「これは一体……?」
刑務所の自分の独房で、斑目は窓から見える景色が異様なことに気付いた。
『風景画にでもすれば、面白いかもな……』
「⁈」
後ろから声が聞こえ、振り返るともう1人の斑目がいる。
「お前は……誰だ?」
『ワシはお前だよ。天才画家のな………』
「天才画家……?何を言っている?ワシの作品は全て弟子たちの盗作で………」
『そうだ。その弟子たちこそがお前の作品だ。たくさん飾っていただろ』
「何を言って……うっ⁈」
—————有終の美くらい……せめて自分の作品で飾れ
「……祐介………」
『アイツの才能は本物だったな』
「ああ、ワシなんか足元にも及ばないほどにな………」
『アイツが羨ましいか?』
「当然だ……。アイツだけじゃない、ワシの弟子たち、全員が羨ましいさ………」
『そうだ。お前の弟子たちはみな、素晴らしい芸術家だ』
「ワシも……本当なら、自分の才能と絵で世に出たかった………」
『だが世の中は上手く渡った者が勝つ。お前は絵画では何も得られず、惨めだった』
「そして盗作に走った……。何人もの弟子を育てては、潰してきた………」
『全く……あの時に自分の才能と作品の価値に気付いていれば、怪盗団に狙われることもなかったろうに………」
「……?才能?価値?」
『才能があったとしても、開花できる奴が何人いる?あれだけたくさんの作品を作ったのは……間違いなくお前だ。』
「?…………⁈ワシの弟子たちは……ワシの作品………」
『そう、お前が作り上げた。お前が……完成させた。お前には、その才能があった』
「ワシは……ワシの
『だがお前は、画家としての成功にこだわり、盗作に走った。皮肉なものだな。お前の才能と作品の価値を、一番理解していなかったのが、お前自身だったとは』
「あ、あああ………」
《絶対に……絶対に………》
「?」
《……世界を奪い取る!》
「祐介………」
『アイツがなぜ、神に歯向かっているか、わかるか?』
「アイツのことだ……神の作ろうとしている世界が、アイツの美学に反するから……美しく、塗り替えようとしてるのだろう?」
『やはり腐っても師であり、育ての親であっただけはあるな』
「何を言う、ワシのどこが師だ……どこが親だ………」
『あんな子供から、なぜサユリのことがバレるだなど考えた?母親ごと始末すれば良かったのではないか?』
「…………」
『あばら屋での日々を、お前は本当に常に仮面を被って過ごしていたのか?』
「分からん……もう分からんよ………」
『……そう言えばアイツ、さっき牢獄の前で、ワシのことを先生と言いかけたぞ」
「え……?」
『許すつもりはいないが、憎み切れてもいない、といったところか………』
「そうか………」
『…………』
「弟子が作品なら、教育もまた芸術だったはず……。そんな着想が浮かばん奴が……画家になどなれるはずがないな」
『…………』
「祐介の言う通りだ。せめて最後くらい、自分で飾らんとな。いい加減、他人に頼って、他人の評価にこだわるのは止めるか」
カッ!
その瞬間、シャドウ斑目の姿が変わる。
ベレー帽を被り、画材道具を両手に抱え、所々絵の具で汚れた服を着たその姿は、まさに芸術家そのもの。
「祐介……ワシが言えた義理ではないが、必ず見せてくれ。お前が神に歯向かってまで求めた……美しい世界を……。お前の……最高傑作を!」
思えば祐介とのコミュイベントで、斑目と祐介の関係を見たのが、この作品を作るきっかけになったのかもしれません。