異世界転生は妖精と共に   作:リーン様の椅子になり隊

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嵐竜、そしてフレイズ

「ふぅ、儲け儲け」

 

 ベルファストに来て初の冒険者活動はミスリルゴーレム。

 2体居たが取り敢えず中枢核ごと切り裂いた。ここが一番美味いんだが討伐部位だからなぁ………あ、一個は食えるな。うん、美味い。ついでにミスリル自体も喰う。

 さて、残りは一体。殴りかかってきたが腕を竜の鱗で覆い、すぐさまオリハルコンに変える。

 

「───!?」

「砕けろ」

 

 オリハルコンの鱗で覆われた腕で胸を貫き中枢核を引き抜く。こっちは無傷。こう言うのは傷がないと高く売れるんだよな。

 そういや俺の全財産って幾つだっけ?500年ぶん貯まってるからなぁ………少なくとも金に困った事は無いが……。

 

 

 

 

「ただいま」

「お帰りなさい。速かったわね……さっきユミナが来てたわよ」

 

 ギルドで換金してリーンの下に戻る。ん?我が儘姫が来てた?何しに来たんだ?何か新しい神獣と契約したからまた戦え、とか?

 

「バビロンの遺産を公平に探しましょう、ですって……偶然見つけたならともかく、情報をつかんだら共有しろ、と。勝手よね……どうする?」

「答えてやる道理はない………が、まあバビロンは元々あのガキのために残されたらしいしな。義理ぐらいはあるんじゃねーか?まあ、一度だけだな。それ以上は譲歩しない」

「優しいのね……そういうところも貴方の魅力だと思うわ」

 

 クスクス笑ってくるリーン。優しい?単になんか文句が五月蝿そうだからだ。

 

「それじゃあ早速……… 場所はサンドラ王国の南東、ラビ砂漠よ」

「何だ、もう情報掴んでたのか」

「昔、砂漠の中にあった古代遺跡に、ニルヤの遺跡と同じ、六つの魔石が埋め込まれていた石柱があったそうよ? 今は砂漠に飲み込まれて砂の下らしいけどね」

 

 砂漠か、海の底の次は砂漠。5000年前の地形は不明だが、未来を予知できる以上知っててそこに置いたはず。嫌がらせか?

 

「ちなみに冬夜達はもう向かったわよ」

「教えたのか?」

「貴方なら一度だけ許可すると思ってね。それに、別に今から追いつけるでしょう?」

「「庭園」を使いますカ?」

「それ使うと文句言われそうだからな。それに、もっと速い奴がいる………闇よ来たれ 我が望は嵐に住まう竜 リンドヴルム」

 

 片手を上空に向けると、上空に魔法陣が現れそれを雲が覆う。あっという間に雷雲となり、渦巻きその中央から稲妻をまとったドラゴンが現れる。

 鰐のような口に鋭い牙、鷲の前足とライオンの後ろ脚というグリフォンのような身体に、先端が鏃のようにとがった長い竜の尾。背中には蝙蝠のような翼が生えておりバサリと羽ばたけば雲が揺れ動き強風が吹き荒れる。

 

『おお!我を呼んだか!?嵐を呼び起こすこの我を!良いだろう、何が望みだ?殲滅か?全滅か?よし、滅ぼそう!』

「滅ぼさねーよ─………マジックアップ………ハイ・サーチ、バビロンの遺産、ラビ砂漠………よし、っと。リンドヴルム、今からお前に俺の記憶の一部を送る。そこまで飛べ」

『む、滅ぼさぬのか。我はいっこうにかまわん!道中あるであろう街や自然はどうする?壊すか?』

「壊すな。リーン、乗れ………シェスカは庭園で追ってこい」

「リンドヴルム………トーマ、私をしっかり抱きしめてなさい」

「おヤ、ドラゴンの上でナンて………私もぜひ連れて行っテください」

「リンドヴルムははえぇから振り落とされないようにするだけだよ。つー訳で行くぞリンドヴルム」

『承った!ヴェハハハハ!』

 

 ごぅ!と翼を羽ばたかせ高速で空を飛ぶリンドヴルム。景色があっという間に流れていく。

 俺の世界じゃ流星や稲妻の正体扱いされてて、俺が召還した此奴は嵐を纏って現れるから稲妻と勘違いされる。障壁を張って暴風をしのぎ無属性魔法「ベクトルインペル」でのしかかるGを調整する。力の向きを操る某学園都市最強と類似した能力だ。これを使えばのしかかるGの殆どをそらせる。

 とはいえ高速飛行には変わりない。リーンが胸元のポーラを落とさぬようにギュッと力強く抱きしめてくる。

 

「………リンドヴルム、速度上げろ」

『ヴェハハハ!任せろ!』

「え、ちょ──きゃああああっ!?」

 

