リエージュ司教領布教録 Tuez-les tous, Dieu reconnaitra les siennes   作:手紙

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第一話

気が付くとと、かごのようなものの中で揺られていた。

下にしかれたシーツらしきものは肌触り良く、上等な絹であることがわかる。

目は見えず、わからないが只管な眩しさを感じる。

 

「Mein allerliebstes Mäuschen!」

 

同時に温かい誰かに抱き上げられる。

英語じゃない。アクセントが力強いから、ドイツ語かそれに近い新言語かもしれない。

何はともあれ、しばらくは情報収集に勤しむか。

 

 

 

 

 

 

「マリア、5歳の誕生日おめでとう!」

 

 

統一歴1913年とやら。

5歳になりました。有り余る時間にて、謎言語を習得。結局ドイツ語かどうなのかはわからなかったけど、そもそもドイツ語がわからないのだから仕方ない。

ここは、リエージュ司教領ということも判明した。私はマリア・フォン・リエージュで、父はリエージュ司教。おそらく、同じ名前を冠しているのだから領主かその身内かつ、身なりとしても非常に裕福な出自といえるだろう。

 

今日は朝早くから父と連れ立ってお出かけ中である。かれこれ30分は歩いているけど、広い教会の中はまだ終わりが見えない。

 

「お父様、どちらに行かれるのですか?」

 

「今日は君の誕生日パーティーがあるけど、その前に魔力測定を行わなければないないんだ」

 

魔力。初めて聞く単語だ。

 

「魔力とはなんですか?」

 

「うーん、難しい質問だね。まだ未知数の力なんだ、無限の可能性を秘めているともいえるね。今はもっぱら国を守るために使われてるけど、僕はきっと、神の御力に違いないと思うんだ」

 

未知数…。何かのエネルギーだと推測するけど、個人に備わっているものであれば、電気ではないんだろうな。

気、あるいは魔法に近いものかもしれない。国を守るという言い方が抽象的すぎて使い方がよくわからないけど。

 

「神の御力なら、私も備えたいです」

 

「そうだね…。僕にはないけど、産まれた時から信心深い君ならあるのかもしれない」

 

私は産まれる前から信者だけど、リエージュ司教領においては、会う人全員が信者だ。仮に中身が私でなくても敬虔深い信者になったことだろう。

もちろん初めて話した言葉はHerr(神)。父は嬉し涙を流してた。

 

「ついたよ。この機械を頭につけるから、そこに座って」

 

小部屋の扉を開けると、数人の信者に囲まれて、何やら洗脳装置のようなものものしい外見のものが置かれている。

座って大人しくつけられると、辺りに眩い光があふれた。

 

「素晴らしい。魔力保持量放出量共にAです。マリア様は神に愛されしお子なのでしょう」

 

周囲の大人の絶賛具合をみるに、なかなか良い結果がでた様子。

しかし、一人が表情を曇らせてもらした。

 

「しかし、これ程の才能では軍に強制的に徴発されてしまうかもしれません」

 

軍?軍事的に価値ある力ということは、人殺しに主に使われているということでだろうか。

あるいは神の御力というくらいだから、治癒の力かもしれない。

 

「神は人殺しを禁じているのだ、マリアにそんなことはさせられない。リエージュの名にかけてはねのけてみせる」

 

人殺しの才能だったようだ。父の権力が確かなら、軍行きは免れるかもしれないが、主より授かった命は、信者しかいないこの司教領では果たせない。

いずれ何とかして司教領からは脱出しなければならないと考えていたけど、軍に入るのは良い手かもしれない。

それに、ターニャちゃんもそろそろ産まれただろうか。ターニャ・デグ…デグチャレフ?だったっけか。変な名前だな。

とにかく、名前だけで外見も年もわからない少女を探すのは至難の業だ。こちらも早く取り掛からねばなりませんし、課題は山積みだ。

さすがに幼気な少女のままでは軍には入れないだろうから、一先ずは神の御力を使いこなせるようにしなければ。

 

 

 




ターニャさんより5年先に産まれてます。そして、幼気な少女でも軍には入れる。
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