隣のほうから来ました   作:にせラビア

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LEVEL:53 ロモス観光案内

ダイのルーラによって再びラインリバー大陸へと姉弟は降り立った。

場所はロモス城外壁の門の前であり、先のデルムリン島へ移動したときのような着地時の制御ミスも無く、全員揃って見事な着地を見せていた。

こうしてロモスを外から見たのは、チルノは二回目――偽勇者でろりん達を追いかけた時以来――であり、ダイでも三回目――初回はチルノと同じであり、二回目はポップとマァムと共にロモスまでたどり着いた時以来――である。

 

「やや! 何事かと思えば……ダイ殿にチルノ殿、ですよね?」

「はい、兵士の皆さんお久しぶりです」

 

門の前に詰めていた兵士たちはルーラによって突然現れたチルノたちに驚きつつも槍を片手に近寄り、だが二人の顔を見るなり安堵して警戒心を解いていた。見知った相手――それもロモスを救った英雄たちなのだから、それも当然だろう。

チルノもまた、そんな兵士たちの気持ちを慮って朗らかな笑顔を返す。

 

「お久しぶりです。本日はどうされましたかな?」

「ええ、ちょっと王様に用事があって」

「おや? 王にご用事でしたか。自分たちはてっきり……ああいえ、何でもありません」

 

王に用事があると言うことをつげると、それを聞いた兵士は少しだけ意外そうな顔をしてみせた。わざとらしく言いかけて、そして口を閉ざすその姿に姉弟は揃って疑問を浮かべる。

 

「てっきり?」

「何かあるの?」

「いえいえ、ここで長々と話すよりも中に入っていただければすぐに分かりますよ。ささ、お通りください」

 

秘密を隠しながらも言いたくて仕方の無いような様子の兵士の姿に、姉弟は続けて疑問符を浮かべながらも、彼らに促されるままに門をくぐり、城下へと足を踏み入れた。

 

そして、歩いて数分もしないうちに、兵士達が何を言いたかったのかを理解する。

 

「うわぁ、すごい人の数だね」

「本当……前にロモスに来たときとは比べものにならないくらい……」

「ピィ……」

 

姉弟たちは揃って、人の数に圧倒されていた。ロモスの街並みや人の数を知らない訳では無いが、記憶に残るそれと比較しても倍近い差がある。驚くのも無理はない。

 

「何か事件でもあったのかな?」

「うーん、事件じゃないけれどあるみたいね。ほら、あれ」

 

そう言いながらチルノは、道すがらにあった立て札に貼られた一枚のチラシを指し示す。あれ、の言葉に誘われるままダイはチラシへと近づき目を通していく。

 

「えーと……ロモス王国大武術大会!?」

 

読み上げた途端、ダイが驚きの声を上げた。どうやら、チルノが知る通りの内容が記載されていたようだ。

 

「なるほどね。こんな催し物をやっているのなら、大勢の人がいても不思議じゃないか」

 

ダイの隣へとチルノも並び立ち、同じくチラシへと目を通していく。彼女が知る、本来の歴史とどこか差異が無いかを確かめるためだ。

 

「戦士・武道家・魔法使いなど誰でも職業は不問。武器の使用も可。そして大会の優勝者は――」

 

そこに書かれている文字を一つ一つ丁寧に読み上げ、ついに問題の場所へ目をやる。

 

「――望んだ褒美を取らせる、か……」

 

その一文を目にして、チルノは低く唸る。

本来の歴史では、彼女たちが求める覇者の剣が優勝者に与えられる予定だった。だがこの世界ではロモス王がダイの活躍によって剣を贈ろうとした過去がある。結局ダイが断ってしまったとはいえ、武術大会の賞品に覇者の剣を出さないところを見るに、チルノの予想通り剣を受け取るのに脈はアリと考えてよいだろう。

 

――もっとも、そのまま受け取れても問題がありそうなんだけどね。

 

そこまで考えてから、彼女は心の中で小さくため息をついた。ただ、その覇者の剣も本来の歴史では魔王軍によって奪われており、ロモス王は偽物とすり替わったことすら知らなかった。

剣がいつすり替えられたのか、それは彼女も知らない情報だ。だがおそらくは覇者の剣は手に入らないと思って行動すべきだろうと判断する。

 

「へぇ、望んだ褒美かぁ……美味しい物を腹一杯食べられる、とかでもいいのかな?」

「良いと思うわよ。というか、その程度の条件なら毎日だってかなえてくれるんじゃないかな?」

 

年相応というべきか、実にかわいらしい望みをダイは口にする。そんな弟の姿を、チルノは微笑を浮かべながらチラシの一部分を指さした。

 

