姉は戦略級魔法師、その妹も戦略級魔法師!? 作:KIRAMERO
九校戦3日目。今日は男女アイス・ピラーズ・ブレイク3回戦・決勝リーグ、男女バトル・ボード予選・決勝が行われる。今日私はアイス・ピラーズ・ブレイクに出場する。そして千代田先輩と決勝リーグで全力で戦う。
私は朝目が覚めると同部屋のエイミィと朝の挨拶をしてから途中でスバルと合流して朝食を取っていた。
「ねえ彩海奈、今日は勝てる?」
「3回戦は多分勝てると思うけど、決勝リーグは分からないわ。千代田先輩から全力でって言われたから対策を考えないといけないし、もう1人誰が来るか分からないもの」
「それは大変そうだね……でも千代田先輩には悪いけど私は彩海奈が優勝するって信じてるからね!」
「ああ、僕も千代田先輩には悪いけど彩海奈が優勝するって信じてるよ」
「ありがとう2人とも。そこまで言われたら頑張るしかないわね」
「うん!頑張ってね彩海奈!」
「頑張ってくれよ彩海奈」
こうして私は朝食を食べ終え3回戦が行われるアイス・ピラーズ・ブレイクの会場の選手控え室に移動した。
選手控え室では先日芽愛さんからのメールにあった弥海砂さんの『備えあれば憂いなし』という言葉を思い返しCADのチェックを行う。CADの検査は事前に済ませてある。私は3回戦の第一試合のためスタッフに呼ばれ舞台裏に準備している。そしてアナウンスが鳴り舞台へと上がっていく。
『それでは、九校戦3日目本戦アイス・ピラーズ・ブレイク3回戦第一試合を始めたいと思います。
まずは第二高校〇〇 〇〇さん、反対側第一高校五輪 彩海奈さん』
ワアアアアアアアアア
朝早い第一試合とは思えないほどの人数の観客がこの会場に入っている。この歓声も午後の決勝リーグは更に盛り上がるだろうと思っている。でもまずは目の前の試合だ。ここを勝たない限りは決勝リーグには進めない。
ブーーーー(試合開始の合図)
試合開始の合図が鳴った。今日の私は昨日の私ではない。今までは一瞬で終わらせていたけれど今日は昨日の構成とは違う構成を用意していた。
今日私が使っている魔法は昨日とは違い短期決戦より耐久性を重視した魔法だ。昨日使った魔法は姉さんが得意としている流体制御を利用した魔法だ。氷の中をガスまみれにしてその圧力を利用して割った魔法だ。この魔法はまだ実際に使ったのは先日を含めて数を数える程しか使ったことは無かったが無事成功したことに私は安堵していた。第五研で開発された新魔法のためまだ名前は無いが今後第五研の人が決めるだろう。何故この魔法の名前がまだ名前が無いのかは使用出来る者が限られているからだ。演算能力が高く魔法力が要求されるためまだ使える人が10人もいない、そのため今回この九校戦で私が利用したことにより新たな実践データが得られたことによりさらに改良が加えられるだろう。
さて今日使っている魔法だが私が使える戦略級魔法である『壊淵』を実践用にダウングレードした魔法である『破砕』だ。これは戦略級魔法が地面を起点とするためあらゆる地面に触れている物に対して効果があるが『破砕』は物に対象を限定して破壊を行っていく。ただ対象物は個数が限定されるため必然的に耐久が要求される。
会場は昨日みたいにすぐ勝負が着くと思っていたのかざわざわ騒ぎ出した。それでも氷柱を確実に崩していくと崩していく度に会場から歓声が出る。そして自陣の氷柱を傷付けることなく勝利を掴んだ。
試合が終わると会場からは歓声が鳴り響いた。
ブーーーー(試合終了の合図)
ワアアアアアアアアア
