外に出てみれば、騎士団の新入りであるアルバーノが馬に乗ってこちらに駆けて来るところだった。
ここに誰かが来る時にはいつも後ろに荷物を引いて来るし、最近だとよく騎士団の者が何人か一緒に来るのだが…いや、よく見ればアルバーノの馬に一緒に誰か乗っているようだ。
フードを被っていて顔は見えないが、どうやら私と同じくらいの身長の人間らしい。
アルバーノは焦ったような様子で馬を止めると一緒に乗っていた人間を下ろしこちらに手紙を手渡しながら、申し訳ありませんが彼を頼みますとだけ残し去って行った。
かなり急いでいたし何かあったらしい。
侍女のフェリネースに促され家の中に入り、ひとまず少年を休ませてから手紙を読んだ。
それは手紙というよりはもはやただの走り書きであったが、騎士長の字で簡潔に内容が記されていた。
彼は近隣の星の貴族らしい。
確か…今のところ我が国とは友好関係を築いている国のはずだ。
しかし、例の宰相はどこまでも強欲らしく彼の星にも侵攻しようと画策していたようだ。
同盟国の彼らと他国への侵攻作戦の途中、敵国の兵士に見せかけて彼を捕縛し連れ去ろうとしているところを見かねた騎士長が助け匿うこととなったと…
詳しいことはまた後日ということなので報告を待とう。
「私の名は#1#という。彼女はフェリネース。ここで貴殿の保護を頼まれた。大したもてなしはできないがよろしく頼む」
私が手紙を読んでいる間に侍女が用意した暖かい茶に花の蜜が入れた飲み物を飲んでいる少年に向き直りそう言えば、少年はじっとこちらを見つめなから一言「ザール」とだけ言った。
この少年の名前なのだろう。
名前を呼んでもう一度挨拶をしながら侍女にも手紙を渡しておく。
ここに来た経緯を鑑みるに、少し人間不信になっているのだろう。
警戒されているようだった。
ひとまず汚れた服や身体をどうにかしようと湯あみを勧め風呂に入れた。
彼が居ない間にフェリネースと相談し、彼が落ち着けるようになるまでは何も聞かないことにした。
騎士長が寄こした人間であるし、焦る必要も警戒する必要もこちらにはないのだから。
侵攻作戦がどうなっているのか…というか、騎士団の人間の安否が気になるが、ここに居ては何もできることはない。
戦士の為の祈りを捧げてから夕餉の仕込みをはじめた。もちろん3人分。
肉を適当な大きさに切り表面を焼いているとザールが風呂場から出て来た。
泥が落ちると、私の真っ白な髪に少し似た…それでいて窓から差し込む僅かな光にも反射するほどの美しい銀髪の少年がそこに居た。