「ほらここに『魔王軍に負けない腕自慢よ来たれ』って書いてあるでしょう? つまり、優勝者や良い成績を残した人は、魔王軍と戦う戦力として勧誘すると思う。だから優勝賞品は、文字通りご褒美でしょうね。そうやってハッパを掛けて、参加を促しているんだと思うわ」

「なるほど、王様も色々考えているんだなぁ……」

「他にも国威高揚とか国民のガス抜きとかあるんだろうけれど……まあ、私たちは気にしなくてもいいかな」

「ふーん……でも、どうせだったらちょっと見てみたいかも……」

「開催日は――明日!?」

 

何気なく日付をみて、チルノは驚かされた。彼女の記憶では、本来ならばロモスにやってくるのは当日――それも参加受付が終了する正午の少し前である。

 

「えっ! じゃあおれも参加できるかな?」

「もちろん参加できるとは思うけれど……」

 

勿体ぶった言い方をわざとして、チルノは視線を周囲へと巡らせた。武術大会と銘打っているが、ロモスの国民からすればお祭りのような物だ。そのお祭りを明日に控えて、観客達を目当てとした露天商や屋台があちこちに見える。

 

「その前にちょっと城下を見て回らない? せっかくの機会なんだし」

「うん、賛成!」

 

そんな見ているだけで興味をそそられるものを我慢することなど、できるはずも無かった。ダイは祭りなど体験したことはないし、チルノとてこの世界の祭りは初めてだ。ゴメちゃんとスラリンも、ダイに賛同するように声を上げる。

満場一致で決まった散策を、彼らは存分に楽しむことにする。

 

とはいえ、どこに何があるのかが分かるはずもなく、足の向くまま気の向くままではあったが、そんなことは気にならないほど、彼らは祭りの空気を楽しんでいた。

どこかで仕入れたのかはたまた個人の手作りか、怪しげなアクセサリーや見たことも無いような道具、子供がほしがりそうな玩具などが並ぶ露天を見て回る。

かと思えば、翌日の武術大会で誰が優勝するかの賭博が行われており、その周りに無数に存在する自称予想屋の解説を聞きながら揃って苦笑いを浮かべたりと様々だ。

 

そうして楽しみながら歩いていると、不意に良い香りがチルノたちの鼻をくすぐった。とても甘く、香ばしい香り。その香りに導かれるまま歩みを進め、ついにその正体と出会う。

 

「いらっしゃい! ひとつ3ゴールドだよ!」

「すみません、その焼き菓子を二つ……いえ、四つください」

「まいどっ! 12ゴールドになります!」

 

正体は、屋台で売っていた焼き菓子だった。屋台の店主は、チルノ達の顔を見るなり客と判断したらしく、愛想良く言ってくる。その言葉と、何より暴力のように漂ってくる香りに耐えきれず、チルノはまるで条件反射のように注文していた。

代金を支払えば、店主は上機嫌で菓子を手渡す。

 

「運が良いねぇ。ちょうど焼き上がったばかりなんだ。ほら、まだ熱いから気をつけな」

「どうも」

 

受け取った菓子は、言葉通りまだ暖かかった。持っているだけでじんわりと熱くなり、何もせずとも湯気が立ち上るほどだ。だが、屋台の中にはカマドや火の気配は感じられない。どうやら菓子そのものは別の場所で作っており、この屋台で売っているようだ。

ならば店主の言った『ちょうど焼き上がったばかり』と言う言葉も頷ける。焼き上がったばかりが運ばれて来たところに、運良く遭遇できたのだろう。

 

「はい、スラリン。熱いから気をつけてね」

 

チルノは受け取った菓子の一つを肩に乗るスラリンへと差し出すと、大きく口を開けて目の前の菓子にすぐさま噛みついた。その姿を見ながら、チルノも焼き菓子を頬張る。

 

「ゴメちゃんも食べる?」

「ピィ!」

 

なるほどだから四つ買ったのか。と姉の行動に納得しながら、ダイもまた友であるゴールデンメタルスライムに焼き菓子を差し出した。

 

「お嬢ちゃんたちも、武術大会を見に来たのかい?」

「ええ、そんなところです」

「へぇ……じゃあ、こんな話を知ってるかい?」

 

ダイたち以外に客はいないせいで暇なのだろう。話し掛けていた店主の言葉にチルノが相づちを打てば、予想以上に乗り気な様子を見せた。

 

「ちょっと前にこの街も魔王軍に攻撃を受けてよ。色々と大変だったんだぜ。あの時に勇者様がこの国を救ってくれなれば、オレもこうして商売どころか命がなかったかもしれないんだ」

「…………」

「その後は国主導の見事な手際で復興したんだが、魔物に滅ぼされていたら復興も何も無いからな。今回の武術大会も同じような目に遭わないためだとか言う話らしいが……まあ、なんにせよ救国の英雄様々ってところよ」

 

