殺した人と殺す人   作:ロリコンの人

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懲りずに新作。

ちょっと色々アイデアも溜まってきたし、勉強、気分転換とかとかとか、いーろいろな物を兼ねて描きました。


出会い シノンside

あぁ……、またか。

 

放課後、荷物を纏めて帰ろうとすると声を掛けられ引き留められる。

 

声を掛けてきた相手は遠藤、私を虐めているグループのリーダー的存在、そしてこのクラスでの中心人物。

 

「おい、朝田。お前後でいつもの所に来いよ」

 

いつもと同じ台詞を言い立ち去る遠藤。

 

声を掛けられた私は()()()事情により学校の中では誰も関わってこない、教師を含めて。だから私には抵抗する手段も何も無い。

 

重い足取りで指定された場所へ向かう。

 

今日は何をされるのだろうか。恐喝?それとも万引き?どちらにしても良いことでは無いが、直接的な暴力を振るわれる事が無いだけ幸いだろうと少し自分を慰める。

 

「お金取られないと良いんだけど…」

 

私は高校生にしては珍しく一人暮らしをしている。そのため生活費として月に1度、母の兄からある程度のお金が振り込まれてくる。彼らはそれを何処からか知り、高校生にしては大金をもつ私をカモにし、お金をたかりに来る。さらに家に私以外が居ないことを良いことに、私の家を溜まり場にしているのだ。

 

そして、数分。指定されたいつもの所に着く。

 

ここは建物が上手く影になっており周りからは見えず、人通りも少ない。()()()()()にはとっておきの場所だ。

 

「よう、お前が朝田か。待ってたんだぜ?」

 

いつも場所には遠藤の他に見た事の無い人が3人いた。

 

いかにも悪い事をしてます。と言った風貌。3人ともタンクトップを着て盛り上がった筋肉を見せつけるように、剥き出しにしている。私に話しかけて来たのは遠藤の隣にいるバッグを持った男ようだ。

 

「ッ……」

 

いきなりのガラの悪い男数人に取り囲まれた事で思わず足が震える。

 

「朝田さんさー、友達連れてきただけだし。そんなに怯えないでよ?」

 

「友達…ね、随分ガラの悪い友達ね。そんなのが居たなんて驚きだわ」

 

本来ならこの場でやるべきでは無いのだろうが、震える自分を勇気付ける為にあえて少し挑発して返す。

 

「へぇ、アンタ今日は結構元気じゃん。いつもはビビって直ぐに金出す癖にさ」

 

「早く帰りたいしね。で、遠藤さん?要件は何かしら。なるべく早くしてもらうと助かるのだけど」

 

私の強気な発言に少しイラついたのだろうか、遠藤が舌打ちをするが、直ぐにいつもの人を見下すような笑顔に戻る。

 

「ねぇ、今日はさ。アンタにプレゼントを持ったんだよ」

 

「プレゼント?」

 

彼女がプレゼントなんて。これが本当なら夢か幻覚を見てるか、彼女が脳の病気にでもなったに違いない。

 

「アンタにはいつもお世話になってるからね」

 

そう言って彼女は隣にいたバッグを持った男から紙袋を受け取り、私に渡す。

 

「それがプレゼント?随分小さいのね。大きいのを期待してたんだけど」

 

少しずっしりしとした重量感に疑問を持ちつつ袋の中を見てみると中にあるのは、黒光りした特徴的な形の金属の塊、銃。中国で作られた54式拳銃、黒星(ヘイシン)、トカレフと呼ばれる銃だ。

 

「ッ……」

 

銃に対してトラウマのある私は思わず袋を落として地面に倒れ込む。

 

「ウチの兄貴にさ、朝田の事話したんだよ。そしたら本物見せてやろって話になってさ?」

 

「本、物……?」

 

落ちた紙袋から銃を取り出すと、弾倉を取り出し中に銃弾が詰まっているのを私に見せつける。

 

それが本物の銃だと認識したとたん、さらに気分が悪るくなり、思わず吐いてしまう。

 

「あはは、見てよ兄貴。本当に銃見せただけで倒れちゃったでしょ?」

 

