姉は戦略級魔法師、その妹も戦略級魔法師!?   作:KIRAMERO

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はい。横浜騒乱編がスタートです。今回は前半が彩海奈視点、後半が達也視点の構成になっています。


横浜における騒乱と十師族としての威信
新たな船出は波乱の船出?そして不穏な空気


夏休みも終わり魔法科高校も新学期が始まり1ヶ月が経とうとしていた9月の終わり、一高では生徒会長選挙及び生徒総会が行われていた。4月の一件での七草生徒会長が公表していた通り生徒会における一科生のみ入ることが出来る校則を廃止し二科生でも生徒会に入れることになった。この議論では現一科生から反発はあったものの最終的には賛成多数ということで成立した。次に生徒会長選挙だがここで問題が起きた立候補したのは中条先輩ただ1人、なのに有権者数527に対して有効投票数167、無効投票数360という本当に信任投票なのかと思える内容であった。なお、この内容により一時講堂が凍るんじゃないかという勢いだったがそれは何とか未遂に終わり、来年は絶対に彼女を生徒会長にするという暗黙の了解が1.2年生の間にひっそり芽生えた。

(無効投票内訳:深雪275、達也55、彩海奈30)

 

こんな生徒会長選挙を経て生徒会のメンバーも入れ替わり市原先輩が抜けた書記にほのか、会計の中条先輩が上がったことにより五十里先輩が入り、副会長であった服部先輩が部活連の会頭になりそこには深雪が入ることになった。新風紀委員長には渡辺先輩の推薦で千代田先輩が就くことになった。そんな中私はというと特に何か変わることは無く過ごしていた。生徒会室ではほのかに書記としての仕事を教えたりしていた。肝心の達也はというと論文コンペの代表に選ばれていた市原先輩からのオファーもあり論文コンペの代表のアシスタントとして動いていた。なおメンバーには代表の市原先輩、五十里先輩、平河先輩が入っていた。

 

そんな何気無い日常を過ごしていた私だがそんな日常はすぐに非日常に巻き込まれようとしていた。今日私の自宅にやってきた弥海砂さんからある情報がもたらされた。それは横須賀にある港に国籍不明の船が停泊していてそこを襲撃したもののもぬけの殻であり土地柄的に大亜連合軍の関係者がやってきたのではないかということだ。そしてこれは推測の域を出ないがどうやら今度横浜で行われる論文コンペの日に大規模な侵攻作戦を行うのではということだ。

 

翌日私が学校へ登校していると何か不気味な視線を感じた。いくら振り撒いたところでその視線は離れることは無かったが学校へ近づいてからはその視線は無くなった。そして昼休み生徒会室へ向かうと達也の家のホームサーバーが何者かにクラッキングを受けていたことから論文コンペメンバー及び生徒会メンバーには注意するよう呼びかけられた。そして夕方またも帰宅中に朝感じた視線に悩まされていた。

 

「……誰?」

 

「おや?僕の隠形に気づくとは…さすがは十師族五輪家の娘といったところかな?」

 

「貴方は……「今果心」九重八雲さんですか?」

 

「おや、僕のことを知っていたのか。それは失敬、改めて九重八雲だ」

 

「それで私になにか御用でしょうか?」

 

「用かと言われたら微妙なところだけど少し君のことが気になってね。今まで五輪家に次女がいるということは世間には知られていなかった。僕もかなりの情報通ではあるけど知らなかった。だからこそ気になるんだ」

 

「その事でしたか……それでどうですか私という人は?」

「いやはや、興味深いね。君が五輪家の御息女ということもあって見たことない魔法にCAD何もかも興味深い」

 

「そうですか……「今果心」と言われる御方にそこまで評価して下さっているとは」

 

「そこまてじゃないよ。ところで最近弥海砂君からある情報を嗅ぎつけたようだね」

 

「弥海砂さんを知っているんですか?」

 

「あぁ、一時的に彼女は僕の寺で修行していたからね。だからこそ今の技術があるということだよ」

 

