但し、カルネ村はまだ出ません。本編は原作より1ヶ月早く転移していますので、そこを考慮してお読みください。
第6話 外の景色
モモ「まあこのように、普通の剣は装備できませんが、〔創造=クリエイト・アイテム〕で作った物は装備できるようです」
モモンガさんは昨日の1日で判明したことを皆の前で実演して見せた。
私こと闇信刃は現在ナザリック地下大墳墓第9階層円卓の間に居ます。そこで皆が昨日一日調べたことを話し合っていた。
そこでいろいろなことが判明した。NPC達の性格、できることとできないこと等。マーレによるナザリック地下大墳墓の隠ぺい工作が上手くいったこと、宝物殿の宝が無事だったこと、中でもNPC達がナザリック地下大墳墓の外に出るのが可能であることが発見できたのは僥倖だった。
1時間の話し合いの後、いよいよ最大の課題と向き合うことになる。
モモ「それじゃあ今日最大の課題です。外の調査はだれがいくか決めましょう」
武人「ムウ、確かに早急に決めねばならぬ課題ですな。リスクは承知ですがこのままナザリックに引きこもっていたらこの世界の者たちに後れを取る危険が高い」
弐式「この世界の生物がナザリック地下大墳墓を攻略できない保証も、我々より弱い保証もありませんしね」
闇「このままナザリックに閉じこもっていたらいずれ宝物殿の金貨が尽きた時身動きが取れなくなります。トラップ装置を発動させているだけでも1階層につき1日金貨30枚。NPC達とナザリックの維持費は『永劫の蛇の指輪』で無料になりましたが、この世界の敵対勢力に攻め続けられればトラップ装置の修繕やNPC達の蘇生等でいつか枯渇します。その時我々がこの世界に無知だったら身動き取れません」
やま「100LVNPCの蘇生は1体金貨1億枚だからねー。さらに神器級の装備品全てが敵に取られれば其の全て再生させるのに3億以上はかかったよ。以前の大侵攻の時に」
山「姉さん、ナザリックにはどれだけ貯めてるんですか」
やま「確か私が半年間休む前は5000億枚位あったかな。モモンガさん、今はどうなの?」
モモ「転移する一週間前に確認した時は5000億と1000万枚位でした」
弐式「私が最終日買い物に5000万枚使いましたから4999億チョットです」
ヘロ「何もなければ1000年以上持ちますが、侵入者がひっきりなしにくればどれだけ持つか解りませんな」
結局意見は平行線をたどり、外出メンバーの選出に移った。
先ずは地形の大まかな把握だけなので、モモンガさんと武人武御雷さんがデミウルゴスかアルベドを連れて、本格的な調査は再度メンバーを選定するとした。
ところが少々諍いがあった。第9階層にアルベドとデミウルゴスを連れて相談した。二人はナザリックNPC達の中でも特に知能が高いことが昨日発覚したためだ。
モモ「アルベドにデミウルゴスよ、取り敢えず私と武御雷さん外の空を調査することとなった。お前かデミウルゴスを連れていきたいと思うが何か意見はないか?」
アル+デミ「大至急近衛軍を編成しますので少々お待ちください」
武人「待て、それでは外に例えば大型生物がいた場合すぐに発見され戦闘になってしまう。これは極秘の調査だ。少人数でやらねばならぬ」
デミ「ですので万が一戦闘が発生した場合速やかに殲滅するためです」
モモ「繰り返すがこれは極秘の調査である。完全不可視化のマジックアイテムで姿を消すにも50人100人ともなればスクロールの在庫がすぐ無くなってしまう。一人もつれていかないとは言っていない。理解してほしい」
アル「…畏まりました。しかし外出がお二人ならせめて私とデミウルゴスをお連れ下さい。それならいざという時私たちが盾となりお二人を奇襲から守ることも出来ましょう」
武人「確かに…。どうかなモモンガ殿」
モモ「解った。お前たち二人が同行することを許可する」
アル+デミ「ありがとうございます」
どうやらNPC達は主人が危険にさらされると冷静さを失うらしい。また一つ収穫だなと思いつつモモンガと武人武御雷は第1階層神殿の入り口まで来た。
モモ「〔複数対象=マスマジック、完全不可視化=パーフェクト・アンノウアブル〕〔飛行=フライ〕」
モモンガは不可視化と空を飛ぶ魔法を4人全員にかけそのままナザリック地下大墳墓の上空2000M位まで上昇し景色を見上げた。
