姉は戦略級魔法師、その妹も戦略級魔法師!?   作:KIRAMERO

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古都内乱編の実質2話目です。今回は次回に繋ぐための導入回のような立ち位置ですので短めです。
期間は空きましたがこの作品ともう1つの作品で保存してある場所が違うので空いてしまいました。


ある1日の出来事

 

 

レナーテの体調がある程度治り、次の日は紗綺さんが来てくれてレナーテのことを見ていてくれた。私は学校に行き、昨日の遅れを取り戻すべく勉強や課題に取り組んでいた。

 

放課後、私は元々レナーテが出る予定だった警備隊の合同訓練に参加させてもらった。元々私は一高の警備責任者であるため参加は出来たがそれでも最初からは参加していなかったため、服部先輩と沢木先輩に許可を得て参加していた。

 

「今日はありがとうございました、服部先輩、沢木先輩」

 

「いや、こちらこそありがとう。昨日レナーテさんがいないだけでこれ程変わるのかと思っていたからね」

 

「折角だ、皆と休憩していけ。」

 

「はい。お言葉に甘えて失礼します」

 

私が休憩するために講堂の中に入っていくとそこにはエイミィやスバルを含めた大勢の生徒が軽食等を用意してくれていて私はそれを受け取ると十三束君や沢木先輩がいた所に足を運んだ。しばらく談笑しているとそこにエイミィとスバルもやってきた。

 

「レナーテ、体調大丈夫?」

 

「大丈夫だよ。多分明日の朝次第だけど学校にも来れるはずだから」

 

「そっかー、良かった。やっぱりいつも彩海奈とかレナーテと一緒にいるから昨日とか何か物足りないって感じがしたからさ」

 

「物足りない?」

 

「うーん、どう表現したらいいかは分からないんだけど何時もの賑やかさが無いって言ったらいいのかな」

 

「エイミィはこう言いたいんだよ。彩海奈とレナーテがいないと寂しいって」

 

「あ、それそれ!さすがだねスバル」

 

「そうだったのね、明日からは私もレナーテも来るから大丈夫よ」

 

「そうだね。明日からまた"いつも通り"の日常だね」

 

「そうね。その"いつも通り"がこれからも続くようにしましょ」

 

この日は軽食を取った後は解散となりこのまま帰ってもよし、まだ体を動かしても良しということになっていた。私は一高の警備について話があると服部先輩に言われたため、服部先輩と共に生徒会室へとやってきていた。

 

「すまない、中条、司波。どうしても現地での警備に余念を残したくなくてな」

 

「全然大丈夫だよ、服部君。それで何処かな」

 

「ああ、この部分だがーー」

 

「ああ、これはーー、ーーになってるよ」

 

「そうか、じゃあここはどうなっている?」

 

「えっと、そこは……司波君、どうなってたかな?」

 

「ここは、ーーーなっています」

 

それから数十分、私と服部先輩、達也、中条先輩は生徒会室にある長机で一高の警備体制、京都内での警備体制、会場内での警備体制について話し合った。それから私は帰ろうとしたところで達也、深雪に呼び止められ私は達也達の従姉妹だという桜井 水波ちゃんと共に学校の帰り道を歩いていた。

 

「何個か聞きたいことがあるがいいか?もちろん隠したいことは濁してもらっても構わない」

 

「私に答えられる範囲であるならばね」

 

「彩海奈は何故下見に参加しない?」

 

「……正直言いにくいけど、上から学校のことにだけ集中しろと言われてるのよ」

 

「上……それは五輪家とは違うのか?」

 

「いいえ、五輪家内のことよ。仮にも私は姉が戦略級魔法師で十師族の1人だからってことでしょうね。余計な面倒は掛けてほしくないし私もそんなことは嫌だもの」

 

「なるほどな。それで次だがレナーテのことだが」

 

「……私もレナーテのことは知ってる事の方が少ないわ。だから本当に答えられる範囲が少ないけれど大丈夫かしら?」

 

