悪戯の神は希望を拾った 作:乾パン中毒者
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【アパテー・ファミリア】最古参にして総勢三十六名の団員を率いる団長と言う立場に属するLv.2の冒険者。レベルアップに要した期間は三年。そして今に至るまで五年間Lv.3に上がる気配を見せず、そして彼以外の団員もLv.2に一人たりとも上らないが故に【アパテー・ファミリア】は「そこそこの期間活動して人数も多いくせに全然強くない探索系ファミリア」の一つとして挙げられる下位ファミリアとして蔑まれていた。――――実際は、主神が報告義務を無視して実力を隠していただけの様だったが。
更に属している者のほとんどが元犯罪者という極めつけの特徴を持っている。そのせいでオラリオの治安維持の一部を任されている【ガネーシャ・ファミリア】や【アストレア・ファミリア】に目の敵にされているが、設立からおよそ八年間あの手この手で切り抜けられているのが現状だ。
主神も中々表に出てこないが故に内情は謎だらけであり、団員もオラリオの中で好き勝手に動いていることから主神が眷属を制御しきれていないという疑惑も上がるなど、おおよそ良いファミリアとは全く呼べない代物だ。
だが、実態は違った。
そして何よりのお気に入りが団長であるグリード・アルパガス。元ラキア王国将軍にして数々の国を相手に戦争を吹っ掛けては滅ぼし尽くした生粋の戦争好き。
幼少のころから暴力沙汰に事欠かず、戦場で腕っぷしだけで暴れ回った末に将軍の地位まで上り詰めただけに飽き足らず、彼は他国に戦争の火種を投げ込んでは国民の戦意を煽って戦争の口実を作るなどしてほぼ毎日戦争を行っていたという。
周辺国における彼の名は――――【
そんな最悪な人間である彼は毎日愉快な日々を過ごしていたのだが、十年ほど前にラキア王国の物資を他国に横流しするという不正行為が発覚したことによって逮捕され、恩恵を剥奪された後に国外追放の処分を受けた。
それから二年近く周辺国を彷徨いながら行く先にラキア王国への敵意を煽りつつオラリオにたどり着き、
「ヒュ~♪ デカい火花が散ったなァ、オイ。戦争後に処刑するつもりだったのに此処で死んでちゃ世話ねぇぜ。だろお前らァ!」
「ハハハ! 調子に乗ったガキには罰を与えるのが大人の役目ってもんですよ団長ォ!」
「魔剣まで使って罰を与える大人とか聞いた事ねぇよ!」
『ヒャハハハハハハハハハハ!!』
十数本もの魔剣による一斉掃射により作られた巨大なキノコ雲を見ながら【アパテー・ファミリア】の団員たちは嗤った。今まで散々嬲られた仕返しを行えたことで精々しているのだろう。全員が気色悪い笑みを浮かべ不協和音を喉から奏でている。
「ッ…………!!」
「うわぁ……マジかよ。あそこまでやるか普通……」
「やっぱアパテーと関わると碌なことねぇな……」
バベル三十階の中では先程まで盛り上がっていた筈の空気が完全に鎮火している。唯一笑みを浮かべているのはアパテーのみで、そんな彼女をロキは今にでも殺しそうな顔で睨みつけている。
しかしひとえにロキが襲い掛かっていないのは己の眷属が
神は自分が恩恵を与えた存在の死生を察知することができる。その事に此処まで感謝したことがあっただろうかと、ロキは顔を押さえながら浮かせていた腰を座席に戻す。
「アイリスちゃん! ああ、そんな……!!」
「むぅ……!」
ギルド前庭でも観戦していたほぼ全員が顔を青ざめさせていた。確かに
それでもファミリア同士の抗争や
何よりそんなことを積極的に行おうとするファミリアなどギルドとしても許容できない。冒険者の仕事はあくまでもダンジョンの開拓だ。
だからこそ、殆どの冒険者にとってはいい大人たちが魔剣を少女相手に斉射するという光景は想像以上過ぎた。一部では煙の晴れた後の光景を想像して吐いている者まで確認できる。
「アイリスたん……!」
「アイリスちゃん……!」
ロキは顔を歪めながら眷属の名を漏らす。アイナは涙を流しながら嗚咽の様に名を呼ぶ。
どちらも、もう見守ることしかできない無力感に苛まれているが故に。
「…………あ?」
グリードの笑いが止まった。彼の目が、煙の中に何か大きなシルエットを見つけたからだ。