雲を突き上げた先は現実以上に美しく太陽が輝く青空だった。太陽が東側だったのは現時刻が7時頃だったからだろう。
モモ「美しい…。雲の上はこんなにも澄んでいるのだな」
武人「このような景色…。リアルでは先ずお目に掛かれませんな」
西暦2138年の日本では核ミサイルによる環境汚染の影響で空は日中でも灰色のスモッグが漂い、スモッグの隙間からしか日差しが差し込まず星も見えない。ブループラネットさんは面倒な手続きをしてあちこちに爆心地がある危険な山を登り、頂上付近で星空を見た時は涙が止まらなかったというが、今はその気持ちが良く分かる。
モモ「この青空、ブループラネットさんに見せてあげたかったな…。」
武人「うむ、むっモモンガ殿今の発言はまずい」
武御雷はモモンガに近づいて小声で話しかける
武人「〔伝言=メッセージ〕を発動してくれ」
モモ「何故です」
武人「頼む!何も言わずに」
そう言われてモモンガは〔伝言〕を使用した。
武人「モモンガ殿、NPC達の前でギルドメンバーの消息については絶対に話さないで下さい」
モモ「何故です?」
武人「解らぬのか、もしブループラネットさんや死獣天朱雀さんがすでに死んでいることがNPC達ばれたらどうなるとお思いか。殺したやつを探し出せとかご遺体を探し出して復活させましょうとか言い出しかねませぬ」
モモ「…あー、確かに」
武人「以上です」
モモ「あっでもたっちさんや他のメンバーもこっちに世界に来ている可能性だって…」
武人「こんな異常事態が起きている以上断言はできませんが…それなら我々と共に転移しているはず。望み薄と考えるべきですな」
モモ「でも私は逆に希望を持ち続けたい。何よりもリアルに未練はありませんしね」
武人「私も例え帰る手段があったとしてもこの世界を知り尽くしてからでなくては嫌ですね。リアルの生活は決して苦しいものではありませんでしたが先は見えてますし(笑)」
モモ「決まりですね。もう少し調査したら皆で相談しましょう」
モモンガは〔伝言〕を切った。と同時に少し不審に思ったのかアルベドが心配そうに尋ねてきた。
アル「いきなり〔伝言〕を使っての相談とはどうされたのですか?何か問題がございましたら…」
武人「ああ気にするなアルベド。さっきも言ったとうりこれは極秘の調査だ。帰ったら皆に全て伝えるから余計な詮索は控えてほしいのだが」
デミ「アルベド、至高の御方々はおそらく我々ではまだ理解できない内容の話をされているのだ。それに周囲の警戒が必要な状況では落ち着いて話せない。故に〔伝言〕で必要最低限の相談をし後で我々にも解るように話されるつもりでしょう。」
アル「これは気が利かず申し訳ございません」
こちらに都合よい解釈をして貰い二人は安堵しながら雲の下に移動した。最もそのおかげで不用意な発言をしてしまったのだが。
モモ「しかし素晴らしい景色だ。雲の上は青空と太陽が美しく、雲の下を覆う森と山もまた美しい。正に自然の造形美だ。宝箱に入れて持ち帰りたい位な」
武人「ふむう、帰還したら是非とも皆と見たいものだな」
モモ「もしもこの宝箱が我々の手に入ればこれ以上の幸せはないだろうな」
デミ「お望みとあらばナザリック全軍を持って手に入れてまいります」
モモ「フフフ、この世界にどのような勢力がいるのか不明な段階でか」
武人「デミウルゴスよ、物事には段階というものがある。我々は現在この世界の事を何も知らない。その状況で軍を動かせば多くの勢力を敵に回しナザリック地下大墳墓の存続にかかわる。不用意な行動は慎んでもらいたい」
デミ「も、申し訳ございません」
モモ「だがそうだな…。世界征服なんか面白いかもしれないな」
武人「我々は魔王ロールギルドとして名を馳せたからな。それがもし可能であればさぞ痛快であろう」
二人はそこで話を区切りナザリックに帰還することにした。美しい自然に感動して早く皆に伝えたいという焦りか後ろをついてくる二人が怪しく目を光らせているのに気付かなかった。
途中で武御雷からストップがかかった。
モモ「どうしたんですか」
武人「血の匂いがする…。あの辺りから、それに…誰かが闘っている?」