「あぁ、大丈夫だ。レナーテと二学期から一高にやってきた白羽 紗那さん何か関係があるのか?」

 

「……無いわ。まだ小さい時にレナーテの母親と何回か会ったことはあるけれど少なくとも白羽先生では無かったわ」

 

「そうか」

 

「ねえ、彩海奈。私からも1ついい?」

 

「うん、大丈夫だけど何かしら?」

 

「芽愛さんと弥海砂さん元気かしら?」

 

「…ふふっ」

 

「な、何よ……」

 

「いやぁ深雪でも芽愛さんと弥海砂さんのこと気になるんだなぁって」

 

「私でもってことは貴女も?」

 

「ええ、九校戦の時とか気になってたからね」

 

「それでどうなのかしら」

 

「至って元気だよ。昨日も来てくれたから特に体調を崩してるってことも無さそうに見えたし」

 

「そう、それなら良かったわ」

 

「それでどうして気になったのかしら?」

 

「私達にも同じような人が身近にいたから、かしらね。」

 

「へぇ……」

 

「それじゃあ、またな」

 

「ええ、また明日」

 

達也達と別れると彩海奈は1人だからと一高近くにある自宅へ歩いて帰っていった。自宅に着くと郵便受けに手紙があったのを彩海奈は注意深く見ていた。このご時世、郵便というものは廃れつつあったがそれでも重要な案件に関しては電子データよりも紙媒体で処理されることはまだ残っているためそれほど不自然では無いがそれでも時期が時期なため注意深く見ていた。

 

家の中に入ると紗綺さんが出迎えに来てくれた。去年までは芽愛さんか弥海砂さんが出迎えてくれたがこれはこれで新鮮味があった。

 

「おかえりなさい、彩海奈ちゃん」

 

「ただいまです、紗綺さん」

 

「その手紙どうしたの?」

 

「郵便受けに入っていました。紗綺さんにも少し見てもらおうと思ったのですが……大丈夫ですか?」

 

「……ちょっとまってて」

 

そう言うと紗綺さんはパタパタと2階に上がりレナーテの様子を見に行った。私はその間に手紙をリビングにあるテーブルに置き、紗綺さんが来るのを待っていた。やがて紗綺さんがやって来ると念の為にということで地下の演習場にやって来ていた。

 

「それじゃあ、開けますね」

 

「ええ」

 

「……これは……」

 

「…やっぱり……」

 

手紙に記されていたのは私が十師族の関係者そして水無瀬の縁者と思われることについて今年の論文コンペに来るなということだった。宛先のところには私の名前が入っていて、差出人のところには何も書かれていなかった。

 

「彩海奈ちゃん……今から私がする事について黙っててもらえる?」

 

「は、はい」

 

「我、汝らに問いかける者なり。この空間にいる物に全てを取り払わん」

 

その瞬間この家にある振動が起きた。それは地震とは違い縦揺れや横揺れは起こらず、この家の敷地内の空気が振動したという結果だけを残した。

 

「ごめんなさいね」

 

「い、いえ」

 

「それでこの手紙の事だけどおそらく伝統派の魔法師でしょうね。こんな時期に十師族の子に手紙何かで送ってくるなんてそれ以外考えられないもの」

 

「私はこのまま行っても大丈夫でしょうか?」

 

「大丈夫よ。あの人たちに会ったんでしょう?それなら外野のことは任せておきなさい」

 

「分かりました」

 

「それじゃ、夜ご飯にしましょう。レナーテさんもそろそろ起こさないと明日からが辛いもの」

 

それから私と紗綺さんはリビングに戻り、レナーテを起こしてから夜ご飯を食べ、身支度をしてから明日に備えて休むことにした。





如何でしたでしょうか?次回は論文コンペまであと少しのところから前日まで持っていきたいと思っています。なので達也達が京都に下見に行く場面はまるまるカットです。

今回もごご読了ありがとうございました。お気に入り登録、感想、評価よろしくお願いします。

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