隣のほうから来ました   作:にせラビア

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LEVEL:65 一番聞きたかった人からの言葉

彼が最初に感じたのは、怪物(モンスター)たちが騒がしく動き回っていることだった。

 

破邪の洞窟という閉鎖的かつ特殊な環境に生息しているため、奇妙な秩序が保たれているのだろうか、ここの怪物(モンスター)たちは互いに争い合うということが滅多にない。というよりも、まるで飲食すら必要ないかのような振る舞いを見せている。

時折転がっている、明らかに人間とは異なる白骨の存在だけが過去に何かがあったことの証左だった。

 

だが今感じるこの空気は、明らかに戦いの喧噪のそれだった。ここの怪物(モンスター)がそのような反応を見せる――すなわち、彼らにとっての(ニンゲン)が侵入してきたことに他ならない。

それをすぐさま理解した彼は、大慌てで階層の探索を行った。取り越し苦労であるならばそれでよし、だが反対に今にも全滅しそうであったならばなんとしてでも助けたいと思ったのだ。姿を隠している最中ではあるものの、人の命には代えられない。

 

洞窟を降っているときには無かったはずの奇妙な破壊跡を横目に見ながら、彼は遂に発見した。そこにはゾンビマスターと複数のアンデッドモンスターが一人の人間へと襲いかかっている光景があった。

 

「ニフラム!」

 

相手がゾンビ系統の怪物(モンスター)ならば、対処は簡単だ。彼は邪悪なる魂を光の彼方へと消し去る呪文を放ち、まずはアンデッドモンスターの一層を狙う。

この呪文は普通の人間には――よほど邪悪な罪を重ねた人間ならば話は別かもしれないが――まず効果がない。加えて念には念をとばかりに、人間には当たることのないように範囲を調整していた。

その結果、目論見通りアンデッドモンスターだけが崩れ去り、残ったのはゾンビマスターだけだ。そのゾンビマスターは、完全勝利を確信して油断していたところで、配下の魔物たちが一瞬で消え去ったことに狼狽え、隙だらけだった。

 

「アバンストラッシュ!」

 

剣を逆手に持ち、自身の必殺技を放って敵を一刀両断で屠る。一撃で絶命したのを確認してから、彼はようやく人影へと近づき、そして絶句した。

 

「せん、せい……?」

「ポップ……!! いったいどうしてここに……!?」

 

だがその疑問の声が届くことはなかった。ポップはまるで最後の力を振り絞ったように力なく崩れ落ちていく。その様子に、彼は慌ててポップを抱き留める。久方ぶりに再会した教え子だったが、それを喜んでいる時間はないようだ。

 

「おっと、これはいけない」

 

師の腕に包まれた彼は、全身の力が抜けており、毒と疲労と傷に苛まれている。このままではそう遠くない間に命を落としかねない。簡単な触診でおおよその状態を判断すると、手早くキアリーとホイミの呪文を唱え、解毒と治療を施す。

 

「ラリホーマ」

 

そして最後の仕上げとばかりに、催眠呪文を使う。既に衰弱しきっていたポップには呪文を抵抗する力も残っておらず、呪文の効果によってより深い眠りへと誘われた。痛みと毒が消えたおかげで、肉体が体力回復に専念しようとしているのだろう。殆ど寝息すら聞こえないほど深く眠っている。安定した小さな呼吸音だけが静かな迷宮内に優しく響く。

 

「本当ならば、こんなことはしたくなかったのですが……許してくださいね」

 

謝罪の言葉を口にしながら、ポップを背負う。催眠呪文を使って無理矢理眠らせるのは倫理的にどうかと疑うが、この状況ではそうも言ってられないだろう。なにしろまだポップに正体を明かすわけにはいかないのだから。

 

「何故ここにいるのかはわかりませんが、今のあなたを見ればおおよそ何があったのか、どんな修行をしてきたのかは分かります……本当に、よく頑張りましたね」

 

背負った教え子へ肩越しにそう呟くと、アバンは意気揚々と地上へ向けて進み出した。

 

 

 

