C.C.からギアスについて教えて貰ったサフィールはあれから騎士団の活動に励んでいた。
そんなある日、扇さんが団員を招集していた。
「藤堂中佐の救出?」
「ああ。そうだ」
藤堂中佐と言えば日本解放戦線に所属する軍人。
当時日本にKMFがない戦時中、ブリタニアのKMF部隊相手に一度だけ勝利したとされ、ブリタニア軍にとって要注意とされていた人物。
「どうして藤堂中佐が捕虜に?」
「それは・・・」
彼ほどの人物ならそう簡単に捕まるとは思えず尋ねると、扇は何か言いにくそうにしていた。
「中佐は我らを逃がすために一人犠牲となられたのだ」
声の方向を見るとそこには解放戦線の制服を着た四人の男女がいた。
「フィール、こちらの方々が藤堂中佐直属部隊、四聖剣の皆さんだ」
「この人達が四聖剣・・・」
四聖剣の名はブリタニアや黒の騎士団にも届いており、その実力はコーネリアの親衛隊にも引けを取らない程だ。
「初めまして、フィール・リエステルです」
サフィールは四人に一礼すると、相手も一礼してきた。
「君の事はこちらに合流していた将兵達から聞いている」
「えっと・・・どのような事でしょうか?」
どう言われているか分からないため、恐る恐る尋ねる。
「ブリタニア人でありながら日本のために戦う同志と皆はそう言っていたよ」
「そ、そうですか・・・」
そんな風に言われていた事に対して、サフィールは何だか気恥ずかしかった。
「そ、そうだ!今回の件についてゼロは?」
「承諾したよ。キョウトからも要請されて、新型機を提供してくれたよ」
「新型機・・・ですか?」
キョウトが新型機を提供するほど藤堂中佐は無くすには惜しい人物のようだ。
「ああ。それとディートハルトが藤堂中佐はチョウフ基地に収監されている事を掴んだらしい」
ディートハルトという言葉にサフィールは聞き覚えがあった。
「(確か・・・そうだ!ジェレミア達が調査を命じた報道屋)」
「フィール、どうかしたのか?」
「いえ、何でもありません。私も新型機の準備を手伝ってきます」
そう言ってサフィールは一礼して格納庫に向かうのであった。
格納庫に到着すると、無頼とは違うKMFが五機並んでいた。
「これが新型機・・・」
「ん?フィール、お前も手伝いか?」
機体を整備していた玉城がサフィールに気づき話しかけてきた。
「はい。玉城さんこれが例の?」
「ああ。キョウトのお偉いさんが用意してくれた新型機の何だっけ?」
「月下だよ。それぐらい覚えとけよな」
機体の名前を忘れていた玉城に代わって南が教えてくれた。
「わーってるよ!あとちょっとで思い出せたよ!」
代わりに答えた南に玉城が怒鳴っていた。
「それよりお前に新しい機体があるってよ」
「え?月下は四聖剣の皆さんや藤堂中佐が乗るはずでは?」
「そっちじゃなくてこっちだよ」
玉城が指さす方を見ると、月下の横に一機だけ無頼が並んでいた。
ただ、通常の無頼とは違い頭部には昆虫の触角のようなアンテナが付いていた。
「これは・・・無頼ですか?」
「無頼改って言って外見は通常の無頼とは大して変わらないけど、内部は強化されていて通常の無頼よりは性能が良いそうだぜ」
「へえ~」
「へえ~ってこの機体はお前が使うんだぞ」
「わ、私がですか?」
南の言葉にサフィールは信じられなかった。
何しろまだまだ新参者である事やブリタニア人である事も含めて、自分に新しい機体を与えられるとは思わなかった。
「まあ、ゼロが言うには騎士団に貢献しているお前へのプレゼントらしい」
貢献しているサフィールに対するプレゼントと言っているが、この無頼改はルルーシュがサフィールの安全性を上げるためにキョウトに要請したのだ。
「ったくよぉ。そりゃ色々とやってるのは認めるけどよお。俺達にもそういうのはあっても良いはずだろ」
「そう言うなよ。実際フィールは入団してから色々と頑張ってるじゃないか」
「そうだけよお。俺が言いたいのはこいつだけじゃなくて俺達にもそういうご褒美みたいなのがあってもいいだろってことだよ」
「わかったわかった。それより作戦が始まる前に準備を終わらせるぞ」
「しゃあねえな。ほら、いつまで呆けてんだよ」
「あ、はい!」
あまりの事に呆けていたサフィールは急いで整備に取りかかる。
そうして作戦開始までに全機体の整備を終えたサフィール達は司令室で、遅れて到着したゼロが作戦概要を説明した。
作戦とは言っても至って単純なものであった。
月下に搭乗した四聖剣が正面ゲートを突破し、基地内の戦力を誘き出して引きつける。
その間にゼロの無頼とカレンの紅蓮弐式が藤堂中佐を救出する。
