異世界転生は妖精と共に   作:リーン様の椅子になり隊

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庭園、そして玄帝

 悪獣キマイラは悪獣達の中でも人格が3つ存在するからか、とにかく狂っている。なので早々にお帰りいただいた。

 今はリーンに頼まれ水の中を泳いでいる。今の俺は水の中でも息が出来る。

 暫く泳いでいると巨石群が現れた。地球のストーンサークルみてぇだな。そのストーンサークルの間を抜けて、遺跡中央の階段から中へと入る。暗い地下へと下っていく。明かり?必要ねぇよそんなの。音で把握できるし、そもそも闇の中でも俺にはよく見える。

 やがて大きな広間、魔法陣のある部屋へと辿り着いた。

 

「それぞれの属性の魔石?複数で来ること前提なのか、全属性持ちが前提なのか……どちらにしろ俺には問題ねぇな」

 

 炎を吐く魔物、水を操る魔物、風を巻き起こす魔物、光で全てを貫く魔物、岩で潰そうとしてくる魔物、各種魔法使いや嘗ての狂的たる無属性魔法の使い手を食らったトーマに死角はない。

 全ての魔石に魔力を通す。が、何も起きない。この場合無属性の魔力だろう、と魔力を流した当たりから光り始めた魔法陣に乗り無属性の魔力を流す。

 

 

 

「ふむ、空か………」

 

 光に包まれた後、ガラス張りドームの庭園に出た。雲の近さから考えてそうとう高い位置にあるな……空中庭園なのだろう。

 リーン当たりが喜びそうだ。

 などと考えていると何かの気配を感じる。魂の反応は、ない。上手そうな臭いはするが、金属臭いな。喰えないことはないけど……ゴーレムだって喰った俺だし。

 昔を思い出していると気配の主が現れる。

 翡翠色の短く切り揃えられたサラサラの髪、白磁のような肌に金の双眸。ミステリアスな雰囲気を醸し出す女のガキだった。歳は見た目だけなら俺とリーンの間ってところか?さっきのガキの取り巻き女共と同じぐらいだ。

 ノースリーブの黒い上着に薄桃色の大きなリボン。白いニーソックスに黒いエナメルの靴。んで、パンツ。

 

「初めましテ。私はこの「バビロンの空中庭園」を管理する端末の「フランシェスカ」と申しまス」

「取り敢えず下穿け」

 

 俺はパンツ丸出しの痴女にそう忠告してやったのだが痴女は首を傾げる。

 

「ぱんつは穿いてまスが?」

「言い方を代えるぞ、スカート穿けや痴女」

「フランシェスカです」

「んじゃフラン」

「シェスカと及びください」

「シェスカ、スカート穿け」

「まア、そこまで言うのなら穿きまスが」

 

 どこから出したのか、シェスカは白いフリルのついた黒いスカートを穿き始めた。持ってんのかよ……。

 

「……なにもしないんでスか?」

「しねーけど?」

「ちょっとダケなら触ってもいいでスよ?」

「俺、好きな女居るから………そいつに比べると他の女なんてマネキンにしか見えねぇんだよな。ああ、シャルロッテとか一部は別だが」

 

 シェスカは大人しくスカートを穿く。パンツ丸出しで現れるとは妙ちきりんな奴だ。羞恥心とかねぇのか?あったらスカート穿くか。

 

「ここはいったいなんだ? なんのための施設だ?」

「ここは博士が趣味で造られた「庭園」でス。バビロンの「空中庭園」………「ニライカナイ」と言ウ人もいまス」

「博士?」

「レジーナ・バビロン博士でス。私たちの創造主でス」

「へえ、大した技術だな………」

 

 腕一本喰っても怒られないだろうか?リーンが怒りそうだな、貴重な古代文明の遺産だし。

 

「私はこの「庭園」の管理端末として博士に造られましタ。今から5092年前のことでス」

「ほう、俺より年上か」

 

 なかなかない出会いだ。魂の反応がなく、金属臭。しかし確かな肉体と思われる部分。

 

「機械生命体か?」

「驚きでス………魔法生命体と機械の融合体ですので、少し違うかもしれませんが似たようなものでスね」

「凄いな、どっから見ても人間の女だ」

「……子供はできませンが、行為そのものは出来まスよ?」

「いや、どうでも良いからスカートめくるな」

「新品デスのに」

 

 突然スカートを捲るシェスカ。なんか此奴と話していると凄く疲れるな………。

 全属性持ちなら、あのガキに押し付けておくべきだったか?