知ってます、だって当事者ですから。と言う言葉を姉弟は飲み込んだ。店主もまさか、話をしている相手がその英雄たちだとは思ってもいないのだろう。得意そうに話をする店主に二人は適当に頷きながら、菓子の味を堪能していた。

 

余談ながら、菓子は素朴ながらも上品な甘さがあり、全員に好評だったようだ。お昼時を過ぎた頃と言うこともあって、お腹も減っていたのだろう。ダイたちはもう一つ注文することにした。

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

「やや!! あなたたちは!!」

「あはは……」

 

どこかで聞いたような言葉が、ロモス兵士の口から発せられる。

短い時間ではあったが街を十分に堪能したところで、ダイたちは王城へと足を伸ばしていた。だが城に入るのには城門を通らねばならず、そして武術大会開催直前で人が多くなっていることもあって、本来ならば城に入るには厳重なチェックが必要となるはずだった。

だが似たようなやりとりも二回目ともなれば慣れたというべきか、それともこの国におけるダイとチルノの信頼の高さの現れと言うべきか。いくつか簡単な質疑応答だけで、あっさりと王の下へと案内される運びとなった。

 

案内役の兵士に先導されながら手入れされた廊下を歩いていく。かつて百獣魔団から受けた傷跡はもうすっかりと無いようだ。その手際の良さに感心しながら進み、やがて姉弟は王の間へと通された。

 

「おお、ダイにチルノ!! 久しぶりじゃな、見違えたわい。そなたたちの活躍の噂はロモスにも入ってきておるが……いやいや立派になったのぉ」

 

王の間に入るなり、開口一番にロモス王シナナが喜色を浮かべる。シナナ自身、この姉弟のことは気に入っているのだ。なにしろ、兵士から二人が面会を求めているという報告を受けた時から、他の仕事よりも優先させたほどである。

 

「パプニカに旅だったあの日が、まるで昨日のことのようじゃわい。あの時と比べ、ダイは格段に凜々しく逞しくなっておる。男としての格が上がったようじゃな。それにチルノも、少し見ない間に聡明さと女らしさに磨きが掛かったようじゃ。女の成長は早いなどと聞くが、全くその通りじゃな」

 

まるで久しぶりに孫に会った祖父のようだ。立て板に水のように、再会と姉弟に成長ぶりを喜ぶシナナの様子には、ダイたちはおろか傍にいた護衛の兵士たちですら度肝を抜かれる。

 

「おっと、すまんのぉ。年を取るとどうも話が長くなってしまっていかん」

「いえ、お久しぶりです。王様もご壮健なようで」

「久しぶりです、王様」

 

だが自ら気づいたのか、自戒するような言葉と共にシナナは落ち着いた様子を見せる。それを見てチルノはようやく口を開き、丁寧に礼をする。ダイもそれに続いて、チルノの見よう見まねで挨拶をしていた。

 

「はっはっは、そのような堅苦しいことをせぬともよい。して、此度の突然の来訪はどういうことじゃ?」

「はい、実は以前断った"覇者の剣"のことです」

「ほう?」

 

シナナの目が細められ、それまでの好々爺然とした物から驚きの表情へと変わる。まさかそれとは思っていなかったのだろう。

 

「王様! おれ、あの時は覇者の剣を世界平和のために使ってくださいって言いました。でも、覇者の剣が必要になったんです! それに、おれも覇者の剣に負けないくらい強くなりました! だからお願いです!どうかおれに覇者の剣をください!!」

 

まず口火を切ったのはダイだ。覇者の剣を必要としているものの責任からか、必死で訴え出る。それを見て、チルノが続く。

 

「ダイはこれまでに魔王軍の六軍団を四つも退けています。秘められていた素質も開花して、今では普通の武器では成長したダイの全力に耐えられなくなりました。一度断っておきながら虫のいい話だというのは重々承知しています」

 

そこまで言うと彼女は、道具袋から覇者の冠を取り出す。持ち運びの最中、傷がつかないように布に包んでいたそれを解き、シナナへ見せるように差し出すと更に口を開く。

 

「せめてのものお詫びとして、以前頂いた覇者の冠は返還させていただきます! だから、どうか!!」

 

姉弟揃って頭を下げ、懇願の様子を見せる。その光景にシナナは少しだけ吹き出した。

 

「いやいや、そのように深刻にならずとも大丈夫じゃよ、二人とも」

 

あまりに真剣な様子に、見ていただけのシナナにはそれがどこか滑稽にすら思えてしまったようだ。薄く浮かべていた笑みを自ら律し、真剣な表情を浮かべる。

 

「おぬし達をパプニカへ送り出した時から、いつかはこのような日が来ることを待っておったわ。安心せい、覇者の剣は元々勇者ダイに渡すはずじゃったもの……そのダイが勇者の名に相応しいだけの活躍と実力を備えて戻ってきたのじゃ。その勇者に覇者の剣を渡す……かつてダイが言っておったように、剣を世界平和のために使うのであれば、これ以上に有効な活用方法がはたしてあるじゃろうか?」

