姉は戦略級魔法師、その妹も戦略級魔法師!?   作:KIRAMERO

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はい。古都内乱編の最終話+原作でいう四葉継承編の編のプロローグです。先日、投稿したように彩海奈は四葉家ではなく五輪家の跡継ぎでも無いためオリジナルの名前の編になります。話自体はこのプロローグを含めてもう1話で終わります。

未来編タイトルにすごい意味のある事だなって思いながら読んで本当に良いストーリーでした。後数巻で終わってしまうのが残念です。


論文コンペ本番、年末の静けさ

論文コンペ当日、彩海奈は京都新国際会議場の中を巡回したり、来客の誘導、本部への連絡等一高の警備責任者として動き回っていた。今年の総責任者は服部先輩で警備隊の中には十三束くんやレナーテ、一条くんに桐原先輩等今年の九校戦において好成績を残した人が中心に選ばれていた。午前の仕事を終えると彩海奈は警備隊に支給されたお昼ご飯を受け取るとレナーテ、十三束くんと共に食べた。

 

「はぁーー、論文コンペもあと少しで終わりね」

 

「そうだね。一高の発表とかは見れるんだよね?」

 

「確かそうなってるはずだよ」

 

「今年は特に問題も無いし普通には終われそうだよ」

 

「そうなの?去年は何かあったの……って去年はあの年か」

 

「まぁ、去年は大変だったね……」

 

「そうだね……」

 

「とゆうよりそろそろ時間だ。1回本部に戻ってから見に行く?」

 

「そうね、そうしましょうか」

 

彩海奈とレナーテ、十三束くんの3人は会場に戻り一度警備隊の本部により、許可を貰ってから一高の発表の時には席で見られるようにしてもらった。席は事前にこの論文コンペに来ているエイミィとスバルが抑えてくれているらしい。やがて時が流れ一高の出番になると彩海奈とレナーテ、十三束くんは席に着いた。今年の論文コンペのメンバーは代表に五十里先輩、サポートメンバーに中条先輩と三七上先輩が就いている。彩海奈にとって純理論のことについては少しは知っているつもりであったが五十里先輩の発表は彩海奈にとっては未知なるものであった。

 

続いて二高の発表は直前になってメンバー変更があり、九島 光宣が代表メンバーとして登壇することになった。テーマは『精神干渉魔法の原理と起動式に記述すべき事項に関する仮説』。それはこれまで研究が進んでこなかった精神干渉魔法の解明に向けた一歩になりうる発表だった。

 

論文コンペが終わり、学期末試験も終わり12月24日に彩海奈、レナーテ、エイミィ、スバル、十三束くん、芽愛さん、弥海砂さん、達也、深雪、ほのか、雫、エリカ、美月、レオくん、幹比古くんが集まっての2年生組+芽愛さん、弥海砂さんでのちょっとしたクリスマスパーティーが開かれ、12月26日には24日のメンバーから達也達を除いたメンバーで開いた。25日は彩海奈とレナーテを除く全員が親に引っ張りだされたり、知人のパーティーに参加したりと予定が合わなかったためやらなかった。そして12月29日、彩海奈とレナーテは22日から東京に来ている芽愛、弥海砂と共に愛媛の五輪家本邸へと向かった。

 

本邸に着くとメイドとして働いている皆に挨拶をした。その中には昔レナーテが五輪家に遊びに来ていた時に一緒にいてくれたメイドさんもいてレナーテとの久しぶりの再会を喜んでいた。レナーテの母親である白羽 紗那さんは12月23日のうちに既に日本を出国し、今頃はレナーテの姉であるナフィーナさんや夫のレオンさん達と共に年末年始を楽しんでいるかもしれない。そんなこんなで私とレナーテは五輪本邸にある私の部屋に移動した。久しぶりに帰ってきて部屋は整理整頓されていた。

 

「彩海奈の部屋ってこんなに広かったっけ?」

 

「うーん、東京に持っていけるものは持っていって最悪こっちで生活しても困らないようにはしていたからね。多少は減ったけど」

 

「ふーん、それで私と2人で生活するには必要なものは揃ってるの?」

 

「それは大丈夫よ。ベッドはダブルサイズだし、着替えも最悪私のを使えばいいし」

 

「それなら良かった。私、ここに来たことはあったけど彩海奈の部屋に泊まったことは無かったから楽しみだよ」

 

「あれ?夏休みはどうしてたんだっけ?」

 

「夏休みは庭に彩海奈のお父さんがなんか寝るところみたいなの出してくれたじゃん。そこにいたり、真唯さんと愛彩と寝たりしたけど彩海奈の部屋では無かったね」

 

コンコン「彩海奈、いる?」

 

「いるよ」

 

「久しぶり。あ、レナーテもいたんだね」

 

「久しぶり。愛彩」

 

「それでどうしたの?何か用かしら」

 

「研究所、来てくれない?ちょっと話したいことがあるの」

 

「ここじゃ、ダメなの?」

 

