隣のほうから来ました   作:にせラビア

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LEVEL:43 おねえちゃん

「【ポイゾナ】! 【ブラナ】! 【ボキャル】! 【ストナ】! 【エスナ】! 【ディスペル】!」

 

どれか一つでも良い。

 

「【ケアルラ】! 【ケアルダ】! ケアルガ! 【リジェネ】! 【ホワイトウィンド】!」

 

ほんの少しだけで良い。

 

「レイズ! アレイズ! リレイズ! リターン!」

 

眼前の相手に効果があることを願って、チルノは彼女が知る限りの、思いつく限りの魔法を唱え続けた。自分の力量で扱える魔法か否かなどは、度外視である。このまま自分が魔法力の使いすぎで倒れても良い。

その覚悟を込めて、彼女は魔法を唱える。効果のありそうな物を片っ端から。単純に怪我を癒やすもの。状態異常を回復させるもの。戦闘不能者を蘇生するもの。

 

効果があるかどうかを吟味して取捨選択する時間も惜しいとばかりに、チルノは魔法を唱える。全ては弟の――ダイの失われた記憶を取り戻さんとするためだ。

だが、そう願って無数に唱え続けた魔法たちの全てが失敗に終わる。

 

「なんで……なんでよ……」

 

どれも効果が無い――いや、本来の効果を発揮しているものもある。ただ、彼女の望む結果に辿り着いていないだけだ。

そして、どれだけ魔法を唱えようともこうなることは、彼女自身がよく知っていた。知っていたが、それでも信じ切れなかった。

ダイの記憶喪失の原因は、(ドラゴン)の紋章の共鳴によるものだ。強い波紋が弱い波紋を打ち消してしまうように、押し寄せた波によって砂浜に書かれた絵や文字を消えてしまったように。

まるで、そうなることが自然の摂理とでも言うように。

レイズとリターンの魔法だけは、ほんの少しだけ期待があった。片や、戦闘不能を回復させる魔法。片や、時を少しだけ巻き戻す魔法。

記憶の喪失が蘇生の範疇に当てはまるのであればもしかしたら。

巻き戻る時間が、ダイが記憶を失うよりも前まで及べばもしかしたら。

だが、微かな期待を持って唱えたその魔法は発動することすらなかった。チルノの術者としての力量がまだ足りないのか、それともこの世界そのものが禁じ手としているのか。それはわかららない。

 

「どうして……こんな光景、みたくなかったのに……」

 

分かったことはただ一つ。

消えた記憶を取り戻す――そんな都合の良い方法など、彼女は持ち合わせていなかったということだけだ。

 

「ごめんね……ダイ……」

 

そう呼びかけられたダイは、チルノのことを不思議そうな目で見ているだけだった。

何も知らない無垢な瞳と言えば聞こえも良いだろう。だが汚れ無きその瞳が、更にチルノを追い詰める。本来の歴史という他者にはあり得ないはずの圧倒的有利な手札を持ち得ながら、起こりうる未来を回避できなかったという無力感。

 

「私は……誰を恨めばいいの……」

 

無力感と喪失感、加えて魔法の使いすぎによる疲労感が一気に肉体へと襲い掛かり、チルノは力なく崩れ落ちた。床の上にぺたりと座り込み、ダイを目の前にしながら俯いて下を向いてしまう。ダイを見つめることが辛くて仕方が無かった。

ほんの少しだけ、静寂の時間が流れる。

 

「……ねえちゃん……」

「……っ!!」

 

突然ダイから聞こえてきた言葉に、チルノは思わず顔を上げた。

 

「だいじょうぶ、おねえちゃん(・・・・・・)?」

「あ……」

 

だがそこにあったのは、チルノが下を向く前と同じ幼い瞳だった。もしかしたら、先ほど使った魔法が少しだけでも効果を取り戻したのかもしれない。そんな淡い期待は、瞬く間に打ち砕かれた。

ダイの言葉をきちんと聞き取ることが出来ず、自分の都合の良いことを言ったと錯覚してしまうほどに、追い詰められているのだと分からされ、チルノの心は更に深く沈む。

 

――おねえちゃん、か……私のことをそんな風に呼ぶなんてね……

 

呼ばれた言葉を反芻しながら、昔の記憶を掘り起こす。

幼い頃からダイはチルノを呼ぶときはいつも「姉ちゃん」だった。言葉を喋り始めた頃、まだきちんと回らない舌では「おねえちゃん」としっかり呼ぶことが出来ずに「ねえちゃん」と言いやすい呼び方をしていた。

とはいえこの呼び方はヤンチャ坊主だったダイの性質ともあっており、無理に直させることもないまま、ずっと「姉ちゃん」と呼ばせていた。

 