「あー、いや……いやいやいや。いやいやいやいや、ありえねぇだろ。魔剣十本以上の総攻撃だぞ!? Lv.1の冒険者が原型留めてる訳が……!」
煙が晴れる。まず見えたのは巨大なクレーター。魔剣による連続爆撃により抉れた地面は行われた攻撃の苛烈さをこれでもかというほど物語っている。だが、そんな物は今グリードにとってどうでもいい事だ。問題はその一番中央にあるモノ。
身体中から白煙が立ち登っていた。無数の火傷も見える。だが――――不条理にも、少女はその姿を留めていた。
《アグノス・ソード》を杖代わりにしながら、アイリスは立っていた。バラバラに吹き飛んでもおかしくなかったというのに、その肉体は未だ健在。纏っていたアーマードレスのほとんどを破壊されながらも、その小さな口で確かな呼吸を繰り返している。
「嘘だろ……」
どんな耐久力だとグリードは目の前に居る少女に戦慄した。ほとんど抵抗できない状態での魔剣による多重爆撃、たとえ自分でも無事に耐えきれるか怪しいというのにLv.1である筈の少女は耐えきった。
一体どんなトリックを使えば可能なんだと吐き捨てながら、グリードはその顔から笑みを消して手にある大剣へ力を入れ直す。
「だ、団長……?」
「下がってろ。俺が止めを刺す」
先程までの軽快な様子は何処に行ったのか、彼は何か恐ろしい物を見るような目でアイリスに最大限の警戒を払いながら一歩、また一歩と彼女に近寄る。
「ひゅー……ひゅー……」
「どうやって耐え切れたかは知らねぇが……とっとと終わらせてもらうぜ。安心しな、抵抗しなきゃ楽に――――」
パキリ、と殻が割れたような音がした。
突如起こる異音に対して警戒心を最大まで上げていたグリードは言葉を止めて、周囲を探る。だが、とてもそんな音がするような物体は見当たらない。一番可能性のある少女の剣を見るが、特に何かが変わった様子はない。
気のせいか、と警戒しすぎな自分を笑い飛ばしながら、彼はついに少女へと止めを刺すために剣を振り上げて。
闇に呑まれた。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――――ッ!!!」
アイリスの負った傷から真っ黒な瘴気が溢れ出す。まるで入れ物が壊れて中から漏れ出した水の様に、その瘴気は際限なく彼女の体から這い出して辺り一面を包んでいく。
最初こそただの強風を起こす魔法だと思っていたグリードだったが――――自分の体に植物の蔦の様な黒い紋様が広がり始めているのに気づき、背筋を凍らせる。即座にポーチの状態異常回復薬を口にするが、変化は無し。
そこで彼は自分の体を蝕んでいるモノの正体に気付いた。
「なッ――――馬鹿な!
魔法と違い防ぐ方法が限られており、尚且つ齎せる効果は『耐異常』などの発展アビリティでも防げないという凶悪な代物。
「ふざけんなッ! 無詠唱でこの出力と規模だと!? 何処まで出鱈目なんだこのガキィッ!!」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■――――ッ!!!」
アイリスは正気を失ったように金切り声を上げながら瘴気をまき散らし続ける。だが時間が経てば経つほどその勢いは弱まりつつある。
底を突きそうにない様子は変わらないが、単純に
グリードが息を荒げながら周囲を見渡せば、先程まで笑い声を上げていた団員は一人残らずその場で倒れ伏している。
健在なのは彼と――――何事も無かったかのようにこちらに剣を構えている少女の二人だけだった。
「ふぅぅぅっ……! ふぅぅぅぅぅっ……!!」
「こ、のッ……クソガキがぁぁぁぁッ……!!」
戦いの終幕が、近づいてきた。
◆◇◆◇◆
真っ黒な、泥の中に沈んでいるような気分だった。
目を開けても、何も見えない。自分の姿さえ捉えられない。周囲で何かが蠢いているのは
何かしなければ、という漠然とした思いだけが頭にある。
何もしなければ溶けてしまう。周りで蠢いている
手足を動かす。たとえ返ってくる感覚がなくても、必死に手足を動かしてもがき続ける。
此処から抜け出さなければ。何か無いのか。何でもいい、誰でもいい。私を此処から連れ出してくれ。
――――いいや、此処から抜け出すやり方は既に知っているはずだ。
聞こえるはずの無い、声が聞こえる。
貴方は、誰?
