隣のほうから来ました   作:にせラビア

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LEVEL:17 英雄誕生

クロコダインの断末魔がロモス国中に響き渡る。それは百獣魔団が敗北し、このロモス攻防戦に決着がついたことを示す合図となった。

獣王の最期の叫びを耳にした百獣魔団のモンスターたちは、さながら主を失った獣の群れが四散するかのように戦意を失い、森へと逃げて行く。

それを見たロモスの兵たちは、魔王軍を追い払い勝利できたことに沸き立ち、大いに喜んだ。互いに肩をたたき合い、手にした武器を天へと突きあげて生き延びた感動を表現する。重軽傷者は多数ではあるものの、初動と対応が早かったおかげか奇跡的に死者はいなかった。民間人もまた、避難誘導が早かったおかげで本来の歴史よりも被害はぐっと少なくなっている。

国中の誰もが勝利に酔いしれる声が、風に乗って王宮の謁見の間まで聞こえてきていた――獣王痛恨撃で開けた穴から届くのが一番大きな声だというのが少々シュールではあるが。

 

「どうにか……勝てたみたいね……」

「そうだよな? 勝ったよな? おれら、生きてるよな?」

「ええ、ポップもダイもチルノも、みんな生きてるわよ」

 

チルノが呟いた言葉を聞いて、ポップはまだ現在の状況が信じられず夢か何かではないかというように周囲に尋ねた。既に悪魔の目玉によって締め上げられた痛みはマァムのホイミによって治療されているため、咳き込むことなく話せる。

そんなポップの言葉を聞いたマァムが、ポップの片腕を掴みながらその言葉を肯定する。

 

「信じていいんだよな? おれ、なんだかまだ夢みたいでよ……」

「まだ信じられないなら、これでどう!?」

「あだだだだだっ!! なにするんだよマァム!!」

 

目覚まし代わりとばかりに、ポップの片腕に刻まれた乱杭歯でつけられた傷の部分を少し力を入れて掴んだ。傷口に圧を加えられたことで当然のように痛みが走り、ポップは目の端に涙を浮かべながら慌ててマァムの手を振り払う。

 

「ほらね、痛いってことは生きてるってことでしょ?」

「いや……そりゃ確かに、この上ないくらい実感したけどよ……もう少しやり方ってもんがあるだろ……」

 

悪びれなく言うマァムに対して、ポップは歯切れ悪く答えた。確かに彼の言うように悪夢からでも目覚めることが出来そうなくらいに刺激的な一発だったが、仮にも僧侶の修行を受けた女のやることかと少しだけ不満があった。

もちろんマァムも誰に対してでもこんなことをするわけではない。活を入れる相手は選ぶし、それと加えて彼女も勝利に浮かれているところがあるようだ。

 

「ごめんごめん。そっちの傷も治すから。ポップ、腕を出して」

「……いや、これはいいよ」

 

出血跡の残る右腕を左手で押さえながら、ポップはマァムに対して半身になるように少しだけ体を引いた。それはマァムから右腕の治療を受けたくないと思う無意識からの行動だった。

 

「この傷は、おれのケジメみたいなもんだ。残しておきてえんだ……すまねぇ……」

 

ポップの中では、あのゾンビは未だ本物のアバンの遺体だという思いが残っていた。頭では違うと分かっていても心のどこかで責任感を感じ続けており、それが奇妙な形となって噴出してしまい治療を拒んでしまう。

その気持ちはマァムにも理解できないものではなかった。彼女にとっての魔弾銃のように、どこかでアバンとの繋がりを求めてしまっているのだろう。ポップの場合はそれが傷跡だったのだ。

その感情は立派だ。ただし、あれが本物であれば。

 

「ポップ……あのね……」

「治してもらった方がいいわよ」

 

それを諭そうとマァムが何かを言うよりも早く、チルノが割って入った。

 

「チルノ!?」

「まだ休んでいて! あなたの方が重症なのよ!!」

 

サタンパピーたちと死闘を繰り広げ、それ以前にはクロコダイン相手に時間稼ぎまで行っていたのだ。チルノの怪我と疲労は限界を突破していると言っていいだろう。

彼女は体を無理矢理引きずるように動かして、ポップたちのところへと歩み寄ってきていた。慌ててマァムが駆け寄り、ふらつくチルノを支えようとする。

 

「大丈夫。自分で回復したから、なんとか……」

 

肩を貸そうとしたマァムを手で制しながら、チルノは二人にそう伝える。ダイの決着を見ながら少しだけでも回復魔法を使ったおかげで、瀕死状態からは抜け出せていた。それに今のチルノには、自身の体よりもポップたちの方が問題に思えてしかたなかった。

 

「あの傷、変な毒が入っているかもしれないから、キアリーと併用で念入りに治療してあげて」

 