言うなれば、特別な呼び方である。チルノ自身もダイから「姉ちゃん」と呼ばれることが当たり前だと思っていた。そこに来て「おねえちゃん」と呼ばれたのだ。

彼女の受けた衝撃はいかほどか。

 

「うん、大丈夫。ありがとうね、心配してくれて……」

 

今にも泣き出したくなるのを必死で堪えて、チルノはダイを不安がらせまいと必死で笑顔を見せようとする。だが限界が近かった。いつ涙が零れるかもしれない。

そう直感的に察したチルノは、ダイをそっと抱きしめる。

弟に涙を見せないように。

 

「ねえ……その、ダイっていうのがぼくの名前なの……?」

「……ええ、そうよ。あなたの名前はダイ」

 

抱きしめられたことに驚きながらも、ダイはチルノに尋ねる。自分の名すら忘れてしまった事は、知っていたとしても受け入れがたいものがあった。遂に我慢仕切れず、大粒の涙を一筋こぼしてしまった。それはチルノも、そして彼女の傍で見守っているゴメちゃんとスラリンも同様だった。

それでも涙声を我慢できたのは奇跡に近いだろう。チルノはダイに自分のことを少しずつ話していく。

 

「私はチルノっていうの……覚えてないかも知れないけれど、あなたのお姉さんだったのよ」

「ぼくの、おねえちゃんなの? ……うーん、ごめんね。わからないや……」

「ううん……ダイは悪くなんてない。今は無理をしないで……」

「あ、でも……おねえちゃんに抱きしめられていると、なんだか安心する……なんでだろう……?」

 

その言葉の意味をチルノは考える。

記憶を全て忘れたとしても、本能的に自分の事を分かっているのだろうか? それとも、抱きしめられたことで人の温もりを感じて、ただなんとなくの安心感を得ているだけなのだろうか?

願わくば、前者であって欲しい。そう願った矢先、部屋の扉を遠慮がちにノックする音が聞こえてきた。

 

「どうぞ」

「あの、チルノさん……私です、メルルです。今、少し大丈夫でしょうか?」

 

扉を開けて、メルルが顔を出す。彼女の言葉から、理由をなんとなく察した彼女は一つ頷くとダイから離れる。そのどさくさに紛れて涙は既に拭っている。

 

「ゴメちゃん、スラリン。二人とも、ちょっとだけダイの相手をお願いね?」

「「ピィ!!」」

 

残った二人に合図を送ると、チルノは部屋を後にする。メルルが来たことで、少しだけ気分転換にもなったようだ。

 

「キミ、かわいいね。なんていうの? ぼくの友達になってよ……」

「…………ピエェ~~ン!!」

 

だが、去り際に聞こえたダイとゴメちゃんのやりとりに、再び影を落としていた。

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

「ごめんなさい。私のワガママで……」

「いえ、そんなことは。私も、少しでも皆さんのお役に立ちたかったので」

 

廊下を進みながら、チルノとメルルは互いに言葉を交わし合う。

 

ここはテランの王城――より正確には王城内の一角である。

バランによってダイの記憶を消された後、無理を言って城へ逗留させてもらうように頼み込んでいた。記憶を失ったダイを少しでも安全な場所で休ませたいというチルノの願いを聞き入れたレオナが、同じ王族だという繋がりを使って交渉したのだ。

その結果はご覧の通り。

城内の一室を借りることは成功し、ダイの記憶が少しでも元に戻らないかと必死で抗っていたのだが、ついぞ効果がありそうな物は無かった。

仲間も心配していることは分かっているのに、ワガママを言ってダイと二人だけにさせて欲しいと言っていたにもかかわらずだ。

 

「王様の体調が良くなったそうなので、お話を聞きたいと。特に、姉であるチルノさんから」

 

テラン王フォルケンは齢にして八十という高齢である。年齢に加えて病床に伏せっており、ベッドの上から動くには他者の手を借りなければならないほどだ。

部屋を借りるときには直接のやり取りは行わず、兵士を通して交渉を行っていた。許可を得てすぐにチルノはダイの治療に向かったため、王に会うのは初めてである。

 

「あの……チルノさん、少しだけいいでしょうか?」

「なぁに?」

 

メルルに案内される道すがら、彼女は遠慮がちに口を開いた。

 

「もうお察しかもしれませんけれど、私、引っ込み思案で、勇気がなくて……」

「うん……」

「でも、チルノさんは(ドラゴン)の騎士様を相手にしても、臆すること無く立ち向かって、自分の意見をしっかりと言っていました。その姿が、とても素敵で……」

 

憧れの眼差しでチルノを見ながらそこまで口にすると、メルルは慌てて動く。

 

「すみません! 私ったら、チルノさんだってお悩みのところに自分のことを……わ、忘れてください……」

「あはは、大丈夫よ。要するに、自分の性格について悩んでいるって事でいいのよね?」

 

