チョウフ基地での戦闘から数日が経ち、サフィールはアジトの自室にいるルルーシュに会いに行っていた。
「ゼロ、少しよろしいでしょうか?」
「ああ、構わない」
部屋に入るとそこではルルーシュは仮面を外して何か作業をしていた。
「どうした、サフィール?」
「実は・・・」
サフィールはジャレミア達がディートハルトにゼロと思わしき少年の調査を命じた事を話した。
「なるほど。あいつの情報収集力は侮れないから注意する必要があるな」
「はい、なので報告しておくべきだと思って」
「(そうなるとサフィールとディートハルトを接触させるわけにはいかないな。サフィールから俺の正体に気づかれてしまう可能性がある)」
藤堂達が黒の騎士団に合流したため、再編成している組織図にはサフィールに部隊長の役職に就いて貰うつもりだったが、先程の話を聞いて役職に就かせない事に決めた。
「あの、兄様?」
「ん?ああ、すまないな。わざわざ知らせてくれてありがとう」
「それよりも兄様・・・あのランスロットのパイロットについて何か知っているんですか?」
サフィールはチョウフ基地での戦闘で様子がおかしかったため尋ねる。
「ランスロット?サフィール、お前はあの白兜のパイロットがスザクだと知っていたのか?」
「・・・はい。河口湖でのお礼を言いにいった際に」
「・・・そうか。実は、スザクは俺とナナリーが日本に送られたときにできた友達なんだ」
ルルーシュがスザクと友達だった事を告げると、サフィールはその事実に驚いていた。
「そんな・・・それじゃあ兄様とスザクは・・・」
友達同士でありながらお互い知らずに戦っていた。
そのことにサフィールは辛そうな表情をしていた。
「ああ。俺もお前と同じ気持ちだったよ」
ルルーシュにとっても自分の計画を悉く邪魔する存在の正体が、友達であるスザクであろうとは想像出来なかった。
「それでも俺は前に進むつもりだ」
「でも兄様それじゃ・・・」
このままではまたルルーシュとスザクが戦ってしまいかねないことに、サフィールは止めるべきか迷っていた。
「ふっ、そんな顔をするな。俺もスザクと戦うつもりはないよ。対話できる機会があればあいつに仲間なるよう説得するつもりだ」
心配そうにするサフィールの頭を撫でながらルルーシュは言う。
「・・・分かりました。でも、あまり無茶はしないでください」
「わかったよ。相変わらず心配性だな」
「心配ぐらいしますよ。大切な事ですからね」
それからサフィールはルルーシュと他愛のない話をして楽しい時間を過ごした。
数日後、ラクシャータがインド軍区から調達してきた潜水艇の中でルルーシュが作成した黒の騎士団の組織図が発表されていた。
軍事総責任者には合流した藤堂。
情報全般の総責任者にはディートハルトに任命されたが、やはりブリタニア人だという事で一悶着起きた。
しかし、ゼロ自身日本人でない事を明かしたことによる説得によりどうにか収まった
副司令に扇が選ばれたが、本人はあまり気乗りしなかったが一番の古株である事から副司令になった。
技術開発担当にはラクシャータとなり、本人は当然だという表情だった。
そして、カレンは零番隊というゼロの親衛隊の隊長になった。
カレンはゼロの親衛隊の隊長を任された事にとても喜んでいた。
その後も各隊の隊長が発表されていく。
「第二特務隊隊長玉城真一郎、以上だ」
「よっしゃー!」
自分の名前が呼ばれ玉城が喜んでる中、カレンはサフィールとC.C.の名前が呼ばれてない事に気づいた。
「え?フィールとC.C.は役職なし?」
その二人は部屋の後ろにおり、C.C.は興味ないとばかりに髪をいじり、フィールは名前が呼ばれていない事に気にしていない様子だった。
「ゼロ、一つよろしいでしょうか?後ほど協議すべき議題があります」
それからアジトに戻り幹部達でディートハルトが言った議題について協議されている頃、サフィールは潜水艇の格納庫で携帯端末で放送されたスザクの騎士任命式を見ていた。
「スザクがユフィ姉様の騎士か・・・」
確かにスザクは騎士として相応しい実力を備えているが、彼は日本人だ。
周りのブリタニア貴族はそんなスザクを騎士として認めるとは思えない。
表面上は何も言わないだろうが、陰ではスザクに対してありもしない事を言っているはずだ。
「それにしてもユフィ姉様は無茶するなあ・・・」
騎士の任命は皇族の特権ため、総督であるコーネリアも口出しは出来ない。
だが、内心では色々と言いたい事はあるはずだろう。
コーネリアはユーフェミアを溺愛しているため、騎士には自分が信頼できる人間に任せたかったはずだ。
「はぁ・・・本当にどうなるんだろ」