こうして私は決勝リーグに今大会男女通じて初めての出場選手になった。まずはちゃんと決勝リーグに進めたことに安心した。だが、その安心は私が選手控え室にあるモニターを見た瞬間に何処かに飛んでいった。
渡辺先輩がバトル・ボード準決勝で"事故"に遭ったからだ。すぐさま大会のスタッフ及び救護班によって渡辺先輩と七高の選手がぶつかったようで2人ともコースを外れて場外に飛び出していた。私が一高本部に戻るとそこは色んな人が慌ただしく動いていた。そこにはエイミィやスバル、深雪、ほのか、雫がいたため声をかけてみた。
「エイミィ、スバル、深雪、ほのか、雫!渡辺先輩は大丈夫なの?」
「あ、彩海奈!渡辺先輩は「渡辺先輩はこの近くにある基地の病院に運ばれたわ。それ以降は何も無いけれどとりあえず命に別条はないそうよ」
「そう、それは良かった。それで達也はどうしたの?」
「あら、お兄様が気になるの?お兄様なら大会委員に渡辺先輩のレースのビデオを取りに行ってるわ」ニコニコ
どうやら私は知らない間に深雪の地雷を踏んでいたようだ。その言葉を聞いた途端に私と深雪を除く他のみんなが何処吹く風のような態度になっていた。私は決勝リーグが始まる前に冷や汗をだらだら流していた。
時は過ぎて午前の全競技が終了して一高は男子ピラーズブレイクに十文字先輩、女子ピラーズブレイクに私と千代田先輩、男子バトル・ボードに服部先輩、女子バトル・ボードに3年生の小早川先輩が入っていた。
ピラーズブレイクの決勝リーグに出る私はCADの調整をしていた。何の魔法を使うか決めていたところ私はある魔法を使うか悩んでいた。1回戦や2回戦で使ったまだ名もない魔法を使うかそれとも午前の3回戦で使った『壊淵』のダウングレードした『破砕』を使うか。私は意を決して使う魔法を選んだ。後は中条先輩にチェックしてもらい大会委員によるレギュレーションチェックにCADを通すだけだ。それからしばらく経ちレギュレーションチェックを通ったCADを手に持ち私は選手控え室に行き衣装に着替え大会スタッフが来るのを待っていた。
決勝リーグはまず千代田先輩と3人の中に勝ち残った四高の3年生が戦い、その次に私と四高の3年生が戦い、最後に私と千代田先輩が戦うという順番になっていた。そして今はちょうど千代田先輩と四高の3年生が戦っていた。
ブーーーー(試合終了の合図)
ワアアアアアア
どうやら試合が終わったようで千代田先輩が勝ったようだ。私も舞台裏に呼ばれそこに行く途中で千代田先輩と会ったが無言で通り過ぎって行った。私もそれを気にすることなく進んでいく。そして私の試合が始まる。
ワアアアアアアアアア
私が舞台に上がると予選とは比べ物にはならないほどの歓声だ。次の試合はもっと大きな歓声になるだろうと私は思った。そして試合開始のブザーが鳴り響いた。
ブーーーー(試合開始の合図)
パリィィィィィン
ブーーーー(試合終了の合図)
………………ワアアアアアアアアア
どうやらこの魔法を使うと一瞬の沈黙を生むようだ。それでもこの歓声は鳴り止むことは無かった。そして遂に千代田先輩との優勝決定戦が行われる。私の反対側には如何にも千代田先輩らしいラフな格好の千代田先輩が立っていた。そしてこの試合には観客席に深雪、雫、エイミィの新人戦に出る子達や達也やレオ君、幹比古君、エリカ、美月のいつものメンバーがいるという。さらにV.I.P.席には姉さん、兄さん、芽愛さん、弥海砂さん、『老師』や四葉真夜、七草弘一、三矢元などの十師族関係者、軍関係者がずらりと揃いに揃っていたそうだ(これは後日姉さんが教えてくれた)。そして私と千代田先輩の決勝戦の火蓋が切って落とされた。
ブーーーーーーー(試合開始の合図)
ピキピキピキピキピキ…パリィィィィィン