メルルは小さく頷いた。

その様子を見ながらチルノは少しだけ考える。本来の歴史では見なかった会話である。だが、メルルが何故そうなったのかも分からなくは無かった。

彼女は自分の言うように、どちらかと言えば内気で大人しい印象だ。そこに、絶対的存在とも言える(ドラゴン)の騎士相手にあれだけの意見を言った上に、戦って見せた。

そんな姿を見せられれば、こんな反応をしてもおかしくは無い。

 

「……私だって、そんなに勇気があるわけじゃないわよ。でも、あの場ではどうしてもバランに言ってやりたかった。相手が(ドラゴン)の騎士だとかは関係なしに、ね」

 

何を言うべきか、それを決めたチルノはあの時の気持ちを乗せて、メルルへ説明してく。

 

「多分、メルルだってそう。どうしても必要な場面なら、誰もが驚くような行動が出来ると思う。内気だとか損得勘定なんて理由は関係なしに、自分の感情の赴くままに」

「感情の赴くまま……そんなのが、私に出来るんでしょうか……?」

「大丈夫。毎日少しずつでもそう思って、機会があったら、ちょっとだけでも行動する。それを繰り返していけばいいの。急に変えるなんて、絶対に無理だからね」

 

本来の歴史を知るチルノにしてみれば、目の前の少女は後に誰しもが驚く行動を取ることを知っている。ならば太鼓判を押すことに何のためらいがあろうか。

 

「そうだ! 私がバランを相手に向かっていた時のことは覚えている?」

「え……あ、はい。確か、剣の電撃を消し去って……」

「そうそう。そこで最後にスライムを出したのよ。そんなの予想できたかしら?」

「いえ、まったく……」

「私がお願いしたとはいえ、スライムだって(ドラゴン)の騎士を相手に立ち向かえたんだもの。メルルになら絶対できるわ!」

「スライム……」

 

だが、メルルの反応はいまいち芳しくない。スラリンは炎を吐くことが出来る。そんな特殊な力があるのだから、あの場で前に出ることが出来たのだ、と考えてしまう。

 

「それでもまだ足りないのなら……そうね、こう考えてみたら? 自分は引っ込み思案だから勇気が無いんじゃなくて、勇気を出さないための理由として自分は引っ込み思案だと思い込んでいるんだ。本当はそんなことはないんだ、って」

「理由……いいわけ、ですか……?」

 

その言葉にメルルは視線を落として少し考え込む。

 

「ごめんなさい、参考にもならない話をしてしまって……」

「いえ、そんなことはないです。もう少し、自分の心と向き合ってみたいと思います」

 

見慣れたそれよりも幾分柔らかな表情に見えるメルルの言葉を聞いて、チルノは胸をなで下ろした。

 

 

 

「遅くなってしまい、申し訳ございません。フォルケン王、お初にお目に掛かります。ダイの姉、チルノと申します。まずはご無理を聞いていただいて、ありがとうございます」

 

メルルに案内され、王が待つ部屋まで辿り着く。既に中にはレオナ、ポップ、クロコダインにナバラまでいる。まさに自分が最後であったようだ。

そのことを侘びながら、チルノは王への挨拶と礼の言葉を口にする。

 

「いや、そうかしこまることもない」

 

チルノの態度を言葉で制し、普段通りで構わないと促す。齢八十というのは、現代社会でも中々の高齢だ。まして栄養学や医療などは遅れているのだから、これほどまで生きるのはとてつもないことだった。長く伸ばした髪を後ろになでつけ、豊かな髭も蓄えている。その両方とも、白く染まっていた。

だが高齢であっても、王としての威厳か、その衰えはあまり感じさせない強い瞳を持っていた。身に纏っている物も簡素だが上等そうな印象を受ける。

 

「さっそくだが、聞かせてくれぬか? (ドラゴン)の騎士様のことを……この国で、何が起こったのかを……」

 

フォルケン王はベッドの上より身体を起こしていた。だが辛そうな様子はよくわかる。

 

「分かりました。少し長くなりますが、ご容赦ください」

 

体調から判断するに手短に済ませてあげたいだが、王はそれを望んではいないだろう。気持ちを封じ込めると、チルノは今までの事を語り始めた。

 

 

 

「なるほど……そのようなことが……」

 

全てを語り終え、フォルケン王はため息を一つ吐いた。まさか自国で、そのような問題が起こっているなど、想像の埒外だった。歴史や見識の深いこの王であっても、あまりのことにどうしてよいのか、まるで分からずにいる。

 

「はい。そして今ダイは、お借りした部屋で休ませています」

「それで、ダイ君の様子は……?」

「そうだぜ……チルノなら、記憶を取り戻す隠し玉の一つや二つくらい、こうパーッと……」

 