蟲王の能力なのか武人武御雷は山と森の境目辺りを指さした。モモンガは山と森の全面的な調査はナザリック地下大墳墓に帰還して皆と相談してからにしようと思ったのだがこの世界の生物の戦闘が見られるのは貴重な体験だ。幸いなことにアンデットになっても視力はゲーム時に使っていたインターフェイス機能で矯正された1.5の視力がある(相変わらず理由は不明だが)。自分たちにかけた〔完全不可視化〕が作動しているいことを確認してから地上に降りた。
地上に降りてようやくモモンガも血の匂いを確認した。匂いの方向を見てみると小柄な中年男がゴブリン×3とゴーストウルフ×1の集団と山の麓にある大岩を背にして闘っていた。少し右側に離れたところにゴブリンとゴーストウルフの死体が2匹ずつある。
モモ「人型の方は人間というよりドワーフですかね?対戦してるのはゴブリンとゴーストウルフですかね」
武人「ふむ、拙者も同意見だ。ユグドラシルでは初期に闘うモンスターであるな。しかしこれは何とも…」
武人武御雷さんが何か他に気になる点があることが伺えたが先ずは目の前の戦いに集中する。
中年男がまずゴーストウルフに向かってナイフを投げる。ゴーストウルフは其れをあっさりと躱し突撃して来た。それに合わせてもう一本ナイフを投げる。ナイフは額に刺さり、武器が聖属性なのかあっさり消滅する。その後ゴブリンが3体同時に棍棒を振り回して3方向から襲ってきた。中年男は其れを予期していたのか腰に下げていた小型の斧を手に前方に突進し体当たりした。バランスを崩したゴブリンの頭に小斧を振り下ろす。小斧は頭蓋骨を割り鮮血が飛び散る。倒したゴブリンの顔に足をかけ一気に抜き取る。しかし振り向こうとした瞬間ゴブリンの棍棒が側頭部に当たり中年男が転倒。思わず小斧を手放してしまい、中年男は思わず転がって追撃をかわす。その瞬間〔魔法の矢=マジックアロー〕が二匹のゴブリンを貫いた。
武人「モモンガ殿、なぜ助けたのです?」
モモ「すみません。一つ思いついてしまったので。それに私の攻撃魔法がこの世界の生物に通じるかどうか、またあのゴブリンの強さがユグドラシルと違うかどうか調べたかったので」
???「な、なんじゃ今のは。魔法?しかし誰もおらん…」
どうやら〔完全不可視化〕はうまく機能しているようだ。
中年男が周りを気にしだしたとき急に倒れた。
武人「モモンガ殿、〔睡眠=スリープ〕で気絶させてどうなさるのだ」
モモ「だから色々調べるんですよ」
モモンガは中年男の額に手を当てて〔時間延長化・支配=エクステンドマジック・ドミネート〕を唱える。眠った状態から薄く目が明き、虚ろな瞳が見える。どうやら上手くいったようだ。
モモ「お前は何者だ?」
???「儂はロックと申します。ドワーフ族の首都フェオ・ジュラからきました」
モモ「ロックよ、おまえは何の目的でトブの大森林まで来た」
ロック「摂政会と親友のゴンドからの依頼で薬草採取に来ました。情けない話ですが私は発掘作業より戦闘の方が得意なので」
モモ「では次の質問だ。そのドワーフ族の町はどこにある?」
ロック「アゼルリシア山脈の巨大な洞窟の中です。この先に行くとやや大きめの山道があります。そこを山の見えるほうに進むと山の中腹にたどり着きます。そこに大きな横穴が見えますのでそこが入り口です」
モモ「摂政会とは何だ?」
ロック「ドワーフの町、というより国の意思決定機関です。現在のドワーフの国は国王がいない為、それぞれの分野の最高責任者6人が集まり会合によって政治を行うのです」
その後、持ちうる兵力。国王の血筋が絶えたこと。現在クアゴア族というモグラのような亜人にかつての首都を奪われ、現在の首都フェオ・ジュラも危険の為対策を迫られている。『プレイヤー』『ユグドラシル』といった単語に覚えがない。など現在のドワーフ族の情報をできる限り集めた。
モモ「こんな所ですかね、念のため〔睡眠〕をかけて連れていきましょう」
武人「モモンガ殿、もしかして彼を案内人にしてフェオ・ジュラとかいう町に乗り込む気ですか?」
モモ「はい、我々はこの世界の事を知らなすぎます。今我々に必要なのは情報ではないのですか?ナザリックを守る為にもこの世界をで生きていくためにも必要なことだと思います。最も設定道理なら私は死んでるんですけどね」
武人「アンデットも不死身ではないからあながち間違えではないと思うが…。さて、二人はどう思う?」