近くに来ていたマァムにそう伝えてから、今度はポップの方を向く。二人ともまだあの偽アバンのことを気に病んでいると思っているチルノは、その想いを断ち切らせようとしていた。勿論、本当は生きていると公表するわけではない。そもそも、それを言うのは容易いが、言ったところで気休め程度の作り話としか受け取ってもらえない可能性がある。

それよりももっと、しっかりとした物証をチルノは持っているのだ。それを使うことにした。

 

「ポップもマァムも聞いて。あれは絶対に先生の偽物よ。本当の先生なら絶対にあんなことはしない。だから、ポップが責任を感じることもない。あなたは、ザボエラの手で冒涜された死者を葬ってあげただけ。私が保証するわ」

 

そう言うとチルノは自身の道具袋から一冊の手帳を取り出す。

 

「だって先生はここにいるんだから」

 

手帳を開きパラパラとページを捲ると、あるページで手を止めてポップへと見せる。

それは便宜上アバンの手記と名付けられた物。アバンがデルムリン島から出て行く際に、彼女一人でも修行が出来るようにとチルノに渡したものだ。この手記にはダイとポップについても書いてあることを彼女は既に見ているので知っており、その中のポップについて記述している部分を見せていた。

 

「これは……これ、先生の字か!? しかも、おれに宛てた内容じゃねぇか!?」

 

見せられた手帳を少し読んだ後に、ポップはひったくるようにそれを奪い取ると大慌てで目を走らせる。

 

「こんなもの知らねぇぞ!? ダイについても書いてある……なんだよこれ!?」

 

そこに書いてあるのはダイとポップへの修行方法や注意点など。どうしてこんなものがあるのか? そしてどうしてそれをチルノが持っているのか? ポップの混乱が増していく。

 

「デルムリン島で遺品を整理していたら出てきたの。この手帳、隠すように置いてあったし、それにポップは出発するときにバタバタしてたからね。見落としてたんじゃないの?」

「いや、確かにそうだけどよ……」

「冒頭を読めばわかるんだけど、これはダイの修行の二日目の夜に書いたみたい」

「ええっ!?」

 

そう言われて慌ててページを捲ると、そこには確かに二日目に行った修行内容が書かれており、それはポップの知る内容とも一致する。

そして「万が一のためにこれを書き残しておく。望むらくはこれが無用の物とならんことを……」といった一文があった。

 

「何か、予感があったのかもね……だからきっと、こんなのを書き残してくれて……」

 

何度も文字を見返しながらチルノの言葉をポップは耳にしていた。修行方法として集中力を高める方法や古い知り合いである魔法使いへの紹介状。そしてデルムリン島での修行中に見せたチルノへの指導を褒めたことなど、短時間で書いたとは思えないほどの充実ぶりにポップの目には自然と涙が溢れ出していた。

 

「ポップ。こんなに私たちのことを心配してくれている先生が……あんなことをするはずがない……まだ信じられない?」

「いや、信じるよ……そうか、先生は……ここにいるんだな……」

 

手帳を強く握りしめながら、ポップは憑き物の落ちたようなさっぱりとした表情でそう言った。

 

――よかった。

 

ポップの様子を見ながら、チルノはそう心の中で呟かずにはいられなかった。

もしかしたらロモスのこの大惨事も自分の影響かもしれない。そう考えるチルノにとってみれば、ポップの心を少しでも軽くしてあげることが出来たのは僥倖だった。

話をしている最中、何度本当のことを言おうと思ったことか、その誘惑の数は計り知れない。だが全ては未来のためと信じて、手帳を見せて話をするだけに終始できた。

手帳を渡されたから。そして中身について知っていたからこそなんとかなったが、もしもこういった品物が何もなければ、チルノはうっかりと真実を喋っていたかもしれない。

ひょっとしたら、アバンは本当にこういう場面を想定してチルノに手記を渡したのではないかと思ってしまうほどだ。

やがて、ポップは手にした手記を何度も読み返し、そして気づいた。

 

「なあこれ、マァムについても書いてあるぞ」

「え?」

 

それはチルノにとっても初耳だった。確かにチルノはアバンから手記の内容については聞いており、ダイとポップについての記載内容も少しだけだが目を通している。だがマァムについて書いてあることなど知らなかった。

 

「ほら、見てみろよ」

 

そう言ってマァムとチルノの二人に見えるように手帳をかざす。そこには確かに「ここからはマァムについて記載するので、本人以外は読まないで下さい」という趣旨の前置きが掛かれている。肝心の記載内容については次ページに書かれているらしい。ページを捲る必要があるため、すぐに見ることは出来ない。

なるほど、こうやって別ページに書かれていたから、気付かなかったのかとチルノは一人納得していた。

 

「ちょっと! 勝手に見ないでよ!」

「見てねぇよ。ほらよ、マァム」

 

慌てたようにポップから手帳を受け取ると、彼女もまた食い入るように読み進める。

 