――――中身が違うとはいえ、その姿をもう一度見ることになるなんてな。……仕方ない、手助けをしてやる。
声と共に、温かい物が身体に触れた。
何だろう。初めて感じるはずなのに、懐かしいような。
――――希望を忘れるな。どれだけ絶望的な状況であっても、希望さえ抱けば道は見えてくる。
炎が、灯る。
――――
目を開けば、光が見えてくる。
――――……きっと、これからお前には数々の過酷な運命が舞いこんでくるだろうが。
私はそれに手を伸ばして、掴まえた。
――――お前がそれを乗り越えて
「ッ―――――――――――!!!!」
意識が覚醒する。
何が起こった。何があった。頭を最高まで働かせて最後の記憶から状況整理を図るが、目の前が光に染まった瞬間から完全に記憶が途切れている。そうだ、私は確か魔剣の直撃を何度も受けて――――
「こ、のッ……クソガキがぁぁぁぁッ……!!」
「っな……」
しかし私の肉体に大した傷は無く、むしろ目の前に居る男――――グリードは額から脂汗を垂らしながらこちらを殺さんばかりに睨みつけていた。最後に見た飄々とした様子は何処にも見当たらない。
一瞬だけ視線を巡らせて周囲を見渡すが、魔剣を構えていた筈の【アパテー・ファミリア】の団員が一人残らず地面に伏している。……一体、何があったというのだ?
よくわからない。わからないが――――今の私がするべきことは理解出来ている。
目の前に居る男を仕留める。
それで全てが終わる。
「【
「死ねよやぁぁぁあああぁぁあああ!!」
詠唱と共に爆発の如く全身から噴き上がる業火。気絶前とは比較にならないレベルの出力に驚きながらも私は全身を炎で加速させながら剣を振るい、グリードの振るう大剣とぶつけ合わせる。
凄まじい力と力の衝突。衝撃の爆発で気流が荒れ、踏みしめた地面が爆ぜる。
同時に察知する。理由は不明だが、グリードは先程と比べて弱っている。何かに蝕まれたように動きにキレは無く、力も少しだけ下がっていた。それでも力で押し負けているのでLv.2――――いや、Lv.3というのは伊達では無いらしい。
「嘘だろ、
(
疑問は先程から尽きないが、今は目先の事に集中だ。これ以上押されたらマズイと判断し、私は一度強く彼の剣を弾いて後退し距離を取る。
彼我の能力差は莫大。
(――――もう、一つ?)
その発想に至った瞬間、私は逆転への道筋が開いたような感覚を味わった。
ああ、そうだ。
足りないのなら、もう一つ
「ふぅぅぅぅぅぅぅっ…………!!」
剣を正面に構えて、極限まで集中する。
ぶっつけ本番、即席の戦法。だが一番逆転できる可能性が高い一手。自分でも持っていたことに気付かなかった
「――――【
業焔と轟嵐が、共に狂騒を奏でた。
全身から悲鳴が上がる。目と鼻、口から血が溢れ出す。骨が軋み、肉が裂け、肌がひび割れて血が漏れ出す。だがそれらは破壊されていくとともに修復されていく。謎の自動回復スキルによる恩恵は今最大限に働いていた。
あまりの力に全身が内側から弾けそうだ。だが逆らってはならない。この荒れ狂う大波を”乗りこなせ”。無理矢理手綱を握るのではなく、流れに乗って先導しろ。学んだことを全て生かせ。
およそ数秒で暴走寸前の力をどうにか制御しつつ、私は自分の中から
そして、ようやくスキルの代償を理解する。
謎の自動回復スキルの代償は
あり得ない光景を前に茫然としているグリードを尻目に、私はポーチの中にある
それでもこの状態を維持できる限界時間は恐らく一分前後。
――――奴を叩きのめすには十分だ。
「――――行くぞ」
「な、ぁ――――!?」
前代未聞の
刃がぶつかり合う。そして一瞬の拮抗の末――――
「…………あ?」
「まだだァァァァアアアアアアアッ!!」
完全にがら空きになった胴体へと力を纏わせた拳を叩き込む。風と言う”燃料”を得て更に猛々しく燃える炎は爆発的な加速を体全体に際限なく与え、その加速を最大限に乗せた
そして、拳がグリードの体に触れた瞬間、肉が焼ける音と感覚が、耳と腕から伝わってくる。
「ギッ――――あがぁぁああぁあぁああぁああああああああッ!?!?」
「吹き飛べェェェェエエエエッ!!!」