 

 

「信じられない!貴方ねぇ、少しは同乗者の配慮をしなさい!」

「ご、ごめんなさい……」

「………その、まさかと思うけど私に抱きついてほしくて速度を出させたの?」

「……………」

 

 図星だったので何もいえずにいるとリーンがニヤリと笑う。

 

「ふぅん……?告白して、まだ返事もしてない相手に、ねぇ?まるで盛りのついた犬ね……やり方も小狡いし、もう少し堂々とできないの?」

「抱きしめて良いか?」

「………………駄目よ………まだ……」

 

 と、頬を赤くして顔をそらすリーン。

 延ばしかけた手が虚空をさまよう中不意に俺とリンドヴルムは何かの気配を感じる。

 振り向くと全身水晶のような巨大なマンタが中を泳いでいた。頭…というか体の先頭部分にアーモンド状の頭部らしきものが二つ並んでおり、その中にはオレンジに光る核のようなものが見える。

 

「あ、フレイズよあれ」

「あれが?」

『おお!感じるぞ、敵意だ!敵だ!ヴェハハハハ!ならば我も敵として合間見えようぞ!』

 

 マンタの意識が此方に向いた瞬間リンドヴルムは全身から稲妻を放ち雷雲に流す。ゴロゴロと雷雲から音が鳴り響き万雷の光がフレイズに迫る。

 

「─────!!」

「硬いな。ん?いや、リンドヴルムの攻撃、何時もより弱い?」

「魔力を吸ったんでしょ。リンドヴルムは己が生み出した嵐の中で自然発生した雷を操るけど、それも魔力を伴い威力を上げているから」

『なんと!我が力を糧とするとは、つまりそれは我との戦いをそこまで延ばしたいと言うとか!?何という配慮、我も貴殿との戦いを楽しみたいぞ!ヴェハハハハ!』

 

 と、リンドヴルムが感激している間にマンタの左右の核が光り、光線が発射される。リンドヴルムがゴバァ!と雷を吐き出すと中空でぶつかり大爆発を起こす。

 咄嗟に放ったとはいえリンドヴルムのブレスと互角か……。いや、発言からしてリンドヴルムは加減してやがるな、戦いを長引かせるために。

 

「因みに魔力ってのはどの程度吸えるんだ?参考として知っておきたい」

「知らないわ。自分で試しなさい」

「そーするよ……久々の詠唱魔法だ。日輪よ来たれ 世界を照らし 温もりを生む恵みの光よ 大河を枯らし 地面を割る殺意の光よ 今この場にその権威を示せ メギド」

 

 カッ!とマンタの上に巨大な炎の球体が現れる。マンタの表面が溶け出す。魔法で間接的な攻撃はできると聞いたが、周囲の温度を上げるのも有効か。結界を張ってる俺たちはともかく砂漠も溶けだした。

 と、マンタはメギドの中に突っ込んでいく。魔力を吸う気なのだろう。そして、核が弾け飛んだ。

 

「………あれ、終わりか?」

『何たることか!我が戦友よ、我が主の手に掛かるとは……それも仕方なきこと、より強い者が世を統べる。さらばだ戦友、我は貴殿のことを忘れない!』

 

 此奴のことだから三日後には忘れてんな。んなことより残骸回収しねぇと。

 

「水よ来たれ」

 

 取り敢えず地面を冷やさねーとな。ジュウウゥゥという音を立て固まっていく地面。落ちたマンタのかけらをヒョイと拾いパクリと食べる。うーん、美味いんだが物足りないなぁ。あ、これ核の部分だ。味違うかな?あ、結構濃い。

 

「うわ、君フレイズ食べるんだね」

「何だ、さっきから見てるだけかと思ったら漸くきたか」

「────!?」

「あれ、気づかれてた?」

 

 不意に声をかけられリーンがビクッと振り向く。そこには白髪にマフラーをした男がにこやかな笑みで立っていた。マンタの気配を感じた当たりで此方を伺っていた気配だ。

 

「はじめまして。僕はエデン……君、凄く強いね」

「俺はトーマ。ま、俺は狡してるからな。俺に追いつけるのは狡してる奴だけだ……と言える程度にはまあ狡と努力をしている」

 

 努力してないというとリーンが怒るから、今回はそういう。

 

「お前フレイズについて何か知ってるか?知ってるなら教えろ」

「それは私も興味あるわ」

「良いよ。フレイズはね、フレイズの「王」を探しているのさ。僕と同じ目的だよ」

「…………「王」?」

「おっと、そろそろ行かないと。ちょっと約束があるんでね。じゃあトーマ、また会えるといいな」

 

 エンデはそう言うとその場から消えた。瞬間移動か?

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