姉は戦略級魔法師、その妹も戦略級魔法師!?   作:KIRAMERO

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ダブルセブン編最終話です。前話でも話したように達也が小石和村 真紀の家を襲撃するところは丸々カットするのでその分の補填としてるのがこの話の題名にもある世界のリーダーのところになります。


実験、世界のリーダー、四葉と七草

 

その日の放課後、「出来た」という報告を愛彩から受け取っていた私は授業が終わるとレナーテと共に調整ルームへと向かい、愛彩と合流すると「恒星炉」実験を行う実験棟にある部屋へと向かった。そこには今回の提案者である達也を筆頭に深雪、ほのかをはじめとした参加者と共に今回の実験に協力してくれている廿楽先生と魔工科のジェニファー・スミス教諭に実験協力生徒の十三束君や美月をはじめとした魔工科の生徒がそこにはいた。

 

愛彩は達也に完成した術式が入ったデータファイルを渡すと達也が深雪、ほのか、五十里先輩、七草の双子に渡した。そこから私と愛彩、レナーテの3人は今回の『恒星炉』実験のお手伝いをしながら過ごしていった。前日には全体の通しのリハーサルが行われ無事に終わったことに私と愛彩はとてもホッとした。レナーテもレナーテで実験の準備にお手伝いとして来ていたクラスメイトの人達と楽しそうに話していた。

 

その日の夜自宅でゆっくりしていた彩海奈に不意に電話がかかってきた。相手は父親である五輪 勇海だった。

 

「どうしたの?こんな夜更けに」

 

『ああ、先程ドイツ大使館から連絡がありレナーテさんと1度面会したいという申し出があった。相手はドイツ連邦大統領ユリアン・へーネス氏で母さんにも同行願いたいとのことだったが母さんはお前も知っての通り少しばかり体調を崩してるから代わりに行ってくれないか?我々としてもこれには応じざるを得ないと判断した。この事は既に水無瀬家にも承認済みで彩海奈には明日ドイツ大使館にレナーテさんと共に行ってくれないか?』

 

「それはもう確定事項なの?」

 

『ああ、ドイツ大使館にも同様の回答を送っている。突然で済まないが行ってくれないか?』

 

「分かった。ただ明日は民権党の神田議員が一高に来る日でこれには私だけに関わらず愛彩も絡んでるの。そこどうするの?」

 

『面会時間は18時だ。くれぐれも粗相のないようにな。それと今回大統領は非公式に日本を訪れる予定だ。そこら辺も合わせて頼む』

 

「分かった」

 

『本当に済まない。本来ならば母さんをそちらに派遣するべきなのだが……』

 

「仕方ないよ。お母さんにゆっくり休んでって伝えて」

 

『分かった。それじゃあよろしく頼んだぞ』

 

彩海奈は通信を切るとそのまま近くにあったソファへ寝転ぶように横になった。彩海奈は明日会うことになったドイツ連邦の大統領のことについて考えていた。ドイツ連邦大統領ユリアン・へーネス氏74歳。彼は政治家に多い反魔法主義ではなく魔法師擁護派でそれを世界に向けて発信している世界で唯一の国のリーダーである。当然彩海奈もその存在は知っていたが人となりまでは知らない。ただ知っていることは彼は決して魔法師では無いが魔法技能を有する者有さない者の差別をせずにここまでドイツ連邦大統領の座を約30年以上維持してきた世界的に有名な首脳の1人だ。そんな人が自分の国の国家公認戦略級魔法師の妹さらには極東の国家公認戦略級魔法師の妹に同行を願い会うとは一体なんの用件だろうか。

 

翌日、レナーテ、愛彩と共に学校に行くと皆が浮き足立っていた。やはり今日の『恒星炉』実験というのは魔法科高校生にとってはやはり重大な出来事なのだろうか?以前この事を愛彩に言ってみたらものすごい剣幕で言い寄られたためこの話題について私はもう話をするのは辞めようと心に誓った。結果的にこの神田議員のためだけでは無いが行った『恒星炉』実験は成功に終わった。魔法の軍事目的以外での使用というのは神田議員にとっても予想外であったのか苦し紛れのような顔をして一高から帰っていった。私とレナーテそして愛彩は片付け等が終わると急いで自宅へと帰った。今日だけは生徒会も家の用事ということで休んだ。自宅に着いた私達3人は急いで要人と会ってもおかしくない格好に着替え港区にある駐日ドイツ大使館へと向かった。

