隣のほうから来ました   作:にせラビア

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タイトル、何にも浮かばなかったんです……



LEVEL:38 ドラゴンを たおした!

迫り来るスカイドラゴンの爪牙を見てダメージを覚悟したチルノは、身体を全身を引き絞るように硬くして少しでも威力を軽減させようと試みる。自分がダメージを受けようとも、保護した少女だけは毛の先ほどのダメージも与えまいと思っていた。

 

だが、彼女の予想に反して敵の攻撃がチルノに届く事は無かった。避けようも無いタイミングであったにも拘わらず、スカイドラゴンは攻撃を中止してチルノたちの上空を通り過ぎると、そのまま空中で反転して再びチルノ達の方を眺めているだけだ。

 

「……え?」

 

そんなスカイドラゴンの動きを目で追いながら、チルノは信じられないものを見たように呆けた声で呟いた。何しろ彼女の側に立って考えれば、攻撃をしない理由がないのだ。度重なる妨害を受けており、少なからず怒りも溜まっているはずの相手がどうして何もしなかったのか。

固まりかけた彼女の思考は、後ろから掛けられた声で動き出した。

 

「おーい、チルノ!」

「大丈夫か!!」

「ポップ! それに、クロコダイン!?」

 

彼女の容態を気遣う声を耳にして振り向けば、そこには二人の仲間の姿があった。それもポップの方はともかく、予想だにしなかったもう一人の心強い援軍には心底驚かされる。移動時間と短縮と合流をスムーズに行えるようにと道具を渡していたとはいえ、この時点で参加するとは思っていなかったようだ。

 

そしてチルノは同時に、スカイドラゴンが何故攻撃を中断したのかなんとなく察する。

獣王と呼ばれた相手が溢れんばかりの闘気を漲らせて近寄ってくれば、間違いなく警戒することだろう。

そう思ったチルノは、抱きかかえていた少女をもう少しだけぎゅっと強く抱きしめる。万が一にも闘気の影響で恐怖を与えることの無いようにすることと、そしてもう一つの理由として、クロコダインの容姿は小さな子供には少々威圧的すぎるからだ。泣き出されても困る。

 

「二人とも! いきなりで申し訳ないけれど、ちょっとだけアイツの相手をして貰えるかしら?」

「スカイドラゴンか……」

「……ああ、なるほど。その子を避難させるんだろ? よし、早く行けって! ここはおれたちでなんとかしてみせるからよ!」

 

二人の言葉にチルノは頷くと、少女を保護するべく一旦戦線を離脱することを選ぶ。

 

「ありがと! でも倒す場所は注意して。できるだけ建物に影響が出ないように!」

 

そう声を掛けてから、戦場から離れるように掛け出して行く。残った二人は"真空の斧"と"輝きの杖"を手に握りしめ、空から自分たちを見下ろしている竜の相手を開始した。

 

二人は上手く戦えるだろうかと不安になりながらも、チルノはベンガーナの大通りを進んでいく。既に周辺に人の気配も無く、まるで大通りを贅沢に貸し切っているようだ。

そんな錯覚に襲われて、少しだけ上機嫌になっていたときだ。

 

「あ、チルノ!」

「レオナ!?」

 

通りの途中の交差点から、突如としてレオナが顔を出した。少し息を切らせた様子から、彼女もまた走っていたのだろうことが分かる。

友人の姿を見てチルノは足を止め、口を開いた。

 

「なんでここに? 避難誘導の方はどうなったの?」

「避難の方は大体終わったわ。もう我慢する必要は無い、ってことをダイ君たちに伝えようとここまで来たんだけど……どうしたの、その子は?」

 

チルノに抱きついている少女にレオナが視線を向ける。

 

「逃げ遅れたのか、ご両親とはぐれたのか。とにかく、危ないところを保護したの」

「え!?」

 

尋ねた時点である程度の予想はついていたが、やはり直接耳にするのは衝撃が大きかったらしい。信じられないと言った様子でチルノと少女を交互に視線を向ける。レオナの瞳は、避難誘導を買って出ながら、取りこぼしがあったことを悔いているように見える。

 

「……レオナ。この子、お母さんのところまで連れて行って貰えるかしら?」

「う、うん。もちろん構わないわ」

「ごめんね、ワガママ言っちゃって……」

 

そんなレオナの様子に気付いたのか、チルノは少女のことをレオナに託す。これだけの混乱と人数がいるのだ。取りこぼしが出たとしてもそれは決して落ち度ではないだろう。だが、レオナはそれを気にしている。ならばせめて途中からであっても、少女のことを頼めば、少しは心も楽になるだろうと思ったからだ。

レオナの了承の言葉を聞くと、チルノは自分に非があるような言い方で少しでも友人の心を軽くしようとする。そして、抱えていた少女を下ろして立たせる。

 

「ごめんね。ちょっと用事が出来ちゃった。でも安心して。私の代わりにこのお姉ちゃんが、お母さんのところへちゃんと連れて行ってくれるから」

「うん……」

 

