リエージュ司教領布教録 Tuez-les tous, Dieu reconnaitra les siennes   作:手紙

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第三話

演算宝珠の到着を待ちわびて1カ月。

いつもの朝食の席で、父が難しい顔をして侍従から受け取った小包を睨んでいた。

 

「マリア、よく聞くんだ。君に素晴らしい神の御力が発現したことはとても喜ばしいことだ。しかし、その力を悪いことに使ってはいけない、わかっているね?」

 

「はい、人を傷つけることには決して使いません」

 

主の手を煩わせる不信者を人と定義するかは議論の余地がありますが。

 

「そうだ、力は善きことに使わなければならない。魔法は戦時下の今、主に人を殺す手段として使われているが、治癒術式も開発されているという。人を救う力を極めなさい、わかったね?」

 

「はい」

 

不信者はいっそ一度殺してあげた方が救いになるかもしれませんけどね。

まあ、治癒術式の方が何かと受けは良いでしょうし、信者を増やすのにも都合がよいかもしれません。いわゆる、奇跡の具現ですね。

 

「よし。では、お待ちかねの叔父上からの贈り物だよ。エレニウム95式というらしい。研究責任者が君の年をきいて驚いていたそうだよ。研究中のものでよければ是非と、一つくださったそうだ。父様もよくわからないが、なんでも従来のものに比べて4倍の出力を誇るのだとか。大事に使うんだよ」

 

エレニウム95式?エレニウムがまず何かわかりませんし、95も何を表しているのかさっぱりわかりませんが、これで私は魔法使いとやらですね。

 

「はい、お父様!叔父様にお礼のお手紙を書きたいのですが、よろしいですか?」

 

「ああ。きっと叔父上も喜ぶだろう」

 

お手紙を書いたら、早速先生と演算宝珠を試してみましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドクトル、本当に送ってしまったんですか?まだ試験も行っていない代物を…」

 

「もちろんだとも。ご息女はまだ5歳ときく。既存の演算宝珠の慣れていない子供であれば、使いこなせる可能性も高い。魔力保持量放出量ともに申し分ないのだ、そう簡単に壊れまい」

 

「お偉いさんのお子さんですよ?もし爆発なんかして、怪我でもさせたら死刑ですよ!」

 

「むこうも内密に調達しているのだよ?私の最高傑作だからしてあり得ないだろうが、仮に、もし万が一死んだとしても、訴えることはできないだろうね」

 

「ドクトル、あなたに良心はないんですか?5歳の女の子ですよ」

 

「科学の進歩に犠牲はつきものだよ。理論上は運用可能なのだ。君は私の最高傑作が、欠陥品だとでもいうつもりかね?」

 

「いっいいえ、まさか!」

 

「運用データは自動的にこちらに送信されるようにしている。楽しみだな?まあ、司教領息女なのだ。神がいるとすれば、きっと幼気な少女をお助け下さるだろう、Deus lo vult!神がそれを望まれるのならば!」

 

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