 

17時50分に大使館前に着くと大使館前にいた警備員に今朝速達で送られてきた大使館入構許可証を提示すると慌てた様子で何処かに連絡をするとここで待っていてくれということなので私達は待っていると大使館の中から1人の女性がやってきた。

 

「Treffen Sie sich heute Abend mit dem Präsidenten?(貴女方が今夜大統領と面会される方ですか?)」

 

「Ja, das stimmt(ええ、そうです)」

 

「Bitte geh hierher(では、こちらへどうぞ)」

 

レナーテが応答すると私達はそれについていきドイツ大使館の中に入っていく。中は北欧風の家具が並べてある部屋だったり駐日している人達のための場所だったり色んな部屋があった。目的の部屋へと着いたのか私達はある一室へと通された。

 

「Dann rufen wir Sie an, wenn der Präsident bereit ist.(それでは、大統領のご用意が出来ましたらお呼び致しますので今しばらくお待ちください)」

 

「彩海奈ってば緊張しっぱなし……」

 

「仕方ないでしょ…外国の大使館なんて入れることなんて無いし周りにいる人私と愛彩以外は全員ドイツ連邦の外交官ばかりなんだよ?」

 

「それは…そうね……」

 

「はぁ……」

 

「Danke fürs Warten. Bitte geh hierher(お待たせしました、こちらへどうぞ)」

 

先程の女性に案内され私とレナーテ、愛彩は駐日ドイツ大使の執務室へ通された。そこにはドイツ連邦共和国大統領ユリアン・へーネスが護衛と共にそこにはいた。

 

「Schön, Sie kennenzulernen, ich bin Renate Alberta, die Schwester von Nafina Alberta, der staatlich anerkannten Strategiemagierin der Bundesrepublik Deutschland. Das ist Amina Itsuwa, die mein Leben in Japan unterstützt. Und das Mädchen neben ihr ist Ai Kirishima, Ai Umi(初めまして、私はドイツ連邦共和国の国家公認戦略級魔法師ナフィーナ・アルベルタの妹のレナーテ・アルベルタと言います。こちらは私の日本での生活をサポートしてくださる五輪 彩海奈さんです。そして隣にいる彼女は彩海奈さんの付き人の霧島 愛彩さんです)」

 

「Schön, Sie kennenzulernen, Julian Henes, Präsident der Bundesrepublik Deutschland. Willkommen heute Abend. Zunächst einmal vielen Dank, dass Sie Herrn Renate, die Schwester des staatlich anerkannten Magiers der strategischen Klasse in Bundesrepublik Deutschland, angenommen haben.(こちらこそ、初めましてドイツ連邦共和国大統領のユリアン・へーネスです。今宵はようこそおいでくださいました。最初に彩海奈さん我が国の国家公認戦略級魔法師の妹であるレナーテさんのことを引き受けてくれてありがとう。)」

 

「私の事引き受けてくれてありがとうだって」

 

「こ、こちらこそ」

 

「どうぞ、おかけになってください。彩海奈さん、先程も言いましたがまずは我が国の国民であった人を受け入れてくださったことに感謝の意を評したいと思います。まだ高校生である彩海奈さんにこの質問をするのはどうかと思いますが今現在魔法師は世間からどう思われていますか?」

 

「……今現在のことですか?そうですね最近は少し落ち着いてきたとはいえ反魔法師運動は活発化していく一方です。魔法師の存在は今や国防に関しては欠かせないものになりつつあります。ですが日常生活においては世間から見ても一般市民であることに変わりはありません。それを認識出来ていないということですか?それとこれは私の願望というかこれからこうなればいいと思うのですが今現在魔法師には軍事目的にしか活用されないということが続いてます。そこで私は魔法師を生活システムに組み込んで軍事目的以外での活用法を生み出したいと思っています」

 

