姉は戦略級魔法師、その妹も戦略級魔法師!?   作:KIRAMERO

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はい。ということで来訪者編の最新話になります。遂に今日発売ですね!これを公開している頃には手にされている方もいると思いますが自分は諸事情により明日になってしまうのがもどかしいです


幕間の物語

☆弥海砂side☆

 

私と姉さんは彩海奈様を見失ってから色んなところを探していた。これまでの吸血鬼騒動の際に行方を見失う事など決して無かった。見失った後すぐに水無月の捜索隊の人達にもお願いして彩海奈様の捜索をしていたかれこれ30分は経とうとしていた時に私の端末に連絡が入った。どうやらメッセージのようで宛先は私と姉さんで送り主は彩海奈様だった。文章は何も無くただ位置情報だけが記載されていた。私は後のことなど何も考えずにただその場所に向かった。数分後私は位置情報を元にその場所へ行くと彩海奈様は今にも倒れそうな様子だった。私が近くに行くと崩れ落ちるかのように私に寄りかかってきた。とりあえず息はしているので大事に至っていなくて何より安心した。そこに姉さんがやってきた。

 

「弥海砂!彩海奈様は?」

 

「大丈夫、気を失って今は寝ているわ。それにしてもここまで疲弊しているなんて……」

 

「とにかく一旦彩海奈様の自宅に行きましょう。後はそこで考えましょう」

 

私と姉さんは彩海奈様を抱えて自宅へと戻っていった。途中水無月の捜索隊の人達にも無事に発見したことを伝え戻った。

 

「それにしても一体何処の組織が彩海奈様を……」

 

「確かに……四葉以外の十師族が彩海奈様を狙おうとしても後れを取ることは有り得ないだろうし、パラサイトだとしてもあんなに疲弊することは今までも無かった。ということから考えられるのはスターズ……」

 

「でもスターズといっても彩海奈様が後れを取るってことはないと思うけど……そういえば1人いたわね、今この日本に」

 

「USNAの国家公認戦略級魔法師でスターズの総隊長アンジー・シリウス……まさかアンジー・シリウスと遭遇したと?」

 

「有り得なくない話ね……彩海奈様が後れを取るとしたら私が知る限り、司波 深雪、司波 達也、七草 真由美、十文字 克人、一条 将輝、アンジェリーナ・クドウ・シールズそして今この日本にいるかもしれないアンジー・シリウスくらいだもの」

 

「そうね……兎に角彩海奈様は1.2日は強制的に休みにさせましょう。水無月家の捜索隊の方々には申し訳ないけれど付きっきりでいないと何をするか分からないからね」

 

「そうね……後で御当主様に連絡する時に伝えるわ」

 

弥海砂はそう言うと彩海奈の寝室からリビングに移動し、彩海奈の父で五輪家当主五輪 勇海に電話をかけた。

 

「夜分遅くに失礼します。御当主様」

 

『弥海砂がこの時間にかけてくるとはね…それも彩海奈の自宅から…何かあったのかい?』

 

「今夜、彩海奈様がアンジー・シリウスと思われる人と対峙しました。私達はその現場を見てはいないので絶対とは言えませんがおそらくそう見て問題無いと思います」

 

『……アンジー・シリウスが?わかった、此方でも少し調べてみることにしよう。あと紗綺さんにはこちらから連絡しておこう』

 

「ありがとうございます」

 

『彩海奈のこと頼んだよ?五輪として動けない中で彩海奈を助けられるのは東京にいる君達だけだからね』

 

「もちろんです。彩海奈様なのですが私達が見る限り明日は休ませたいのですが……」

 

『そうか、わかった。彩海奈に明日はゆっくり休みなさいって伝えといてくれないかな?じゃあよろしく頼むよ』

 

「お任せ下さい、御当主様」

 

電話を切ると私は再び彩海奈様の部屋に戻った。まだ彩海奈様は起きていなかったが私は芽愛姉さんに先程のことを伝えると彩海奈様が意識を戻すのを2人で待っていた。

 

☆弥海砂side終了☆

 

☆五輪 勇海side☆

 

弥海砂から電話を貰った時は私は少しの後悔と驚愕を覚えた。

まず後悔なのは彩海奈に五輪としてのバックアップを行えなかったことだ。何故五輪家が今回バックアップを行わなかったのかそれは水無瀬家が彩海奈のバックアップをするという連絡が1月6日の時点で来ていたためだ。水無瀬が何処まで介入してくるかは不透明だったが、吸血鬼は古式魔法においての妖魔の退治という宿命を背負っているとまだ次期当主と決まった時に老師から聞いた覚えがあったため五輪としてはバックアップを行わなかったのが理由だ。