不安そうに辺りを見回す少女へ向けて、再び視線を揃えて優しい口調で言う。すると少女は

心細さを見せるものの、素直に頷いた。今にも泣き出してもおかしくないだろうに、それを必死で堪えている少女を見ながら、チルノは笑顔を見せた。

 

「大丈夫、あなたはここに来るまで泣かなかった強い子だもの。お母さんにだってすぐに会えるわ」

 

そう言いながら数回、優しく頭を撫でる。すると少女は、内に抱えているはずの不安を押し隠すようにして、お返しとばかりにチルノに笑顔を見せる。

少女の笑顔を見て少しだけ懐かしい気持ちを感じながら、チルノはゆっくりと立ち上がり、今まで駆けてきた方向へと視線を向ける。

 

「……一応聞くけれど、どうするつもり?」

「もちろん、スカイドラゴンに借りを返さないとね」

 

未だ健在な敵の様子を見ながら、チルノはそう呟いた。

 

 

 

「ごめんね、お待たせ!」

 

先ほどまで戦っている場所へと戻ってくるなり、チルノはそう口にした。それに驚いたのはクロコダインたちである。まさかこれほどまで早く戻ってくるとは思ってもいなかった。

 

「もう用事は済んだのか!?」

「大丈夫! レオナにお願いしてきたから!」

「んじゃちょっと手伝ってくれ! 情けねぇ話だが、結構面倒だぜコイツ!!」

 

ポップの声が上空から聞こえてくる。どうやら彼は、トベルーラによる空中戦を挑んでいたらしい。そしてスカイドラゴンの半身ほどが氷に覆われているところを見るに、冷却系の呪文を駆使して戦っていたようだ。

チルノが戻るのがもう少し遅ければ、そのまま倒していた可能性も十分にあるだろう。

 

「まかせて! 大技で攻めるから!!」

 

上空のポップに聞こえる位に大声を上げると、チルノは魔法を発動させるべく精神を集中させる。彼女の言葉を聞き、巻き添えにならないようにとポップが距離を取っていく。

 

「まずは、どこに落としても良いように外まで押し出す!」

 

続いて、言うが早いか、魔法を発動させた。

 

「【エアロガ】!!」

 

彼女の言葉に従い、強風が吹き荒れる。これまで使っていたような、威力を押さえて調節した物ではない。完全に相手を仕留めるべく放たれた魔法である。

周囲の建物がその風圧の余波だけでギギギと軋むような音を上げていることからも、その威力と範囲は推し量れるだろう。もしもこれを考えなしに使っていれば、建物が耐えきれずに崩壊して、二次被害を出していたかも知れないほどだ。

 

「加勢するぞ!! 唸れ、真空の斧よ!!」

 

チルノの狙いを理解したクロコダインも、斧の力を使って風を操り後押しを試みた。エアロガとバギの二つの風に押されては、さしもの天空を舞う竜とて力負けする。堪えてはいたものの、結局吹き飛ばされて空中で姿勢を崩した。

 

そして吹き飛ばされた先はこの街を覆い囲む城壁の外。そこならば多少の被害が出ても文句を言うものはいない。

スカイドラゴンに致命傷を与えるべく、チルノは次の魔法を発動させた。

 

「【ブリザガ】!!」

 

冷気を操るブリザド系統の最上位の魔法だ。猛吹雪と共に無数の巨大な氷柱(つらら)が降り注ぎ、突き刺さった部分はみるみるうちに氷で覆われていく。凍てつく冷気と氷柱(つらら)の物理的なダメージによって、スカイドラゴンはついに空を飛び続けることが出来なくなり、その身を大地へ落とし、絶命する。

 

「おお~……」

 

空を飛んでいるため城壁の向こうを覗く事の出来たポップが感嘆の声を上げる。氷柱(つらら)によって標本のように地面に縫い付けられた氷漬けの死骸がそこにあった。

彼もドラゴンを相手にベタンの呪文で似たようなことをしたが、見た目のインパクトはこちらの方が上だ。

仲間の成長に感心するやら驚くやらと複雑な感情を抱きながらポップはその場を後にする。

 

「あとはダイだけか!? 急ごうぜ!!」

 

高い位置にいる彼には、残った最後の戦場の様子もよく見える。ヒドラを相手に戦い続けているダイの姿に、ポップは矢も楯もたまらず叫んでいた。

 

 

 

「おっと!!」

 

そう言いながらダイは、もはや何度目になるかも分からないヒドラの攻撃を躱す。チルノと同じくヒドラの誘導役を請け負ったダイは、五つの首を持つ(ドラゴン)を相手に戦い続けていた。

五つの首がそれぞれ巧みに連携を行い襲い掛かってくる様子は、ダイにとっても初めてのことだった。慣れぬ攻撃に苦戦を強いられながらも、彼は自身の役目を全うすべく懸命に戦い続けていた。

 

本来の歴史では苦戦する戦いだったが、今のダイは修行を積んでレベルを上げている。時折危なっかしい場面も見受けられたが、優勢に戦いを進め、周辺への被害を最小限に防いでいた。