「先生、とっくに卒業したはずの、私のことも気にしてくれてるんだ……どこまでもすごい人ね……」

 

しばし熟読した後、顔を上げるとマァムは涙を零した。そこに何が書かれていたのかは、彼女しか知らない。だがマァムにも何らかの影響を与えたようである。

彼女もまた迷いの晴れたような表情となり、そして手帳を返そうとして気づいた。

 

「あら、まだこれ続きが……ヒュンケル? 誰のことかしら?」

 

その名前を聞いた途端、チルノの心臓が飛び跳ねる。なるほど確かに、マァムの名前が書いてあるのだから十分予想できるはずだったのに。やはり大魔王に地上世界一の切れ者と評されたのは伊達ではないようだ。

 

「ヒュンケル~……? そんな奴いたか?」

「ポップはもう忘れちゃった? ダイが空裂斬の修行をしていたときに名前が出たじゃない」

 

名前を聞いたポップは、だが案の定そのことは忘れていたようだ。記憶を思い出すように補足してやると、得心が行ったとばかりに手をポンと叩く。

 

「あー……そういえば……!」

 

本来の歴史では、ポップにとって色々と忘れられない名前になるのだが、今はまだ反応もこんなものだろう。

未だ手帳を手にわいわいとやっている二人から離れ、チルノはダイのところへと向かった。

 

 

 

「ダイ、怪我はない?」

「あ、姉ちゃん……」

 

チルノが声を掛けるまで、ダイはずっと何か思うところがあるように外を眺めていた。クロコダインが転落した大穴をこれ幸いと利用して、遠くを見つめている。

その表情は勝利に喜ぶロモス中にあって一人だけ浮かない顔をしていた。

 

「うん、怪我は平気だよ」

「嘘ばっかり。傷だらけでしょう。ほら、治してあげるから……」

 

ブラスの呪文を受け、クロコダインと死闘を演じていたダイが無傷なはずはない。メラミを受けた火傷は生々しく、斧が食い込んでつけられた傷跡が肩口に目立つ。そこから流れていた血が固まって黒い染みになっているのだ。

それでも怪我は平気と虚勢を張る弟の姿を見かねて、チルノはケアルラの魔法を唱えて傷を癒していく。

 

「姉ちゃんと比べれば、おれの傷なんて……」

 

ダイが姉の治療を受けるのは別にこれが初めてというわけでもない。デルムリン島にいた頃は、何度もあったことだ。だが今回に限れば、ダイはチルノの回復魔法を受けながらさらに表情を暗く沈んだものにしていた。自分の怪我など二の次だとばかりに泣きそうな顔で俯いてしまう。

 

「……とりあえず座ろうか?」

 

魔法による治癒を終えたチルノは、ダイの様子に何があったのか心情を察する。とりあえず弟の肩を叩きながら自身も床の上に座り込むとダイもそれに倣って腰を下ろした。そうして目線の高さを合わせてから、チルノは優しく心配するようにダイの顔を覗き込んだ。

 

「なにかあったの?」

「……うん……おれ……」

 

後ろめたいことがあるかのように、ダイは姉から微妙に視線をそらしながら、それでもゆっくりと囁くように話し出した。

 

「おれさ、ネイル村ってところで……ミーナって子を、危険な目にあわせちゃったんだ……村にクロコダインが来て、それで倒すために戦って。でも、おれの不注意で……!!」

「そのミーナって子に、クロコダインの攻撃が当たったの?」

「ううん。クロコダインは焼けつく息(ヒートブレス)って言ってた。その息を避けたんだけど、後ろにミーナがいて……でも、マァムが庇ってくれて……」

「そう……」

 

ダイの語るネイル村での一幕は、ずっとデルムリン島にいたチルノにとっては知らない情報である。彼女が知る本来の歴史ではネイル村にダイたちが辿り着くのはクロコダインと戦った後のはずだった。

魔の森で迷うことなく進めるようにと地図に念入りに道順を描いたことがこういう影響を与えたかと、彼女はこっそりと思う。

 

「その時おれ、思ったんだ……姉ちゃんがいてくれたらもっと楽に勝てるって……勇者だなんだって言ってるけれど、本当は一人じゃ何にも出来ないんだって……」

 

話をしながらダイは俯き、肩を震わせて悔しさのあまり涙を流す。

 

「今の戦いだってそうだよ……姉ちゃんは誰よりも早くお城に来てクロコダインの相手をしてて、そのうえブラスじいちゃんも助けてくれた……おれはただ、ブラスじいちゃんを守って、全部が終わった後でクロコダインを倒しただけで……姉ちゃんがいないんじゃ、おれは勇者でも何でもないんだって……全部、姉ちゃんに任せた方がいいんじゃないかって……」

「そう……」

 