 

「それにしても5000年以上もよく稼働してんな…。シェスカもだけど、この空中庭園自体も劣化して壊れたりしねーの?」

「この「庭園」はいたるトコロを魔法で強化してますカラ。私も5000年と言いましてモ、メンテナンスのためのスリープモードに入り、非常時以外は待機状態でしタので。「庭園」の管理はオートにしたままでシタ」

「なる程俺が居るのは非常事態なのか。出て行った方が良いか?」

「いえ、あなたは適合者としテ相応しいと認められまシた。これヨり機体ナンバー23、個体名「フランシェスカ」は、あなたに譲渡されまス。末長クよろしくお願いいタしまス。まずハお名前をどうゾ」

「は?」

 

 適合者ってなんだ? いや、それより譲渡って?

 シェスカは俺の転送してきた魔法陣の方を指差し、説明を始めた。

 

「あの魔法陣は普通の人では起動しませン。多人数での魔力を受け付けるコトが出来ないよウになっているのでス。つまりあの転送陣を起動することのデきる者は、全属性を持つ者だけ……。博士と同じ特性を持つ者だけなのでス」

「それが条件なら別にいる。ソイツに………は、まずいか。こんな施設を……」

 

 それにあっさり渡したらリーンに嫌みを言われるな。彼奴、此処研究したがりそうだし。しかし過去にも全属性持ちが居たのか。

 

「適合者というのは、全属性持ちのことデハありませんヨ?」

「あ、違うのか?」

「私のぱんつを見ても、逆に隠すよウに言われまシたかラ、適合者でス」

「…………なんだそりゃ」

「大事なことでスよ? モし欲情に任せ、私に襲いかかってキタとしたら地上に放り投げていまシた。またなにもせず、ぱんつ姿のまま放置されてイたら、ソレも不適合者として丁重に地上へとお帰り願ったでしょウ」

 

 何でパンツ隠す隠さないで適合者を決めるんだろうかこのポンコツロボットは。

 

「他人を思いやる優しさ、それがなけレば私たちやバビロンを任せられナイと、博士はこのよウな方法を考えられたのでス」

「俺は他人を思いやったりはしねーがな………」

「最終的には各自の判断に任せると言ってマシた。女に慣れた妙に優しスぎるフェミニスト気取りヨリも、理想はチラ見しながラも自制し、興味がナイようなふりをスるムッツリが無難だト」

「俺はそれにそっているか?」

「いえ。ですが、この空中庭園を見つけた方ですし………ああ、もう一人居ルとのことですがそちらでモ」

「因みにお前の判断だと俺は?」

「ありデス。イケメンですシ」

「……………」

 

 取り敢えずリーン達に報告しに行くか。

 

「取り敢えず、俺の名はトーマ・カミヨだ。よろしくな」

「トーマ・カミヨ………記録しましタ」

 

 

 

「ただいま………ん?彼奴等何してんだ」

「あら、お帰りなさい。貴方に負けたのが悔しかったらしくってね、琥珀が新しく魔物を召喚しようって………ああ、神獣だったわ。あの白虎も、彼の《白帝》ですって」

「あれが召喚できる使い魔最高峰の4体のうち2体?喰っときゃ良かったな」

「?貴方より全然弱いわよ」

「でもレア物だろ?そういうのは、何故か力になるんだよ。殆どないから言ってなかったなそういや………それに単純に美味そうだ」

 

 魔法陣の前で腹を抱えて笑っている虎と魔法陣の中でクルクル回っている──色からして───《玄帝》を見つめる。

 

「で、どういう条件出されたんだ?楽しませる?転ばせる?」

「制限時間内五体満足で逃げ切り実力を示せ、だそうよ」

「は?それでスリップ?実力示さなきゃなんねーのに?」

 

 と、呆れかえるトーマだったが………。

 

『うおう…うおええう……まわ、回ってるわぁ、世界が回ってるわぁ……』

『ゆる、許してくださいぃ……もお転ぶの嫌あぁ……滑りたくないよぉ……』

 

 などと泣き言を言い出す玄帝に余計呆れた。

 

『ああ、酷い目にあったわぁ……。白帝が主と認めたってのも納得ねぇ……』

『望月冬夜様。我が主にふさわしきお方よ。どうか我らと主従の契約を』

「………ひょっとして神獣達って、馬鹿?まさか一定範囲の地面を滑らせる程度の魔法で広範囲殲滅できるはずの自分達の主に相応しいって言うなんて」

「貴方の悪獣達はそんな力を持ってたわね………神獣は、持ってないとか?まあアレはどうでも良いわ。それより、何を見つけたのかしら」

 

 と言うわけで早速リーンを空中庭園に連れて行くことにした。後ついでについてきたがったガキ共も。水を司る玄帝を手にした以上正規のルートで入ってきた後ゲートで仲間を呼べるだろうから、一々止めるのも時間の無駄だからだ。




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