「じゃあ……!!」

「ああ、何にも問題はない。覇者の剣、是非とも持って行ってほしい」

「よかった……」

 

その言葉を聞いて、ダイは安堵したように息を吐いた。いくら姉から大丈夫だという言葉を聞かされていたにしても、所詮は推論でしかない。本人から直接許可を貰えないのではないかという不安は常につきまとっていた。ようやく肩の荷が降りたらしい。

 

「あの、じゃあこの覇者の冠は……?」

「それも元々はダイに贈った物じゃ。そなた達が持っていることに何の不都合があろうか?」

「良いのですか……?」

「構わぬよ。この世界を平和にするために、覇者の剣と冠を是非とも役立ててくれ」

「ありがとうございます」

 

続くチルノの言葉にも、シナナは許可を出す。覇者の剣と覇者の冠は、ロモスに伝わる伝説の秘宝だ。それを惜しげも無く手放す度量。それはきっと、シナナが真に世界平和を願っている証拠なのだろう。

姉弟は深々と頭を下げながら、シナナの想いを感じていた。

 

 

 

「ではさっそく、ダイに覇者の剣を渡そう。と言いたいところなのじゃが……」

 

興奮も覚めやらぬうちにというべきか。シナナは剣を用意させようとして、だがその直前で自ら待ったを掛ける。

 

「二人とも知っているじゃろうが、ロモスでは明日に武術大会を控えておる。じゃが、かつての英雄が成長して戻り、伝説の剣を授与されるというのもまたとない機会。国民達も大いに喜ぶことじゃろう。そこで、武術大会の翌日に改めて場を設け、その場にてダイへ剣を渡す。としたいのじゃが……どうじゃろうか?」

 

シナナの考えは、ダイたちにとっても理解できないものではなかった。元々武術大会は魔王軍と戦うための戦力を見つけると同時に、内外に力を見せるという意味もある。

かつてロモスでクロコダインを退けた後に、ダイたちはロモス国民の前に勇者として紹介された。王の言うように、その勇者が伝説の剣を所持するほどの力を成長を遂げたとなれば、それもまた一大イベントとなるだろう。

 

問題があるとすれば、ダイにちょっと苦労が掛かる程度だろうが、逆に考えればその程度は安い物と割り切る事もできる。

 

「はい、それで問題ありません」

「そもそもこちらはお願いしている立場なので。異論はありません」

「いえ、どうせならばより大々的に行うべきかと思います」

 

ダイとチルノが揃って賛成の言葉を口にする中、突如として後ろから反対の言葉が聞こえてきた。不意に耳に届いた聞き慣れぬ声に、姉弟は反射的に振り返る。

 

――誰?

 

そこにいたのは、ダイたちにとって見覚えの無い男だった。学者のような出で立ちをしており、神経質そうなその顔立ちはうっすらと何かを連想させる。だが王の間に突然入ってきただけでなく、王の言葉に直接意見を言うことから見るに、どうやら高い立場にあると考えられる。

その証拠に、口を挟まれたにも関わらずシナナの表情は曇っていない。

 

「突然の無礼は申し訳ございません。ですが、面白そうな話が聞こえてきたものでつい口を挟んでしまいました。よろしければ、ご説明させていだけますか?」

「ふむ、聞かせてくれ」

 

はてさて、このような人物がロモスにいただろうかとチルノは心の中で首を捻った。だが思考するだけの時間は与えられず、二人の会話は止まらない。

 

「明日の武術大会終了後では、興奮が冷める恐れがあります。また、武術大会を見るために他国から来た人間は翌日の催しに参加しない可能性があるでしょう。ここは武術大会と同日――それも大会終了後に渡すのが良いかと。武術大会の熱気も加わり、国民は更に熱狂。他国民にも強いアピールの機会となるでしょうなぁ」

「なるほど、確かに言われてみれば……」

 

謎の男の言葉にシナナは心を動かされる。

 

「どうせならば、大会優勝者と勇者殿とで特別試合を行うのはいかがでしょう? 勇者の力を見せる良い機会となります。いや、いっそのこと予選から出場していただき、決勝開始前に正体を明かす。というのも面白いかと思います。もちろん、勇者殿がよろしければですが?」

「なるほどなるほど、確かにそれはダイが成長した姿を伝える良い機会になりそうじゃ。どうじゃダイ、参加してみんか?」

「えっ、おれ!?」

 

不意に水を向けられたダイであったが、それほど悪い気はしていなかった。

 

「うーん、わかりました。おれの存在が少しでもロモスの役に立つならば」

「おお、それはありがたい! では決まりじゃな! チルノもどうじゃ、参加するかの?」

「私もですか? ……せっかくの機会ですし、お邪魔で無ければ」

「ははは、邪魔なものか。よし、二人とも参加じゃな!」

 