そこには、かつての苦い経験を繰り返すまいという強い決意がある。そしてもう一つ、近くに姉がいるのだ。姉の前での誓いを破ることの無いよう、ダイは孤独な戦いを続ける。

 

だがその我慢がついに報われるときがやって来る。

 

「ダイっ!!」

「お待たせ! もう倒してもいいわよ!」

「姉ちゃん! ポップ!」

 

大通りにやってくる仲間の姿を確認して、思わずダイは喜色の声を上げた。対するヒドラは、やってきた人間に警戒するように首を向ける。

 

「って、そうか……ヒドラかよ……一番やべぇ相手じゃねぇか……」

 

複数の頭に睨まれながら、ポップは少しばかり萎縮したように弱気な意見を零す。ベンガーナを襲った(ドラゴン)達の中で、個体として一番強いのがこのヒドラであった。

ドラゴン、スカイドラゴンと相手にしてきた彼にとって、最後に一番面倒な敵を相手になることになってうんざりした気分になる。

 

だがヒドラにしてみれば、そんなことは関係ない。いや、むしろ攻撃しても攻めきれないダイを散々相手にしてきたのだ。ヒドラの苛立ちは高まっている。

新たにやってきた人間にその苛立ちをぶつけるように、ヒドラは火炎の息を吐き出した。

 

「うおっ……」

「おおおおっ!!」

 

ヒドラの攻撃に一瞬対応が遅れたポップであったが、後ろからやって来たクロコダインがいち早く対応した。彼は再び真空の斧を発動させて風の結界を作ることで炎の襲撃を防ぐ。チルノもエアロラの魔法を使い、ダイもバギの呪文を放つことでその防御をより完全にする。

そのおかげで比較的強力なはずの炎は完全に無力化されていた。

 

「三人とも大丈夫か?」

「クロコダイン!? どうしてここに!?」

 

予期せぬ新たな援軍に、ダイも驚きを隠しきれない。

 

「詳しい説明は後で。それよりも今は目の前の敵を倒すことだけ考えましょう」

「あ、ああ……そうだね」

 

だが姉の言葉を聞いてその驚きを意識の外へと追いやり、ヒドラの攻略へと思考を切り替える。

 

「剣で倒せそう?」

「出来なくは無いけれど、皮膚が思った以上に硬かった」

 

チルノが言葉短く尋ねると、すぐに返答が来た。本来の歴史では、寿命という要因があったとはいえ、ヒドラへ攻撃した際に剣を折っている。それを知っているからこそチルノはダイに注意するよう警告もしていた。

ダイの言葉は、チルノの懸念を良くくみ取った結果でもある。そして、その返事を聞いた以上は取るべき手段は一つだけだった。

 

「だったら、ここは呪文で攻めましょう。ダイ、ライデインは使える?」

「もちろん、大丈夫だよ!」

 

姉の言葉に弟は任せておけと言わんばかりに自信満々に答えた。弟のその様子を見てチルノも力強く頷く。

 

「じゃあ、私が合図したら何時でも撃てるように準備して? ポップたちはそれまでの足止めをお願いできるかしら!?」

「ああ、分かったぜ! 聞こえたかおっさん!?」

「無論だ!」

 

策の詳しい説明をしていないにもかかわらず、ポップとクロコダインはチルノの言葉を疑うこと無く頷くとすぐさま動き出した。ダイもいつ合図があっても良いようにと集中を始めている。

仲間達からの厚い信頼に喜びながら、チルノもまた行動を起こすべく精神を集中させる。

 

「ギラ!」

 

最初に動いたのはポップだ。彼はギラの呪文をヒドラの頭の一つへと放つ。相手の目を狙って放たれた閃熱は、狙い違わずに頭の一つへと突き刺さり、視界を奪う。複数の頭を持つヒドラにとっては、一部を封じられただけに過ぎないものの、痛いことには変わりない。

ヒドラは苦痛の悲鳴を上げながらポップへ襲い掛かろうとした。

 

「ぬおおおっ!!」

 

しかしそんな単純な目論見など、獣王が許さない。クロコダインは怒りで単調な動きを見せるヒドラの足を狙って大斧を思い切り振り下ろす。

 

「ギャアアアアアアアアアア!!」

 

力任せに叩きつけられた斧だったが、ヒドラの皮膚の硬度も大したものだった。一見すればそのまま片足を切断しそうな勢いを持っていた攻撃だったが、相手の皮膚に阻まれて半ば程度まで食い込むまでに留まる。

それは、並の武器よりも高い強度と威力に大きさをも兼ね備えた"真空の斧"だからこそ可能な一撃だった。そうでなければ弾き返されていただろう。

脚部にダメージを与え、文字通り足止めが成功したことを確認したクロコダインは、斧を引き抜くと即座にその場から離れる。姉弟がこれから大技を使うのは誰が見ても明らかだ。ならば巻き込まれるようなミスを犯すはずがない。

 

仲間達が敵の大きな隙を作ってくれたことに感謝しながら、チルノは悠々と魔法を唱えた。

 

「……【大海嘯(だいかいしょう)】」

 