ダイにとってみれば今までの活躍は全て、前に出て何も考えず剣を振っていただけに思えていた。姉の言葉に従って戦っているだけ。かといって姉がいなければ、ネイル村のときのように失敗して誰かを危険に晒してしまうかもしれない。

それを恐れるあまりに、姉の言うことだけを聞くようにすればいいと考えてしまう。事実、先のクロコダイン戦でもそれで上手くいっているために、余計にたちが悪い。

チルノはダイの頭に手を置くと、優しく撫でる。激闘を戦い抜いた苦労を労わる様に二度、三度と撫でてから、そのダイの頭に拳骨を落とす。

 

「あでっ!!」

 

頭を撫でる心地良い感触に身をゆだねていたダイは、突然の痛みに驚き顔を上げた。

 

「ダイ。あなたが前に出て戦ってくれるから、私はフォローが出来るの。でろりんの時もバロンの時も、ハドラーの時も、今のクロコダインを相手にしたときだって勿論そう」

 

顔を上げたダイに向けて、チルノはゆっくりと優しく諭していく。決してダイは何も出来ていないわけではないのだ。

 

「私を信じてくれるのは嬉しい。でもね、今のダイは私を信じるんじゃなくて依存しているだけ。それに、私だってそんなに上手く出来てるわけじゃないわ」

 

そう言うとチルノは服を捲り上げる。

 

「ほら、ダイがいなかったから、こんなことになっちゃった」

 

そこから見えてきたのは、先の戦いで刺された傷跡と斧による一撃を受けた際の痛々しい打撲跡だった。回復魔法で癒したとはいえまだ完治しているわけではない。動けば痛むし刺された部分は塞いだとはいえ皮膚が突っ張って違和感を覚えるほどだ。

それを見たダイは思わず絶句する。あまりにもチルノが気にした様子を見せないから、ここまで大怪我をしているとは考えが回らなかった。

 

「失敗したって思ったなら、その失敗を次にどう活かすかが重要だと思う。ダイはそのミーナって子を危険に晒した事があったから、今回はおじいちゃんを必死で守り続けたんでしょう?」

 

だがチルノはダイが不安の言葉を言うよりも早く、弟へ次の言葉を投げかけた。心配をかけさせるのは良い気分ではないが、今はそれよりもダイの気持ちが問題だ。ダイが自分の怪我の事を二の次だと思っているように、彼女もまた自分の怪我は二の次と捉えていた。

 

「もっと自信を持って大丈夫よ、最初っから上手くできる人なんていないんだから。私を真似して上手くいくなら、どんどん真似して自分流に昇華させなさい。一人じゃ出来なかったら、周りの人に助けを求めたっていい。協力しあうのが仲間でしょう?」

「……うん! 姉ちゃん!! おれ、頑張るよ。もうこんな怪我、姉ちゃんにさせない!」

 

ダイの言葉にチルノも微笑む。まだ完全に理解しているかは怪しいが、それでもあのまま落ち込んでいるよりはずっといい。

 

「いい顔になったわね。それじゃ、ポップのところに行ってきなさい」

「ポップのところ?」

「聞こえてなかったのね……先生が手記を残してくれてたのよ。それにはダイのやり残した修行についても書いてあるから、見てくるといいわ」

 

その言葉に驚きの声を上げながら立ち上がると、ダイはポップのところへと急いで近寄る。チルノもそれを追って、ゆっくりと歩いて行った。

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

その夜、ロモスでは祝賀会が開催された。

獣王クロコダインを打ち倒し、百獣魔団を相手に国を守り抜いたことを祝して行われたものだ。

百獣魔団の爪痕は残り、未だ怪我人や壊れた建物などは散見され、復興が後に控えているために平時よりも慎ましやかな物であったが、それでも賑わいは盛況である。かつてチルノとダイが偽勇者事件を解決した際にも盛り上がりを見せたが、今回はそれを上回るほどの大盛況となった。

当然渦中の人物であるダイ・ポップ・マァム・チルノの四名はひっきりなしに訪れる人の対応に追われて、大わらわとなる。

 

やがてそんな宴も終わり、夜も明けた次の日の朝、ダイたちは玉座の間へと集められていた。

 

「ダイ、チルノ、ポップ、マァム……そして我が城の兵士諸君。昨日は皆、良く戦ってくれた」

 

未だ激戦の痕跡と破壊跡が残る謁見の間にて、玉座に座したシナナ王が厳かに声を上げる。その前には跪いた四人の姿があり、さらにその後ろには兵士たちが整列している。

 

「特にダイとチルノの二人には、先の偽勇者事件から世話になっておる。この度の勝利もまさに、お主たち姉弟のおかげじゃ……」

 

王の言葉に兵士たちから惜しみない拍手が送られる。ダイとチルノは、それを恥ずかしいようなむず痒いような表情で受け止めた。

 