「そうでしたか……」

 

「気にすることは無い。ただ方位にだけは気を付けなさいとだけ言っておくよ」

 

「消えた……」

 

こうして「果心居士」の再来と言われる「今果心」九重八雲は街並みの暗闇へと消えていった。この話を家に帰り弥海砂さんに聞いてみると弥海砂さんの方でも調べてくれるそうだ。方位ということは認識阻害系の魔法なのだろうか今度愛彩に調べてもらおうと思いながら私は寝た。

 

翌日から論文コンペに向けて各メンバー、護衛等一高全体で論文コンペに向けて準備を進めている。私はというと生徒会室でお留守番だ。中条先輩は護衛や警備隊を務める方達への軽食の用意、五十里先輩はメンバーとしての準備、深雪、ほのかは風紀委員の一部メンバーと共に校庭での作業の警戒というふうになったため私は生徒会室でお留守番になった。ただこうして1人になれるのは案外ラッキーかもしれない。先日出会った九重八雲さんの言葉を思い出す。「方位に気を付けなさい」、正直最初言われた時は分からなかったが弥海砂さんが言っていたもしかしたら大亜連合が攻めて来たとしたら古式の魔法で方角を狂わす魔法があるのかもしれないと思い私は愛彩と九島閣下にこれらに関して分かる範囲で教えて欲しいと聞いたところ思い当たるものがあるということだ。

愛彩は古式に関しては分からないという回答であったが九島閣下からはおそらく「奇門遁甲」という魔法じゃないかということでとにかく「方角に気を付けなさい」ということなのでこれで確定した。私は早速弥海砂さんにこのことを伝えると分かったと返ってきた。

 

同日夕方にある事件が起こる。私はこのことは聞かされただけでそれ以上は何もわからないが「ジロー・マーシャル」という非合法工作員との接触で東側に知識が渡らないようにという言葉を聞いた時に思った……またかと、そしてその非合法工作員は後に焼死体となって発見されたらしい。おそらく大亜連合軍の作戦部隊が動いたのだろうと思い達也と深雪から大亜連合という言葉は無かったもののそちらも注意してくれと言われその日は過ぎていった。

 

次の日も次々と事件は起きていく。ロボ研のガレージからの警報音による産学スパイの未遂事件、一高生徒によるある意味での反逆未遂事件。論文コンペへ向けた準備だけでも手一杯なのにこうも事件が起こってはそれどころでは無くなる。私も生徒会室から風紀委員会本部への連絡や職員室への報告などお留守番としての仕事を十分以上に働いていた。

 

そして遂に大亜連合軍の作戦が本格化してくる。昨日の産学スパイ容疑の一件で八王子にある収監所に収監されていた第一高校3年で元風紀委員でも関本 勲の事情聴取に七草先輩、渡辺先輩そして達也の3人が訪れその聴取中に侵入者を知らせるサイレンが鳴り響いた。何事かと廊下に出てみるとそこには巨体の男が立っていたそうだ。その名前は「呂剛虎」。大亜連合軍特殊作戦部隊の1人で「人喰い虎」の異名を持つ近接戦闘に関しては世界で十指の1人に数えられる文字通りの化け物級の魔法師である。そんな魔法師に対して渡辺先輩が前に立つもその差は埋められず七草先輩に近づいていくがその前に達也が立ち塞がり「術式解体」で彼が身に纏っていた「鋼気功」を無効化し七草先輩の「ドライ・ブリザード」で呂剛虎の動きを封じ彼を捕えこの日はその後の事情聴取で解散したという。ここまで来たら隠す気は無いのか論文コンペ当日は確実に何かを起こす気であるということがバレバレである。

 

そして迎えた論文コンペ前日の夜私と芽愛さんと弥海砂さんは私の自宅で明日起こるかもしれないということを前提にそれぞれが準備をしていた。

 

「さてと、明日ですが…お2人はどうなさるのですか?」

 

「私達は昨日愛彩様よりあのCADを受け取ってまいりましたのでそれを魔法協会支部に運び、終わった後は会場にて発表を見る予定になっています」

 