武御雷さんがアルベドとデミウルゴスの方を向いて聞く。二人も同じ結論に達したらしく頷くだけだった。
モモ「以上が私と武御雷さんが見て来たことです」
武人「時刻は朝7時頃。今まで見たことがない澄んだ青空と美しい森の自然があった。そして山に生命反応多数だ」
ここはナザリック地下大墳墓第6階層の闘技場。よそ者であるドワーフの男を第9階層に招くのは何かいじられでもしたら後が大変だと思い第6階層にした。ここなら彼が混乱して暴れても問題なしと判断した。もちろん私も含めて。
闇「それは幸運でしたね。この世界の生物の戦闘を見学できただけでなく、貴重な情報源まで確保できたとは。それにクアゴア族でしたっけ、彼らの敵は。我の見立てではこの世界の勢力の一つと協力関係が構築できるやもしれません」
弐式「然り。私もそう思います。問題はドワーフ族とクアゴア族、どちらと手を結ぶべきかという所ですが…」
山「私はドワーフ族がいいと思うな。だって今押されているのドワーフの方でしょ?そっちに協力した方が恩を売れると思う」
やま「私も姉の意見に賛成です。有利な勢力に売り込んでもたかが知れてるし、戦争中ならスパイの可能性を疑われると思います。かなりの高確率で」
武人「拙者も一ついいかな?先程の戦闘を見るとこの男はドワーフ族の中でも戦闘が得意だという。そしてプレイヤーやユグドラシルという単語に「知らない」といったことからドワーフ族の中にプレイヤーがいる可能性は非常に低いと考える。そして恐らく我々の方がドワーフ族より遥かに強い。この点から見ても、我々の力を見せつけて恩を売れば裏切られる可能性は低いと判断するが」
やまいこさん、山明さん、そして武人武御雷さんの意見は説得力があったのかギルメンだけでなく守護者たちも仕切りに頷いていた。念のため理由を聞いてみたが全員「有利な方に味方してもリターンが少なく、恩を踏み倒すような種族ならナザリック全軍を持って両部族を滅ぼしてしまえばよい」という過激な意見だった。
確かに有利な方に味方してもリターンは少ないし、何より信用を得るまでが大変だ。
それにもしクアゴア族の中に『プレイヤー』が存在していた場合、有益な情報と命が引き換えになるかもしれない。【アインズ・ウール・ゴウン】以外にも亜人種や異業種のプレイヤーは大勢いたし同じユグドラシルプレイヤーでも皆が友好的とは限らない。それどころか『悪の組織』『人間種の正義への槌』を標榜していた【アインズ・ウール・ゴウン】のメンバーと解れば敵に回る確率が高い。
以上の点から一先ず捕らえたドワーフの話を聞いてから最終的な判断はするが一応ドワーフ族の味方をする方向で落ち着いた。
早速モモンガさんがドワーフ族の男を起こした。
男は目を覚ますと同時に驚き、「ひーっ」と叫んで後ずさり、咄嗟に武器を構えようとしたが武器が没収されれおり、力なく膝をついた。
ロック「お、お前たちは何者じゃ。儂は誘拐されたのか?ここはど・・・」
デミ「至高の御方々に対して無礼ですよ。平伏したまえ、抵抗するな」
ドワーフ族の男「ロック」が言い終わらないうちにデミウルゴスがスキル〔支配の呪言〕を使ってドワーフの動きを抑制した。
デミ「モモンガ様、話を聞く姿勢が出来たようです」
モモ「デミウルゴス、一応客人だぞ」
ヘロ「いえ、あの状態ではまともに話を聞いてくれないでしょう。英断だと思いますよ。」
モモ「ウーン、まあ仕方ないですね。ロック殿、失礼はお詫びする。2、3聞きたいことがあって連れてきた」
ロック「き、聞ぎだいころ…?」
平伏し、頭を床に着けている状態なため言葉がたどたどしい。
流石にこの状況は見かねてしまうので、モモンガさんもデミウルゴスに頭を上げさせるよう命じた。
デミ「頭を上げることを許可する」
ロック「はっ、くっ首が動く?」
モモ「さて、尋問を開始する。クアゴア族とはまだ戦争中ということだが、勝つ見込みはあるのか?」
ロック「な、何故そのことを」
武人「おぬしに催眠魔法をかけたのだ。余計な詮索はせず事実のみを答えよ。言っておくが職業柄嘘はすぐに判る。頼むから余計な魔力を使わせてくれるな。嘘と解ればまた魔法で矯正自白させなければならない」
ロックは観念したのか質問に答え始めた。