「もはや、名実ともに勇者と賢者にふさわしく成長したといえよう。晴れて今日から正式に"勇者"と"賢者"を名乗るが良い」

「おおっ!!」

「やったな! 二人とも」

「おめでとう!」

 

シナナの言葉に兵士たちはどよめき、ポップたちも口々に祝いの言葉を述べる。だが当の二人は浮かない顔だった。

 

「国王様。大変申し上げにくいのですが、その称号を受け取るわけにはいきません」

 

まず口を開いたのはチルノだった。賢者の称号を辞退するという言葉に、玉座の間にいた全員が声を上げる。

 

「私がロモスに来たのは、おじいちゃんを助けたかったからです。おじいちゃんが連れ去られたのは、私がまだ未熟なためです。すべて私の都合であって、ロモスに駆け付けたのも偶然にすぎません。王様に頂いた、未来の賢者という称号だけでも私には過分すぎます。こんな私が賢者を名乗っては、他の賢者に申し訳が立ちません」

 

頭を下げながら、精一杯にそう言う。

だが本心は相変わらず、自分の名前と知恵者の称号が組み合わさるのが嫌なだけであり、そのための必死の言い訳だった。

誰が頼んだわけでもないのに、どこまでも名前の呪縛に囚われ続けている。

 

「ふむ……ダイ、そなたはどうじゃ?」

「おれは……」

 

チルノの言葉を聞き、シナナは少しの間目を閉じて逡巡した後にダイへと問いかける。

 

「おれも、まだいいです」

「やはりか……訳を聞いてもよいか?」

 

辞退者が二人目ということもあって、今度はどよめきが起こることはなかった。その返答はシナナも予想していたようで、驚くことなくダイへと尋ねる。

 

「おれがやったことなんて、ほんの少しでしかなくて……ポップもマァムも姉ちゃんも、それにお城のみんなが協力して力を合わせたから勝てたんだ。おれが勇者なら、みんなも勇者だって思うんです」

「ダイ……」

「だから、姉ちゃんのように、せめて勇者の名前に恥じないくらい強くなって、みんなを守れるようになるくらいには……そのくらいにならないと、勇者だなんて、恥ずかしいや……」

 

言いながら自分でも照れた様子を見せるダイの姿に、謁見の間にいた全員が穏やかな顔つきになっていた。ダイの誠実かつ謙虚な人柄に、誰しもが納得し感心していた。チルノですら、ダイの言葉に真摯に耳を傾けていたほどだ。

 

「ふむ、そうなると困ったのぉ……」

「ええ、困りましたね」

 

王の言葉に、傍にいた大臣が賛同する。

 

「実はダイには勇者の称号と共に、この国に伝わる剣を渡そうと思っておったのじゃ……」

「覇者の剣……!!」

 

思わず叫びそうになるのをチルノは必死で抑えた。

記憶から抜け落ちて忘れていたが、あの伝説の剣がここにあったのだ。この剣は紆余曲折を経て、最終的には超魔生物と化したハドラーの手に渡るのだが。何故忘れていたのだろう。こればかりは完全に彼女のミスである。

 

「おや、チルノは知っておったか? その通り、覇者の冠と共に伝わる伝説の名剣じゃよ」

「伝説の……剣……」

 

王の言葉に、ポップがごくりと生唾を飲み込んだ。実家が武器屋だけにか、そういった物には否が応にも興味を惹かれてしまうのだろう。

 

「おいダイ! 剣だけでも貰っておけ! それがあればすげえ楽になるぞ」

「ポップ! 辞退したのに、剣だけ貰うっていうのは失礼でしょ!!」

 

二人が小声でダイへと話しかける。もっとも、静謐なこの場ではひそひそ声でも大きく響き、王は勿論兵士たちにも聞こえているのだが、一同聞こえないふりをしていた。

そしてチルノは、この剣を受け取るようにすべきか辞退すべきかを考えていた。これがあれば確かに楽になるだろう。オリハルコンで出来た剣で戦える上に、ハドラーの手に渡ることもない。真魔剛竜剣とだって渡り合えるだろう。

デメリットとしては、まずダイの剣が手に入らないことだろう。それは魔界の名工ロン・ベルクと知り合いになる機会を失い、後の装備も手に入らなくなる。そして武道大会が開かれるかも謎であり、そうなるとザムザもどこか予期せぬタイミングで援軍として出てくるかもしれない。

果たしてどちらが正解か……悩むチルノを余所にダイは言う。

 

「それもいりません」

「なっ!!」

 

ポップが驚き、ダイの顔を見るがそこには一切の迷いも後悔も浮かんではいない。チルノもまた、ダイの意志を確認するように尋ねる。

 

「ダイ、本当にいいのね……?」

「うん。だっておれには姉ちゃんが作ってくれたこれがあるし。それに、もしも勝てないくらい強い相手が出てきても、皆で協力すればきっと大丈夫だよ」

 