それまで静寂を保っていた洞窟の入り口から、ゆっくりと足音が聞こえてきた。段々と大きくなっていくその音に反応して、マトリフはその方向へと首を向ける。

 

「おっ、ようやく戻ってきやがったか……っ!!」

 

既に外は深夜の時間帯だった。

ポップが洞窟へと突入したのは昼過ぎであり、そこから半日以上経過――渡したたいまつは半日ほど燃え続ける特殊な物である――しているのだ。既に夜の帳が辺りを包んでおり、マトリフは暖と獣除けの意味を兼ねて焚き火をしながらポップが戻るのを待っていた。焚き火には鍋がかけられており、その中からは何やら美味しそうな香りも漂っている。

だが、ようやく現れたその人の姿は、彼の予想を大きく裏切っていたのだ。

 

「久しぶりですね、マトリフ」

「ア、アバン!? どうしてお前がここに!! それに、背負っているのはポップか?」

 

現れたのは彼の旧知であるアバンだった。後ろには背負われたポップの姿もあり、一瞬はもはや死んでいるのかと肝を冷やしたが、すぐに生きているのだと悟り心の中だけで安堵の息を吐いた。

そして次に浮かんで来るのは、どうしてアバンがポップを助けて洞窟から出てくるのかということだ。

 

「……一体、何があった?」

「まあ、色々とありましたが……それよりもマトリフ、正直に答えてください」

 

洞窟の中で何があったのか、それを問いただそうとするが、アバンは曖昧に言葉を濁すとマトリフの瞳を正面から見据える。

 

「どうしてポップを、このような危険な目に合わせたのですか?」

 

それは、どちらかと言えば穏健な――もっと言えば甘い印象すらあるアバンが放ったとは思えないほど、冷たく研ぎ済まれていた。気の弱い人間ならばそれだけで背筋が震え上がり、失神しても不思議ではない。

 

だがそのような態度を取るのも無理はないだろう。久しぶりに出会った教え子が、今にも死にそうな目にあっているのだ。そして教えられた未来の知識によって、ポップがマトリフに師事することを知っている。ましてやその師が洞窟の外で待っているだから、これは彼がポップに課した特訓なのだというのは想像に難くない。

 

となれば、残る疑問はどうしてこのようなことを行わせたのかだ。助ける者も存在しない洞窟の奥深く、一歩間違えば間違いなくポップは死んでいたのだ。みすみす死んでこいと言っているような状況に突き落とした事実は見過ごせない。

虚言や半端な理由を口にしたら、たとえ旧友といえども決して許さないという強い意志が込められていた。

 

「おいおい、こちとら百歳近いジジイだぜ。そんな剣呑な殺気を叩きつけられちゃ、あっと言う間にポックリ逝っちまう」

 

だがマトリフとて海千山千の強者だ。そしてポップにその特訓を課したことにも、キチンと理由がある。口ではそう言っているものの、突き刺さる気配をまるで柳のように受け流しながら、ため息と共に二の句を継ぐ。

 

「お前と同じだ。色々あったんだよ、色々とな……」

「……でしょうね。私が教えてもらった未来の予定には、このようなことはありませんでした」

「だろうな。オレだってこんなことになるとは予想だにしなかった」

 

チルノから未来の予定について聞いているマトリフだが、このようなことになるとは想定外だった。そしてそれは、同じ知識を持つアバンとて同じ事だ。お互いがお互いにまさかと思うことがあったおかげで、今の偶然が生まれたのだろう。

何時の間にかアバンは纏っていた気配を解き、いつもの飄々とした態度を見せている。

 

「ここは一つ、お互いの情報を擦り合わせましょうか?」

「ああ、その方が良さそうだ。ヘタなことを口にして、また睨まれたら今度こそくたばっちまう」

 

 

 

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「ホレ、味は保証しねぇがな」

「いえいえ、助かります。何しろ洞窟の中ではまともな食べ物を摂る機会なんてなかったものですから」

 