「オイ!オメーよ、抵抗出来なくさせんのは良いけどよ、ゲロまで吐かせんなよな?こんなんじゃヤレねーじゃねぇかよ」

 

バッグを持っていた男ーー遠藤の兄貴だろう。が悪態を付き私の身体を蹴る。

 

「グッ…」

 

蹴られた事により、身体に衝撃と痛みが走るが蹴りは腕に当たったのでそこまでは痛く無い。

 

「兄貴!蹴っちゃダメだって!怪我とかすると後で面倒なんだからさ!」

 

「あぁ?治るまで拉致ってヤッてりゃ問題ねーだろ」

 

「まぁ、そうだけどさ?学校に説明したりするの面倒なんだよね?だ・か・ら・さ?」

 

「あー、分かった分かったよ。使い終わったら適当にウリでもヤらせてその金分けてやっからよ」

「えへへ、本当?」

 

……2人の会話を聞くと、どうやら私はレイプされるらしい。特別大事に守って来たというわけでも無いが、私の処女がこんなクズ野郎に奪われると言う事と、力が無く何も出来ない現状に私は歯噛みする。

 

「おい、オメーら、この女車に詰めとけ」

 

遠藤の兄が遠藤と一緒に車の方へ向かいながら2人に命令すると、2人は私の方へ向かってくる。

 

目を閉じて来るであろう恐怖に耐えているが、いつまでたっても身体が持ち上げられる事がない。

 

恐る恐る目を開けてみると、私を連れ去るはずの2人の目は私の後ろの方に向いており、私の方を向いていなかった。

 

疑問に思い辛い身体を動かし後ろを向くと、そこには1人の男が居た。

 

サラリーマンが着るような安っぽいスーツにビジネスバッグを持った、全体的に特徴の無い男。今、この場にこの格好の男が居ることと。鋭く、静かに闇を湛えた冷静そうな瞳に男らしくクールな印象を与える整った顔がこの場に異様な空気を生み出していた。

 

「なんだテメェは?コッチは取り込み中なんだ」

 

2人の男は懐から折りたたみナイフを取り出し、スーツの男を威圧するが、男はそれに怯むことなく2人の男へ向かっていく。

 

そのまま進み続ける男だったが、ちょうど私の隣まで来ると足を止め私のそばに持っていたビジネスバッグを置く。

 

「バッグの中に水が入ってる、俺が口を付けた物でも大丈夫ならそれで口を濯いでおけ、そのままだと気持ち悪いだろう?」

 

「あ、ありがとう。で、でもーー」

 

それだけ言うと男は私の返事を待たずに2人組の方へ更に向かっていく。

 

「オイ!ナイフ使わねぇと思って舐めてんだろ!」

 

無視された事にイラついたのだろう、1人がナイフを構えて男を突き刺そうとする。

 

男が刺されると思った私は悲鳴をあげそうになるが、悲鳴をあげるはなかった。

 

突き刺そうとした男の手首を手で掴んで防いでいたからだ。

 

「な、オメェ…」

 

思いもよらなかった出来事に唖然とする、私と2人組。

 

「バタフライナイフか、いかにもチンピラの使いそうな奴じゃないか。しかも刃こぼれが酷い。少なくともプロでは無いな」

 

そう言ってナイフを持った男の手首を捻ってナイフを奪い取ると、相手の頭を抱えるようにして膝を顔面に叩き込み沈黙させる。

 

その一連の行動はまるでアクション映画に出てくるような鮮やかさ。

 

思わず見入ってしまう。

 

1人がやられた事に焦ったもう1人がナイフを持って突っ込んで来るが、スーツの男は奪い取ったナイフを太ももに投擲すると刺さった痛みに直ぐに倒れ込んでしまう。

 

「グアッ…」

 

「そのナイフ、あまり手入れもされてなく汚いからな、そのままだと破傷風にでもなるかもしれないな。早く抜き取って病院に行くことをオススメするぞ?」

 

そう言って男に近づき太ももからナイフを抜き取る。

 