背負ったナイフを誇らしげに見ながらそう言われては、何も言い返すことは出来なかった。ダイのナイフを作り渡したのもチルノだし、仲間と協力することを説いたのもチルノだ。

素直な良い子に育ってくれたことを誇らしく思いながら、同時に真魔剛竜剣を相手にする前までには、なんとか勝負になる武器を手に入れられないものかと少しだけ悩む。

 

「おれはもう覇者の冠を貰ってるんだ。それなのに、勇者でもないのに剣まで受け取れないよ。だから王様、それはもっと別の、平和のために使ってください」

「いつぞやも似たようなことがあったが、姉弟揃って相変わらず欲がないのぉ……あいわかった! 覇者の剣の事も含めて、二人ともいつか更なる成長を期待しておるぞ!」

 

ダイの言葉を受けてシナナも納得したようだ。

予想していなかったとはいえ、本来の歴史通りにここで覇者の剣を受け取らないことになった。確かに覇者の剣が手に入らないことは勿体ないが、ダイの剣はダイのためだけに作られた地上最強の剣だ。それが手に入らない方が問題だろうと考え、チルノも納得していた。

続いて、王が合図をすると奥から人が現れて、四人の前にそれぞれ一つずつ宝箱が置かれていく。

 

「それは、わしからのせめてもの贈り物じゃ。それを身に着けて、国民の前に姿を見せてやってくれい。みんな、国を救った英雄たちの姿を見たがっておるからな」

「ありがとうございます」

「ダイには覇者の剣の代わりには物足りんじゃろうが、この国で用意できる最良品質の鋼鉄の剣(はがねのけん)を用意させてもらった。他にも、皆に装備できる物を用立てたつもりじゃ。さあ、開けてみるがよい」

 

王に言われて、ダイたちが待ちきれなかったように宝箱を開ける。そこには真新しい――チルノにとっては見知ったものでもある――装備が入っていた。ダイには青を、ポップには緑を、マァムには赤をイメージした防具である。

チルノも期待しながら宝箱を開ける。そこにはダイと同じく青に加えて黒を基調とした防具が入っていた。姉弟であるためかダイの青と似ているが、それよりももっと暗い色をしている。

 

「お披露目が終われば、当初の予定通りそなた達をパプニカへと送り届けさせよう。なに、船はもう用意してあるのじゃから心配はいらんぞ」

「何から何まで、ありがとうございます」

「さっそく着替えてくるがよい。もう人は集まりつつあるぞ」

 

王の言葉に、案内役の侍従が男女別にそれぞれ更衣室へと案内した。

 

 

 

「わぁ……凄い上質な装備ね」

 

着替え用のために宛がわれた部屋で王から下賜された装備を見ながら、マァムが思わず言う。それは分類上は旅人の服であるものの、個人用にオーダーメイドされた一品である。

僧侶であるマァムのためにか法衣としての意匠を残しつつ、それでいて動きやすくなるようにデザインされている。素材も魔法の法衣と似たような魔法耐性を持つものを一部使っているらしく、防御力についても通常の物よりも期待できる。

 

「私のも、こんなに立派な……」

 

チルノも装備をじっくりと見てみる。賢者と思われているためか、ローブを基準としつつもこちらも動きやすくなるようにすっきりとした知的なデザインだった。落ち着きを感じさせるダークブルーを基調とした色遣いに、小物は黒色で統一されている。全体的にどこか闘牛士を連想させる意匠が施されていた。

ロモス戦で見せた近接戦闘から動きやすさも考慮されているらしく、こちらもミニのスカートとなっており、太腿にかけてはロングのブーツを装備するようだ。

こちらも耐魔法の布を用いているため、店売りの装備とは比較にならない防御力を持っている――あくまで魔法使い系が装備する物としてはだが。

頼りないというなかれ、そもそもロモスは比較的温和なお国柄のため、これでもかなりの高性能なのだ。

 

「さっそく着替えちゃいましょうか?」

 

そう言うが早いか、マァムは今まで来ていた服をさっさと脱いでしまう。女同士ということもあって遠慮はない。トップスを脱ぎ捨て上半身を裸になると、その下にブラジャーは付けていなかった。ポップの見立てによる88センチ(Eカップ)の胸が露わとなる。

そのあまりに立派なバストにチルノも服を脱ごうとしていた手を思わず止めて、見つめてしまうほどだ。だが彼女は構わず、続いてボトムスに手をかける。ショートパンツを脱ぐと、そちらには下着があった。清楚なイメージを感じさせる白の下着だ。

ただ、こちらも一枚の布に隠れているとはいえ、その下から透けて見える破壊力は抜群である。こちらは見立てが正しければ90センチ。マァムの年齢から考えればとてもではないが、歳不相応なプロポーションである。

既に少女をとっくに通り過ぎて女の体をしているマァムの肉体を、同性であるはずのチルノですら見つめてしまったとしても誰が責められようか。

 