このままではまたルルーシュとスザクが戦うという状況になるかもしれない事を考えると不安で心配だった。
「兄様も説得するというけど」
実際、あのスザクを無力化する事が出来るのだろうか。
KMFの操縦技術は言わずもがな、軍属であるならそれなりの体術はできるはず。
そう思い一人格納庫でサフィールは悩んでいた。
そんなサフィール達にチャンスが訪れた。
ブリタニア本国の要人を迎えるために、副総督であるユーフェミアが式根島という島に向かっているという情報を入手した。
当然騎士であるスザクも同行するはずだ。
式根島は戦略拠点では無いため戦力は少ない。
そこでゼロはランスロットを無力化して捕獲し、スザクを捕虜にして仲間になるよう説得する作戦を立案した。
折角のチャンスを無駄にしないため、サフィールは気合いが入っていた。
「(兄様のためにも頑張らないと!)」
直ぐさま黒の騎士団は潜水艇で式根島に向かった。
そんな気合いの入ったサフィールの任務はラクシャータ達の護衛だった。
この作戦の決め手であるラクシャータ達が開発した、ゲフィオン・ディスターバーと呼ばれるジャミング装置を設置しなければいけない。
作戦では味方の救援に現われたランスロットを、ゼロを囮にして装置の場所に誘き寄せて無力化する。
そのためこの装置は非常に重要な物のため、破壊されるわけにはいかず気の抜けない任務である。
そして、黒の騎士団はブリタニア軍に気づかれず式根島に上陸する。
基地を襲撃する藤堂の部隊に、ランスロットを誘き寄せるゼロの囮部隊、最後にゲフィオン・ディスターバーの設置と護衛する三つの部隊に別れて行動を開始する。
予定通りに藤堂の部隊が基地を襲撃により、守備隊は混乱をきたしていた。
「こっちは準備OKよ」
ラクシャータから装置の設置が完了した事が伝えられ、サフィールはゼロに通信をつなげる。
「わかりました。ゼロはこちらの準備は完了しました」
『そうか。こちらも現われたところだ』
その言葉から予想通りランスロットは現われたようだ。
「ではこちらも移動を始めます」
このポイントにランスロットを誘き寄せるため、一旦サフィール達護衛部隊はこの場を離れる必要がある。
『ああ、頼む』
通信を切りサフィール達はこの場所から一旦離れる。
そして、予定通りゼロが囮となってランスロットを誘き寄せ、二機は砂丘を飛び越え窪地にそこへ向かう。
ランスロットが無頼のアサルトライフルを弾き飛ばし、MVSを無頼に突きつける。
そこへラクシャータがゲフィオン・ディスターバーを起動し、範囲内の二機は動かなくなった。
それに合わせて藤堂達やサフィールは姿を現し窪地を包囲する。
「出てきてくれないか、枢木スザク」
機体から降りたゼロの呼びかけに、少ししてスザクも機体を降りる。
そこからゼロが仲間になるようスザクを説得する。
「兄様・・・スザク・・・」
会話の内容はこちらには聞こえず、サフィールは上手くいくように祈るしかなかった。
しばらくしてスザクはゼロの持っていた銃を奪い、ゼロの頭へ突きつける。
そのままスザクはゼロをランスロットのコックピットに誘導する。
「一体何を・・・?」
スザクの突然の行動に驚いていると、レーダーに多数の反応を感知した。
「これが味方に対してやる事なのか!」
いくらスザクがナンバーズだとしても味方である事に変わりはない。
そんな味方もろとも敵ごと撃とうというやり方に怒りが湧き上がった。
『ゼロ!』
ゼロを助けようとカレンはゲフィオン・ディスターバーの範囲内に入り込んでしまい、紅蓮弐式は動かなくなった。
『全機弾幕を張れ!全弾撃ち尽くしても構わん!』
藤堂の命令一下、黒の騎士団はゼロを守るために全力で対空射撃を開始する。
ミサイルを次々と撃ち落としていき、これなら大丈夫だと誰もが思っていた。
「あ、あれは・・・・・・!?」
残り少なくなったミサイルの背後から、空を飛ぶ巨大な航空戦艦の影がサフィール達を覆った。
団員が航空戦艦へアサルトライフルを向けて撃つも、何かシールドのような物が展開されており通用していなかった。
そして、航空戦艦の下部ハッチが開き、そこに何か光が見えた。
下部ハッチから見えた赤黒い光は窪地に向かって降り注いだ。
「兄様ーーー!!」
サフィールのブラックリベリオンの分岐点
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カレン達と共に国外に逃亡
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V.V.にナナリーと共に連れ去られる