第11話
ナリタでゼロの正体が亡くなった兄だと知ったサフィールはあの後黒の騎士団に入団することになった。
当初は幹部から反対の意見が出ていたが、ゼロがサフィールは自分達の正義に賛同したから入団を許可したと、説明して幹部達にはどうにか納得してもらった。
入団するに合わせて、サフィールはルルーシュから名前を変えるように言われ、フィール・リエステルと名乗ることになった。
しかし、ゼロ以外の全構成員が日本人であるこの組織にサフィールが何事もなく入団したことで不穏な空気が出ていた。
「(仕方ないといえば仕方ないか)」
現在ナリタ戦で消費した弾薬などの物資が届いているか確認しながら、サフィールはこの空気をどうにかなければいけないと考えていた。
とはいえただでさえブリタニアと戦う彼らにとって、ブリタニア人である自分が仲間になる事をそう簡単に受け入れられる訳ではないだろう。
今でさえ団員の中にはサフィールがスパイではないのかという声が出ている。
そんな中どうやってこの空気を払拭すべきかと悩んでいると、サフィールに誰かが近づいてきた。
「ねえ」
「はい、何ですか?」
近づいてきたのは紅蓮弐式のパイロットであり黒の騎士団のエースである紅月カレンだ。
「何で黒の騎士団に入団したの?」
入団した理由を聞いてくるカレンにサフィールはどう答えればいいか迷っていた。
「(兄様のことを言うわけにはいかないしどうすれば・・・)」
「ねえ、聞いてるの?」
いつまでも答えないサフィールがもどかしいのかカレンは聞いてきた。
「見極めたいと思ったんです」
「見極めたい?」
「はい。黒の騎士団が日本を解放した後どうするのか、解放するまでの騎士団の正義が正しいのか見極めたいと思い入団したんです。」
カレンの目を見ながらサフィール自身が黒の騎士団ができて思ったことを答えた。
「あたし達の正義は正しくないっていうの?」
正義があるのか見極めるというか言葉が癇に障ったのか少し苛立ったように聞いてきた。
「その正義が正しいのか見極めるんです。紅月さん達からしたら不快に思うかもしれませんが、私は貴女達の味方のつもりです」
そうハッキリとカレンに告げ、サフィールは目録に記されている物資に漏れが無いことを確認した。
「そう。だったらあたし達の正義が正しいって事をアンタに見せてあげる」
そう言いながらカレンはサフィールに手を差し出した。
サフィールは差し出されたを握手すべきか考えたが、しないのは失礼だと思いおずおずと手を差し出し握手した。
「これからよろしく。あたしのことはカレンでいいわ。もちろんさん付けもいらないわ。」
「はい。よろしくお願いしますカレン」
お互いに握手したサフィールとカレンはそれからもカレンから日本について教えてもらった。
それからもサフィールは他の団員にも日本について聞いてきて、団員は少し驚きながらも色々と話してくれてギスギスした空気は少しずつ改善し始めていた。
数日が経ちラウンジにゼロを含む幹部であるカレン達が集まっていた。
話の内容はキョウトという支援組織から、ナリタ戦での紅蓮弐式の活躍を褒め称えた事を伝える文と直接会いたいという勅書が届いていた。
「(キョウト・・・)」
軍にいた頃は多くのレジスタンスを支援する組織がいる事は知っていたが、その実態は未だに掴めていなかったのである。
「仲間とか言って顔を見せない奴が!どうなんだよゼロ?ああっ!」
キョウトについて考えていると、幹部の一人である玉城の声に顔を上げるとゼロが顔を見せないことへの不満を言っていた。
「ゼロの正体がどうとかって問題じゃないでしょ。」
そんな玉城にカレンが立ち上がりゼロを庇った。
「ゼロはあのコーネリアを出し抜く実力を持った私達黒の騎士団のリーダーなのよ!他に何が必要だって言うのよ?」
確かにナリタではコーネリアを出し抜いたことは事実であり、玉城達もそこは認めているがあの時は状況が状況だったこともある。
「チッ!」
それから誰一人言葉を発することもなく、ゼロは私室に戻り扇や玉城達幹部は外に出て、ラウンジに残ったのはサフィールとカレンだけとなった。