「あのCADをこちらに持ってくるほどですか……わかりました何かあれば合流出来るように会場の中にあるV.I.P.会議室に移動しましょう。そこならある程度軍の動きや侵攻軍の動きが分かりますから」

 

「わかりました。五輪家であそこの会議室を使えるように取り計らってもらえるように掛け合ってみます」

 

「お願いします。それでは明日はこのようにしましょう。軍の動きが読めませんが芽愛さんと弥海砂さんの他にいる皆さんにもこのことは知らせておいてください」

 

「わかりました。他の皆さん方には論文コンペ会場付近での警戒にあたらせます。何かあったら魔法協会へということでよろしいでしょうか?」

 

「ええ、ではお願いします」

 

こうして私達の論文コンペ当日の動きは決まった。軍の動きが一番分からないが何とかなるだろうと思い寝ようとした時電話の音が鳴り響いた。

 

「もしもし」

 

『あぁ、まだ起きててよかった。この前言われたことだが方角に気を付けろということを聞いたって弥海砂さんから聞いたから調べてみたらおそらくこれだろうという魔法を見つけた』

 

「それで?」

 

『魔法の名前は「鬼門遁甲」。この魔法は精神干渉系魔法の1つで人々を術者の望む方向へ導くことが出来るそうだ。この魔法の本質は、分岐点において特定の方角に意識を向けさせる、あるいは向けさせないことにあるからこそそう言われてるんだろうな。これで大亜連合だということがわかったな』

 

「なるほど……ありがとう愛彩。また今度正月に会えることを楽しみにしてるわ」

 

『大したことじゃない。だが彩海奈死ぬなよ?まだお前にはしてもらうことがたくさんあるんだからな』

 

「はいはい、分かったわよ。論文コンペが終わったらまた頑張るから」

 

『うん!じゃあ芽愛さんと弥海砂さんによろしくね!』

 

「じゃあ、またね」

 

こうして九重八雲が言っていたことのおおよそが分かった。後は実際にそうならないようにするだけなのだが生憎私には精神干渉系魔法の適正はない。だからどうしようかと思いながら明日に備えてゆっくりねむりについた。

 

 

ーーーーー

 

☆達也視点☆

 

明日は遂に論文コンペだ。これまでの事や「人喰い虎」呂剛虎、FLTに来た謎のハッカーの全てを持っても俺が持っている勾玉型の聖遺物狙いであろうことがわかる。そしてそれを欲している国が大亜連合ということも。おそらく明日は何時くらいか分からないが横浜に攻めてくるのは間違いないだろう。おそらくちょうどこっちに来ている独立魔装大隊もこれを見越しての招集なのだろう。以前土浦にある独立魔装大隊本部を訪れた時に渡した戦闘服でも出来たのだろうか。何はともあれ何かが起きるはずだ。

 

そして最も分からない動きをするのが深雪と共に一高一年女子のダブルエースの一角の五輪 彩海奈の実家である五輪家だ。彼女は夏に行われた九校戦で本戦で優勝を飾っている、そして何よりも彼女が使っている魔法、CAD共に今まで見たことが無いものだった。魔法はともかくCADに関してはこれでも色んなものに触れていて大凡は知っていると思っていたが今まで見たことも無いものだ、ただあのCAD俺のCADの「シルバー・ホーン・トライデント"カスタム"」と性能面で同じように見えた。この俺のCADは俺専用に作っていて他には無いはずなのだが似た物を作れるというのは五輪家もしくは第五研にこの俺と同等の技術持った技術者がいるのだろう。一体どんな奴か見てみたいものだ。

 

