異世界転生は妖精と共に 作:リーン様の椅子になり隊
「駄目よ」
「だとさ、諦めろ」
話を聞きながらふむふむ頷いていたリーンは開口一番に拒絶した。ベルファスト国王とレグルス皇帝は何とかメリットを多く聞こえるように言ったつもりがあっさり拒否され固まる。トーマは予想通りなので特に思うところはない。
「確かにトーマの力は強大。欲しがる国、組織、個人に至まで、無数にいるでしょうね」
「だからこそ、王という座に………」
「手が出しにくいだけで手を出す輩が消えるわけではないわ。特に、ここ最近の権力者達は馬鹿が多いもの。自分が命令すれば従って当たり前なんて考える奴らにその考えが通じるとでも?」
「………む」
「まあ、こういう手も使われるでしょうね。予想はしていたわ………国にとっては大事なことだものね。だから国の大切な血筋が
要するに他の女がトーマに言い寄った場合、トーマは許すが女の方は許さないという事だろう。
「それに一つ勘違いしているわよ、貴方達」
「勘違い?」
「トーマに取って、引き抜こうとしてくる国々は
そのためにも図書館を見つけなきゃだけど、と笑うリーン。俗世などどうなると知ったことではないと、目が語る。
リーンは妖精族の中でも特に好奇心が強い。移りゆく世界を探求せずには居られないだろう。新しい発見があればすぐ飛びつくだろう。それを良く知るからこそ、バビロンに籠もるのは避けていたトーマだがまさかリーンからその案が出るとは。
「まあそう言うわけだ。悪いな……」
と、全く悪びれた様子のないトーマ。そんなトーマをリーンがギロリと睨む。
「貴方も貴方よ。私が断ると解っていたなら、さっさと断りなさいな」
「まあ、念のためおまえの意見も聞いておきたかったんだよ。そもそも結婚したところで肉体関係を持つ必要もねーからそこまで気にしないと思ってたし」
「?ああ、そう言う事ね」
レグルスもベルファストも、警戒しているのはトーマという個人だ。国を創って欲しいのではなく、一つの場に止まって欲しいだけ。王家のように子を残す必要はないのだ。あくまで、敵意がないことを伝える為の婚約なのだから。
「出来れば子を作って欲しいところだが……それでも構わぬと言ったら、結婚を許してくれるか?」
「許すわけ無いでしょう?トーマは私だけのものよ。形式だけでも、誰かのものになんてさせない」
「そ、そうか………」
「まあ、依頼は受けてあげて良いわよ」
と、リーンが予想外にも反乱鎮圧に行って良いと許可を出す。
「良いのか?国の後ろ盾が無い以上面倒事になると思うが」
「そうね、さっきも言ったようにここ数十年、権力者達は馬鹿が多いものねぇ……だから、命令よ」
「………?」
「そんな馬鹿達でも、迂闊に手を出したくない、そう思わせる仕事をしなさい。残虐に、残酷に、残忍に……ね」
それはとても冷たい笑み。敵対者に、あるいは愚か者に一切の情けを与えない氷のような笑み。その笑みに、トーマもまた笑みを返す。
「了解、リーン………そう言うわけだレグルス皇帝、依頼は受けてやる。軍属の者達の命は保証しかねるが、どうする?」
「………致し方ない。ただ、先に降伏勧告はして欲しい。それと、余も連れて行ってくれぬか?」
「馬鹿を言うな。敵の狙いはお前だぞ?守れないことはないが、余計な仕事を増やすな」
「…………事の結末を見届けたい。それがせめてもの皇帝としての余の務めだ」
「務めが果たせなかった結果が今だろう。何言ってんだ?」
「皇帝の護衛にはベルファストの騎士団をつけよう。自分もトーマ殿の戦いぶりを見てみたい」
「………まあ、そう言うことなら良いが………明日の朝からでも行くか。リーンはどうする?」
と、トーマはリーンを見る。経験則だが明日には腰も治っていると思う。
「もちろんついて行くわよ。私がやれと言ったのだもの、その光景から私が目を剃らすわけにはいかないでしょう?」
そして翌日。
俺達は帝都の片隅、高台にある建物の屋上に転移した。何故かガキと姫コンビも付いてきている。
「んじゃ、早速降伏勧告といくか………まあ、それはレグルス皇帝に任せるがな」
パチンと指を鳴らす。光魔法の応用で空中に巨大なレグルス皇帝の姿が浮かび上がった。
『帝都民に告ぐ。余はレグルス帝国皇帝、ゼフィルス・ロア・レグルスである。此度の騒動は一部の軍が暴走したことが発端である。皆に迷惑をかけたこと、深く侘びよう。しかし、それもすぐに鎮圧される。安心してほしい。ただ今をもって帝都奪還の行動に移る。決して家から出ないように願いたい』
レグルス皇帝は至らぬ点があった、そこは反省するが今回の蛮行は見逃せない。が、最後に一度だけチャンスをやるから軍服を脱ぎ降伏しろ、十秒以内なら認める、と忠告した。従う者も居たが、従わぬ者も数多くいる。
帝都中の現状をマルチスコープという無属性魔法で観察していたが十秒経ったのを確認すると指をクン、と上に持ち上げる。
ズドドドドドッ!!