今回私は『全壊』を選んだ。まだ名もない魔法を使っても良かったのだが私は『全壊』を選んだ。理由は先輩に私の全力を出してくれと言われたのだそれなのに一撃で試合が終わるのではつまらない。なので私は『破砕』のアップグレードした魔法である『全壊』を選んだ。この魔法は正直九校戦では使う気は無かったのだが千代田先輩に言われ私も黙ってはいられないと思ったため使うことにした。この魔法を使うことによって各所がザワつくかもしれないがそれでも私は使うことを決めた。
ピキピキピキピキピキ…パリィィィィィン
ドゴォォォォォォン
私の『全壊』と千代田先輩の得意魔法である『地雷源』がお互いの氷柱を壊していく。このままではどちらが優勝するのか息を呑む展開になっていたが勝負を分けたのは発動のスピードの早さだった。
徐々にそのスピードの速さの影響が出てきたのか千代田先輩の倒される氷柱の数が多くなっていった。そして遂に最後の氷柱を倒した。
ブーーーーーーー(試合終了の合図)
ワアアアアアアアアアアア
九校戦本戦アイス・ピラーズ・ブレイクは私五輪 彩海奈が優勝した。私は嬉しかったと同時に心の中に何処か複雑な気持ちがあった。千代田先輩には申し訳ないと思いつつも今は優勝したということに嬉しさを感じていた。V.I.P.席を見てみるとそこには窓の最前列に姉さん、兄さん、芽愛さん、弥海砂さんがまるで自分が優勝したかのように拍手を送っていた。私はそれを見て観客の拍手に応じ終えると衣装を着替えずに千代田先輩の後を追って行った。千代田先輩を見つけると私は声をかけた。
「ハァ、ハァ…ち、千代田先輩!!」
「?五輪さん…」
「あ、あの私……」
「全力で戦ってくれてありがとう。私もまだまだだと思ったし十師族の直系にこれだけ戦えたっていうのはわかったから私は嬉しかったよ貴女が全力で戦ってくれて」
「千代田先輩……」
「ほら、もう優勝者がこんなところで突っ立ってないでみんなの所に行きなさい?また来年こそは貴女に勝てるように努力するからさ」
「はい、はい…それじゃあまた後で会いましょう」
「うん。じゃあねまた」
私は千代田先輩との話を終えると舞台に戻っていきまだ残っていた観客のみんなにお辞儀をしてから選手控え室に戻っていった。
私が一高本部に戻るとそこにいるみんなが拍手で出迎えてくれた。
「おめでとう〜彩海奈ちゃん」「おめでとう!」「おめでとう彩海奈!」
会長を筆頭にお祝いの言葉を掛けられる。少しこそばゆがったがそれでも嬉しい気持ちになった。会長はすぐに渡辺先輩がいるという基地の病院へ向かったが作戦参謀の市原先輩や私のエンジニアの中条先輩、バトル・ボードで惜しくも準優勝だった服部先輩が声をかけてくれた。私は一高本部にいる人たちに「ありがとうございます」と言ったらさらに大きい拍手がテント内に鳴り響いた。その後五十里先輩に声をかけられ
「ありがとうね五輪さん。花音に全力で戦ってくれて」
「いえ、千代田先輩はお変わりないですか?」
「うん。大丈夫だよ。花音はもう来年のことを考えているからね」
「そうですか……私も千代田先輩の全力で戦えて嬉しかったです。来年も負けてはいられませんとお伝えいただけませんか?」
「うん。わかったよ。それと五輪さん優勝おめでとう」
「はい。ありがとうございます」
