姉は戦略級魔法師、その妹も戦略級魔法師!? 作:KIRAMERO
今回は懇親会が行われている裏で行われたことと九校戦の開幕です。
追跡編が4月10日に発売されるということで今から待ちきれないです
懇親会が行われている裏側では各地から十師族の当主並びにその関係者が続々と会場となる軍の施設の近くにある各家の別荘、ホテルで明後日から行われる九校戦について話が行われていた。
☆七草家別荘にて☆
今年私たち七草家は約2年ぶりに九校戦の会場に行くことにしていた。目的は娘の真由美の最後の舞台であるのと同時に今年入学してきた生徒達の観察だ。
特に同じ『十師族』の一条将輝と五輪彩海奈、そして先のブランシュ騒動で活躍した司波兄妹だ。
兄妹の内の兄の達也は出ないのではと思われていたがまさかエンジニアとして出てくるとは思わなかった。1年生でエンジニアとして出てくるのはその内容がそれだけ良かったことなんだろう。妹の深雪には一高のダブルエースとして公式に紹介されている程の選手だ。魔法力が低いわけでは無いだろうと思い、やはりこの兄妹には何かあると考えられる。
続いて同じ『十師族』の一条将輝だが、彼に関しては一条家の次期当主にほぼ内定しているだろうと思っている。彼は2092年の新ソ連による佐渡侵攻による功績から「クリムゾン・プリンス」と呼ばれている。魔法力も申し分なく特に一条家の切り札『爆裂』は見たことは無いが第一研の研究テーマからして人体にあるものを媒介にして爆破させる類の魔法だろうと考えられる。現状十師族の中で一番対人戦に最も優れている人物の1人であると思われる。
最後に五輪彩海奈だが彼女も司波兄妹と同じく何かを隠しているように思える。だがそれは幾ら探りをいれても分からないという結果だ。俺は苛立ちを隠せずにいた。
だがもしかしたら明後日からの九校戦で何かわかるかもしれないと思い明後日からの準備を始めた。
☆四葉家所有ホテルにて☆
四葉家が(と言っても四葉のダミー会社が)所有しているホテルの最上階の部屋では
「姉さん、ついに深雪さんと達也が九校戦に出るのね。私なんだか興奮してきちゃった」
「真夜、落ち着きなさい。それでもそれも分かるわよ。私も深雪と達也が九校戦に出る日が来たのねってね」
「そうですね奥様。あの達也くんと深雪ちゃんがもうこんなに立派になったかと思うと何だか感慨深いですね」
「あら、穂波もなの?それは楽しみね」
「それで姉さん今年達也さんや深雪さんと同じ学年にいる五輪家の彩海奈さんなんだけれど私達をもってしても彼女のことが分からなかったの」
「それは本当なの?私たちの情報網から逃げ切れるなんて……五輪家もそれだけ彩海奈さんについて知られたくない情報があるのね」
「やっぱり姉さんもそう思うのね。私はまだ何の確証も無いけれど彼女は戦略級魔法師に匹敵する程の持ち主なんじゃないかって思うのよ」
「確かに……それだけ隠すってことはそれくらいだと思うけれどどうなのかしらね」
とこんな風に真夜と深夜が会話しているのを聞いている穂波と水波は戦々恐々としながらもポーカーフェイスを保ちつつ何処か楽しげな装いをしていた。
そんな4人は明後日から始まる九校戦にどこか嫌な感じがしていたが同時に深雪と達也の応援と彩海奈のことについて知りたいという観点から物凄く楽しみにしていたというのは外で待機している葉山だけが知り得ることだった。
☆澪は軍のホテルのVIPルームにて☆
澪は彩海奈が懇親会に出ている間とある客人を迎え入れていた。それは日本魔法師界の長老『老師』こと九島烈だ。
「久しぶりだな、澪。こうして会うのは一昨年の国防に関する会議の後以来か。それで今年は彩海奈の応援にでも来たのかな?」
「ええ、お久しぶりです『老師』。今年はもちろん彩海奈の応援もありますがもう1つ重要なことを当主である勇海から伝えられておりまして」
「ははは君にも『老師』と言われるか。重要なこと?今年の九校戦に七草の当主が来ることと関係しているのかな?」
「私にとっては貴方こそがこの国の最大戦力と思っていますから。はい、そこが一番のところです。七草の当主はどうも我が家にちょっかいを出してくるようでそれの牽制も含めてという感じでしょうか」
「私はもう老いぼれだがなかなか嬉しいことを言ってくれるな。そうか弘一のことはこれに始まった事じゃないし大目に見てやるしかなさそうじゃな」
「そうなんですね……やっぱりここらで釘をさしておかないと」
「おっと私はそろそろ会場に行かなくては。それではなまた九校戦の会場で」
「はい、楽しみにしております」
こうして烈はVIPルームを出ていった。その瞬間澪はこれまで見せていた戦略級魔法師としての威厳を消し去るかのような体勢になっていた。
「弥海砂ちゃーん、芽愛ちゃーん疲れたー何か飲み物とかない?」