本来ならば、大津波を引き起こす青魔法である。その勢いたるや、波で出来た垂直の壁が押し寄せてくる程のもの。個人レベルであればその圧倒的な範囲と破壊力を前に抗う術など無いほどだ。

こんな街中で使えば、いくら人々が避難したとはいえ建物の多くを巻き添えにして破壊しつくしていくだろう。

 

そのまま使うのであれば。

 

街中で使うということが大前提である以上、威力と範囲をそのままに使うような愚をチルノが犯すことはない。それら二つを極小まで絞って放たれたそれは、さながら威力の強い水鉄砲のようなものだった。

魔力によって生み出された小さな津波は、丁度ヒドラの全身をズブ濡れにする程度の範囲と、多少よろけさせる程度の威力しかなかった。

だが、これで良い。チルノの狙いはダメージを与えることではない。

 

「ダイ、落として(・・・・)!」

「ライデイン!!」

 

チルノの合図に、その瞬間を今か今かと待っていたダイはすぐさま反応した。待っていましたと言わんばかりの超速度で雨雲を呼ぶと、強烈な雷撃をヒドラへ落とす。

その電撃はいつも以上(・・・・・)の威力を誇っていた。

 

秘密のタネは、直前に使ったチルノの大海嘯の青魔法である。津波を起こすこの魔法によってヒドラは全身を余すところなく濡らしていた。水に濡れたことで電気の抵抗が下がっている状態――それもタダの水ではない。電気を通しやすい海水である。

そこにライデインの雷を受ければ、高い耐久力を誇るヒドラであってもたまったものではない。

さらにそれに加えて――

 

「【サンダー】!」

 

チルノもこっそりと最下級の電撃魔法を放って追撃を加える。発動速度の関係から最下級の魔法となってしまったが、今のヒドラの状態ならば十分すぎた。

どれだけ高い電気抵抗を持っていようとも、耐えられる物ではない。雷撃によって焼け焦げた嫌な匂いを漂わせながら、ヒドラは絶命して崩れ落ちる。

完全に動かなくなった敵を見ながら、ダイたちはようやく勝利の吐息を漏らした。

 

「おー……こりゃまたすげぇな……」

「ふむ、ライデインか……使えるようになったと、話では聞いていたが……実際に見るとなんとも……」

 

足止め役に徹していた二人が揃って驚きの声を上げる。だがその口数は少なめだ。二人とも(ドラゴン)の強さを肌で感じ取っており、ましてやヒドラはこれまで戦った三種類の中で最も格上の相手だ。

それがここまで徹底的にやられていれば、こんな感想も口にしてしまう。

 

「うん。自分でも驚くくらいの威力だよ」

「それは……私が、事前に水で濡らしたでしょう? あれで電撃が通りやすくなって、威力が上がっていたのよ」

「えぇ!? あれってそんな意味があったんだ……」

 

少しキツそうに喋るチルノの言葉を聞いて、ダイは驚きの声を上げる。

ダイから見れば、姉の行動は意味がよく分からなかったのだ。まるでダメージを与えた様子の見えない攻撃をどうして挟んだのか。その疑問が氷解し、姉が自分の為に援護をしてくれたことを理解する。

 

「あとは……剣を突き刺してそこに雷を落とす、とかも効果的よ。戦い方次第、ってこと」

 

ちなみに、本来の歴史でヒドラにトドメを刺したのもチルノが口にしたのと同じ戦法だ。その時にはドラゴンキラーを突き刺し、そこにライデインの雷を落としていた。

……その際ドラゴンキラーは装備したままである。感電とかしなかったんだろうか?

 

「てかチルノ、大丈夫か? 随分辛そうだぜ?」

「平気……ちょっと大技だったから疲れただけよ……」

 

ポップに心配されたように、チルノは疲弊していた。原因は大海嘯の魔法を使ったからである。

ある程度近くに水場があったとはいえ、流石に街中まで影響が及ぶわけでもなし。魔力に寄って生み出されたそれは本人の予想を超えて消耗が激しかったらしい。

 

「"魔法の聖水"ならあるぞ?」

「……ありがとう。一本だけ貰うわ」

 

一瞬の逡巡の後、少女は笑顔でそう答えた。

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

「おお、お前さんたち。無事だったようじゃな」

「あれっ!? ばーさんは……」

「ナバラさん? どうしてここに……レオナと一緒に避難したんじゃ!?」

 

(ドラゴン)達を全て討伐し終えたダイたちが、レオナと合流すべく歩みを進めかけた時だ。向こうからやって来る見覚えのある二人分の人影に、思わず足を止める。

 

「む……この者達は?」

「ああ、ナバラさんとメルルさんよ。この街で少し知り合った、占い師なの」

 

唯一事情を知らないクロコダインがそう呟くが、すぐにチルノが口を開く。その言葉にクロコダインは納得したように頷いた。

 

「おっと、なんだいこのデカいのは……? まあ、お前さんたちが平然としているんだから味方なのだろうけれどね」

「はい。この方からは、邪悪な気配がしません」

「ああ、クロコダインって言うんだ。おれたちの仲間だよ」

 