続けてシナナはチルノへと意識を向ける。本来の歴史を知る彼女にしてみれば、この武術大会は出ても出なくても特に問題は無いと考えている。危機となる場面は知っているので、その瞬間を外さないようにすれば良いだけだ。

それに何より、どのような大会になるのか一度しっかりと見てみたかったという個人的な欲望もあり、控えめながらも参加の意を示した。

 

「でも、良いのですか? この大会には腕自慢を集めるという意味もあると思うですが、私たちが参加した場合、その妨げになるのでは?」

「なぁに問題は無いわい。たとえ決勝に参加できずとも、有望そうな者には声を掛ける予定じゃ。なにより、祭りは派手な方が盛り上がるじゃろう? ならばお主らには期待しておるわい」

 

ただ一点、自分が参加しても武術大会の目的にそぐわないのでは無いかということが気になっていた。そのため王へと尋ねるが、どうやらそういった心配は既に織り込み済みだったようだ。大会を盛り上げる役としても期待されているらしい。

 

「では、明日の用意が必要ですね。急な変更となりましたが、私が取り仕切っておきますのでご安心ください」

「む、言われてみればそうじゃったな。すまぬのぉ」

「いえいえ、私も噂に聞く勇者殿の力を直接見てみたかったものですから。このくらいなど苦労でも何でもありませんよ」

「いやはや、何から何まで頼りっぱなしですまぬのぉ……ザムザ(・・・)殿」

「……!!」

 

シナナの言葉に、チルノは一瞬だけ反応してしまった。だが意識的に何も無かったように自身を制御し、必死で抑える。

 

「それでは、明日の準備もありますので私はこの辺で。勇者殿、賢者殿。明日はよろしくお願いしますよ」

 

そんなチルノの内心に気づいたのか、それとも気づかなかったのか。ザムザと呼ばれた男はシナナへと一礼をするとこの場から去って行く。だが去り際にチルノのことを強い視線で一瞥だけしたことから考えるに、油断はできないだろう。

 

「王様。先ほどの方は……?」

「ザムザ殿のことか?」

「ええ、そうです。一体どのような方なのでしょうか?」

 

ザムザの姿が完全に見えなくなってから、チルノはシナナへと尋ねる。するとシナナは自らの手柄を誇るような上機嫌となっていた。

 

「知らぬのも当然じゃろうな。ザムザ殿はお主たちがパプニカへ旅だった後で、フラリとやってきたんじゃよ。何でも旅の学士とのことじゃ」

「へぇ、そんな人が」

「うむ。ザムザ殿はその深い知識で百獣魔団に襲われ、傷ついたロモスを救ってくれたんじゃ。傷ついた人や物に対しても適切な処置を施し、それどころか多くの人間に教えてくれたんじゃ。おかげで瞬く間にロモスは元の姿を取り戻せたのじゃよ」

「そういえば、手際よく復興したとか言ってたっけ」

 

街の屋台で戯れにしていた世間話であったが、なるほどアレはザムザのことを示していたらしい。

 

「特に魔物に対しては深い見識を持っているようでな、魔の森に住まう魔物それぞれの特徴や戦い方、弱点や対処方法などを教わっておる。中でも魔物避けの匂い袋は好評でな、これがあれば魔の森でも襲われることが無いと言われておるほどじゃ」

「あの人、そんな凄い人だったんだ」

「うむ。今回の武術大会もザムザ殿の着想でな。全く大したものじゃよ」

 

――なるほど、そうやって王様と国の信頼を得ていったわけね。

 

シナナの話を聞きながら、チルノはこっそりと納得する。彼女は本来の歴史を知っているが、その中でザムザがロモスに潜り込んだ手段については知らなかった。どのような方法を取ったかは知らぬが、ロモスに潜り込み王に進言して武術大会を開かせた。という事を知っている程度である。

 

だが、その裏にはこのような地道な努力があったようだ。しかし、考えてみれば上手い手段である。ザムザの出自を鑑みれば、建築学や生物学を学んでいたとしても不思議では無く、魔物について深い見識を持つのも当然だろう。

何しろ彼は、ロモスへ忍び込んだ獅子身中の虫。

魔王軍妖魔師団に所属しており、妖魔司教ザボエラの息子なのだから。

 

――気がつかなかったのは私の失態だもんね。

 

だが、無理もないことだろう。ザムザが人間のフリをしていたのは、彼女が知る中でも短い期間であった。魔族としての正体を現した時の方がよほど印象が深い――いや、それ以上に印象が強い姿があることも原因なのだが――ことに加えて、流石に時間が経過しすぎている。ザムザの事は覚えていても、人間に化けていた時の姿まで覚えていろというのは少々酷というものだろう。