次に驚愕なのは芽愛と弥海砂が彩海奈を見失うということもそうだが、彩海奈が誰かに後れを取ったかもしれないという事だった。今まで彩海奈が後れを取るということはほぼなく今回もUSNAから留学生やスターズが来ていると知っていても彩海奈が後れを取ることは無いと思っていた。ただ私も予想外の人物がやってきていた。スターズ総隊長にして国家公認戦略級魔法師、詳細は愛称とコードネーム・未成年ということだけがUSNAから公表されているだけで戦略級魔法「ヘビィ・メタル・バースト」の術者であるアンジー・シリウス。彼?彼女?が来ているということはおそらくUSNA軍内における極秘任務か何かはしらないがUSNAの切り札とも言える国家公認戦略級魔法師を他国に送り出す程の脅威がこの日本で起こっているかもしれない。そんなことを思いながら私は翌朝、ある家に電話をかけた。

 

「もしもし、三矢殿。今大丈夫ですか?」

 

☆五輪 勇海side終了☆

 

 

☆アンジー・シリウス(アンジェリーナ・クドウ・シールズ)side☆

 

昨年の10月31日通称「灼熱のハロウィン」、朝鮮半島における戦略級魔法(仮)「グレートボム(仮)」の術者と思わしき人物の1人である十師族・五輪家の次女である五輪 彩海奈を追って私を含めたスターズの潜入部隊は彼女が1人になる日を探っていた。そしてそれは日本に来てから1ヶ月が経つか経たないかした日にようやく決行する日が訪れた。彼女が1人になるのは極稀であり、周りには彼女の護衛らしき人や第一高校の友人等が常にいて、容易に手が出せない状況が続いていた。

しかし、夜は偶に1人で出歩くことがありその日に限っては彼女の護衛もそばにいる訳では無いが見守っているという状況が続いたため、決行に至った。結果的には彼女自身があの時の戦略級魔法師では無いと言っていたが、私的にもそう思った。彼女が使う魔法はUSNA軍の研究者が仮定した魔法とはあまり似ていない、そう思った。それでも彼女は私やベン、達也、深雪と同レベル…いやもしくは数段上の実力を持っているかのように思えた。

 

☆アンジー・シリウス(アンジェリーナ・クドウ・シールズ)side終了☆

 

彩海奈は夢を見ていた。それは初めて姉と兄と会った時。彩海奈はまだ目の前にいる2人が誰だか分からないし、言葉も十分に話せないのでうーうーと叫んでいると彼女の母親である真唯が近くに駆け寄ってきた。まだ産まれてから2ヶ月ということもあり、まだベビーベッドでぐずついていた彩海奈を真唯は抱き抱えるとあやしていった。その後澪と洋史お互いに自己紹介すると真唯から澪に彩海奈を渡されると澪は彩海奈を抱き抱え、可愛い妹の顔をまじまじと見ていた。その後洋史と共にまなでていると彩海奈はいつの間にか寝てしまい、再び真唯のもとにかえり、ベビーベッドに寝かされた。澪はまだ彩海奈の元にいたいと思っていたが真唯によって自分の部屋へと帰されていったのは洋史しか当事者以外は知らない墓場まで持っていくしかない秘密だ。その後彩海奈も大きくなり、姉の澪も大きくなるのだがそれと比例するかのように体調も段々と弱くなっていきそんな姉を見ていると彩海奈は何処か悲しげな顔をしていた。姉のそんな姿を見ているのを妹としては心苦しく思っていた。そこで彩海奈は目を覚ました。

 

彩海奈が起きると周りは明るく、自宅の自室にあるベッドに横にされていたのが現状でわかった。確か弥海砂さんが私のところに来てからそれからの記憶が無いことを思い出した時にずっと傍にいてくれたのか芽愛さんの姿が私には写った。

 

「起きられましたか。とにかく無事で何よりです、彩海奈様」

 

「芽愛さん……あの…昨夜のことは」

 

「昨夜のことは御当主様からはゆっくり休みなさいということでした。それと今日はもう学校にはお休みの連絡をしました」

 

「……わかりました。芽愛さんがそう言うなら今日はそういうことにしといてあげます」

 