なんとも肝が据わっているというべきか、偏見が少ないと言うべきか。ダイの言葉を聞くとナバラとメルルの二人はあっさりと受け入れた。

 

「みんな! それにナバラさんたちも! よかった、合流できたのね」

 

続いてナバラたちの後ろからレオナもやってくる。こちらも急いで来たようで、少し息を切らせていた。

 

「びっくりしたわよ。戦いが終わった気配を感じたかと思ったら、二人ともすぐに行っちゃうんだもの」

「すみません。ですが、どうしても一刻も早くお知らせする必要があったものですから」

 

レオナの言葉にメルルが頭を下げる。レオナの言うように、二人とも戦いが終了したのを察するとすぐにダイたちのもとへと移動していた。まだ状況が完全に分かっていないにも拘わらず動けたのは流石は占い師というところだろう。

 

「なんだそりゃ!? おれたちに何か用事でもあったのか?」

「ああ、そうさ。占いの結果を伝えに来たんだよ」

「占いの結果? そんなに大事なことだったのか?」

 

そんな理由でここまで来たのか? とポップの驚きの言葉にナバラは「ああ」と重々しく頷き、ダイにゆっくりと視線を向ける。

 

「確か坊やは、ダイって言ってたね?」

 

そのあまりの迫力にたじろぎながらも、ダイは首肯して次の言葉を待つ。

 

「あたしの占いで見えたのは、強い力。そして、(ドラゴン)を象った紋章……」

(ドラゴン)を象った紋章?」

「そうだよ。ちょうどこんな感じのね」

 

そう言うとナバラは、空中で指を動かしておぼろげな図形を見せる。その指がなぞるのは、チルノがよく知る(ドラゴン)の紋章の形を描いていた。

 

「ん? その形……どこかで見たような……」

「ひょっとして、ロモスでオレと戦っていた時のアレか?」

「……ああっ! そうだ、確かにそうだ!! あとデルムリン島でハドラーと戦った時も!! ダイの額に浮かんでたはずだぜ!!」

 

記憶に引っかかるが思い出せずにいたポップと比べて、実際に体験したクロコダインは記憶のインパクトが桁違いだったようだ。その言葉が引き金になったように、ポップの脳裏にはダイが(ドラゴン)の紋章を発現したもう一つの場面が浮かぶ。

 

「確かどっちも、ダイが急に強くなって……」

「なんと!? ……もはや疑う余地は無いようじゃ」

 

それを聞いていたナバラはメルルと共に顔を見合わせ、そして頷き合う。

 

「その方こそ、我が祖国の伝説に記された(ドラゴン)の騎士に相違ない……!」

「……(ドラゴン)の……騎士……!?」

 

ナバラの発した耳慣れぬ単語をオウム返しにダイが口にしたときだった。

 

「ウフ……ウフフ……ウフフフフフッ!!」

 

抑えきれない程の哄笑が辺りに響き渡る。

 

――ついに出てきた……

 

その声だけでチルノは周囲を見渡し、ある者(・・・)を探し始めた。

ダイたちも周囲を見渡して声の出所を探るが、それよりも早く声の主が姿を見せた。

 

「はじめまして、勇者サマ」

 

その相手は壁の中から浮かび上がってきた。全身を道化師のような格好で固めている。あまりに得体の知れないその様子に、ダイたちは警戒度を一気に引き上げる。

 

「ボクの名はキルバーン。口の悪い友達は"死神"なんて呼ぶけどね……」

「キルバーン……? バラン、じゃないのか……?」

「おやおや、これは驚いた。どうしてその名前を知っているんだい?」

 

(ドラゴン)の軍団を相手にしたことで、自然と目の前の相手がバランであるとダイは思っていたようだ。キルバーンという名に少々困惑した様子を見せる。

対するキルバーンは、バランの名が出てきたことに驚かされていた。どうしてダイがそのことを知っているのかと一瞬不思議がるも、その疑問はすぐに解決する。

 

「……ああ、そういうことか。なるほどね」

 

キルバーンが視線を動かした先には、クロコダインの姿があった。なるほど、それならば魔王軍の陣容が割れていても不思議では無いと一人納得する。

そしてキルバーンの視線を受けたクロコダインは背中に一筋の汗をかいていた。その名は魔王軍に所属する者ならば――個人差はあるが――誰でも知っている。そして、その死神の役割も。

 

「死神……まさか、オレを殺しにきたのか……?」

「ウフフ……それこそまさか、だよ。もしも殺しに来たのなら、こうやってのんびりと姿を見せたりお喋りなんてしないさ」

 

クロコダインの言葉を、キルバーンはあっさりと否定してみせた。

 

「気配を消して、後ろからバッサリ。それだけですぐに終わる簡単なお仕事だよ」

「クッ……」

 

お前など苦戦するに値しない。簡単に息の根を止める事ができる。そう言外に告げられているようで、クロコダインは内心歯噛みしていた。だがそう理解していても動くことが出来なかった。

キルバーンから漂う異質な雰囲気が獣王と呼ばれた相手に二の足を踏ませる。

 