ダイが休んでいる――そのことを口にすると、待ちきれなかったというようにレオナとポップが口を挟んできた。

それも当然だろう。今のダイの様子を一番詳しく知っているのはチルノなのだ。そして彼女が二人っきりにして欲しいと言ったのだ。ならばポップが期待するように、何か手立てがあるんだろうと思ってしまっても、誰も責められるものではない。

 

「…………」

「……そう、か……」

 

しかし二人の予想に反して、チルノは何も言うことが出来なかった。その態度だけで何があったかは十二分に察せる。消沈する姿に引っ張られ、二人どころか全員が暗く曇った雰囲気を漂わせてしまう。

 

「ただ、私が抱きしめたときに、ダイは安心するって言ってた。記憶はなくなったって思ったけれど、もしかしたら少しだけでも残っているのかもしれない……」

「本当!?」

「うん……でも、期待しない方がいいよ……私、ダイに『おねえちゃん』って呼ばれたの……子供の頃からずっと『ねえちゃん』だったのに、ちょっと呼び名が変わっただけで……すごく辛かった……でも、ダイにそれをぶつけるわけにもいかないから……」

 

そこまで口にするがチルノには精一杯だった。それを聞いたレオナもまた、彼女が言いたいことと、自分が抱いていた想いに気付いて言葉を失う。

 

「ああ、おれもよく分かるよ……ダイが記憶を失ったと思ったら、急に鎧が怖い剣が怖いって言い出した時は、おれも怒鳴りそうになったよ。でもよ、お前の姿を見てたら、何も言えなくなっちまった……」

「ああ、あの時のことか……」

 

本来の歴史よりも、バランとの初戦は有利に進んだと言って良いだろう。得意技を封殺し、ダイは剣も鎧も弾き飛ばされることもなく、そして負けた。

記憶を失い、意識を取り戻したかと思えば、自分が鎧と剣を装備していることに気付き、それが怖いと言って怯えていた。その姿は、勇猛なダイの姿を知るポップやクロコダインからすれば、信じられる光景では無かった。

ポップなどはそれに耐えきれず、怒鳴ろうとしてしまう。だが、それよりもチルノが感情の赴くままに、泣いていた。

自分よりも大きな反応をしている者がいると、逆に冷静になってしまう。などというが、ポップも同じだったようだ。なによりも、一番ショックを受けているのは姉として最も近い立場にいた彼女なのだ。

それに気付いたからこそ、ポップは怒りを飲み込むしかできなかった。

 

「だが、バランはいずれ戻ってくるはずだ。果たして、どうする……?」

「逃げる……ってワケには行かねぇよなぁ……」

「無理だろう。あの様子からすれば、紋章の力で居場所を特定されかねんぞ」

「そもそも逃げたら、腹いせにこの国を滅ぼす! なんてこともあり得るでしょ! そんなこと出来るわけ無いじゃ無い!!」

 

ダイの事も心配だが、バランの危機も差し迫っている。ならばどうするかと意見を交わし合うが、沈んだ状況では良案など産まれようはずもない。

 

「……バランの逆鱗に触れるだろうから、あの場では言わなかったんだけれど」

 

ならば自分がやるしかない。この非常事態では、遠慮をもう少し止めるべきだ。そう決意して、チルノは口を開いた。

 

「ダイのお母さんを……バランの奥さんを殺したのは、多分人間だと思う」

「何ッ!?」

 

突然の突拍子も無い意見に、誰もが驚きの声を上げる。しかしその反応は予想できていたことだ。

 

(ドラゴン)の騎士は基本的に一人だけ。となると、伴侶となる相手は(ドラゴン)の騎士ではない存在――候補となりそうなのは、魔族か人間かくらいでしょ? でもダイの身体に、魔族の特徴は出ていない。となれば相手は自ずと人間のはず」

 

本来の歴史から知った結論より逆算して導き出した理由を口にしていく。

 

「決定的だったのは、ダイに人間の汚い面を語ったときかな。その時の言葉が、変に力が入っていたのが気になっていたの。多分、実体験からだったんじゃないかな?」

「実体験……?」

「あの馬鹿みてぇに強いバランが人間に迫害を受けていたってのか!?」

「特別な存在である(ドラゴン)の騎士だって、別に木の股から産まれるわけじゃないでしょ? 生命である以上は、何か命を持った存在が産み落とすはず。それにバランだって、見た目は普通の人間だもの。ということは、人間の世界で暮らしていたんじゃないかな?」

 

仲間達の疑問に頷く。

(ドラゴン)の騎士は、聖母竜(マザードラゴン)によって生み出され、地上のどこかに産み落とされる。その地の人間は、その子を神の子として育て上げるのだ。

つまり子供の頃の(ドラゴン)の騎士は、成人するまでの間は人間の社会で育つと言って良いだろう。

 

