それは突然のことだった。
『今すぐ指定のポイントに来い。それと変装することは忘れるな』
黒の騎士団本部のあてがわれた私室で過ごしていたサフィールに突然C.C.から
呼び出された。
端末に送られたポイントは租界の中であるため、無断で行くわけにはいかずルルーシュに連絡を取ってみる。
「あれ?出ないな…?」
普段なら連絡すれば出るはずが、この時ばかりは出てこなかった。
「……まさか、兄様の身に何か?」
そう考えれば自分を呼ぶ理由も納得できる。
カレンは別の用事で騎士団を休んでいる。
他の団員では租界で目立つが、サフィールであればブリタニア人であるためあまり目立つことはない。
サフィールは急いで変装して指定されたポイントに向かうのであった。
「えっと……これは一体?」
急いで指定されたポイントに向かったサフィールだったが、向かった先はアッシュフォード学園と呼ばれる学園だった。
しかも、何やらイベントをしているのか騒がしく園内には屋台が多く、生徒以外の一般の来場者も多くみられた。
突然呼び出されて緊急事態かと思えば、学園のイベントという事実にサフィールは頭を抱える。
「どうしたの君?」
「え?あ、いえ私は…」
「もしかして迷子?」
頭を抱えるサフィールに受付の生徒が声をかけてきた。
どう答えるべきか迷っていると、サフィールは見覚えのある人物を見つけた。
「すいません!私はこれで!」
「あ、ちょっと…!」
受付を振り切って学園に入ったサフィールは目的の人物に近寄る。
「ん?遅かったな」
それはこの学園の制服を着たC.C.だった。
「遅かったじゃないですよ!緊急事態って言ってましたけど、これのどこが緊急事態何ですか?」
「ふっ、流石のお前もこれを見れば事の重大さがわかるだろう」
そういってC.C.が取り出して見せたのは、KMFによって作られる世界一のピザと書かれたチラシだった。
「………まさか、これですか?」
「そうだ。折角だからお前にも味わせてやろうと思ったんだ、感謝しろよ」
自分が作るわけでもないのに堂々とするC.C.にサフィールは言葉が出なかった。
「そうですか。それでは私はこれで…」
「待て、始まるまで暇だから一緒に回るぞ」
「え!?ちょっと……!?」
本部に帰ろうとするサフィールをC.C.は腕を掴むと、無理やり学園を連れまわし始めた。
様々な屋台や見世物を回っていたサフィールは初めて体験することばかりで、今では笑顔で楽しんでいた。
そんな楽しそうにするサフィールを見たC.C.は笑みを浮かべていた。
「そういえば、その世界一のピザはいつ始まるんですか?流石にマスコミや軍人がいるので長居するわけには……」
ちらほらと見えるマスコミや軍人の姿にサフィールは落ち着く。
そして、楽しんでいたサフィールは今回の目的ともいえるメインイベントである、世界一のピザがいつ作られるかC.C.に尋ねる。
「知らん」
バッサリと告げられた一言にサフィールは何でそんな堂々とできるんだろうと思った。
「わからないなら聞けばいいだろう。そこにいる奴に聞けばいいはずだ」
C.C.はベンチに座っている男子生徒に近づく。
「あれってもしかして……?」
サフィールは座っている男子生徒の後姿に見覚えがあった。
「おい!お前!世界一のピザというのは何時できるんだ?」
男子生徒は立ち上がって振り返る。
「何だ、いたのか」
その男子生徒はルルーシュだった。
「勝手に行動する…なっ!?」
うろちょろしているC.C.に苦情を言おうとしたルルーシュは、C.C.の近くにいるサフィールに気づき驚いていた。
「こっちへ来い!」
ルルーシュはC.C.の腕を掴むと、急ぎ足で何処かへ移動しサフィールもその後をついていく。
「お前は何を考えているんだ!この大事な時に勝手なことをするな」
倉庫までC.C.とサフィールを連れてきたルルーシュは当然のごとく怒っていた。
「世界一のピザとあるからこいつにも折角だから食べさせてやろうと思ったんだ」
「すいません兄様、勝手なことをして」
詫びる気すらないC.C.と申し訳なさそうにして謝るサフィールにルルーシュは頭を抱える。
「いや、サフィールは悪くない。悪いのはそこの魔女だ」
「酷い言いようだな。こいつだって随分と楽しんでいたぞ」
「だからといってマスコミや軍人いるんだぞ。サフィールの正体がばれたらどうする?」
「兄様、C.C.さんを責めないでください。私がすぐに本部に戻ればよかったのに、一緒に回っているうちに楽しくなって………」
C.C.を庇うサフィールにルルーシュは溜息を吐く。
「はぁ……ピザは俺が持っていく。それまで人に見つからないところで待ってろ」