「ふむ…なるほど。それでは愛彩さんはどう思いますか?」

 

「私ですか?そうですね彩海奈と意見は同じです。ですが私は彩海奈みたいなことまでは考えられません。私は魔法師ではありますが彩海奈やレナーテさんみたいに強力なものを持っている訳ではありません。もし仮に私が2人を知らなかったとしたら強い力を持つ魔法師に対しては畏怖を覚えていたかもしれません」

 

「なるほど……2人の言いたいことは分かりました。私も今現在の魔法師の境遇は世間から見ても政府から見ても不十分なところはあります。それに今の軍事システムに魔法師は必要不可欠になっています。私は魔法師ではありませんが彩海奈さんが言ったように魔法師が軍事目的以外での活路を見出すという考えには同調します。もし、達成すれば魔法師が生活に不可欠のものになり魔法師に対する考えそのものが変わるかもしれませんから。愛彩さんが仰ったように強い力を持つ魔法師に畏怖を覚えるのもわからない話ではありません。ですが今の世界では抑止力という名目でも戦略級魔法師というのは必要不可欠な存在です。我が国でも2人の国家公認戦略級魔法師を有していますが東には新ソ連、西にはイギリス、南にはフランスと大国に挟まれています。そういう点においては日本も新ソ連、大亜連合、USNAに板挟みにされていますから」

 

「……大統領は何故このタイミングで私達に会ってくれたのですか?」

 

「1つは先程言った通りレナーテさんを引き受けてくれたことへの感謝ともう1つは日本に対する国際世論の関心です。昨年の「灼熱のハロウィン」はドイツでも大々的に報道されましたし私が直接来た方が日本政府ひいては先月お越しになられた水無瀬家に対する何らかのアクションになると思ったからです」

 

「……それを私達に話してもいいんですか?」

 

「貴女達ととても実のある話が出来たお礼です」

 

「分かりました」

 

「Präsident, ich bin eine Zeit(大統領、そろそろお時間です)」

 

「おお、もうそんなに経ってしまったか。今日は本当にありがとう。会えて嬉しかったよ」

 

「私達も大統領に会えて嬉しかったです。また何時か会えればお会いしましょう」

 

そう言うと私達は大統領の秘書なのだろう人と共に駐日大使の執務室を出て今は大使館の外へ出て、帰りのキャビネットに乗ろうとしていたところで私はある視線を感じた。

 

「ねえ、彩海奈何か視線感じない?」

 

「そうね、多分国防軍の情報部といったところかしらね」

 

「情報部ってどんなところなの?」

 

「私は知らないわよ。そもそも国防軍の組織図なんて知らないし」

 

「彩海奈のお姉さんって一応とはいえ国防軍の軍事システムの中に組み込まれてるんでしょ?」

 

「さぁ、どうかしらね。姉さんのことについては何も知らないもの」

 

話しているとキャビネットが来てそれに乗り込み私達は私の自宅へと戻っていった。愛彩は今週末までは此方に滞在し私とレナーテが京都へ送りその後は芽愛さんと弥海砂さんに引き継ぐらしい。

 

その日の夜遅く四葉家当主四葉 真夜は彼女の執事である葉山から達也が行ったことについての報告と四葉家の分家である黒羽家に命じていた五輪 彩海奈に関する調査の報告を受けていた。

 

「奥様、1つお耳に入れておきたい情報が」

 

「何かしら」

 

「先程、貢様から緊急を知らせる程の連絡があり時間にして日本時間午前10時にドイツ連邦共和国のユリアン・へーネス大統領が非公式に日本に来日されたそうです」

 

「ユリアン・へーネスが?」

 

「左様でございます。その後在ドイツ大使館に移動された後約12時間後に東京湾上国際空港から出国なされています」

 

「それで?一国の大統領が非公式に来たくらいで何故私のところに緊急を知らせることはないでしょう?」

 

「実は18時頃ドイツ大使館に3人のお客様がやってきましてその人物が五輪 彩海奈、レナーテ・アルベルタそして達也様からご報告があった霧島 愛彩が大使館職員と思われる方に率いられ中に入っていきました」

 

「彩海奈さんが?やはり水無瀬が動いているのかしら?」

 

