頭を飛びぬけてく奴らのお出ましか」

 

 この話題は1時間程で一旦切れるが一週間後に再び炎上することになることをまだ誰も知らない。

 

 

 

モンガ「ジーク、ハルナ、索敵はどうだ?」

ジーク「問題ない、少なくとも聞き耳を立ててる奴はいないな」

ハルナ「同じく」

 

 そういって不可視化看破の魔法をかけたハルナが念のためドアの外と窓(この時代にガラスは無く木製の戸を使っている)を見まわした後盗聴防止のマジックアイテムを起動しモンガーとジークはベッドに座り、神官レギナと盗賊ハルナは直立不動となった。

 

モンガ「さて、皆お疲れの所悪いが早速この町での活動の相談だ」

ジーク「やはりリーダー役が様になってますね盟主」

ハルナ「しかしよろしいのですか、モモンガ様、闇信刃様。至高の御身がこのような場所に滞在されるなど」

モンガ「そういうなハルカ。我々はまだ一番格下の銅のプレートだ。最下位の者が上位冒険者と同じ宿に泊まったら奇異の目で見られる。確かに名声を得るのも目的の一つではあるが周囲の反感を買うような行為は慎むべきだ。それに出世するまでは身の丈に合った生活というのも悪くない」

レギナ「発言をお許しください。あの不快な女はどういたしましょう」

ジーク「ルプスレギナ、彼女は我々より格上のアイアンのプレートだ。後輩たるもの多少は顔を立ててやらねば悪い意味で名が広まってしまう」

 

 

 そう、彼らこそ我らがアインズ・ウール・ゴウンのメンバーの変装した姿である。

 ナザリック地下大墳墓での相談の結果、モモンガと闇信刃は王国でこの世界の情報収集と貨幣の調達の為に人間の冒険者に扮してここにきているのだ。しかし、冒険者が一人二人のパーティーでは如何にも不自然。さらに万一強者に接触し敵に回った時の為に盾となる人材も必要と考えルプスレギナと弐式炎雷さんが41人の人造人間メイドの一人を改造して作ったハルカをお供に連れて来たのだ。ちなみにハルカの外見と能力値設定には私も一枚噛んでいたため私も自身の創造主として認知されていたためなついてくれた。

 

 しっかしあれが冒険者か…。組合という組織に管理され依頼はモンスター退治や荷物運びばかり…。予想以上に夢のない仕事だ。ユグドラシルの冒険者組合が出すクエストはダンジョン攻略や希少な薬草や鉱石の採取だったのになー。まあ現実化すればこんなもんかー。

 闇信刃はそんなことを考えつつもモモンガに意見した。

 

闇「取り敢えず今後の行動方針ですね。諸君らも良いか」

ルプスレギナ+ハルカ「「はっ」」

 

 そういって直立不動から片膝をつき玉座の時と同じ姿勢になる。あのな…。

 

 こうして意見のすり合わせが始まった。優先順位は以下の通りである。

 1.この世界の強者の情報を得るための情報網の構築。特にユグドラシルプレイヤーの情報は最優先。

 2.この世界での金銭の確保。

 

 概ねこの二つである。

 

モモ「しかし此処で問題が生じている」

闇「わかってます。手持ちの金でいつまで生活できるかという事ですね」

 

 そう、ドワーフ国から取引でもらった王国の貨幣は金貨100枚。しかも3枚ほどエキスチェンジボックスに投げ込み、更に万が一落としたり盗まれたりしたときの事を考慮し、50枚をナザリックの宝物殿の隅にメモ書きと共に置いて30枚をモモンガさんが、私がお小遣いとして17枚貰ってる。しかも明日、もう一泊分のお金を払ってから出かけなくてはいけないため、生活費を稼ぐことは急務だった。

 

モモ「さて、最後にお前たちに質問したい。人間をどう思うか」

ルプス「おもちゃっす」

ハルカ「能力値が低くても様々なスキルや知恵を使ってくるので厄介な存在です」

 

即答するルプスレギナに一抹の不安が残るが、一体どうなることやら……。

 

 ひとつため息をつくと私と盟主はルプスレギナとハルカに部屋で待機を命じ商店街を見て回ることにした。市場にある冒険者御用達の店にどんな商品が売られているかの調査もそうだが盟主とプレイヤー同士でナザリックの支配者ではなく一人の人間として気晴らしがしたいというのがメインだ。

 2時間程買い物を楽しんだら私と盟主はナザリックに戻ってトレーニングの続きだ。私は聖騎士兼マジックキャスターとして、盟主は前衛の戦士として…。(実はこの体でのトレーニングは17日~24日までしかやってない)

 




冒険者の階級別モンスター難易度+最低報酬額

1.銅等級「カッパーランク」
 登録した時になる一番最初の階級。この階級での依頼は主にポーター(この世界で荷物運びは馬車を使うが値段が高く用意できない冒険者や商人が雇う荷運び要員の事)やドブさらい、農園の見回り、家畜の世話など一般人でもできる依頼が多いので正直冒険者と言えるかは微妙。鉄製、又は石器製の武器を持った一般人ならこなせる仕事。

2.鉄等級「アイアンランク」
 銅等級が依頼を5回以上達成して(もちろん失敗はカウントされない)昇格試験を経てなる地位(エ・ランテルと王都は墓地の見回り)。このランクからモンスター退治の依頼を受けられる。商人が頻繁に使う街道の警備とモンスター出現場所の調査は鉄等級の仕事。任せられるモンスター退治は難度5~20(ユグドラシル基準でLV2~7)。これはゴブリンやスケルトン、ボーンクロウ等。武装した一般人が3人以上のパーティー、もしくは専業戦士一人がこなせるレベル。

3.銀等級「シルバーランク」
 鉄等級が依頼を5回以上達成すると昇格試験を受けられる。このランクから『プロ』とみなされる。任せられる依頼はモンスター退治(難度21~40位)が40%、調査が30%、商人の護衛が30%。このランクからパーティー構成を真剣に検討する必要がある。(でないと生き残れない)戦士、野伏又は盗賊、マジックキャスターの初級~中級(冒険者経験3ヵ月~1年位)で構成された2~3人パーティーがこなせるレベル。

4.金等級「ゴールドランク」
 銀等級が依頼を5回以上達成すると昇格試験を受けられる。銀と同じ中堅クラスと認知されているが盗賊退治(難度15~45位)や危険地帯の調査などより熟練度が必要な依頼が多い。昇格試験が盗賊や犯罪者の捕縛となっているのが特徴的。

※次の話には白金~オリハルコンの説明が有ります。
 ちなみに冒険者専門の宿屋はエ・ランテルに3件、王都に3件、リ・ブルムラシューに3件、エ・レェブンに2件、リ・ボウロロープに2件、他伯爵家以上の領地に1件づつ
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