「子供のうちはいいけれど、大人になるにつれて、紋章の力に目覚めることで頭角を見せていく。そうなるとその強さに畏怖して排除しようとする人が出るのも事実だもの」

 

神の子として祭り上げられたのだ。ならば特別な存在と思われても、仕方ないと思うかも知れない。だが、その神の子がどうして自分では無いのだ。バランだけどうして特別視されるのだ。

そう考えて、疎む人間が出ても仕方ないことだろう。

 

「過去にそんな経験をしたのであれば、バランは自分の力を上手く隠そうとすると思う。自覚しているのであればなおさら。だとしたら、原因は奥さんの方……」

「その女性が、バランのことを裏切ったというのか?」

 

クロコダインの言葉を、チルノは首を横に振る。

 

「ううん、それは無いと思う。もしもそうだったら、ダイは自分を裏切った相手の子供よ? バランから見れば自分の汚点の証……仲間にしたいなんて考えるかしら?」

「むぅ……」

 

些か冷酷な言葉だというのは自分でも分かっていた。クロコダインに聞かせるには、少々酷かもしれない。だが、仕方の無いことだと自分に言い聞かせる。

 

「だから逆に、バランにとってその女性は何が何でも信じ抜いてあげたい相手だったんだと思うの。ちょうど、私たちとダイみたいに」

「なるほどな……」

「ならば、何があったというのだ?」

 

早く続きを聞きたいと遠慮がちに促す獣王の姿は、どこか子供のようでもある。

 

「バランと奥さんの出会いは分からない。でも多分、その奥さんはすごく身分の高い人だったんだと思う。貴族の娘か、はたまた一国の王女か」

「え?」

「とにかく、そのくらい高貴な人。そんな人がバランと結ばれたらどう思うかしら?」

「なるほどね……チルノが言わんとしていることが理解できたわ……」

 

レオナは流石は一国の王族だということか。チルノの言葉から想像出来たことを、彼女の説明を補足するように口を開いた。

 

「周りからしてみたら、突然現れたバランに姫が取られる。そのまま何も無ければ、自国が乗っ取られかねない。だったら排斥しよう。私欲に塗れてそう考える人間が現れてもおかしくないわ……」

 

そう言うとレオナは「ウチでも過去にあったみたいだしね……」とマトリフの過去のことを僅かに呟く。その態度には、過去への嘆きが含まれている。

 

「付け足すと、ダイが産まれたのは約十二年前……倒されたとはいえ、まだハドラーの恐怖も記憶に新しい頃よ。そんな時期に『バランは人間ではない、ハドラーの手下の一人が化けて国を乗っ取ろうとしているのだ』なんて密告があったら、疑いの目を向けられてもおかしくないと思う」

 

決して私利私欲だけが理由では無い。時代背景という下地もあったのだ。と言外に訴えながら、チルノは更に言葉を続ける。

 

「そして疑いの目を向けられたバランを庇って、奥さんを失った」

 

結論の言葉を口にすると、全員が押し黙る。彼女の語ったあまりの内容に、何と言ったら分からない。と言ったところだ。

 

「さっきも言ったけれど、あくまで推論。証拠は何もない、バランの話と態度から考えた、創作物みたいなものよ」

「……その話を聞いて、二つ思い浮かんだことがある。良いだろうか?」

 

予防線のように口にした言葉を聞いて、フォルケン王が重々しく口を開いた。

 

「ええ、構いません」

「ありがとう。まずは一つ目、先ほどの(ドラゴン)の騎士様が成長するまでの話だ」

 

口元に手を当て、記憶を探り出すようにしながら王は言う。

 

「確かに、ごく希にだが、そのような神の子が産まれる記録があった。だがその子供は、成人すると勇者として活躍するか、人知れずにどこかに行くか……その最期についてはよく分かっていない」

 

伝承や記録に詳しいテランの王たる面目躍如といったところか。彼の記憶の中にも、(ドラゴン)の騎士と思わしき記録が存在していた。

 

「仮に神の子が(ドラゴン)の騎士様であったならば、人間の社会で暮らしたという推測も間違ってはいないだろう」

 

思いもよらぬ形での援護に、誰しもが言葉を失う。

 

「そして二つ目だが――アルキード王国、という名を聞いたことはあるかね?」

「アルキード……? 確か……」

 

何人かは記憶を絞り出すような表情を見せるが、ナバラなどは流石に年の功というべきか、それを聞いて顔を青ざめさせていた。

 

「まだ若いそなたらでは、馴染みが無いのも無理は無いだろう。かつて、このギルドメイン大陸の最南端に存在していた国だ」

「そういえば、昔聞いたことがあったような……」

 

説明されて得心がいったとばかりに、表情を軟化させた。だがそれも一瞬のことでしかない。続く王の言葉を聞いて、誰もがその表情を強張らせる。

 