「色々説明したいことがあるから私の部屋の方がいい」

 

「わかった。レナーテもついていって大丈夫?」

 

「大丈夫。別にレナーテに見られたところでもう五輪家の人だから秘密にすることないしね」

 

愛彩は彩海奈とレナーテにそう言うと、いそいそと五輪家の研究所に向かって歩き始めた。私とレナーテも愛彩の後を追って五輪家の魔法研究所の中へと入っていった。いつもなら

研究員の人達が右往左往してる時なのだが誰1人もいなくこの広い研究所に私達3人だけの雰囲気が漂っていた。やがて奥にある愛彩個人に充てられている研究室に私、レナーテ、愛彩は入っていった。

 

「それで話したいことって何?」

 

「最近この五輪家の様子が変なの……」

 

「……どういうこと?」

 

「例年、ここは年末年始でもお盆の時期でも稼働を停めることは無かったの。でもこの年末年始だけは停めるってことになったの。」

 

「……それで…」

 

「研究員の人達は帰る家があるから帰省しているけど私には無いからここにいさせてもらってるんだけど……そこである人を見たの」

 

「誰だか分かるの?」

 

「多分ムーン・ザ・ノベンバー社の代表の神無月 正義さんだと思う。何でここにいるのかは分からないけど彩海奈のお父さんとお母さんと一緒にいた。何をしてたかは分からないけど…何かこの五輪家の中で大変なことが起こると思う。私の勘でしか無いけど」

 

「神無月さんが?何でここに……あの人は…」

 

「水無……あそこにいた人だよね……」

 

「それに、ここ最近メイドの人達も彩海奈のお父さんもお母さんも何処か何時もと違うようなそんな感じがする。神無月さんが来てから」

 

「……」

 

「彩海奈は何か聞いてないの?」

 

「何も聞いてないわ。ただ今年は少しだけ何時もと本邸の様子が違うのは分かるわ。それに今年は1日に間に合うように来ればいい。って言われてたから」

 

「……確かに、去年とは違う…ね」

 

「さ、この話はお終い。愛彩はこの話には関係しているとはいえないんだから気にしなくていいわ。それで他に何か無いの?」

 

「それならはい、これ」

 

「これってムーン・ザ・ノベンバー社の完全思考操作型のCADじゃない。これがどうしたの?私とレナーテは神無月さんからテスト作品だけど九校戦でも十分使えたから持ってるけど……」

 

「ちっちっちっ、これはムーン・ザ・ノベンバー社が正式商品として発売する完全思考操作型CADでこれはその中でも私がフルカスタマイズした世界に3つしかない物だよ。もちろんムーン・ザ・ノベンバー社の商品用をベースとして彩海奈とレナーテの魔法特性に合わせたカスタマイズも可能になってるの」

 

「完成したんだ。それで愛彩は何処までこのCADのこと知ってるの?」

 

「発売日は年始で価格はFLTが出してる値段よりかは割安なところってところ。それで明日から予約がオンラインで始まるの。それで予約の抽選で10名にはシリアルナンバー入りで発売する予定みたい」

 

「へぇ…それでそれにもシリアルナンバーみたいなのが付いてるような気がするんだけど……」

 

「あ、彩海奈とレナーテのは私がフルカスタマイズしたから2人の名前が入ってるの。それと彩海奈とレナーテのだけは例えなくしたりしても他の人が使えないようになってるよ。彩海奈とレナーテだけはお互いのでも大丈夫だけどね」

 

「それで3つあるって言ってたけど、私とレナーテ以外の誰に渡すの?」

 

「澪さんに渡すつもり。ほら、まだ体調良くないんでしょ?だから作ってあげた。少しでも楽させてあげたいし」

 

「……そっか、ありがとうね愛彩」

 

「いいよ。それであの術式何だけど…」

 

「あの術式?」

 

「ほら、物質変換魔法のあの術式何だけど……上からストップがかかってる」

 

「ああ、あの魔法……上からってことはお父様……ね…」

 

「副施設長からこんなのが渡されたの」

 

「……なるほど…」

 

「それでどうする?私、オリジナルの術式なら自分のメモリーに残してあるけど……」

 

「いや……いい。私が持ってるのバレたら愛彩も疑われかねないから」

 

「そう、それならいい。あ、ごめんねレナーテ置いてけぼりで」

 

「ううん、大丈夫だよ。彩海奈の驚いた顔久しぶりに見れたから」

 

「ちょっと!?私そんなに驚いてた?」

 

「うん」

 

「はぁ……」

 

「それじゃ、部屋に戻ろう?私も今日からはこっちじゃなくて本邸の方に泊まらせてもらおうって思ってたから」

 

「待って……貴女の部屋あったっけ?」

 

「え?彩海奈の部屋使わせてもらってたけど……真唯さんが好きに使っていいって」

 

「だからあんなに整ってたのね……」

 