「こちらにございますよ。それにしてもあれが『老師』……さすがは『最高』にして『最功』といわれていたお方でしたね」
「そうですね。私たちは今回初めてお目にかかりましたが、すごいです」
「ええ、私がこの国の最大戦力だと言われているけどそれは違うわ、あの『老師』こそがこの国の最大戦力だと思うの」
こうして澪・芽愛・弥海砂の3人は改めて『老師』という存在について再認識しつつ彩海奈の九校戦での活躍を楽しみにしながら長く女子会を続けるのであった。
☆九校戦前の各家の懇親会の裏の話end☆
懇親会から2日後の8月2日。ついに九校戦が開幕した。
「みんな、何見に行くの?」
「七草会長のスピード・シューティング。高校最後の年に『エルフィン・スナイパー』がどういう活躍を見せるのかが必見」
「雫って九校戦よく見てるの?」
「雫は毎年九校戦を見に来てるんですよ!」
「じゃあ今日は七草会長のを見てから渡辺先輩のを見に行きましょう。でも、彩海奈は明日の準備しなくて大丈夫なの?」
「大丈夫よ。競技に使うCADは自分で東京にいる時に調整してきてるから。こっちでも今の体調に合わせてするつもりだけれどそんなに時間を使うものでは無いから」
「彩海奈って自分のCAD調整出来るんだ。いいな〜やっぱり自分のCADは自分で調整した方がいいの?」
「うーんまぁ家の人がしてくれる時もあるけどまだまだだなって思う時もあるわよ」
「へぇ〜じゃあ彩海奈は将来何になりたいってあるの?」
「それは今のところ無いけれどお家次第ってとこかしらね」
「あぁそうかぁ彩海奈はもしかしたら次期当主かもしれないしね。お姉さんやお兄さんはならないの?」
「どうかしらね。姉さんはならないというよりなれないって言った方が正しいかもね」
「どういうこと?」
「次期当主が戦略級魔法師だと有事の際は家を空けることになるじゃない?それは好ましいことではないからね」
「そっか。なるほどね」
「ほら、会場に急ぎましょう。七草会長の出番終わってしまうかもしれないわよ?」
「そうだねみんな急ごう!」
スピード・シューティングの会場に入るとそこは混沌としていた。七草会長のことを1目見ようと前の席の方に人が詰め寄り七草会長のことを呼んでいる。
「やっぱりすごいわね。七草会長」
「ああ、十師族の直系で初日から出てくるというのもあるだろう。それにしてもすごい人気だ」
「ええ、そうね…と噂すれば出てきたわよ」
七草会長が台の上に立つと会場は嬉々とした声が一層高まった。そして競技が始まるとその歓声は静まり競技が始まる。
パシュン、パシュン、パシュン
「さすが七草会長ね。一度も外さないわ」
「ああ、視覚魔法の『マルチスコープ』に死角はない。さらに使っているドライアイスの亜音速弾だ。その「銃座」を作り出すから何処からでも打てる。それに視覚魔法の組み合わせだ。余程の事がない限り負けは無いだろう」
「それにこれが競技だからいいけど、戦場で威力MAXでこの魔法が放たれたら何処に居ようとしても七草会長にとっては赤子をひねるようなことね」
「ははっマジかよ……」
「それが十師族。この国の魔法師界の最高峰と言われる所以なんだろうな。ここにもその十師族の跡取りとなるかもしれない奴もいるがな」
「あはは、私はあんな七草会長のように精密にあんな射撃出来ないし、視覚魔法なんて持ち合わせてないわよ。さらにそんなに魔法力も高い訳では無いしね」
「おいおい、嘘だろ。あれでそんなに高くないっていうのかよ……」
「あれ、あんた彩海奈と面識あったの?私と美月は深雪とか達也くんから紹介してもらったけどあんたそこにいなかったじゃない」
「うるせぇ、あの一高襲撃された日に図書館前で敵と戦ってた時に手助けしてくれたんだよその時にな」
「へぇあたしが中で交錯してる時にね…」
「まぁまぁエリカ、何時何処で知り合ったかなんていいじゃない。それにしても七草会長すごかったわね」
「うん。私達の戦い方の参考にはなったし。会場の雰囲気もある程度理解出来たから満足」
「それは良かった。さあ次は渡辺先輩だ。ほのかと彩海奈はバトル・ボードに出るから特徴を掴むにはもってこいだ」
私達はスピード・シューティングの会場を後にすると続いてバトル・ボードの会場に出向いていた。
そこにはスバルやエイミィといった私のクラスメイトの子達が大勢いた。会場を見回してみると女の子が大勢を占めており異様な光景が広がっていた。
「渡辺先輩は女性人気が高いのかしら?」
「そうだろうな。あのボーイッシュな出で立ちや男勝りな部分は女性人気が出てもおかしくはない」
こんな会話をしていると競技の開始音が鳴り響いた。
「早い、さすがは渡辺先輩ね」
「ああ、硬化魔法と移動魔法の併用しているな。さらに今度は加速魔法に振動魔法…常に3〜4の魔法をマルチキャストするとは……」