「だがその国は、地図上から消滅したのだ」

「……!?」

「消滅、だと!?」

「うむ……国が滅びた、人々が疫病で倒れた。などという比喩では無い。文字通り消滅したのだ……かつてアルキード王国が存在していた半島ごとな……」

 

あまりにスケールの大きすぎる事に、静寂が室内を支配する。

アルキードのことを深く知らない者に取ってみれば、その衝撃的すぎる事実に驚かされるが、ナバラの様なある程度の年齢を重ねた者や、各国の王や重鎮はある程度知っている事実だった。

だが、一国が突然消えたなど、とてもではないが風聞出来る情報ではない。アルキードは滅亡したという結果だけが伝えられることとなり、その理由などについては秘匿された。

 

「その国の姫の名は……たしかソアラだったかな。年齢も二十歳前後だったはず。肉体的に子供を為すことも出来ただろう」

 

約十年前。その頃のバランと出会っていたならば――そう考えるには十分過ぎる内容であった。

 

「ワシの話はこれで終わり……彼女の言葉では無いが、何か証拠のあるものではない……じゃが……」

 

チルノの話と、フォルケン王の話。その二つが繋がる証拠は何も無いはずである。だが話を聞いた全員が、その二つを分けて考えられなくなっていた。語ったフォルケン王当人でさえ、否定したいという気持ちが湧かなくなっている。

 

(ドラゴン)の騎士と一国の王女の関係、か……何があったかは、想像に難くないな……」

「うん……レオナの言ってた様に、私利私欲でバランを追い落とそうとしたのかもしれない。本当に国を守りたくて、バランを追放しようとしたのかも知れない……こればっかりは、当事者に聞かないと分からないけれど……」

「つまり……バランがきちんと周りに自分のことを訴えて、身の振り方を考えていれば、今みたいな事は防げたかも知れねぇってことか……!?」

「もしくは、バランがダイをずっと探し続けていてくれたらね……」

 

あくまで仮定の話であり、真相は闇の中である。だが、バランにそんな事情があったのかもしれないと、そう考えると、やるせない気持ちしか浮かび上がらない。

だが、それを訴えたところで対抗手段になるかどうか。

 

「……その話が事実ならば、オレならばなんとか出来るかもしれん」

 

混迷する状況に光明が差し込むように、一人の男の声が聞こえた。その声に誰もが反応し、そして驚きの声を上げる。

 

「「「「ヒュンケル!?」」」」

 

そこにいたのはクロコダインと共に魔王軍の動向を探りに行ったはずのヒュンケルであった。鬼岩城が消えていたと言う事実は既にクロコダインの口から伝わっているが、彼は行方を探るべく更に単身調査へと向かっていたのだ。

本来の歴史ではもう少し後で合流するはずの男が、このタイミングで来たことに、チルノ自身も多少なりとも驚かされる。まあ、位置を判明させる道具とキメラの翼を渡していたのだ。早く合流するだろうとは思っていたが。

 

「無理を言ってしまい、すまなかった」

「いえ、こちらこそ。(ドラゴン)の騎士様のお知り合いの方と知らず、失礼を致しました」

 

ヒュンケルは彼を案内した兵士に声を掛ける。

彼もまた、キメラの翼で付近まで移動した後に、徒歩で直接ここまでやってきていた。だが間の悪いことにというべきか、ダイたちは城の中である。門番に直接交渉し、この場所まで案内してもらったのだ。

 

「いや、その行動は当然のことだ。気にすることはない」

「そう言っていただけると、助かります。こちらは、預かっていた剣です」

 

とはいえ、見知らぬ相手を易々と通すわけにもいかない。鎧の魔剣を預けること、さらに彼の後ろに一人の兵士が何時でも動けるように睨みを利かせることを条件に、ようやくここまで来ることができたのだ。

 

「すぐに顔を出すつもりだったのだが、話をしている途中だったのでな。悪いが、キリの良いところまで待たせてもらった」

 

だが更に間の悪いことに、丁度話をしている最中であった。そのため、話の腰を折らぬようにと待っていた結果、このように絶妙なタイミングとなっていた。

 

「すまなかった。オレがもう少し早く合流できれば、こんな事態は避けられたかもしれん」

「いえ、ヒュンケルが悪いわけじゃ無いわ」

「そうだぜ。剣の腕は買ってるんだ。遅れた分は精々働けってんだ」

「それよりも、さっきの言葉は、まさか……」

 

尋ねられた言葉に、ヒュンケルは力強く頷く。

 

「ああ、そうだ。オレもかつてはバランと同じ道を歩いていた。だが、お前達に気付かされたのだ。だから、今度はオレがバランに教えてやりたい……オレなら伝えられるかもしれん!」