拳を振り抜きながら腕に纏わりついた力を解放。莫大な炎熱が火山噴火の如く上空へと撃ち出され、グリードの体は焼かれながら凄まじい速さで遥かな大空と吹き飛んでいく。
私はそれを追うように跳躍し、全身から炎を噴き出しながら急速に上昇。数秒でグリードへと追いつく。
――――そして、《アグノス・ソード》を大上段に構えた。
失神していたのだろう、今ようやく目覚めたグリードは今自分が空に浮いていることに言葉を失い――――そして私が剣を構えている事に気付いて泣き叫び始めた。
「まっ、待てェ! やめろ! 死ぬ! そんなの受けたら死んじまう! 嫌だ、死にたくないィィィッ!」
「――――貴方は、そうやって助けを請う人の声に応えたことがあるのか?」
炎が、剣に集う。
それは、今から確かめてみる事にする。
「やめ――――やめろぉぉぉおぉぉおぉぉおおおぉおおおおおおおおッ!!!!」
「灰燼に帰せ――――」
焔風が、撃砕した。
空で圧縮された炎が爆発する。余波で雲が割れ、無数の火花が飛び散り――――やがて、炎で全身を焼き焦がした男の体が大地へと叩きつけられ、衝撃波を滅茶苦茶にまき散らしながら岩盤が抉れ上がって吹き飛んだ。
幸か不幸か、その男はまだ息をしていた。しかし最高品質のエリクサーを湯水のようにでも使わなければ身体の機能が戻るのは絶望的であり、むしろ生かされたことで彼には様々な苦難と羞恥が訪れることだろう。
戦場から音が止み、そして静かに一度だけ芝生を踏む音を響かす。
念のため周囲を見渡しても、誰かが立ち上がろうとするような光景は無い。私以外、誰も足で地を踏みしめていない。数秒間じっくり深呼吸し――――私は、右手を突き上げる。
【
◆◇◆◇◆
その光景を見た誰もが息を止めた。
小さな少女が今にも折れそうな華奢な腕を振り上げる様子に、全くの現実味がなくて。
ロキは自分の頬を引っ張った。
アイナは自身の太ももを抓った。
返ってくる確かな痛みが、今見ている光景が夢でもなんでもないことを告げていた。
「いよっっっしゃぁぁぁぁああああああああああッ!!!!!!」
『――――――――――――――――――――――ッ!!!!』
神々が集うバベルの中でロキの歓喜の声が木霊すると同時に、オラリオ中から大歓声が上がった。
平原から少し離れていた場所に設置されていた場所で待機していたギルド職員が銅鑼を激しく打ち鳴らせば、同じく決着を知らせる大鐘の音が都市全体に響き渡る。時間にすれば一時間足らずの戦い。だがそんな短時間でオラリオの空気は大きく変わり、暫く冷め無いだろう興奮の色へと染まった。
「アイリスちゃん……! あぁ、よかったぁ……!」
『俺が――――ガッネェェェェェェシャだッ!!!』
「「「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」」」
ギルド本部前ではアイナがその緑玉色の瞳から大粒の歓びの涙を流し、隣のガネーシャは興奮が最高潮に達して雄々しいポーズでマイクを掲げながら全力で叫び、周囲に居る全員から駄目だしを食らった。
『決着っ! こんな結果を誰が予想したか! たった一人の少女が全てを覆すという
喜びのまま叫び散らすアイナ。ギルド職員という中立な立場ではあったが、今の彼女は己の立場をかなぐり捨てて、ただ少女の勝利を喜ぶ。そんな彼女を見て苦笑する同僚もいたが、そのほとんどは彼女と同じく感極まっていた。
『ヒャッハァァァ――――――――!!』
『チクショォォォォォォォォォォッ!?』
酒場では勝者の歓声と敗者の絶叫が入り混じり阿鼻叫喚の有様だ。大穴狙いの阿呆以外は誰も予想すらしていなかった結果である。殆どの冒険者はやけ酒に走り出し、酒場は良くも悪くも大きく盛り上がっていた。
そして、敗者側の主神であるアパテーは一体どうしていたか気になる者も多いだろう。
一部の神々が彼女の羞恥に歪んだ顔を拝むために彼女の方へと顔を向けるが――――変わらずの笑顔を、彼女は浮かべていた。いや、むしろ悪化している。それを見た神々は背筋に氷塊を突っ込まれたような悪寒を感じた。
「くっ、くくくくくくくっ……はーっははははははははははははははははははは!! そうかそうか! そういうことか!