そしてそれ以上に気になるのが彼女の魔法技術だ。深雪は四葉の直系のため魔法力は普通とは言えないほどに高い。深雪は「誓約」の枷を嵌めている状態で入試における能力は全力では無かったにも関わらず深雪は実技で1位で彼女は2位だった。そして九校戦彼女は本戦アイス・ピラーズ・ブレイク、新人戦女子バトル・ボードに出場しどちらも優勝そしてどちらも優勝しアイス・ピラーズ・ブレイクでは圧倒的、バトル・ボードでは九校戦の新人戦レコードを更新するほどでさらに見たことも無い魔法を使っていたという点から考えても魔法力は深雪に匹敵或いはそれ以上という可能性もある、それこそ俺の同じような扱いかもしれない。さて話が脱線していたが五輪家の動きに関しては本当に読めない。レオの話によると2人の女性が此方にいるというのは分かっているがそれ以上のことは分かっていない。それゆえに一体どれくらいの規模でこちらにやってきてるのかが分からない以上下手に動けない。娘が本家から遠く離れて東京で生活しているのだ、東京に五輪家と懇意にしている名だたる魔法師の1人や2人がこちらに来ていてもおかしくはないと思っている。そして彼女も相当実戦慣れしているようでこれもレオから聞いた話ではあるが彼女のブランシュの構成員に対する戦闘は相当手練していると言えるそうだ。

 

コンコン「お兄様、まだ寝られないのですか?」

 

「あぁ、もう少ししたら寝るよ」

 

「明日なのですが…お兄様は…その…」

 

「あぁ、おそらく…行かなければならないだろうな」

 

「……そう…ですか…」

 

「深雪、お前は心配することは無い。それにお前の周りには雫やほのか、エリカ、幹比古そしてなんと言っても彩海奈がいるんだ。この前みたいなことにはならないだろう。それはお前が分かっているはずだ」

 

「それはそうなのですが…深雪はお兄様が心配なのです…」

 

「……俺はお前を残してお前の前からいなくなったりはしないよ…だから明日はお前も気をつけてくれ」

 

「はい……では私はこれでおやすみなさい」

 

「あぁ、おやすみ。それで何時までそこにいるつもりですか?」

 

「あら、気付いてたの」

 

「深雪が入ってきた時には既に中にいたのは気付いてたよ」

 

「そう……それでまた何か考え事をしていたわね」

 

「あぁ、明日だけどやっぱり来るみたいですから。それのことと」

 

「彩海奈ちゃんのこと?」

 

「……なんで分かるんですか」

 

「貴方が考えることくらい母親ならわかるわよ。彩海奈ちゃんのことは本家に任せておきなさい。まだ貴方が考えることでは無いわ、これは十師族としてのことで貴方達は世間的には違うのだから。……それにしても真夜ったら……」

 

「…………」

 

こうして達也と深夜の親子の会話は日付けを跨ぎ午前3時まで続けられ深夜が眠ってしまったところで穂波を呼び今日は寝ることにした。

 

 

 

遂に訪れる論文コンペ当日。この論文コンペ本番にたどりつくまでに色んなことが起こり、一高としてはまた九校戦みたいなことが……ということで不安になっているものの論文コンペということで一高のプレゼンさらには他校のプレゼンが気になっていた。そしてまだ大亜連合軍だけしか知らないが当日こんなことになるとは知らないまま論文コンペ前日は過ぎていった。それが魔法師にとっての歴史的な日になることは誰にもわからぬままその歴史的な日を迎えるのであった。




如何でしたでしょうか?CADの設定集の後書きに書いた通りになってしまいました←

書いてて思ったのは横浜騒乱編って開始から当日までに書いてることと当日から集結までに書かれていることの内容多すぎて自分執筆スピードが遅いですから書いてるとあっという間に春をすぎて梅雨になってそうな気がしたので過程部分をごっそり削ぎ落としました←
(作者は梅雨の時期とかジメジメしていると体調優れないとかよくあるので……)

次回は多分論文コンペ開幕から最初の爆発までだと思います。そして次話からは何処から何処という風に区切りながら投稿していくので文字数は今回の話とかと比べて少なくなることをご報告させていただきます(予定変更有り)

今回もご読了ありがとうございました。感想、評価、お気に入り登録よろしくお願いします。誤字脱字もありましたらご報告してください
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