五十里先輩は私との会話を終えると何処かへ向かった。私は一高本部に残り男子アイス・ピラーズ・ブレイクの決勝リーグの第3戦を見ていた。内容は言うまでもないが十文字先輩の圧勝だった。今日は前にも書いた通り男子バトル・ボードは服部先輩が準優勝、女子は小早川先輩が3位決定戦で勝ち3位になった。計算違いはあったものの概ね予定通りのポイントを取れていることに市原先輩は安堵していた。そして今日で本戦は一時休戦になり明日からは新人戦が始まる。今年の九校戦は身の回りで色々なことが起きているがそれでも負けられない戦いは続いていく。明日からは私達1年生が頑張る番だ。それを思いつつ今日1日を振り返って行った。
そして夜達也に『俺の部屋に来てくれ』と呼び出された。何事かと思って行くとそこには達也の他に深雪、美月、幹比古君、五十里先輩、千代田先輩がいた。どうやら達也はバトル・ボードで起きた渡辺先輩の事故のことを調べているようだった。私以外のみんなは精霊魔法が原因じゃないかという結論に至ったのだが私の意見も聞きたいらしく呼んだらしい。私も今回の渡辺先輩のレースを見る限り外部からの魔法発動による線は考えにくいとだけ話した。私は精霊魔法については何分ほとんど知識がない為あまり期待にはそえられなかったみたいだが大いに参考になったという。
そして達也の部屋から戻っている時に端末に連絡があった。送り主は姉さんでV.I.P.ルームで祝賀会をやりたいと来たのだが私はそれを断った。私は優勝してもまだ九校戦は続くしそれに渡辺先輩が事故に巻き込まれたのだ、とてもでは無いが祝賀会をしたいと思える雰囲気では無い。姉さんもそれをわかったのか不開催の報せを送ってきて九校戦終了後五輪本家又は私の家でやりましょうと連絡が来た。
私は部屋に戻るとエイミィが中にいたが直ぐにシャワーを浴びるとそのままベッドに入り眠った。余程疲れていたのか私は直ぐに寝てしまったという。
九校戦は今日で本戦が一時休戦になり明日からは新人戦が始まる。今度は私たちの番だ。3年生の先輩達が本当の勝利を得るために私達が足を引っ張ってはいけないと思いつつ今日という1日を終えていったのだった。
P.S.彩海奈の本戦アイス・ピラーズ・ブレイク祝賀会開催予定地では…
「うーん彩海奈ちゃん来てくれるかなぁ」
「どうでしょうね。今日1日彩海奈様は色々なことがあり疲れも溜まっていそうでし何より一高の先輩が事故に遭ってしまいましたから微妙なところでしょう」
ピコンッ
「あっ彩海奈ちゃんからだ!!……彩海奈ちゃん今日はやめとくって」ショボン
「お断りですか……さすがに彩海奈様も疲れが溜まっていたのでしょう。祝賀会は後日改めて行うということにしましょう」
「そうね!そうしましょう。まだ1年生でこれから新人戦もありますしね」
「ええ、九校戦はこれからも続きますし今大会は色々厄介事もありますしね……」
「それもそうね……ところでその厄介事はこれからも起きそうかしら?」
「私達の調べでは新人戦モノリス・コード、新人戦ミラージ・バット、本戦ミラージ・バット、新人戦バトル・ボードがこれから何か起こるのではないかと思っております」
「そう……なら貴女達はその競技を見ていなさい。その間は洋史に見てもらいますから」
「分かりました。でも彩海奈様が出る時は見させてもらいますよ?」
「え、ええ…」
(まさか芽愛と弥海砂がこれ程まで彩海奈の競技を見たいと言うなんて…思わぬライバルの登場かしら)
この後は九校戦のこれまでや彩海奈のアイス・ピラーズ・ブレイクの試合を見て大いに盛り上がり夜は更けていった。
☆彩海奈の本戦アイス・ピラーズ・ブレイク祝賀会開催予定地より☆
今回はここで終わりです。九校戦編は基本的に1日1話くらいのペースでやります。(作品の中での1日)
九校戦編でヨルとヤミを出すつもりですが場面的には短くなると思います。
今回もご読了ありがとうございました。次回も出来るだけ早く投稿します。感想・評価もよろしくお願いします