「でも、バランの心は硬いわよ。それに、下手なことを言えば逆上して殺される可能性だってある……」

「安心しろ。不死身はオレの専売特許だ……それに、まだオレはこんなところで死ぬ訳にはいかん。果たすべき使命があるからな」

 

チルノの言葉にヒュンケルは少しだけ冗談を交えて、だが死ぬつもりは無いことを明確に宣言する。その言動は、レオナには少しだけ不安に見えた。

 

「ヒュンケル、あたしは確かに貴方に使命を授けた。でも、あなたのことを心から心配している人だっている事だけは忘れないで……」

「姫……ああ、心得た」

 

しっかりと頷くヒュンケルを見て、レオナも安心したようだ。続いてクロコダインが声を掛ける。

 

「合流に時間が掛かったようだが、収穫はあったか?」

「当然だ。それに、色々と野暮用が出来てな……そのせいで遅くなってしまった」

 

野暮用が出来た、と言う言葉にチルノは引っかかりを覚える。

本来の歴史での彼は鬼岩城の後を追ってカール王国まで向かい、そこでバランの情報を得てダイとの関連に気付く。だが既に滅んでいるカール王国では、それ以上に大きな収穫などあっただろうか。

彼女の予想では、関係性に気付いてすぐに戻るとすればもう少し早くても良いのでは無いかと思っていた。

 

「姫、少し良いだろうか?」

 

だが、幾ら考えても結論はでない。そもそも与えられた情報が少なすぎるのだ。チルノが考えを巡らせている間に、ヒュンケルはレオナを伴って席を外す。そこで何が行われたのか、彼女には知るよしも無い。

 

レオナたちが席を立ったのを見て、チルノはポップたちに声を掛ける。

 

「もしも、良かったらだけど……ダイに会いに行ってあげて。見ているだけで、耐えきれないくらい辛くなるかもしれないけれど……でも、皆との出会いがダイの記憶を呼び覚ますきっかけになるかも知れないから!」

「チルノ……」

「……分かった。だが、期待はしないでくれ」

「王様も、もしもですが、よろしければ……」

「ああ、わかった。(ドラゴン)の騎士様の子供なのだ、折を見て一度くらいは会っておこう」

 

そのまま、自然と話し合いは終了していった。

 

そして、全員がダイに会いに行くが結果は変わらず。

もしかしたら、デルムリン島に連れて行けば。ブラスや島のモンスターたちと出会わせれば、記憶が戻るかも知れないという案も出たが、徒に心配させるだけ。環境を急激に変えるのは問題なのでは。などの考えから、お流れとなる。

 

合間をみて、バランへの対抗手段を模索していたが――結局、これぞと言った妙手など何も浮かぶことの無いままだった。

 

そうして、ただ時間だけが流れていく。

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

「状況だけ見れば、初戦は痛み分け。けれど被害は勇者パーティの方が圧倒的に大きい」

 

鬼岩城にてバランの動向を見守っていたハドラー達であったが、バランが一時撤退したことで、彼の居場所を見失っていた。

現在の様子が分からないという事実が、ハドラーを更に不安がらせる。そんなハドラーの様子を見ながら、キルバーンは冷静に言う。

 

「どうやらこれでもう、チェックメイトだね」

 

チェックメイト――果たしてそれは、誰に向けられた言葉だったのだろうか。

打つ手の無くなったダイたちへ向けられたのか、それとも、後の無くなったハドラーを示した言葉だったのか。

死神へとその言葉の真意を問いただすよりも早く、配下である悪魔の目玉からバラン発見の報告が入り、映像が映し出された。

 

「な、なんじゃ!? あの巨大な三色の篝火は!?」

「あれは……やはり、竜騎衆を呼ぶつもりなのか!?」

「竜騎衆!? なんですそれは!?」

 

ザボエラの問いに、ハドラーが竜騎衆のことを答える。

曰く、バラン配下の特別な部下。それぞれが陸・海・空の(ドラゴン)を操る屈強の竜使いであり、バランと共に動けばその破壊力は想像を絶するほどだ、と。

 

念には念を。これほどの戦力を持ってすれば、ダイ奪還を失敗することはないだろう。

そしてバランとダイという二人の(ドラゴン)の騎士を手に入れれば、バーン軍は安泰。バランはその地位と名声をますます高め、反対にハドラーはその責任を取らされて失脚することになるのは目に見えている。

 

 

 

バランが儀式を続ける姿を見ながら、ハドラーは絶望していた。

ダイが記憶を失い、バランは竜騎衆という新たな力を持って襲い掛かるのだ。もはやバランの勝利は疑いようもない。

そして自分は、これまでの敗戦の失態に加えて、(ドラゴン)の騎士の事実を黙っていたことも併せて責任を取らされ、そして全てを失うのだろう。

 

全てを失った自分は、どうなるのだろうか。

バーンの超魔力によって生かされているこの肉体は、遠からず朽ちるのだろうか? それともそうなる前に死神に処分されるのだろうか?