「食べるなら出来立てがいい」
妥協したルルーシュに対して、C.C.は我儘な要求をしてきた。
「俺の話を聞いていなかったのか。マスコミや軍人がいるんだぞ!」
「だったらこいつのように変装道具を持ってこい」
ああ言えばこう言うC.C.にルルーシュは頭が痛くなってきた。
そこへ誰かが倉庫に入ってきた。
C.C.とサフィールは物陰に隠れ、ルルーシュは誰が入ってきたか確認する。
入ってきたのはカレンと扇にブリタニア人の女性だった。
「(あれって………ヴィレッタ?)」
しかし、サフィールは女性に見覚えがあった。
雰囲気はだいぶ違うが、純血派の副隊長であるヴィレッタだ。
どうしてヴィレッタが扇と一緒にいるかわからずに混乱する中、さらに倉庫に誰かが入ってきた。
入ってきたのスザクとオレンジ色の髪の女子生徒だった。
カレンはすぐに扇とヴィレッタを物陰に隠して女子生徒と話し始める。
「まったく面倒な…」
ルルーシュは状況を打開するためにトランクからスイッチを取り出す。
「すみません兄様」
「だったらギアスを使えばいいだろう」
「C.C.!ここでそれは言うな!」
C.C.が打開策としてギアスを使うことを助言するが、サフィールがいる前であるためかルルーシュは小声ながらも諫める。
当のサフィールはカレンやスザクたちのほうを気にしており聞こえていなかった。
「それに今扇とよくわからない女にギアスを使うのは危険すぎる。それに……ほかのメンバーは使用済みばかりだ」
「自業自得だな。よく考えもせずに使うからだ」
「お前は!今の状況を!」
「お、落ち着いてください兄様!」
危険な状況であるのに何とも思わないC.C.に苛立つルルーシュに、兄の小声ながらも怒る声にサフィールは慌てて落ち着かせる。
「あれ、ルルーシュ?そこにいるの?だったら話したいことがあるの」
声が聞こえたのか女子生徒がルルーシュを見つけ話しかけてきた。
「ひとまず、お前とサフィールは逃げろ。シャーリー、後でいいかな?」
ルルーシュは立ち上がってシャーリーという女子生徒に近づく。
サフィールとC.C.は隠れて逃げる機会を窺っていると、パネルが倒れピンク色のスモークが倉庫内に噴射された。
「やれやれ、何をやっているんだか。行くぞ、サフィール」
「は、はい!」
二人はこのパニックに乗じて急いで倉庫から出た。
その後はピザができるまでの学園の屋上で待つことにした。
そして、遂に世界一大きいピザ作りが始まった。
このアッシュフォード学園が所有する第3世代型KMFガニメデに搭乗するスザクの操縦によって、ピザを器用に回し始める。
「凄いなぁ……」
幾ら熟練のパイロットでもあんな簡単に生地を回すことが難しいと思われる。
それをスザクは見事に回す姿にサフィールは感心していた。
「やっと始まったか。随分と長かったな」
紙皿を手に持つC.C.は長く待っていたことに退屈していた様子だった。
ピザを食べたらあとは本部に戻るだけのため、出来るのを待つだけだったがここでハプニングが発生した。
ユーフェミアがお忍びでこの学園に来ていたことがバレてしまった。
そのせいで生徒たちや来場した一般客にマスコミがユーフェミアに殺到し始めた。
「ユフィ姉さま!?どうしてここに?」
サフィールはユーフェミアがいたことに驚きをあらわにしていた。
そんな中、C.C.だけはある一点を見ていた。
「ピザが……」
それは木に引っかかったピザだった。
この騒ぎで操縦に集中していたスザクは、ユーフェミアに気を取られてピザを落としてしまったのだ。
C.C.は悲しげな様子で落ちたピザを見ていた。
そうしてる間にスザクがガニメデで人混みからユーフェミアを救い上げた。
「よかった…」
姉が助かったことに安堵するサフィールだったが、次の瞬間予想もしないことが起きた。
「私、ユーフェミア・リ・ブリタニアはフジ山周辺に行政特区日本を設立することをここに宣言します!」
「え?ブリタニアが日本を……認める?」
ユーフェミアの宣言にサフィールは呆然とするしかなかった。
ユーフェミアはゼロにも特区への参加を呼びかけ、来園していた日本人はこの宣言に喜びの歓声をあげていた。
突然の宣言の呆然としたサフィールは、しばらくして落ち着くと急ぎ足で本部に戻るのであった。
サフィールのブラックリベリオンの分岐点
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カレン達と共に国外に逃亡
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V.V.にナナリーと共に連れ去られる