そう言いながらマトリフは鍋の中身を木皿へとよそり、アバンに手渡した。受け取ったアバンは、同じく木製のスプーンで一匙(ひとさじ)掬う。どうやら中身はシチューのようなものらしく、具材はキノコやら肉やら香草やらが雑多に詰め込まれていた。

サバイバル料理というか、それとも野性的というべきか。それは分からないが、今のアバンにはそれでもご馳走だった。

 

「だろうな。潜ってどのくらいだった?」

「今回は長かったですよ……たしか、一ヶ月くらいですね」

 

久方ぶりに口にした食べ物の味に、舌鼓を打ちながら答える。

本来の歴史と同様に、アバンは破邪の洞窟に潜り続け修行を重ねていた。とはいえ洞窟に延々と潜り続けられるはずもない。アバンとして人間なのだ。水が無ければ、何か食べなければ、一週間と持たずに死ぬ。どこかで休憩を――もっと言えば睡眠を取らねば、疲労で死ぬだろう。

 

「一ヶ月とは驚いたな……それまでずっと携帯食料か?」

 

それを解消するのは、例えばポップが口にしていた丸薬のような携帯食料を持ち込むことだ。呪文が使えればヒャド系呪文で産み出した氷をメラ系呪文で溶かせば水を手に入れられる。魔物が嫌う臭いを発する草を焚いたり聖水を振りまいたり、マホカトールの呪文を唱えるなどして敵が近寄らない場所を作り出せば、安全に休む事も出来る。

幸いなことにアバンは、そのいずれの方法も実現可能だ。だがそうであっても、食料問題はそう易々と解消するものではないはずだった。

 

「そうですよ。ですが、一度目に潜ったときにこれを見つけられたのが幸いでした」

「なんだそりゃ? 汚ぇボロ袋にしか見えねぇが……?」

 

碌な物を食べていないのだろうと心配するマトリフに向けて、アバンは自身の鞄からやや大きめの革袋を取り出して見せた。それはマトリフの言う様に、どこから見ても古い袋だった。しかし袋を見せながらアバンは自信満々に告げる。

 

「ふっふっふ、聞いて驚かないでくださいよマトリフ。一見タダの革袋にしか見えませんが、この袋はなんと! 見た目よりもずっと多くの物を中に詰め込む事ができるのです!」

「なんだと!?」

「どういう仕組みになっているのかはまだ不明ですが、私が調べた限りでは大樽の四つや五つは優に超えるだけの許容量があります! しかも中に入れた物は保存性が抜群に良くなるようです!」

 

どうやらこの袋のことを誰かに自慢したくて仕方が無かったらしい。アバンの語りはどんどんと熱を帯びていくのがその証拠だろう。

 

「とりあえず、魔法の袋(マジックバック)と名付けました。これのおかげで以降の挑戦がずいぶん捗りましたよ!」

「……んな便利なものがあるのなら、もっと食い物でも詰め込んでおけばよかったんじゃねぇか?」

 

アバンの勢いに押されながら、マトリフは苦言を呈するようにポツリと言う。するとアバンはそれまでの勢いから一転、静かに頷いた。

 

「ええ、それでも良かったんですが。食べ物というのはこれで中々場所を取ります。それに袋の中は時間の流れが緩やかになっているだけで決して腐らないわけではない」

 

そこまで口にすると、木の匙にてシチューをもう一口含んだ。味わうように咀嚼し、ゆっくりと嚥下する。

 

「それに、奥に行けば超絶レアなアイテムが拾える機会もあったんですよ! ならばそれらを一つでも多く持ち帰りたいと思うのは当然です!! そのためには、食料を削ってでもスペースを確保せねば!!」

 

口元にはもはや無精を通り越し、手入れを怠った庭のように髭が伸び放題になっている。髪も伸びっぱなしで枝毛があちこちに出来ており、衣服は脂や汚れのせいでなんともみずぼらしかった。それらは全て、一ヶ月の苦闘の証である。

ならばせめて洞窟の中では食べ物だけでもマシな物を、と思わなくもないのだが、彼にとってはそれよりも迷宮内部で得た未知なるお宝の方が重要だったのだ。

 