「ええ、さすがは一高の三大巨頭だわ……少なくとも高校生のレベルではない」
この後結果がどうなったかは言わなくてもわかるかもしれないが渡辺先輩は予選突破。七草会長のスピード・シューティング、さらには男子スピード・シューティングも優勝した。
1日目が終わり生徒会の服部先輩を除くメンバーと渡辺先輩が集まってささやかなパーティーが開かれていた。
「それでは七草会長のスピード・シューティング優勝と渡辺先輩のバトル・ボード予選突破を祝してかんぱーい」
「「「「「かんぱーい」」」」」
「まずはおめでとうございます。七草会長。それに渡辺先輩のバトル・ボードも見事でした」
「「(ああ、)ありがとう」」
「予定通りだな」
「ええ、はんぞーくんも苦戦はしたけど予選は突破出来たし滑り出しは順調ね」
「服部くんはどうやらCADの調整があっていなかったようです。エンジニアの木下くんと競技が終わってからも調整していたようですし」
「そう、それなら大丈夫ね」
「明日は二人とも納得するまでしてもいいでしょう」
「そうなると明日の会長のクラウド・ボールのサブエンジニアが木下くんなので誰か他の人に頼むしかありませんね」
「えーっと明日空いてるエンジニアは……!?」
「深雪さん、達也くんに伝言を頼んでもいいかしら?明日の本戦クラウド・ボールにサブエンジニアとして会場入りしてほしいって」
「わかりました、会長」
「それと彩海奈ちゃんは明日アイス・ピラーズ・ブレイクでしょう?調整とかは大丈夫なの?」
「ええ、大丈夫ですよ」
「頼むぞ。花音の鼻っ柱を折ってくれ」
「さすがに千代田先輩に勝てるかはやってみないと分かりませんが全力を尽くします」
こうしてパーティーは終わり解散した。私は部屋に戻ると端末に連絡が入っていたのに気がついた。そこには
『彩海奈ちゃん、明日は頑張ってね!私はVIP席で九島のおじいちゃんと見ているから』
と書いてあった。姉さんはともかくあの『老師』が見に来てくれるのだ。無様な姿は見せられない。
そしてもう1件来ていた。
『彩海奈様、明日の初陣頑張ってください。そして弥海砂からは『備えあれば憂いなし』だそうです。私達も現地で見ていますので、気負わずに存分に力を発揮してください』
と書いてあった。芽愛と弥海砂も来てくれている。余計に気負いそうだったが2人の言葉でスッキリできた。私は2人に返信をするとベッドに入った。今日もゆっくり寝れそうだ。
☆ここからは視点がころころ変わることがあります☆
明けて翌日私は起きると身だしなみを揃えてから朝食を食べていると後ろから
「おはよう彩海奈。昨日はちゃんと寝れたかしら?」
「おはよう深雪。ええ、ぐっすり寝れたわこれなら今日は大丈夫だと思うわ」
とぞろぞろと何時ものメンバーが集まっていた。達也、深雪、エリカ、美月、レオ君、幹比古君、雫、ほのかと一大集団が私の周りにはいた。
「それは良かったわ。彩海奈ってこういう時意外と寝れないってことがあるかもしれないと思ったから」
「何それ。まあ否定はしないけど少し緊張してたけど姉さんとかが昨日のうちにメールしてくれたからもう大丈夫よ」
「あら、お姉さんに甘やかしてもらったのね。彩海奈の意外な一面だわ」
「こういう時は何時も何か声をかけてくれるのよ。頼りになる姉で間違いないわ」
「お姉さん優しいのね、私はお兄様だけで同じ学年だから少し憧れるわ」
「私は深雪の方が羨ましいわよ。姉も兄も歳が6歳以上離れているしね。同じくらいの兄妹とか欲しかったわね」
「ふふっ、それなら今日の試合も大丈夫そうね。今日のアイス・ピラーズ・ブレイク期待してるわよ。彩海奈なら大丈夫よ」
「ええ、ありがとう。深雪もアイス・ピラーズ・ブレイク頑張ってね!それとみんな頑張るわ」
こうして私はみんなに励ましを受け、私は食堂を出ると一高の本部テントに向かいアイス・ピラーズ・ブレイクの準備を始めた。
この競技は他の競技と違いユニフォームが無いため九校戦の「ファッションショー」とも言われている。そんな私もこの競技のために芽愛さんや弥海砂さんと共に用意した。衣装はまだ秘密だけど芽愛さんと弥海砂さんが太鼓判を押してくれたので嬉しかった。
そして時は経ち遂に私の九校戦デビューの時が近づいていく。
今回はここまでですが如何でしょうか?彩海奈のデビュー戦は次の話からスタートします。
前書きにも書いた追跡編の公式のところにリーナともう1人一科生の女の子描いてあるんだけど誰なんですかね……壬生先輩っぽいけどなんか違う気がするんですよね……
今回もご読了ありがとうございます。感想、評価も良ければお願いします。また今回この話を更新するまでに誤字報告をしてくれた2人の方ありがとうございました。