「そう考えるのが普通でしょう。しかしここまで水無瀬の関係者が動いているのが不思議でございます。これまで水無瀬から事後報告ということで報告は受けていましたがここまであからさまに動いているのが分かるというのは今代水無瀬家当主唯衣花殿が先代当主結那殿から受け継ぐ時以来と記憶しております」

 

「確かにここまで水無瀬の動きがあからさまというのは私も記憶にありませんでしたね。これはどうすれば良いと思いますか?」

 

「今までと変わらずにいれば良いと思います。こちらの動きは常に水無瀬にだけは気付かれておりますゆえ特に何もせぬのが正解であると英作様は仰っておりました」

 

「それもそうね。ではそうしましょうか」

 

同じ頃七草家では当主の弘一が娘の真由美、香澄、泉美を自身の執務室へと呼び出した。

 

「呼び出したのは他でもない、五輪家のご令嬢である彩海奈嬢のことだ。3人に聞くがどういう人だ?」

 

「彩海奈ちゃんですか…才能は非の打ち所がありません。九校戦では1年生に関わらず本戦で優勝しましたし、新人戦でも記録を出しましたから。勉学も優秀で九校戦では自分が使うCADは自分で調整したりしていましたし、確か彼女が使っているCADはオリジナルのカスタムハンドメイドで調整も自ら行っているみたいです」

 

「ふむ…なるほど。香澄と泉美はどうだ?」

 

「確かに姉の言う通り才能や知識に関しては私達や姉でも到達しうることが出来ないような位置にいると思います。風紀委員としてしか私は共にする機会はありませんから普段の様子については生徒会にいる泉美の方が知っていることは多いと思いますが五輪先輩を一言で申し上げるのならば『想定外』です」

 

「私も姉達と同じように現時点において私達では到達出来ないような位置にいると思います。生徒会でもその能力というのは遺憾無く発揮されています。そしてまだ何処か底知れないような感じもしてます。昨年九校戦を見に行った時にも五輪先輩は優勝されましたが何処かまだ力を出していない、決して力を抜いているわけでは無いと思うのですが底が分からないくらいの能力は秘めていると思います」

 

「なるほど…(1年間同じところにいた真由美だけじゃなくまだ出会って1ヶ月も満たない香澄と泉美でさえそう思うのか)」

 

弘一は娘達の彩海奈に対する評価がこれまでに寄せられた情報よりも高かったことに驚いた。1年間同じ学舎にいた真由美はともかくまだ1月も経たない香澄と泉美でさえも彩海奈に対する評価がたかかったのは驚いた。それだけ五輪 彩海奈という少女が老師が言っていたように何かを隠していることがあるということは泉美が言っていたようにおそらく間違いないだろう。

 

その後幾つかの質問があってから真由美、香澄、泉美は3人揃って真由美の部屋へと入っていった。

 

「ねえ、お姉ちゃんそんなに五輪先輩って凄かったの?」

 

「え?そうね。確か入試成績は深雪さんに負けたとはいえ歴代最高得点の2位、実技だけの成績なら1位だったわね。そして一学期末は実技2位、筆記2位での総合1位。それからはずっと彩海奈ちゃんが総合1位で終わったわね。でも筆記だけはずっと順位は変わらなかったけど」

 

「すごい…」

 

「それでいて九校戦ではアイス・ピラーズ・ブレイク本戦優勝。バトル・ボード新人戦優勝。彩海奈ちゃんが使ってるCADは何処のメーカーのか分からないし、調整も自分で出来るしほんと何処かさっき香澄ちゃんが言ってたように『予想外』ね」

 

物語は今一度加速していく。それは1人の少女と秘密主義の一族を中心に、そして彼女と秘密主義の一族が一堂に会する場その2組がこれから巻き起こる始まりの場所になるのであった。





如何でしたでしょうか?ユリアン・ヘーネスに関しては今後も少しだけ出番を作る予定です。ただ出番は遠いです。

次のスティープルチェイス編は競技以外のところがだらだら長くなると思います。

ご読了ありがとうございました。感想、評価、お気に入り登録よろしくお願いします。
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