異世界転生は妖精と共に 作:リーン様の椅子になり隊
「昨夜はお楽しミでしたネ」
「めでたいでありまスな!」
起き抜けいきなりシェスカとロゼッタがどっかのゲームの宿屋みたいなことを言ってきやがった。スクラップにしてやろうか此奴ら……。
「あら、良いじゃないの。からかわれようと事実なんだから」
と、俺の隣に寝ていたリーンがクスクス笑う。シーツだけで体を隠した彼女の姿に昨日の行為が夢でないと改めて認識させ、頬が熱くなる。
「ふふ。何を赤くなっているのかしら?もうとっくに初体験を終わらせてたくせに、今更恥ずかしいの」
「そりゃ、相手がお前なんだ。意識するなってのが無理な話だ」
「あら、そう?」
「朝から見せつけてくれるでありまスな」
「まあ500年来の恋ですシ」
うるせぇよ外野。と、俺がシェスカ達を睨むが隣のリーンは楽しそうなので仕方なく怒りを収める。シュルシュルと衣擦れの音が聞こえ振り返るとリーンが着替えていた。
髪を何時もの様に両側で結わえる。
「───ッ!!」
が、歩き出そうとして倒れる。そのまま赤い顔で此方を睨んできた。これは、まさか──
「す、すまん。リーンは初めてなのに」
「良いのよ。痛いって言うのは、知ってたから。取り敢えず今日は大人しくしてるわ」
「そうした方がいいな………ん?」
扉がノックされる。着替える時間がなさそうなのでクリエイト服を作り出しリーンに目で訪ねてから扉を開ける。ベルファストの兵が立っていた。
「国王陛下のお客人がお呼びです。着いてきてもらえないでしょうか?」
「………国王?」
あの若造が俺になんのようだ?まあ良いか、取り敢えず言ってみるか。
「リーン、ちょっといってくる。それと、ロゼッタ、着いてこい」
「私でありまスか?」
「勘だ」
兵に案内され連れてこられたのは、何とガキの家だった。何だ?我が儘姫が何か言ってきやがったか?その願いを聞いて、だとするともうこの王国に未来はねーな。
「おお、来てくれたかトーマ殿」
「やはり貴方でしたか。お変わりなく……」
「ん?ああ、誰かと思えばあの時の若造か。確か、ゼフィルスとか言ったか?老けたな、お前は」
「貴様、無礼な!」
「よせ、キャロライン」
案内された部屋にはいるとベルファスト国王と昔冒険者をしていた頃出会った王子の面影を残す男、女騎士と我が儘姫と見知らぬメスガキが居た。
「若造……?あの、お父様……此方の方は?」
「あの方の名はトーマ・カミヨ。数十年前、兄弟の放った刺客に殺されそうになったところを助けていただき暫く護衛してくれた方だ」
「え、数十年前……?え?」
と、俺の顔を見てくるメスガキ。銀髪のガキだな、あの双子の関係者か?って、だったらこんなところにいねーか。
「そいつはお前の娘か?」
「うむ。嫁にどうかね?皇帝はこの子の兄が継ぐ。皇族にはなれぬが公爵の地位は用意できるが?」
「お、お父様!?」
「いるかそんなガキ。で、王同士の会談にそこのガキが居るのにはキチンと意味があるんだろうな?」
と、ガキを見ると我が儘姫と銀髪姫がなにやら睨んできた。何だ、あっちもこのガキに惚れたのか。皇族という身分でありながら……。
「そうか。残念だ」
「お父様!私は、あんな名も知らぬ方と結婚など」
「まあ落ち着きなさい。彼がお前を欲しがらぬのは、予想できた。ずっと惚れている相手が居るそうだからな」
「んで、そんなガキの紹介のために俺を呼んだ訳じゃねーだろ?仮にもレグルスはベルファストの敵国だ。一緒にいる以上、何かあるんだろ?」
若造のフルネームはゼフィルス・ロア・レグルス。俺の記憶が確かならレグルス帝国の皇帝だったはずだ。
「うむ。その説明は冬夜殿からしよう」
「お前やっぱり馬鹿だな」
何なんだ此奴?何で敵国の皇帝と姫と騎士を自分が所属している国の王に内緒で連れてきてんの?アホなのか?