ロック「勝つ見込みは…低いと言わざるを得ない。儂はドワーフ族の中でも戦闘が得意な方じゃがクアゴア族相手では1対1で勝てるかどうかというもの。しかも奴らは必ず集団で行動する。食料の調達から戦闘までじゃ」
闇「1対1の相手って斥候、それとも敵の大将?どっち」
ロック「斥候じゃ。敵の大将は氏族長ペ・リユロといって実際に奴の戦闘を一度見たが儂が10人いてもかなわんじゃろう」
弐式「現在の状況をできるだけ詳しく聞かせて」
ロック「現在は首都フェオ・ジュラから離れた大地の亀裂の所にあるジュラ関で防衛線をはっとる。クアゴア族はオスメス問わずほとんどが戦闘員となれる。こちらの兵力は約1万2千。敵は約5万。現在は地の利を生かして上手く守れておるが正直いつまでもつか…」
その台詞の後ロックがうつむく。先行き不安で絶望の未来を予想しているのかもしれない。もしや売り込むチャンスなのかと思い、声をかける。
闇「ロック氏、ドワーフ族の未来を守る提案があるのだが、乗りますかな?」
皆が若干驚いた顔をするが、興味があるのか分かってくれたらしく黙って聞いてくれた。
ロック「な、何故そんなことを…。何を企んでおる!」
闇「質問しているのはこちらです。それに難しいことを聞いてるわけでは無いでしょう。是か非かで答えてください。ドワーフ族の未来を守りたいか否か」
アル「先に断っておくけど、あなた自分の立場わかってるの?今生殺与奪の権利はこちらにあるのよ。命が惜しくないのなら・・・」
闇「すまないアルベド、少し黙っててくれないか」
アル「も、申し訳ございません。闇信刃様」
闇「すまない、話の腰を折ってしまったな。とっすまない、言葉を崩させてもらう。で、どうだね?」
ロック「…わしとてドワーフじゃ。同志達を守りたい。聞かせてくれ、ドワーフ族の未来を守る方法を」
闇「簡単ですよ、我らの軍門に下れ。それだけです」
ロック「それは・・・国民すべてを奴隷にするということか」
闇「ははっ随分な誤解だな。軍門に下れというが同盟関係に近い。実はこの地下墳墓に閉じこもっていたせいか我々は世情に疎くてね。端的に言えばこの世界で生活するのに必要な物品と情報とコネクションを寄こせということだ。たしかドワーフ族の鍛冶師は有名だから他国との関係は有効なんだろう?今後他国の権力者とコンタクトを取る時、貴国の金と情報とコネを都合してもらいたいということですよ」
それから話はとんとん拍子に進み、ロックが摂政会の知人に話を通してくれ、そこに我々を連れてってくれるということで落ち着いた。
モモ「いやー、お見事です闇信刃さん。闇信刃さんが今必要なこと全部言ってくれて、話も無事まとまりました」
武人「うむっ、闇信刃殿かモモンガ殿でなければこの話はまとまらなかったろう」
ヘロ「これでこの異世界へ進出する第一歩が踏み出せましたね。私からも感謝しますよ」
モモ「さて、皆さんここからが問題です。誰が交渉に行きましょうか?」
これほど感謝されるのはいつぶりだと感慨に浸りながらモモンガさんのここ一番の重要な話に耳を傾けた。
弐式「確かにそうですね。7人全員で行くと大仰すぎて攻めに来たのかと疑われかねません」
ヘロ「それにナザリック地下大墳墓の管理を守護者だけに任せるわけにはいかんでしょう。ナザリックを空にするのは外の情報がない現時点では余りにもリスクが高い」
確かに近衛軍を連れて行けば交渉所じゃないかもしれない。それに援軍が必要な時の為にナザリック地下大墳墓に待機するものが必要だ。もし凶暴なプレイヤーやワールドエネミークラスの敵に遭遇した場合、最悪の事態に陥るかもしれない。自分たちは未知の世界に来ているのだ。最悪の事態は想定しておくべきだろう。
そこで交渉役は私が志願し(皆にもお願いされた)もし何かあった時確実に情報を持ち帰られるメンバーでドワーフ国の首都フェオ・ジュラに向かうことになった。
いよいよ本編其の1ドワーフの工匠編です。ちなみに編成は下記の通りです。
ナザリック地下大墳墓使節団
団長 闇信刃
諜報担当 弐式炎雷 ソリュシャン・イプシロン
世話係兼交渉補助係 セバス・チャン ティファニア
護衛係 アウラ・ベラ・フィオーラ シャルティア・ブラッドフォールン 他 デスナイト、伴蔵、シャドウデーモンを数体ずつ