「ねえフィール」
「何ですかカレン?」
「貴方もゼロが正体を明かさないことが問題だと思う?」
カレンの質問に正体を知っているサフィールはどう答えるべきかと思った。
「カレンはどう思ってるの?」
「私は・・・問題無いと思う」
「どうしてそう思えるの?」
「正体がわからなくて不安じゃないって言ったら嘘だけど。それでもゼロはコーネリアを出し抜くほどの実力を持ってるから、私達には必要なの。」
「そうなんだ」
しっかりと考えているカレンにサフィールは強いなと思った。
「貴方はどうなの?」
「私は・・・問題無いと思いますが、やっぱり正体は知りたいと思います」
「どうして?」
「誰だって顔もわからなかったら信じることができないですし、誰だってちゃんと面を向かって話したいでしょう、今の私達みたいに。」
微笑みながら言うサフィールにカレンはポカンとした表情になると、すぐに微笑み返しくれた。
「ふふっ、確かにそうだね。」
お互いに笑い合うとカレンは二階のゼロの私室に向かい、サフィールはその部屋にいる兄がこのまま正体を明かさないのかと考えた。
考えていると少し表情を暗くしたカレンが降りてきて何も言わずに外に出た。
サフィールは二階に上がり扉の前に立った。
「ゼロ、今いいですか?」
「構わん」
部屋に入ると仮面を外したルルーシュがPC端末を操作しながら何か考えているようだ。
「どうしたサフィール?」
「兄様、皆さんに正体を明かす気は無いんですか?」
「残念だが明かす気はない」
正体を明かさないと断言する兄にサフィールは残念そうにしていた。
「話はそれだけか?」
「いや、えっと・・・何を見てるんですか?」
「キョウトとの会合に来る人物をリストアップしていたんだ」
そう言ってリストアップした人物を見せサフィールはその人物達を見ていた。
「兄様は誰が来ると考えているんですか?」
「俺の予想では・・・この人物だ」
操作して出された人物は禿頭の老人だった。
「この老人は?」
「桐原泰三。キョウト六家の重鎮で実質的なトップだ」
「トップが直々に来るなんて」
トップが直々に来ることにサフィールは驚いていた。
「日本解放戦線が壊滅した現状では、殆どの抵抗組織はコーネリアによって殲滅されている。そして、有力な抵抗組織は黒の騎士団以外そう残っていないだろう。」
「確かに解放戦線を援助していたキョウトは、今度は黒の騎士団に乗り換えるべきか今回の会合で確かめると」
「そうだ。そこでサフィール、お前が相手の立場ならどうする?」
「えっ!えっと、やっぱりゼロの仮面を外させると思います。例えばKMFを使ったりして」
相手の立場になって考えて言うと、ルルーシュも同じなのか頷いていた。
「お前も俺と同じ考えか。そうなれば外さざるをえないだろうが俺はそこを逆手に取る」
「逆手に取る?・・・まさか相手のKMFを!」
相手が脅迫に使うKMFを奪えれば優位に立つことが出来るだろう。
「そこまで考えるとはさすがは俺の弟だな」
褒められるとわかるとサフィールは嬉しく思い表情を綻ばせた。
「へへっ」
「お前の言う通り俺は当日相手のKMFを奪いこちらが有利に立つ」
「何か手伝えることはありますか?」
「いや、お前は当日は留守番を頼む」
「そうですか・・・」
兄の役に立ちたかったが手伝えることがないと言われ落ち込んでいると、ルルーシュはそんなサフィールの頭を撫でていた。
「心配しなくてもお前は役に立ってるよ」
ルルーシュに頭を撫でてもらえてサフィールは嬉しく表情を綻ばせていた。
しばらく二人は雑談しサフィールは部屋を出た。
「当日は何も無ければいいな」
留守番となったサフィールは当日は問題なく済むように祈るのであった。
サフィールのブラックリベリオンの分岐点
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カレン達と共に国外に逃亡
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V.V.にナナリーと共に連れ去られる