「仮にもベルファストの人間が───」
「え?トーマさん、僕ベルファストの人間じゃありませんよ?住んではいるし、王様とも親しい仲ですど、国家間の問題となるとまた違ってきますし」
「……………お前それ本気で言ってんのか?ベルファスト国王、お前はそこんとこどうなんだよ?きちんと勉強で学んだことを考慮した上で答えろ」
「う、うむ……我が国の土地に住み、ユミナと婚約関係にある冬夜君を、この国とは無関係などとはとても言えない」
「え、そうなの?国に縛られるのって何かやだな……」
「なら今すぐ我が儘姫と別れることだな。んでこの屋敷を捨てろ」
我が儘姫が睨んできたが知るか。文句なら国家反逆を行ったてめぇのオスに言えっての。
「しかし反乱ねぇ……俺はお前にあのやり方を続けると同じ思考の奴らが集まり、お前が老いれば見限るような臣下が増えると忠告してやったはずだがな」
「うむ。すまない、無駄にしてしまった……」
何でも病気で弱ったレグルス皇帝に取って代わろうとバズール将軍が反乱を起こしたらしい。たまたま買い物に来ていたガキがクーデターと遭遇。銀髪姫を助けてその銀髪姫に頼まれ皇帝も助けにいってバズールに遭遇、バズールは魔法無効化能力を持つ悪魔を召喚。さらには悪魔を維持するだけの魔力を補う「吸魔の腕輪」という魔力を吸収する腕輪に、物理攻撃から身を守る「防壁の腕輪」を持ってるらしい。
「確か、「蔵」にそのような能力を持ったアーティファクトがあったような気がするんでありまスよ」
「…なんだって?」
「なにせ5000年も経っているでありまスから、「蔵」が今も無事とは限らないでありまス。何かのトラブルで墜落し、そこからアーティファクトや財宝などが流出したということも……」
なるほどな。ま、俺はまだ蔵の管理者じゃねぇから関係ないな。
「で、話をまとめると俺にそのバズールを殺してこいってことで良いのか?」
「うむ。貴方に頼みたい」
「な!?こ、皇帝陛下!冬夜さんの言葉が信用なりませんか!?」
「彼ならどうにか出来る、だったかな?疑いはしない……だが、頼るかと言われれば別だ。これは政治的な要因も絡んでくる………」
「この騒ぎ終わらせた報償に貴族にでもするか?」
「いや、国主にする」
そう応えたのはベルファスト国王。
国主?レグルス皇帝の顔を見る限り、お互い既に話しあって決めた結果か。つまりその国は国境に生まれるわけか。
「正気か?二国の後押しで国を作る……一見友好関係を結んだ結果のように見えるが、互いが互いに監視する砦を置いたようにも見られるぞ?」
「そこは問題ない。此方からはルーシアを差し出す」
「こちらはスゥシィを………」
──貴方が、今後貴族王族共に目を付けられないはずがない。
ふと、昨晩のリーンの言葉が思い起こされる。
確かに言われたとおりになった。なった、が………なるの早くないか?
「な!?お、お父様!?」
「待ってください!ルーは、冬夜さんのお嫁さんに───!それに、スゥまで……何を考えているんですか!?」
「我が国の話だ。余所の国の者は黙っていてくれ」
「何を?もちろん私は、国のことを考えている。王だからな」
「…………スゥつうとあの時のちっこいのか?あっちはまあ、まだ勉強させ直せるが………レグルス皇帝、お前の娘はいらん。というか嫁すらいらん………と言っても、これはそもそも俺だけの問題ではねぇんだろうが」
俺の言葉に此方をまっすぐ見てくる王二人。
さすがに国の一大事に矢面に立たせる以上無名のままではいられない。いや、この場合俺を表舞台に立たせるために依頼して来やがったのか?
「が、何故このタイミングで?両国間の同盟なんざお前等で勝手にやってろ。それこそそこの我が儘姫を帝国の皇太子に───」
「私は冬夜さんと結婚するんです!」
「──くれてやればすむ話だろ?」
「我々が君の存在を無視できぬからだ。監視できる所に置きたい」
「言うようになったな小童共……だが、俺がそれに従うメリットは何だ?縛られるなんざ、デメリットしかない」
「まず、後ろ盾を得る。貴方が煩わしく思うであろう国の勧誘を防げる」
「その代わり、有事の際は縛られるがな」
「それでも自由が多いはずだ。ギルドマスターの一部の者しか知らぬ金ランクのままでは、動きにくいだろう?」
きちんと調べたのか。ふむ………確かに俺は国の勧誘を避けるために金ランクであることを伏せていることが多い。そのせいで金が入りそうな仕事をあきらめることもあった。
「………リーンに聞いてみる。彼女が駄目だと言ったら、俺は断るぞ」
「彼女に惚れている、だったか。それは、何よりも優先するのかね?」
「当然。失って困る地位も、やらなきゃならない義務もない。好きにやらせてもらう」
「あ、あの………」
と、ガキが手を挙げる。王二人と俺の会話に一区切り着いたからだろう。
「スゥやルーを結婚って……本人達が望んでないのに、可哀想じゃないですか?」
「「「………………」」」
少なくともお前が何かを言う資格はないと思うんだがな。
リーンとトーマの濡れ場をRー18で書くべきか、書かないべきか