「……ん? あ、やだ。あんまりじっと見ないで」

「あ! ご、ごめんなさい!!」

 

ようやくチルノの視線に気付き、マァムはからかうような表情と物言いで着替えようと手にしていた服で体を隠す。布一枚隔てて彼女の大きな胸が潰れて形を変える。

それすらも劣情を誘うようであり、チルノは慌てて服を脱いで着替えに集中する。大事に着てきたがもはや擦り切れかけている布の服を脱ぐ。

 

「へぇ……日に焼けているだけかと思ってたけれど、元々その色なのね」

 

先ほどのお返しか、チルノの着替えを見ていたマァムが呟いた。彼女の褐色の肌はこの世界でも珍しいのだろう。裸になって素肌を晒したおかげで確認できた、日焼け跡の境界線がないその肌をじっと見つめている。

 

「え……変、かな……?」

「ううん、ちっとも。活発な感じがして可愛いわよ」

 

不安げな様子を覗かせたチルノに気を遣わせないように、マァムは言い淀むことなく当たり前のことのように言う。実際、マァムはチルノの肌について思うところなど何もないのだ。確かに珍しいがそれは個性の範囲だと思っている。村の中にも、日焼けして似たような肌の色をした人がいなかったわけでもない。

 

「あら、華奢なように見えるけれど、結構鍛えられてるのね」

「ぴゃ!!」

 

興味が湧いたのか、着替えの手を完全に止めてチルノの腕とお腹周りをマァムは掴んだ。腕は見た目は年齢通りに細目ではあるがその奥にはしっかりとした筋肉が感じられる。良質な筋肉がついているのだろう。お腹周りもそうだ。余分な脂肪などついていないすっと整えられた肢体は、たった数日でも大きな経験を乗り越えたのが原因か、デルムリン島にいた時と比べて自信を感じさせる。このまま成長すれば、何処ぞの踊り子な姉か占い師の妹のどちらかとよく似た体型に育つのではないだろうか。

 

「あはは……ダイの修行に付き合ったり、少しとはいえアバン先生に鍛えられたから」

 

未だマァムにされるがままを許しながらもチルノは言う。特にアバンの特訓を受けていたときにはボディービルダーのような筋肉が付くかと思っていたのだが、その兆しも見られない。世界の摩訶不思議である。

 

「そういうマァムの方がよっぽど凄いと思う。そんなに胸が大きいなんて反則……」

「これ? そんなに良い物じゃないわよ。重いし動きにくいし、男のスケベな視線は集まって来るし……」

 

チルノに触れる手を止めて、マァムは自分の胸を掴んだ。ほとんど力を入れていないだろうに彼女の指先が少し沈みこみ、胸の柔らかさが見た目からでも分かりそうだ。

 

「……少し、触ってもいい?」

「え!? うーん……少しだけよ」

 

こういった歳の近い同性同士の悪ふざけは経験が少ないのか、マァムは少しだけ考えてから嫌な素振りを見せることなく言った。

腕組みをするようにして胸元を隠しながらも、どうぞとばかりに胸を差し出す。が、同性相手にガードが甘くなっているのか、腕の隙間から桜色が一部分だけ見えていた。それを見なかったことにしながらチルノはマァムの胸元へ指で触れた。

森の中の村に住み、外に出て活動的に働いているはずなのに、彼女の肌はまるで白磁のように白い。若さと相まって瑞々しさとハリがあり、強い弾力でチルノの指先を押し返してくる。

 

「私もいつか、このくらい大きくなるのかしら……?」

 

比べるように自分の胸に触れながら呟く。

特訓の影響か、胸の膨らみも大きくなってきているような気がしないでもないが、まだまだ目の前の暴力的なそれと比較すれば慎ましやかなサイズとしか言いようがない。

 

「そうね、あと数年もすれば大丈夫よ。私が保証するわ」

 

もしもそうなった場合、ブラジャーもなしにその大きな胸で武道家として魔王軍と渡り合った貴女にはどんな秘密があるのでしょうか?

機会があれば対処方法とブラジャーがないのかも含めて聞いておこうと決意するチルノであった。

 

「あ、そうだ! チルノ、あなたが昨日着ていた服! あれ、大きく裂けていたでしょ?」

「え……うん」

 

クロコダインの斧の一撃を腹部に受けた時に出来たものである。

 

「あれ、結構大きく切れてたんだから。他にも傷がいっぱいあったからそんな目で見られなかったかもしれないけれど、胸元がチラチラ見えていたのよ」

「そうだったの? でも、別にちょっと見られるくらいなら……」

「ダメよ! チルノは可愛いんだから!!」

 

チルノの言葉に長年デルムリン島で生活していたことで羞恥心などの一般常識がどこかおかしいのだろうとマァムは思い、強い口調で諭す。

 