 

だが、気づけたからといっても、対処は難しい。

 

そもそも証拠がないのだ。

仮にザムザが魔族だという証拠を用意できたとしても『自分は魔族だが人間の味方だ』と言われてしまえばそれまでだろう。そしてダイたちの仲間にはクロコダインを筆頭に元魔王軍に所属していた者たちがいる。彼らを引き合いに出されれば、それ以上強く言うこともできない。

 

伝えられるとすれば、魔王軍が出現するという可能性を示唆する程度。さてどうした物かとチルノは頭を悩ませる。

 

「王様、お話中申し訳ございません!」

「いったいなんじゃ?」

「パプニカより使者の方がいらしております」

「おや、もうそんな時間だったか。すまんな二人とも、これから別の用事があるのじゃ」

 

その口ぶりから、どうやら予め決められていた予定のようだ。シナナはもっとダイたちと話していたいという誘惑を絶ち、意識を仕事へと向ける。だが二人のことを忘れたわけではない。

 

「ダイ、チルノ。二人とも明日の大会に備えて、今日はここへ泊まると良い。誰か、二人を客室へ案内してやってくれ」

「はっ!!」

 

そう言うと兵士の一人が一歩前へ出る。どうやら彼が案内役を買って出たようだ。案内役の「こちらです」という声に急かされ、チルノは意を決した。

 

「王様、一言だけよろしいでしょうか!?」

「なんじゃ?」 

「武術大会となれば、多くの実力者が集まります。魔王軍が来るかもしれませんし、敵は外から来るものだけとは限りません」

「む、それは……いや、なるほどわかった。忠告、ありがたく受け取っておこう」

 

どこかでザムザが耳を立てているとも知れない。それを配慮しての、具体性に乏しい言葉であった。だがシナナはその言葉だけで理解したように頷く。それを確認すると、チルノは兵士に従って王の間より退出した。

 

 

 

「姉ちゃん、さっきのって?」

 

廊下を歩きながら、ダイは唐突にチルノへと質問する。さっきのとは、彼女が去り際に王へと言った言葉の内容である。あのタイミングで言った以上、何かがあるというのはダイはもちろん誰でもそう思ったのだろう。前を行く兵士も、会話に耳を傾ける。

 

「ああ、あれ? ……ダイはどう思った?」

「普通に魔王軍が攻めてくるかもしれないってこと?」

「他には?」

「えっと……参加者に化けて、魔王軍が忍び込んでくる?」

「そうね、常套手段かもしれない。他には?」

「ええっ! まだあるの!? えっと……」

 

ダイが歩きながら頭をフル回転させているときだった。

 

「あら?」

「あ!」

「え!?」

「ダイ君、それにチルノさんも?」

「エイミさん? どうしてここに!?」

 

ダイたちとちょうど反対側からやって来たのは、パプニカ三賢者の一人エイミだった。まさかこんなところで出会うとはダイたちもエイミにとっても予想外だったようだ。

視線がぶつかり、お互いがお互いを認識した瞬間に口をついて出た間抜けな言葉がその証拠だろう。

 

「そういえば、王様がパプニカからの使者が来るって。あれ、エイミさんのことだったんですね」

「そっか、仕事だもんね」

 

先ほどの王との会話の時に割り込んできた兵士を思い出し、納得する。レオナが何か大きなことをやろうとしており、三賢者がそれに従い世界中を飛び回っていることも事前に知っている。

ならばこうして出会う確率が無いわけではないのだ。

 

本来の歴史であれば、ロモスを担当していたのは彼女の姉のマリンだ。そして日付も一日後の武術大会当日であるが、どうやらこの世界では多少なりとも短縮されているらしい。

 

「でも、ロモスまで来るのも大変じゃない?」

「それなら大丈夫よ。ルーラの呪文を使えるようになったから」

「へぇ、すごいなぁ。さすがは賢者」

「…………あ」

 

ルーラを使えるようになった。それだけならば普通の事だろう。だがチルノはその言葉の裏に隠された意図に気づき、小さく声を漏らした。

ヒュンケルのことを慕うエイミは、過去に彼の力になろうとしたことがあった。だがその時にルーラの呪文を使えず苦い思いをしていたのだ。おそらくはその経験をバネにして、賢者として成長したに違いない。

ただの予想でしかないが、おそらくは事実であろうその事柄だが、わざわざそれを口に出すほどチルノは野暮でも無い。彼女は慌てて取り繕うように、別のことを話し始めた。

 

「どうかしたのチルノ?」

「い、いえいえ。それよりエイミさん、パプニカには今日中に戻りますか?」

「ええ、その予定よ」

「でしたら、ヒュンケル達に伝言をお願いできますか。私たちが戻るのは早くても翌日だってことを」

 