――勇者アバン。本名、アバン=デ=ジニュアール3世。

ジニュアール家は学者の家系であり、どうやらアバンにもその血筋はしっかりと受け継がれていたらしい。ひとたびスイッチが入ると研究に没頭しすぎて、食事をも忘れて熱中してしまうようだ。今回はそれが、未知のアイテム群だっただけのこと。

普段は理性的で実に頼れる男なのだが。

 

「まあ、そういうわけでして。一回目の挑戦でこの魔法の袋(マジックバック)を手に入れられ、二回目の挑戦でおおよその目途がつきました。そして三回目の今回、破邪の秘法を得て戻ってきたのです」

「たしか、チルノの話じゃ三ヶ月近く掛かったって聞たぜ?」

 

マトリフが口にしたのは期間についてだった。

本来の歴史ではアバンは三ヶ月近い時間を使い、破邪の洞窟の地下百五十階へと潜り、破邪の秘法を得ていた。だがこの世界では、アバンが洞窟に潜り始めてからおよそ二ヶ月といったところである。

その時間のズレが気になったらしい。

 

「何も知らなければそうでしょうね。ですが、今回は地下百五十階にお目当ての物があると分かっていたのです。先がどうなっているのかも分からず、目当ての物があるのかもわからない状態で挑むのとでは、雲泥の差ですよ」

 

だがアバンは、当然のことのように言ってのける。

本来の歴史のアバンは、未知の洞窟に挑んでいた。複雑さを増し続ける迷宮に加えて世にも恐ろしい罠の数々。そこには強大な魔物も幾度となく立ち塞がったことだろう。

そのくせ、地下五十階以降はさしたる呪文もなくなっているのだ。ならばもはやこれ以上潜っても得るものは皆無ではないだろうか? そう弱気に考えても仕方ないだろう。

しかしそれも、明確な場所が分かっていれば話は違ってくる。先への希望があるからこそ、一階一階を降りていくことも励みとなるのだ。

 

「なるほどな、言われてみりゃそりゃそうだわ」

「それに聞いていたのは大雑把な知識だけでしたからね。洞窟内の経験はどれも得がたい物ばかりでしたよ。良い修行になりました」

 

精神状態はそのまま肉体に影響する。舞台裏を知った上で先を楽しみに進んだとはいえ、それもアバンの実力あってのことだろう。

 

「しかし、時間の余裕があるってわかったのなら、お前のことだ。てっきりもっと奥深くまで潜るもんだと思っていたが……」

「勿論、そうしてもよかったんですが」

 

アバンは少しだけ遠い目をする。

 

「少々約束がありましてね。あまり悠長にもしていられないのです」

「約束?」

「ええ、約束です。先約というべきですかね? それを片付けるためにも、すこししっかりとした時間が欲しかったのですよ」

 

約束とは一体何のことかと首を捻るマトリフであったが、アバンはそれ以上口にする気はなかった。

 

「さて、私の話はこんなところです。破邪の秘法を手に入れ、洞窟から外に出ようとしたところ、偶然にもポップと出会いました。とはいえ怪物(モンスター)の群れに襲われており、今にも命を落としていてもおかしくないほど――いえ、偶然私が気付かなければ、間違いなく死んでいたでしょう」

「…………」

「私がチルノさんから教えてもらった歴史の中には、このようなことはありません。破邪の洞窟に潜るのは、レオナ姫たちがミナカトールという呪文を覚えるときだけと聞いています。ではなぜ、ポップがここにいるのか? 一体彼に、何があったのか? 答えてもらいますよマトリフ」

「ああ。まずはポップに何があったか、そこからだな……」

 

そう前置きをしてから、マトリフはゆっくりと語り始めた。アバンが洞窟に潜っている間に何があったのかを。そして、チルノに教えられた歴史と、この世界で実際に起きた事に対してどのような剥離があるのか。それら全てについて、自分の知る限りを。

 

 

 

「……なるほど、そんなことがあったのですか」

 

全てを聞き終えたアバンは、息を吐き出しながらそう呟いた。

 

「そういうこった。んで、こっからがオレがポップを破邪の洞窟に潜らせようと思った理由についてだ」

 