「ふふっ……なんだか、世話を焼かれるのって新鮮な気分」

 

マァムの言葉を聞いてチルノは微笑んだ。

なるほど、言われてみれば確かにそうだ。ついつい見てしまう男の気持ちも慮ってそう言ったに過ぎないのだが、年上の同性にそう言われればそうかと思わなくもない。

 

「ずっとダイのお姉ちゃんしてたからね。私にも姉がいたら、こんな感じなのかな?」

 

真剣に心配してくれるマァムの気持ちがチルノには嬉しかった。

 

「そうね。私も一人っ子だし、妹ってこんな感じかしらね?」

 

マァムもまた世話を焼くのは嫌いではないのだろう。そういう彼女には心底楽しそうな笑みが浮かんでいる。

 

「そういえば、結局ちゃんと自己紹介もできてなかったものね。改めてよろしくね、チルノ」

「こちらこそよろしく。マァムお姉さん」

 

ちょっとふざけてマァムに姉と付ける。それが何故だか無性におかしくて、二人ともクスクスと笑い合った。

 

――時を同じくしたその頃、さっさと着替えを済ませた男性陣は謁見の間で暇を持て余していた。

 

 

 

王宮の前の広場には、多くの人で賑わっていた。お触れを出したのが急にも関わらず、救国の英雄を一目見ようと市民の大半が集まっていたのである。

彼らはバルコニーの向こう、カーテンによって隠されたその先を見つめながら、勇者たちが出てくるのを今か今かと待っている。

やがて準備が整い、軍楽隊の兵士たちが曲を奏でて盛り上げる。その曲も終わると、カーテンが開きその向こうから着替えを終え、真新しい装備に身を包んだダイたちが姿を現した。

まだ年若い、少年と言っても過言ではない英雄たちの姿に、だが民衆は逆に奇跡の英雄が登場したとして口々に褒め称える。

 

「どうしたの? ボーッとしちゃって」

「いや……おれさ、先生から修行で得た力は他人(ひと)のために使うものだって言われたんだ……」

 

窓下に見える人々の反応を思いつめたように見つめるポップの様子を見て、マァムが話しかける。

 

「こうやって感謝されて、他人(ひと)のために頑張るのって、悪くねえもんだな……」

「ふふ……まったく、カッコ悪いんだから……」

「そうだな、こんな当たり前のことにようやく気づくなんて、カッコ悪いな……!」

 

マァムの小悪魔のような笑顔を見て、ポップも笑い、人々に応えるように元気よく手を振る。

 

勇者ダイと仲間たちの足跡が、ロモスへと確かに刻まれた。

 

 




ザボエラのゾンビネタよりある意味よっぽど凄いことしてるチルノさん。さらっと騙します。バラしちゃっても良いんじゃないかなって気持ちも出てきましたけどね。当初の予定通りご本人登場まで待つ、はず。
そしてマァムとヒュンケルに、アバンはなんて書いたんでしょうか? 私にもわかりません。
(どこかで伏線として使えるかもしれないので内容は未定(考えてない)。マァムに「武道家になりなさい」ヒュンケルに「グランドクルスを覚えなさい」だけだったらどうしよう)

覇者の剣を出さないのは不自然なので(ここにあることを私も忘れてました)
悩んだところ選択肢の制限時間切れにより受け取らないルートに。ダイの姉への信頼が重い……(ザムザっていつ来たんでしょうね?)

着替えました。ええ、着替えました。なぜか一番時間が掛かりました。なぜだろう。
しかしマァムの装備を用意したのはどこの誰なんでしょうか? あんなミニスカじゃパンツ丸見えですよね。王様の趣味で決められてた、とかだったらやだなぁ……
(家臣一同徹夜で「ミニスカだ!!」「スパッツだろ!!」「ニーソ!」って会議して決めた、とかなら面白……くはないですね)
チルノさんも一応着替えました。青・緑・赤・紫・白は各々のイメージカラーなので、(無駄に)その辺に気を使い(ダイの姉なので)青+黒です。が、意味はないです。布の服から何やら着替えたんだと思ってください(ぶっちゃけた話、青魔のイメージが強くてそれに引っ張られてます)

最後に、ちょっと前から気づいていたであろうことを記載します。
まず原作でのこの辺の流れは――

16日目:クロコダイン決着
17日目:勇者一行ロモス国民におひろめ
 (3日間でデルムリン島へ)
 (5日間でパプニカへ)
26日目:パプニカ到着。ヒュンケル初戦。

となっているそうです。そして、

・この後にパプニカに向かう予定。
・残されていたアバンの手記には、ダイの修行の続きについても書かれている。
・船旅の間、空裂斬を覚えるだけの時間もあれば稽古相手もいる (実践訓練は無理だろうけど)

つまり……ヒュンケル戦とフレイザード戦ががが……どうしよう(他人事)


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