「はい。それではもう少しお休みくださいませ」

 

そう言うと私は再び眠りの底へと落ちていった。

 

☆五輪 勇海side☆

彩海奈が目を覚ます数時間前五輪家の当主五輪 勇海は三矢家の当主三矢 元に連絡していた。

 

「もしもし、三矢殿。今大丈夫ですか?」

 

『五輪殿、如何なされましたかな?』

 

「今現在東京で起こっている件について少し相談がありまして」

 

『……それは七草家と十文字家にお聞きになればよろしいかと思いますが何故当家に?』

 

「この件にどうやらUSNAのスターズが絡んでいるみたいですので三矢殿に是非力を貸してくれないかと思いまして」

 

『五輪殿が仰ることは分かりますが何故五輪殿がUSNAそれもスターズの情報を必要とされるのでしょう?』

 

「実は昨夜、今東京に住んでいる娘の彩海奈がスターズと対峙しまして私個人としては彩海奈をバックアップしていまして出来る限りのことはしてあげたいと思いましてな」

 

『彩海奈嬢が……わかりました、USNAのことについて我々も少し調べていましてな。あと数日でその情報が出来るのでそれからでも大丈夫ですかな?』

 

「ええ、もちろんです。それではお願いします、三矢殿」

 

『承りました、五輪殿』

 

五輪 勇海が電話を切ると同時に部屋に真唯が入ってきた。

 

「ねぇ、彩海奈がスターズに巻き込まれたって聞こえたんだけど大丈夫なの?」

 

「あぁ、芽愛曰く1日付きっきりで看病してれば良くなるらしいからな」

 

「そう……なら大丈夫そうね」

 

「あぁ、芽愛と弥海砂には感謝しないとな」

 

「……さっき愛彩さんから連絡があったわ。あの『例の魔法』が完成したそうよ」

 

「何?それでその術式はどうした?」

 

「まだ彩海奈のところには送ってないそうよ。要求演算力が足りなすぎて試技が出来てないところが不安な点ね。そこは彩海奈がやるしか無いんだけど」

 

「そうか……だが、それは彩海奈の体調を考えてからだ。芽愛と弥海砂のことだ。まだ彩海奈を動かしはしないだろうから」

 

「そうね……」

 

そう言うと真唯は部屋を出ていきおそらく自室へと戻っていた。勇海はこれから生じるであろうリスクとリターンについて考えていた。これから生じるリスクとして考えられるのはUSNAもといスターズの疑惑の増加だ。彩海奈がもしまたスターズの目の前であの魔法を使ったらおそらく今回の対峙で疑惑が晴れたのにまた再燃するのは必至だ。それに彩海奈、弥海砂によればあの九校戦で我々十師族の間でも話題に上り、彩海奈でさえ魔法力では負けうる可能性があると思われている司波 達也という少年は何か視覚魔法を有している可能性があると報告してくれている。確かに視覚魔法は珍しいが何も無いわけではない。しかし、弥海砂によるともしかしたらイデアを視ることが出来るかもしれないとも報告してくれている。これだけでもハイリスクを通り越す程のリスクが生じる可能性がある。リターンとしてあるとしたら司波 達也があの戦略級魔法師で『分解』の使い手であることが分かるかもしれないということ、スターズ総隊長アンジー・シリウスの先代スターズ前総隊長ウィリアム・シリウス少佐が発明した「分子間結合分割術式」その基幹となるものが分かるかもしれないということだけだ。あまりにもリスクとリターンの均衡がとれていない。それだけに今はまだ「例の魔法」を彩海奈に提供するわけにはいかない。よほどのことがない限りこれだけのハイリスクがある中で彩海奈を疑惑の目に晒すわけにはいかない。そう結論付けた勇海は五輪家の魔法研究所の副施設長宛に

 

「霧島 愛彩を中心に完成させた「例の魔法」を施設長の許可なく外部に流出させることを禁ずる。例えそれが真唯、澪、彩海奈であろうとデータを渡すことを禁ずる」

 

という命令を出した。





如何でしたでしょうか?遂にあの新年会の時の魔法が完成しました。詳細に関しては次の話で凡そのことを書く予定ですのでしばらくお待ちください。今回の話は彩海奈が出てくるシーンがほんの数行くらいだったので次回は多くしたいです←

今回もご読了ありがとうございました。感想、評価、お気に入り登録よろしくお願いします。

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