「ほら、ナイフは抜いてやったぞ?そこの倒れてる奴を連れて病院にでも行ってこい。……分かってるとは思うが余計な事を言ったりやったりするなよ?」

 

その言葉を聞いた男は太ももの痛みに耐えながら、倒れた男に肩を貸しながら急いで去っていく。

 

2人の男あっさりと撃退したスーツの男は、さっきまでの冷酷な顔から一転、こちらを安心させるような少し優しい顔になり私の方へ向かう。

 

「口はゆすげたかな?」

 

少しからかうような口調で話しかけられ、口の中が吐瀉物で気持ち悪い事を思い出す。

 

「あの、お水…」

 

「バッグに入ってるだろ?飲みかけだが使っても良いぞ?」

 

改めて許可を貰った私はバッグを開け、中にある水のペットボトルを取り出し口の中を濯ぐ。

 

「ふぅ…。あの、ありがとうございました」

 

「どういたしまして。怪我は無いか?」

 

「はい、あの、でも!まだ向こう側に人が!」

 

「人?まだ居るのか?」

 

少し怪訝そうな顔をする男。

 

「銃を持ったのが1人とクラスメイトの女が」

 

「銃、ね、どんな奴か簡単にでも分かるか?」

 

「拳銃です」

 

「了解、拳銃ね。ま、平和な日本だしそんなもんだよな」

何故か納得したような顔で1人頷く男。

 

「あと、そのクラスメイトの女はーー」

 

「敵です」

 

そう思わず即答する私に、少し驚く男。

 

「よし、向こうの2人も何とかしてくるから、身なりでも整えて待ってろ」

 

そう言って男は向こう側へ行ってしまう。

 

 

 

 

身なりを整えながら考える。

 

あの男の正体を。

 

サラリーマンのような姿をしているが、それは恐らく姿だけ。

 

ナイフへの対処の仕方。

 

「プロ」と言う発言。

 

拳銃への軽い反応。

 

警察官って無いだろう。強さからしておかしいし、法に触れる為、あんな風に容赦無く攻撃を加えたりしない。同じ考えで自衛隊員と言う線も消える。

 

まるでフィクションの様だが、そうなると考えつくのは…

 

「殺し屋…?」

 

「ん?殺し屋がどうかしたかな?」

 

「キャッ!!」

背後からいきなり声を掛けられ、驚いて座り込んでしまう。

 

「な、なんでも無いわ。それよりも早かったわね、怪我は無いの?」

 

「あぁ、怪我は無いぞ。拳銃もしっかり確認したし、これから変なちょっかいを出さないように忠告もしておいた」

 

「そ、そう」

 

座り込んだ私に差し出された手を掴み立ち上がる。

 

「なぁ、君は銃が苦手なのか?」

「え、えぇ。そうよ。でも、どうして分かったの?」

 

「銃って単語が出ると、少し顔が強ばってたからね」

 

「そう、これからは顔が強ばらないように気を付けるわ」

 

「あぁ、頑張って気をつけてくれ。ーーで、良かったら少し食事でもしないか?」

 

「は?食事?」

 

全く予想が出来なかった発言に少しフリーズする私。

 

「別に口説いてる訳じゃ無いが、こんな事があったからね、気分転換に食事でも良いんじゃないかと思ってね?」

 

「食事、ね。…まぁ、助けて貰った訳だしそれくらい大丈夫よ。エスコートはお願いね?騎士サマ?」

 

私がそう冗談めかして言うと、彼は笑いながら「了解だ、お姫様」とわざとらしく返してきた。

 

「お姫様じゃ無いわ、朝田詩乃よ」

「俺だって騎士サマじゃ無い。水鳥 諒(ミナトリ リョウ)って名前があるんだ」

 

「よろしく、水鳥さん」

 

「こちらこそよろしくな、詩乃ちゃん」

 




さて、この作品を書く際に影響を受けた作品がいくつかあります。二次創作の作品ではありません。

1話だけだと分からないと思うけど、もし分かったりしたら、こっそーり教えてね?

シノンちゃんの台詞とかちゃんとシノンちゃんしてる?

  • してる!
  • そこそこ!
  • ふつー!
  • いまいち!
  • 誰?
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