それから彩海奈とレナーテ、愛彩は本邸の方へ移動して彩海奈の部屋で色んなことについて話していた。主には魔法のことについて話していた。それでも彩海奈が使うことが出来る『壊淵』、レナーテが使うことが出来る『ローマテリアル・マニュピュレート』については話すことは無かった。次の日には澪と洋史が帰省してきて久しぶりに姉妹姉弟兄妹にレナーテを加えた4人は水いらずに過ごしていった。そして迎えた12月31日の夕方、彩海奈と澪、洋史、レナーテは五輪家全体が集まる前に当主の勇海と真唯に呼び寄せられた。

 

「今日は他でもない。先日、水無瀬家の名代として神無月 正義さんがやってきた。内容としては彩海奈に関してだ」

 

「私、ですか?」

 

「そうよ。貴女に関すること。これからの彩海奈の人生に関わってくる大切なことよ」

 

「水無瀬家から彩海奈を「白日の夜」の正式メンバーとしてそして次期後継者として加えいれることを五輪家に要請してきた。これについてどう思う、澪」

 

「仕方ないことだと思います。水無瀬家は侑那さんが次期当主として確立したことに伴って水面下では侑那さんの次を探さないといけなくなる。そこに彩海奈ちゃんが候補として上がってもおかしくはないと思います。それに私達3人は水無瀬家の直系ですから」

 

「洋史はどう思う?」

 

「僕は水無瀬家のことはあまり知らされていないから判断することは出来ないけど、もし彩海奈が加わるのであれば家族として兄として精一杯サポートしたいと思っています」

 

「だそうだ。それでどうする、彩海奈」

 

「……私…は……

 

今は水無瀬家の要請を断る

 

だって私は五輪 彩海奈だもん。決して水無瀬 彩海奈じゃない。十師族の五輪家の彩海奈っていう人だもの。だから私は今は水無瀬家からの要請は断る」

 

「彩海奈……」

 

「そう言うと思ってたよ、彩海奈。私の方から既に神無月さんには断りの連絡をしてある。その後水無瀬家からも今回は要請を取り下げるって通達が来ている」

 

「なんだ、分かってたの」

 

「それくらい、親だから分かるよ。そして彩海奈のことは芽愛と弥海砂を通じたり、レナーテさんと真唯を介して色々知ってはいたからね。途中までは水無瀬家の要請を断らないと思っていたけど」

 

「そうね……1ヶ月半前だったら私はきっと「白日の夜」に入っていたと思うけどね」

 

 

「論文コンペか……」

 

「そこで「白日の夜」のことを見させてもらってまだ一高校生でしかない私にとって中途半端に関わるのはよそうと思った。やるのなら私が高校か大学を卒業した後、もしくは正式に水無瀬家の次期当主になった時には分からないけど……」

 

「そうだな。彩海奈、高校、大学を卒業したら進路は一任するから。何処かに就職するも良し、五輪家の魔法研究所に来るも良し、とにかく彩海奈が何処に行こうとも僕と真唯、澪、洋史は支持する。だから気楽にしていてくれ。ただ戦略級魔法師というのが世間にバレなければただそれだけでいい」

 

「分かっているよ。ただ私の魔法はおいそれと使えるものじゃないんだけど?」

 

「それについてだが昨年、第五研からある魔法を受け取ったな?」

 

「え、それがどうしたの?」

 

「それだが、今日彩海奈に五輪家の魔法研究所で改良させ完成させた魔法を提供する。私達も知っている通り物質変換魔法はこれまで確認された成功例は無い。故に『灼熱のハロウィン』の時よりも確認されれば世間の目は彩海奈に向くだろう。だがそこに関しては心配はしなくていい」

 

「本当に使っていいの?そして私が使うにはあのことを話さないとお母さんと兄さんは納得しないと思うんだけど」

 

「それについてはもう話していい。これ以上母さんには隠し通すことは出来ないからな」

 

「そう。なら話させてもらうわ」

 

「ああ。この後にでも話せ、母さんも色々心配していたからな」

 

「ほんとよ。彩海奈、これについては澪と洋史も含めて"じっくり"聞かせてもらうわ」

 

「う、うん……」

 

「それじゃ、芽愛さんと弥海砂さんを呼んできなさいな。そしたらメイドの人達もついてくるでしょうから」

 

「うん、わかった」

 

彩海奈に芽愛、弥海砂を迎えに行かせると真唯は夫である勇海の方を向き、こう言った。

 

「"また"ですか」

 

と。その言葉に勇海は何も言えずただただ固まっていた。近くにいた澪と洋史もその声に震え上がっていた。




何処の家庭においても女の人の権力は絶大だと思っています。SAOのアスナしかり、魔法科では深雪とほんとにアニメや原作を見ていてもそう思います。それは五輪家においても同じです。

さて、作品の中では久しぶりに物質変換魔法のお話が次話に出てきます。物質変換魔法は達也が原作で現代魔法学では不可避と言われた魔法ですがそこは次話にて明らかになります。少々お待ちください

今回もご読了ありがとうございました。お気に入り登録、評価、感想よろしくお願いします。

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