連絡なしでは心配するだろう、特にラーハルトが。だがあえて『ヒュンケル達』と言ったのは、そうした方が彼女がより動きやすくなるだろうと思ったからだ。大義名分があれば彼女が会いに行くのも簡単になるだろう。

 

「わかったわ、まかせておいて」

 

そう言うエイミの表情は、とても頼もしかった。

 

 

 

■□■□■□■□■□■□■

 

 

 

空には夜の帳が落ちており、月と星々の柔らかな光が天より降り注ぐだけの刻となっていた。ロモス城内にはまだ働いている人もおり、もっと言えば夜回りの兵士がいるのだから完全に静まることはない。

だが今や城は眠りにつこうとしていると言っても過言では無いだろう。

 

あの後、客室へと案内されたチルノたちであったが、しばらくすると王に呼ばれた。何だろうかと思えば夕食ができたということであり、しかも王と共に食事をすることとなった。

何かと思えば、シナナはダイたちの武勇伝を求めてきたのだ。しゃべりながら食事をするのはマナー違反である気もするが、そのようなことを気にすることもなく、むしろ勇者の話を聞こうと隙あれば人がやってくるほどだった。

 

さらには風呂を用意されたかと思えば、そこでは侍女によって身体を洗われるという至れり尽くせりのもてなしである。入浴も済み、再びどこに案内されるのかと思えば寝室だ。

広い寝室に驚いていると、続いて誰かがやってくる。何かと思えばダイもまたチルノと同じ寝室に案内されたらしい。

案内の侍女は、こちらが何かを言う前にそそくさと退室してしまったため、室内には姉弟二人がいるだけだ。

 

「同室かぁ、異性とはいえ姉弟だからねぇ……ダイは個室の方が良かった?」

 

ベッドに腰掛けたまま、チルノはダイに尋ねる。チルノは別にダイと同室が嫌なわけでは無い。ついでに言えば、同じ部屋ならばザムザが何かを仕掛けてきたとしてもすぐに協力して対処できるという利点もある。

だが相手も同じ気持ちとは限らないだろう。もしもダイが不満であれば、すぐにでも申し出て別の部屋を用意して貰おうかと考える。

 

「ううん、別に気にしないよ」

 

だがダイは言葉通り、気にした様子もないようだ。長く姉弟として共に過ごした経験が長い影響だろうか。

 

「まあ、ちょっとは驚いたけれど」

 

姉に聞こえるか聞こえないか、その程度の声量でダイは呟いた。チルノも湯から上がったばかりであり、褐色の肌は火照ってうっすらと赤みがかっていた。頬も赤く染まり、見慣れていたはずの髪型も今は全てを解放したロングヘアになっている。

さらには寝間着としてネグリジェを着用しており、そのためダイがよく知る姉とは別人のように見えて思わずドキドキさせられる。

 

「何か言った?」

「え!? えっと、王様と食事するなんて思わなかったなぁって」

 

ダイの声が聞こえたのだろうチルノの言葉に、まさか聞こえるとは思っていなかったダイは慌てて別のことを口にする。

 

「あら、レオナだって王女様よ。忘れちゃったの?」

「だってレオナの時はあんまり堅苦しく無かったからさ」

「さっきだって、マナーとか気にしなくて良いって言ってくれたでしょう? それにまだ明日の朝食もあるんだから、覚悟はしておいた方が良いわよ」

 

そう言うとクスクスとチルノは笑う。それを見ながら、自分のつぶやきが聞かれていなかったことにほっと胸をなで下ろす。

 

「それじゃあ、明日も早いだろうしもう寝ましょうか? 明かり消すけれど、いい?」

 

そう言いながら頼りなさげにゆらゆらと揺れる蝋燭に近寄る。既にスラリンはベッドの枕元で船を漕いでおり、ゴメちゃんもいつの間にかベッドで休んでいた。

 

「大丈夫だよ。おやすみ、姉ちゃん」

 

ダイの了承の言葉を聞いて、チルノは明かりを消した。途端、窓から差し込む青白い月明かりだけが二人を照らす。薄暗い中、二人はそれぞれのベッドに潜り込む。

だがダイが寝付くよりも早く、チルノがダイのベッドに潜り込んで来た。

 

「ね、姉ちゃん!?」

「しーっ……そんなに大きな声ださないで。それに、昔は一緒に寝たでしょ?」

「それって子供の頃の話だろ……急にどうしたのさ」

「うん、なんていうか……こうしてダイとくっついてお話がしたかった……ってところかな?」

「なにそれ?」

 

チルノの言葉はダイには要領を得なかったが、それでも何か言いたいことがあるのだろうと思い、ダイはそれ以上姉を無碍にすることもなくするがままとしていた。自身の右半身から伝わる姉の温もりを、必死で意識しないようにしながら。

 