と地面から生えた無数の杭が軍属の者達を貫く。肛門から刺さった杭がそのまま口や眼孔、鎖骨あたりから飛び出た者はまだ運がいい。死ねるのだから。腹や手足を貫かれた者は中で枝分かれした杭に肉をかき回され骨を削られこの世のものとは思えない絶叫をあげる。しかも、傷口には杭……血が殆ど流れず、誰かが回復魔法をかけてやらなくては助からないのに生きながらえる。
「来たみたいね」
と、リーンが空を見上げる。そこには巨大な悪魔、報告にあったデモンズロード。それに伴い、空や大地に様々な悪魔の眷属が現れる。目視で五十ばかりいるようだ。
今回は殺しに来た。決闘ではない。故に加減はしない。詠唱も動作もなくシャイニングジャベリンを発動。悪魔達に触れる前に消えた。
「これが魔法無効か……突破出来ねえこともねーし、前回のマンタと同じやり方でも殺せそうだな………」
その場合帝都が滅ぶが。そのあたり考慮して戦うべきか。
というわけで使う魔法はあらゆるモノを反射する障壁を生み出せるリフレクト。範囲は、帝都中。反射項目は、日光。
「魔法の副次効果だ……魔法無効じゃなんの意味もねぇよ」
数多の日光に曝され一瞬で数百度へと温度が上昇し、悪魔達が燃える。日光をねじ曲げて落としたわけではないのでちょうど鏡に狙われたところ以外は大して温度は上がらない。街に大きな被害を与えることなくデモンズロードの討伐が終わった。
「んじゃ、帝都城に向かうぞ。今回の黒幕をぶち殺してしまいだ」
「そうね。早く帰って、ご飯にしましょう……」
「う、うむ……」
「…………」
ガキと姫様コンビは吐いてた。仮にも戦争しに来たのに、死体見る覚悟してこなかったのか?いや、してきてあれか?どうでも良いけど。
帝都城のバルコニーでは何故デモンズロードが燃やされのか解ってないのか青い顔して固まる男。報告にあった顔と一致する。バズールだろう。
「おっ、お前は何者なんだ!? あれは上級悪魔だぞ! 一人で倒すことなどできるはずが……!」
「チート持ちだからな、俺は。好きなだけ罵って良いぞ?良く解らんアイテム使って、それでも勝てない存在なんて理不尽だもんな?ただ、大人しく罵られてるとリーンが怒るから黙らせるが」
「く、ま……まだ私には「防壁の腕輪」と「吸魔の腕輪」がある!悪魔など、いくらでも召喚できる!」
「あの程度なら何万匹出してくれても構わないぞ。妖怪でもあるまいし、特に脅威とも思えなかったし……」
あの程度が強大な存在なんだから、前世から力をしっかり引き継げていればわざわざ命の危険を冒してまで強敵を食いにいく必要なかったな、など昔のことを思い出しながらバズール将軍に近付く。
「き、来てみろ!貴様の攻撃なんぞ───!」
確かに攻撃が遮られるような感覚はあった。が、気にせず突破し首を手刀で切り落とす。
「んじゃ、この首と反乱軍達は曝しとけ。噂になりゃ、早々俺に手を出す奴も居ねぇだろうから」
あと珍しいアーティファクトは貰っといた。リーンにプレゼントした。
「あの後、皇女様は冬夜の婚約者の一人になったそうよ……まあ、貴方を引き入れることは出来なくても両国間の見える繋がり欲しかったんでしょうね」
へぇ……まあ交易の要にもなるし、王が操りやすい奴だ。全くの無意味な行為ではないだろう。
「てことはあの屋敷は売り払うのか?いや、あのガキなら屋敷ごと転移させそうだな」
「あり得るわね………そうそう屋敷と言えば知ってる?帝国の北方に打ち捨てられた大きな城砦があるらしいんだけど、そこ……幽霊が出るんですって」
「………どんな味がすんだろうな」
「さあ?そもそも食べられるのかしら?」
「まあ、帝国なら関係ねーよ。大方あのガキが銀髪姫から話し聞いて見に行って解決して終わりだ。でお前これからどうすんの?」
俺の言葉にリーンが首を傾げた。
「お前、あのガキ観察するためにベルファスト駐在の大使してたんだろ?あのガキ新しい国……ブリュンヒルデとか言ったか?そこの王になったし、ブリュンヒルデの大使になるのか?」
「まあ複数ではなく全ての無属性魔法が使える、そんな面白い存在今後現れるとは限らないしね……でも、減点よトーマ」
と、俺の服の裾をつかみベッドに倒すリーン。振り払うことも出来たが、抗わず大人しく倒される。
「私と貴方は、恋人同士になったのよ?それなのに私が、珍しい
「……お、おい……リーン?」
「私がどれだけ貴方に夢中か、体にたっぷり教えてあげる。だから今後、怒らせないように気をつけなさい?」
不意に気配を感じてチラリと視線を扉付近に向けるとのぞき込んでるシェスカとロゼッタ。足元でポーラがシッシッと手を振るい、此方に振り返ると腕を突き出す。あれは、多分親指があったら立てているのだろうな。などと考えていると耳を噛まれる。
「この状況で他を気にするなんて、本気でお仕置きされたいようね………」
ゴクリと喉が鳴る。ああ、また喰われるな。そう思いながらも、逃げる気は起きない。近付いてくるリーンの唇を迎え入れるように俺もまた首を持ち上げ唇を重ねた。
一応リーンとのRー18が見たい人は一人いましたね。やはり書くべきか?
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