黒の騎士団の役割は四聖剣の援護に、救出した藤堂中佐に搭乗機を運ぶこと。
また、退路の確保などである。
今回の作戦では、コーネリアはイシカワゲットーでの武力蜂起を鎮圧するため不在である。
そのため、主戦力はいないためこちらにとっては好都合な状況であった。
作戦概要の説明が終え、サフィールは乗機である無頼に乗り込もうとする。
「フィール!」
乗り込もうとするフィールをカレンが呼びかけてきた。
「どうしたんだいカレン?」
「フィールは退路を確保する部隊でしょ。だから、その・・・気をつけてね」
自分を心配してくれるカレンの心遣いにサフィールは嬉しかった。
「はい。心配してくれてありがとうカレン」
「話はそれだけじゃあね」
「はい、カレンも気をつけてください!」
「そっちもね!」
そう言って二人は自信の乗機に乗り込んだ。
「あと180秒・・・」
作戦開始まであと少しのため、サフィールは深呼吸して落ち着ける。
時間になり正面ゲートから爆発が起きる。
月下に搭乗した四聖剣は基地から出撃するサザーランドを次々と撃破していた。
「よし、此方も動きます」
「「了解」」
今回は退路を確保した後、その退路を死守しないといけないためサフィールの他に二機の無頼が僚機としてついている。
手筈通りに基地内の戦力が正面ゲートに向けられ、退路に必要なポイントには装甲車三台と歩兵だけという最低限の戦力しか残っていなかった。
「私が前に出るので一番機と二番機は援護をお願いします」
「「了解」」
トレーラーから無頼改を発進させると、すぐさま敵部隊に向かって突撃する。
敵部隊は突然の敵襲に慌てふためいていた。
無頼改の武装である廻転刃刀を構えると、手始めに一台の装甲車を切断する。
残った二台の装甲車が砲塔を無頼改に向けるが、二機の無頼のアサルトライフルの攻撃によって破壊された。
装甲車を破壊されたのを見て、歩兵達は皆一目散に逃げていった。
「逃げた歩兵は気にするな。退路を確保する事が優先だ」
二機の無頼に警戒するよう指示し、トレーラーに待機させていた歩兵部隊と合流する。
「ゼロ、退路の確保に完了した」
『よし、こちらも藤堂の救出に成功した。こちらは藤堂達と共に残存戦力を叩く』
「了解。こちらはそのまま退路を死守します」
ここまで問題なく予定通りに進んでいたが、チョウフ基地に白いKMFランスロットが現われた。
「スザク・・・」
スザクのランスロット一機に、カレンの紅蓮に藤堂達五機の月下が攻撃を仕掛ける。
しかし、ランスロットは六機の攻撃を全て回避していた。
「凄い・・・!」
パイロットであるスザクの巧みな操縦技術にサフィールは舌を巻いていた。
しかし、ゼロの指揮によってランスロットは徐々に追い詰められていた。
距離を取ったランスロットに待ち構えていた藤堂の月下がランスロットに三段突きを放つ。
だが、藤堂の三段突きをランスロットは回避するも、最後の突きを回避する事が出来ずコックピット近くに刺さった。
藤堂はそのままコックピットを斬り飛ばし、中のパイロットの姿が露わになる。
そこにいたのはやはりスザクであった。
戦闘は続き、藤堂とスザクが競り合った後、四聖剣が四方から同時攻撃を仕掛ける。
ところがランスロットから射出された4つのスラッシュハーケンが突如軌道修正し、藤堂を含む四聖剣の月下の武装に命中して弾き飛ばした。
「これほどの力が・・・」
4つのスラッシュハーケンを飛ばしただけでなく、軌道修正して武装だけを狙って命中させるなど簡単にできる事では無い。
四聖剣は尚もランスロットに攻撃を仕掛けようとする。
「やめろ!!」
そこへゼロの制止する声が響いた。
「兄様・・・?」
いつもとは違う様子のルルーシュの様子にサフィールは心配だった。
「目的は達成した、これ以上の戦闘は無意味だ。確保した退路を使い直ちに撤収する!」
「・・・了解!」
月下からチャフスモークを展開されて煙幕が張り、サフィール達は敵を近づけないよう弾幕を張る。
こうして当初の目的である藤堂中佐の救出は成功した。
だが、アジトに戻ってもゼロは無頼から降りてこず、カレンの表情も暗くサフィールは喜ぶ事が出来なかった。
サフィールのブラックリベリオンの分岐点
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カレン達と共に国外に逃亡
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V.V.にナナリーと共に連れ去られる