「今日のボクの仕事は使い魔。本当はすぐに帰る予定だったんだけど、流石に説明とお別れの挨拶の一つもなしじゃあまりにも可哀想だから、こうやって姿を見せたのさ」

「なん、だと……?」

「実は勇者ダイについて、魔王軍で話題になっていてねぇ……詳しい事情は省くけれど、超竜軍団から(ドラゴン)を借りてボクがキミの正体を見極めることになったのさ」

「おれの、正体……?」

 

その言葉にダイの中で、先ほどナバラから聞いた(ドラゴン)の騎士と言う言葉が重なる。

 

「でも、ウフフ……予想以上に大きな収穫だったよ。これは報告するのが楽しみだ」

 

満足げに笑うと、出てきたときと同じように、今度は壁の中へ沈み込むようにしてその姿を隠していく。だが突然、その動きをピタリと止めた。

 

「ああ、そうだ。近い将来、本物の超竜軍団長が現れると思うよ。キミを地獄へ誘うために、ね」

 

そこまで言うとキルバーンは、言いたいことを全て言い終えたとばかりに完全に壁の中へと消えていった。ちなみに最後の台詞は壁の中から顔だけを出して言っていたため、その見た目はかなりシュールである。

とあれキルバーンは。言いたいことを一方的に喋り、それが終わったかと思えばさっさと引っ込んでしまった。後に残った者たちに何とも言えない不気味な想いを残しつつ。

 

――どこにもいない!?

 

そしてチルノだけは、キルバーンへの警戒を向けながら別の事に意識を向け続け、そして目当ての存在がどこにも見つからなかったことに落胆していた。

その存在とはピロロ――キルバーンがその肩に乗せている一つ目ピエロのモンスターである。実はそのピロロこそが真のキルバーンであり、皆がキルバーンと呼んでいるのは彼が操る人形だった。

本来の歴史の知識からそれを知る彼女は、後の禍根を断つべくここでキルバーンと決着を付ける事を考えていた。だからこそ貴重品であるはずの"魔法の聖水"を使ってまで備えたというのに。

 

――警戒されていた? ……いえ、まだそれはありえないはず……

 

原因を考えるが、答えは出てこない。そしてチルノは気付いていなかったが、本来の歴史でも同様にこのタイミングでピロロは姿を見せていない。描写こそされていないが、どこかに隠れて様子を窺っていたのは間違いないだろうが……

とあれ「キルバーンはピロロを肩に乗せているはず」という固定観念が邪魔をした結果、チルノは千載一遇の機会を取り零していた。もしも事前に気付いていれば、スラリンに探させるなどの方法もあったかもしれない。

 

「バラン……やはり来るか……」

 

クロコダインが覚悟を決めたように呟く声で、チルノは正気を取り戻す。最高の機会を失ったことは確かに痛手だが、目先の事も大事である。次の手を考えるべく、チルノは思考を切り替えた。

 

「そうね……でも、ナバラさんの言っていた(ドラゴン)の騎士についても……」

 

そう言いかけて一行はようやく気付いた。見ればダイたちの周りを取り囲むように人々や衛兵たちが並んでいる。

キルバーンが去ったことで、殺気が完全に消えた事を理解したのだろう。ベンガーナの人間達が遠巻きにダイたちのことを見ている。彼らの表情は皆、引きつったような笑みを浮かべていた。

 

「な、なんだこいつら……?」

「あ、あの……(ドラゴン)の討伐をしていただいて、ありがとうございました……」

 

その中の一人――おそらく衛兵たちの代表だろう――が、怯えたような様子を必死で隠しながらそう言ってきた。

だがそれも無理も無かったかも知れない。

何しろベンガーナを攻撃していたのは、妖魔師団である。師団長のザボエラからして積極的な攻勢をしておらず、この国が攻められたのは世界的に見ても例が少ない。

加えてベンガーナはその国力から生み出された大砲や戦車という重武装の数々があるため、武力については魔王軍が襲来する前から世界に誇っている。

 

この二つの要素が原因で、この国の人間は大魔王軍との戦争をしていると頭で知っていても、どこか対岸の火事のように思っていた。

そこに来て、超竜軍団の襲来である。絶対安全と盲信していた人々からしてみれば、さぞ度肝を抜かれたことだろう。

 

「……怯え半分、感謝半分。ってところかしら?」

 

自分たちを取り巻く人々の様子を見ながらチルノは独りごちる。

だが、本来の歴史よりはマシかもしれない。本来の歴史のダイは今のダイと比較しても弱く、仲間も少なければ、敵の襲撃に気付くのも遅かった。そのため街中で(ドラゴン)の騎士となり、ヒドラを圧倒的な力で倒していた。

その結果、人々に恐怖の目で見られてしまう。それはダイ本人の心にも影を落とすこととなるため、今の状況の方がマシ、と思えなくも無いかもしれない。

遅かれ早かれ直面する問題であるとはいえ、本来の歴史と比べればまだパンチの弱い出来事なのだから。

 

「あの、おねえちゃん……」

 

そう思っていると、チルノに可愛らしい声が掛けられた。それに気付いてチルノが振り向くと、彼女が助けた少女が輪から抜け出して近くまで来ていた。

 