「ねえ、ダイ……バランとの戦いの時に私が力を与えたときのこと、まだ覚えてる?」

「当たり前だろ、忘れようとしても忘れられないよ」

 

それは未だ悔しさを忘れられない思い出だった。あの時のことを、チルノが命を懸けるきっかけをダイは自身の未熟さが原因だと思っている。ダイにとってもあまり聞かれたくないことだろうというのは容易に予測がつくことだ。

だがチルノはどうしても確認しておきたかった。よって、少々強引であると自覚しつつもこのタイミングで尋ねる。

 

「その時に、ダイの中の私はどんな感じだったの?」

「どんな感じ……って、聞かれても……うーん……」

 

当時の感覚を思い出そうと唸る。だがあの時は、様々な感情が入り乱れた一種のトランス状態にも近かった。そこを冷静に振り返れというのも中々難儀な注文である。しばらく唸った後に、ダイはようやく口を開いた。

 

「何でも教えてくれた、かな?」

「なんでも……?」

「うん。おれが何かしようとすると、それに先んじて色んな事を教えてくれたんだ」

 

拳に(ドラゴン)の紋章を発現させることも、真魔剛竜剣のことも竜闘気砲呪文(ドルオーラ)のことも。そして、(ドラゴン)の騎士が全力で戦えば剣が壊れるという事に至っては、それを教えた上で全力で剣が壊れる事の無いように生産技能を応用して修復を続けていた。

だがそれは全て、ダイの行動を受けての反射に近いものだった。動けばそれに対応するが、自分から何かをすることはない、言うなれば辞典のような物だったと言う。

 

「へぇ……じゃあ、もしかしてダイは……私の気持ちとか、記憶とか、そう言うのも聞いたりしたの……?」

「え、私のって……何言ってるのさ! そんなこと、聞くわけ無いだろ!」

「そうなんだ……その言葉が聞けて良かった……」

 

慌てて否定する弟の姿に、チルノは安心したように呟いた。

 

「ねぇ、ダイ……もう少ししたら、多分私は大事なことを話すと思うの」

「大事なこと、って……?」

「それはまだ内緒」

 

いたずらっぽく笑い、人差し指を口の前で立てて秘密のポーズを取る。

 

「ただ、自分の口からちゃんと伝えたかったの。もしもダイがあの時に知っていたら……結果は変わらなくても、ダイはきっと嫌な気持ちになると思うから……」

「それって……」

 

それまでなんとなく背けていた姉の方へと姿勢を戻し、言葉の真意を尋ねようとする。だがダイの質問に答えが返ってくる事は無かった。

 

「姉ちゃん……?」

 

気になり、もう一度尋ねる。だがやはり答えはない。

 

「……寝てる」

 

安らかな寝息を耳にして、ダイは姉が眠りについたことを悟る。だが今回の眠りは、明日の朝が来ればきちんと目が覚めるものだ。ならば心配することもない。

 

「おやすみ、姉ちゃん」

 

明かりが消える前に言った言葉をもう一度口にすると、ダイも瞳を閉じる。だが、姉から漂う甘い香りと感触がダイの思考能力をゆっくりと奪い続け、意識を研ぎ澄ませる。

感情に上手く折り合いがつけられず、ダイは中々寝付けなかった。

 

 




まさかのロモス武術大会の開催前。
お祭り開始前の賑わっているロモスを堪能する姉弟……ある意味デートですね。

屋台。
武術大会開催で人が来るだろうから、そういうお店も出るでしょう。開催前なので、街に出店してます。当日はコロシアムの前に出店することでしょう。

武術大会に参加。
原作は未参加だし、どうせなので。まあ、そんなに細かい描写はしないはずですが。
ザムザ的に「目の前で竜の騎士の生データが取れるし、上手くすれば捕まえられるかも!」と考えれば、ダイに参加を促すのも変では無いはず。
なおザムザがロモスに潜り込んだ理由は創作です。復興中のロモスへこんな風に自分を売り込んだのでは?と妄想。

夜会話。
実は最初は「チルノさん、ウチの息子の嫁に来ない?」とロモス王に言わせ、それを聞いたダイが姉を取られるかと心配して変な意地を張る、みたいな場面を考えていました。
(ロモス王も高齢っぽいので、跡継ぎ王子の一人や二人くらいいるはず)
ですが、相手がなぜか某8作目のボンクラ王子しか浮かばず。よって諦める。
代わりに同じベッドの中でちょっとだけイチャつかせることに。

武術大会予選と本戦。
ダイは参加するけれど、決勝戦は参加せず予選で負けた人が代わりに出場する。チルノは普通に決勝まで参加する。とする予定。
となると、原作と比べて1名多い。マァムとゴーストくんは確定。さて、原作の6名の中で誰が落ちるのでしょうか?
(多分誰も興味ない)

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