あれから鍛錬で私もザールもだいぶ強くなった。私は机上の空論だったのが実践を経ることで本物の力となり、ザールの方も自分の知らなかった技や戦術を覚え強くなっているのが互いに分かる。
2人で鍛錬するという新たなルーティーンが当然のようになってきた頃、身体の成長から間合いを図り損ねたりする様になってきた。成長期だ。ザールは最近ひざの関節が痛くて眠れないらしい。私は彼のように眠れない程ではないが、やはり節々が痛むので参っている。昨日、食事の後に痛み止めの薬を飲んでみたが、今朝は寝坊した。まあ、よく効いているということなのだろう。
最近ますます国の情勢が危うい様で、騎士長はこちらへあまり来られなくなった。代わりに騎士団の誰かが食料や必要物資を持ってきてくれ、ついでに我々の訓練も見てくれたりもしている。ありがたいことだ。
以前騎士長が来た時には彼の指導に熱が入ってしまい、私もザールも大変な目に合った。もちろん騎士長と共に来ていた騎士団の新入り団員も巻き込まれていた。それ以来、騎士長が来ている時には教えを乞うのを少し躊躇ってしまうようになった。まあ、強くなるためには致し方ないことだと最終的には頼み込むのだが…あれは…なんというか、人類にはまだ早い気がする…
まあ騎士長が本当に人間かどうかはさておき、最近身体が痛むのでトリオン体になって訓練を行うようになった。
トリオン体というのは不思議なもので、これに肉体を換装すると様々なことが可能となるのだが、その内の一つで痛覚を遮断する事ができる。トリオン体になっている間は関節の痛みともおさらばできるし、訓練で多少手荒なことをしても問題ない。
トリオン体になって行う訓練では組手をしていても仕方がないので、同じくトリオンで構成されている武器を使用している。私は騎士長が例の私の誕生日に置いて行った黒い杖を、ザールは元々持っていた剣を使っているのだが、ザールの話では他にもトリオンの弾を飛ばして中、遠距離から相手を攻撃できるような武器もあるらしい。
彼の国ではそっちの武器の方が量産しやすく主要らしいが、彼のような貴族など権力のある者達は、自分たちの技術力や財力を周囲にアピールするため武器は剣を使うことが多いらしい。本当に力がある者達は新たな武器を開発するらしいが、態々周囲に宣伝してやることはなく、秘匿性が高いので戦場でしか見られないそうだ。
同じ国の仲間であるはずなのに、互いに協力し合えないとは…悲しいことだ。まあ、我々の星は神なくしては成り立たない。いざという時の為にも、隠し玉が多い方がいいのは理解できる。でなくては、自分達が生きるために身内の誰かを犠牲にしなくてはならなくなる。
私はこんな、数多の屍の上に立つ国が…平和で優しい世界を築けるようには思えなかった。
す、進まねえ~~~!!!