 

そこまで考えて、彼の脳裏に浮かんだのは、彼と同じように全てを失いながらもそれでも勝利だけを追い求めたとある部下の姿であった。禁呪法を用いて作り上げた仮初めの命であったはずのそれは、命すら不要と言い切って勝利を求めた。ならば自分も……

そこまで考えて、彼は思考を打ち切った。

もはやどうにかなる問題では無い。ただ、せめてもう少しだけでも早くこの考えに到ることが出来れば……

自虐の笑みを浮かべながら、ハドラーは感情を隠すように拳を強く握りしめる。力を込めすぎたため、そこから――魔族の証でもある――青い血が一筋流れ出ることも気にせずに。

 

 

 

ハドラーを見ながら、ザボエラは歯噛みしていた。

取り入る相手を間違えた――彼の思考を一言で表すならば、これに尽きる。

既にハドラーは窮地に立たされている。ここからの逆転劇など、誰がどう考えても不可能であろう。遠からず制裁を受けて、そして失脚するはずだ。

そうなっては、自身が今まで散々ハドラーへ取り入ろうとしてきたその全ての苦労が水泡に帰すのだ。

 

せめてもう少し早く動くことが出来れば。そう、せめてバランが出撃するよりも早く何かできれば、まだ可能性はあったかもしれない。バランが行ったように、相手の記憶を消すような真似はザボエラの得意分野だ。今のダイのように全てを消すのではなく、バランに都合の良い記憶を流し込むこともできる。

では一体、何が悪かったのか。決まっている、考えるまでも無い。バランが出陣を表明する際に、現場に居合わせることが出来なかったのが原因だ。

では何故、居合わせることが出来なかったのか。決まっている、あの小娘から受けた傷が原因だ。

 

完全に逆恨みの憎悪を燃やしながら、忌々しげな表情を浮かべるが、だがザボエラにはそれ以上どうすることもできない。ヘタに手を出せばバランの怒りを買いかねない上に、そのバラン当人が襲撃するのだ。もはや命など残るまい。

彼はせめて、チルノの死体がまともな状態で残ることを願った。死体からでも、やりようはある。精々実験材料の足しにして、少しでも溜飲を下げる道具としてやろう、と。

 

 

 

バランの様子を見ながら、キルバーンは嘆息する。

最初にチルノのことを直接見たとき、自分が動く必要があるかもしれない。彼は直感的にそう理解していた。どこか不思議な立ち位置を見せる彼女を相手に出来るのは、自分だけだと思っていたのだ。

そして、彼女の操る未知の力はなんともそそられる。

キルバーンが得意とする戦術は、罠に仕掛けてはめる。それだけだ。どんな訓練を積んできた強者であろうと、自分の罠に掛かれば瞬く間に敗者へと落ちていく。自身の罠を使って、あの未知の力すら封じ込め、そして命を刈り取れれば、それはとても面白いことかもしれない。

 

だが、バランが全力で動く以上はそれも敵わぬ夢となった。ああなっては、もはやバランが全てを片付けてしまうだろう。ダイという切り札を失えば、もはや抗う術などない。

多少残念に思ったが、それだけだった。

精々が、面白い玩具を入手する機会を失した。その程度の認識しかない。ただ、自身が感じた違和感の正体を確かめる機会が永遠に失われたことだけが、少々気がかりだった。

 

 




記憶喪失。
FF的な表現をするならば、状態異常:忘却 辺りでしょうか? フォーグの魔法が冴えますね。(13や14にもありますけれど)
ただ基本、あの世界はエスナで治ってしまう。
でもバランがやったアレは、魔法による一時的な影響では無く、恒久的な扱いなのだから効果が無いとしています。
(そもそも竜の騎士があれだけ消耗して記憶消したのに「エスナですぐ治ったよ」とか……バランが怒鳴り込んで来ます)

メルルの立場から見れば、チルノさんハンパないよなぁ……と思い、気がついたら絡みが出来ていた。
嗚呼……ヘタをするとポップのフラグを持って行きそう。

竜の騎士の子供の頃の部分。
そうなると竜の騎士の使命やら倒すべき相手っていうのは、誰が教えてくれるんでしょうかね? 聖母竜が(夢とかお告げとかで)教えてくれる、とかでしょうか?
(じゃないと、地上にいたバランが魔界のヴェルザーの動向を知るなんて無理。湖底の神殿だって誰かが教えてくれないと気付かないだろうし……
 案外テランの民は、竜の騎士を世話するために設けられた一族だったのかもしれませんね。でも長い時間でそれを忘れたとかそんなの)

噛ませ犬二匹と優遇されてる一人(竜騎衆)まで出す予定だったのに……

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