狂ったように笑い叫ぶ女神。誰もがその様を見てドン引きする中――――一人の女神が、彼女へと殺意の籠った死線を投げる。
「おい、
ゆらりと、不気味な動きで立ち上がる
かつての彼女を知る者はその様子を見て
「言ったよなぁ? うちが勝ったらどんな要求でも聞くと」
「くくくくっ……それで、何を望む?」
「すぅぅぅぅぅ――――」
「【アパテー・ファミリア】の持つ全ての財産を没収! および全ての団員が今まで行ってきた犯罪行為の証拠をギルドへ全提出! そして全ての眷属は
その言葉を聞いた殆どの神々がこう思ったという。
――――
「――――馬鹿な、あの炎は……プロメテウス、何故お前が……?」
◆◇◆◇◆
「っしゃあ俺の一人勝ちィ!」
『嘘だろぉぉぉぉぉぉおおおおおおっ!!?』
所変わって【ゼウス・ファミリア】兼【ヘラ・ファミリア】共用
元々は別々の建物だったのに、数百年間お互いが競争し合うように増築を重ねた結果繋がり合ってしまい、そのまま勢いで合体をしてしまったという奇怪な誕生経緯を持つ
そんな巨大神殿の中に存在する数百人は収容できそうな広大なスペースを丸ごと利用した酒場は現在喧騒に包まれていた。原因はやはり、
当然此処で行われた賭博の
「ハーッハッハ! アルバートの奴、ちゃんと仕込んでくれたみてぇだな! ま、俺からすればまだまだ詰めが甘いがな?」
「おいちょっと待てよ団長! なんでそこで【
「そりゃあ俺とアイツと【
『はぁぁぁぁぁぁあああああああああ!?!?』
酒場に居た全員が絶叫した。それもそうだ。
何せ今の言葉は、オラリオの中でも数えるほどしかない
その言葉を聞いて殆どの団員は
(……まあ、俺はちょっくら殻剥きしただけだし、下地を培ったのは本人の努力だがな)
しかしそれを言ったら言ったで面倒事になりそうなので、アルケイデスは敢えてその事実は黙って出かかっていた言葉を酒で濁しながら喉奥に流した。
小さな木の木陰の下で、黒髪の青年と金髪の女性は互いに寄り添い合っている。
「ああ、良かった。ちゃんと勝てたみたいね」
「途中でどうなるかとハラハラしたが……教えたことが役に立ったみたいだな、アリア?」
「ええ、そうね。……ねぇ、貴方。私、子供を生むならあんな強くて優しい子がいいと思うの」
「…………それを今言うか?」
「うふふふ。後であの子にお祝いの品でも持っていきましょうか」
「……そうだな。そうしよう」
暖かな温もりの中で、二人は小さく口づけを交わした。
Q.なんで魔剣の攻撃に耐えられたの?
A.ギリギリ間に合った水の防護膜による威力減衰&クソ高基本ステイタスによる耐久&スキルによる底上げ&もう一つの謎スキルの効果(詳細はまだ先)
Q.あの呪詛的なものは何?
A.まだ秘密。しかし魔法ではない
Q.レベル1がレベル3に勝てるわけないだろ!
A.クソ高基本アビリティ+スキルによる全能力超高域強化+
Q.なんで急に必殺技名みたいなのを口にしたの?
A.その場のノリだよオルルァン!!