「たすけてくれてありがとう!」

 

少女の言葉にチルノが返事をしようとするが、それよりも早く輪の中から一人の女性が現れると、少女を抱きしめてサッと輪の中に戻ってしまった。その動きの早さは驚くべきものがあるほどだ。

声を掛けそびれ、ぽかんとしていたチルノに向けて、クロコダインが言う。

 

「オレの見た目が原因だろう……お前達といたから忘れかけていたが、普通の人間がオレを見れば恐れても仕方あるまい……」

「え! そ、そんなことないよ! クロコダインは仲間じゃないか!」

 

自虐するような言葉に反応したのはダイだった。慌ててフォローするが、それはダイなりに一生懸命に気を遣っているものの、どうにも下手だ。こういう行動に慣れていないのもあるだろう。

 

「その理屈だと、あの子はその辺の大人たちよりもよっぽど勇気があるってことね」

 

そんな弟の頑張る姿に、姉は助け船を出す。

 

「全員から恐る恐る感謝の言葉を伝えられるよりも、あの一言の方がその何倍も嬉しかったもの」

「……フフ。確かにそうかもな」

 

その言葉にクロコダインはニヒルに笑う。チルノにだけ伝えられた言葉ではあったが、それを聞いていた彼も決して嫌な気分にはならない。むしろ周囲の大人達の姿と比べてしまい、よほど価値のある物に感じてしまう。

 

「それじゃあ、話を戻しましょうか」

「ダイ君が(ドラゴン)の騎士、って話よね?」

「ああ、すまないね……」

 

チルノとレオナがそう口にすると、ナバラは申し訳なさそうに言う。

 

「詳しい話をするには、あたし達の国まで――テランまで来て貰うのが一番早いんだが、大丈夫かい?」

「テラン!?」

 

王女として各国についての知識も学んでいたレオナは、その目的地を聞いて驚く。その国は小国であり、人も少ないのだ。だが移動する分にはそれほど時間が掛かるものでもない。ベンガーナからならば一日もすれば到着する場所だ。

 

「ダイ君、どうする? 行く?」

「レオナはいいの?」

 

パプニカを抜けて来ている立場のため、レオナの事がダイは気に掛かってしまう。だがレオナ本人はそんなことを気にするような性格ではない。

 

「ええ、もちろんよ! みんなも異論は無いでしょ!? すぐに出発しましょ……」

「あ、待って!」

 

今すぐに出発しよう。そう言いかけたところに、チルノが待ったを掛ける。

 

「せっかく、滅多に手に入らない素材が目の前にあるんだもの。利用しない手はないわ」

 

彼女の視線は、倒されたヒドラへと向けられていた。

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

鬼岩城の玉座の間――

そこに集まった者たち――ハドラー・ミストバーン・バラン・ザボエラの四人である――は、黙ってキルバーンの言葉に耳を傾けていた。だがその時間もようやく終わりが見える。

 

「――ということだったよ。まとめてドラゴンを倒すほどの呪文を使う魔法使いに、ヒドラを相手に時間を稼ぎ、そしてトドメにライデインを放つ勇者。これは、ちょっとやそっとじゃ打ち倒せないだろうねぇ。少なくとも、配下の(ドラゴン)たちでは無理だよ」

 

そこまで口にすると、キルバーンは少しだけ肩をすくめる。

 

「キミの意見はどうかな、バラン君?」

 

話を振られ、バランは重々しく口を開く。

 

「なるほど、そういうことかハドラー……ようやく貴様の企みが読めたわ」

「な、なんのことだバランよ……?」

「とぼけるな!!」

 

あくまで知らぬ態度を崩さぬハドラーに、バランの怒りを滾らせる。

 

「貴様はダイが(ドラゴン)の騎士だと知っていたのだ。そして、知っていながら、己の保身のためにそれを秘匿し続けたのだろう!? 違うか!?」

「なっ、何を言うか! そもそもダイが(ドラゴン)の騎士だという証拠などどこにも無い!!」

「いや、証拠ならばある!」

「な……っ!?」

 

根拠が無い、ということを盾に頑として首を縦に振らずにいたハドラーであったが、バランの突然の言葉に肩すかしを食らう。

 

「死神よ、再度問おう。ダイはライデインを使った……間違いないな?」

「もちろん、間違いないよ。なんだったら、バーン様の名に賭けてもいい」

「それが……どうかしたのか……?」

 

バランの質問の意図が読めず、ハドラーは続きを促すように言う。

 

「知れたこと……ライデインやギガデインは、ただの人間には決して扱う事が出来ん呪文なのだ! これを扱えるのは、(ドラゴン)の騎士のみ!」

「な……っ!?」

 

人間に出来るのは天候を操るまでである。雷雲を呼び寄せるまでは出来たとしても、それを操る事が出来るのは(ドラゴン)の騎士だけ。言い換えれば、ライデインを使えれば(ドラゴン)の騎士だという証左になる。

 

「そうそう、言い忘れていたよ。そこには人間の占い師もいてね。その占い師の口からも確かに聞いたのさ……ダイが(ドラゴン)の騎士、って言葉をね……」

 

バランの言葉に乗るように、いかにも"今思い出しました"とばかりのわざとらしい態度でキルバーンは援護の言葉を口にする。

 

「それに、彼らの話を信じるなら、(ドラゴン)の紋章を発現させたのは二回……クロコダイン君と戦った時とハドラー君と戦った時だそうだよ」

「おお、そう言われれば確かに! あの時、水晶玉に映ったのは竜の形に見えなくもなかったわい!」

 

ロモスでの戦いを見ていたザボエラも、思い出したとばかりに口にする。それがバランへさらなる援護の言葉となるとも自覚せずに。

キルバーンとザボエラの言葉に、ハドラーはギリリと歯噛みする。だが現状を覆すようなことは何も言えなかった。

 

「おやおや、そうするとおかしいね……順番としてはハドラー君が先のはず、だったよねぇ……? もしもハドラー君が『ダイが(ドラゴン)の騎士であることに気付いて、ダイ抹殺をクロコダイン君に依頼した』とかなら実にスムーズに話が進むんだけど?」

 

キルバーンからしてみれば、この議論はハドラーが勝とうがバランが勝とうがどちらでも良い。強いて言うならば、(ドラゴン)の騎士同士の戦いが見られるかもしれないバランが良い。その程度である。

必要であれば、いずれ順番は回ってくる。ならばそのときに備えて情報を収集するのが肝要だ。それまでの間は退屈しないように、精々この場を引っかき回し、楽しませて貰おう。

そんなことを考えていた。

 

キルバーンの言葉にバランはさらに強烈な視線を向け、ハドラーは恨みがましい視線をキルバーンへと向けるが、それ以上のことは何も出来ない。議論は、バランが出陣する流れへと一気に傾いていく。

その光景を、死神は冷ややかな目で見ていた。

 

――フフフ……皆そんなに(ドラゴン)の騎士が気になるかねぇ……

 

ダイのライデインを隠れ蓑とするようにして放たれた雷の魔法。そして事前に使った海水を生み出す魔法によるアシスト。かと思えば、風と冷気を操ってスカイドラゴンを瞬く間に倒してしまう。

そのどれか一つを取っても、聞いたことも無いものばかりである。

加えて全員がキルバーンに注目するなか、一人だけ注意を完全にキルバーンへ向けること無く別の何かを探しているような素振りまで見せていた。

おそらく、ミストバーンがそこにいたとしても気付く事は無かっただろう。魔王軍で唯一特別な立場を持つキルバーンだからこそ気付くことが出来た、どこか一歩引いているようなチルノの態度。

 

――勇者よりも、(ドラゴン)の騎士よりも……よっぽど気になるんだよねぇ……あの娘……

 

全員の興味がダイの素性へと向いている中、死神の瞳だけは新しい玩具を見つけた子供のようにチルノへと向けられていた。

 

 




竜の鱗を使った防具に、爪牙を加工した武器。
チルノさんの狙いはこれだったりします。ドラゴン素材が弱い訳がない(盲信)
竜鱗装備、もとい、天然のドラゴン装備が手に入るはず。
――え? 電撃で焦げてる? そ、そこはほら……ご、ご都合主義……(小声)

キルバーンが壁から出たり引っ込んだりしてたのって、どういう理屈なんでしょうね?
個人的にはアレ、幻影だと思っています。本当の壁の前にもう一枚幻影の壁を作って、そこでスタンバっていた。幻影だから水みたいに簡単に潜ったり出てきたり可能。原作でキルバーンが壁を背にし続けたのもそれが理由。
壁を作っているのはピロロで、その向こうに隠れていた。と思ってます。
(でもそれだとキルバーンの服に付いた傷跡とドラゴンキラーの刃の形が一致しないんだよなぁ……)

電撃呪文は「この世界だと竜の騎士しか使えない」という扱いにしています。
わざわざここで記載する必要も無いかも知れませんが、一応念のために。というのも、「デイン系は竜の騎士限定呪文です」のように断言された資料が見つからなかったのです。
「電撃呪文は真の勇者が使える」みたいな曖昧な表現はあるのですが……

そうなると「デイン系が使える=必ず勇者なのか?」と疑問になりまして。

竜の騎士限定だとすると、その割にライデインが知名度はあるみたい。そうなると「竜の騎士はどれだけホイホイ姿を見せているんだ? 呪文が知られている割には竜の騎士のことが伝わってないぞ」と思ってしまうんですよ。

仮に――
・ライデインまでは素質がある人間ならば使える。
・ギガデインは竜の騎士限定の呪文になる。
・ライデインを使う悪人もいれば、使えないけれど勇者として名を残した人間もいる。
(デイン系使えないからアバンは勇者じゃない、とか悲しいですからね)

――みたいな感じかとも思いましたが、そこまで行くとワケが分からなくなりそうで。シンプルに「デイン系は竜の騎士しか使えない呪文」という扱いにしました。

だってそうしないと、バランが来る理由にならないんだもん。


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