二人が話し合うそのすぐ近くでは、ポップが寝かされている。元々の疲労に加えてアバンの催眠呪文(ラリホーマ)で強制的に眠らされたのだ。既に数時間は寝ているというのに、一向に目覚める気配がない。

だがそれは二人にとっては都合が良かった。こうして気兼ねなく会話できるのだから。

 

「バランとの戦いで、メガンテを失敗しておっちぬことがなかった。と言えば聞こえが良いかもしれねぇが、そのせいかコイツの中で妙なしこり(・・・)が出来ちまったらしい。とはいえ、事前に敵の能力を説明されておきながら仲間の中でただ一人だけダイに助けられたんだ。無理もねぇかもしれねぇがな」

 

本来の歴史では、記憶を失ったダイを守るためにポップが命を賭してメガンテの呪文をバランへ向けて放った。だがこの世界ではチルノがその命を賭けてダイを目覚めさせることに成功し、彼がその命を代価に払うことはなかった。

しかし、命を失わずに済んだものの、自信という別の物を失っていた。彼がそれまで少しずつ積み上げてきた小さな欠片は、その一戦で一気に崩されていた。

 

「今のコイツは、力に餓えていやがる。前回の失敗を払拭したい。同じミスをしたくないと強く願っている。とも言えるんだが、その方法が短慮すぎるのさ。おまけにどこをどう拗らせたのか、そうして手に入れた力をぶっ放せば後は仲間がなんとかしてくれると思っているフシがあるみてぇだ」

 

チルノから直接聞いたバランとの戦いの最中での行動と、本来の歴史でのポップの行動の差異。そしてポップ本人を観察した結果、マトリフが導き出した答えがそれだった。

 

「少なくともオレは、そう理解した。そういうヤツは遅かれ早かれ大失敗をやらかす。矯正するんなら早い方が良い。だから、ちっとばかり辛い地獄に叩き込んでやったのさ。自分一人だけで考え、行動する。なにしろ助けてくれる奴は誰もいねぇ世界だ、直接戦闘も呪文も援護も回復まで全部一人でやらなきゃならねぇ。そうすりゃ嫌でも気付くだろうよ」

 

たった一人で破邪の洞窟に挑む。だが魔法使い一人だけでは、足りない物だらけだ。戦士の様な強靱さを持たずに敵と対峙し、僧侶の様に治癒が出来ないことに苛立つ。盗賊のように罠を調べたり地形を記憶する事も出来ないことで苦労させられ、ないない尽くしであっても勇者のように自分という仲間の先頭に立たねばならない。

そうすることで自ずと見えてくるはずだ。

 

「仲間は自分の失敗のお守りをしてくれる存在でもなければ、自分は仲間の踏み台でもねぇ。互いに補い合うのが仲間だってことにな」

「……なるほど」

 

マトリフの話を黙って聞いていたアバンであったが、ここに来てようやく口を開いた。

 

「そうなった原因……その一端は、おそらくチルノさんでしょうね」

「は……? そりゃどういうことった?」

「簡単なことですよ」

 

なぜここでチルノの名が出てくるのか。その意味が理解できずに戸惑うマトリフに向けて、アバンは自身の考えを話し始めた。

 

「一言で言えば、順調に行き過ぎていたのです。事前準備があったおかげで、ダイ君はたった三日の修行であれだけ強くなれました。チルノさんという知恵袋のおかげで、魔王軍の軍団長たちを相手にしても、苦労はすれども絶望的な状況には陥らなかった。ダイ君たちがいれば、どんな強い敵が相手でもなんとかなる。ポップはどこかで無意識にそう思ってしまったのでしょう。そこから、少しずつ慢心が生まれていった」

 

それは本来の歴史において、デルムリン島を旅立つダイたちを見ながらアバンが危惧したことと同じだった。強い者に頼ってしまい、自分の歩みを自分で歩みを止めてしまう。尤も、アバンのように圧倒的な強者というわけではないため、旅の間に気付かぬうちに少しずつそういう意識が芽生えていたようだ。

 

付け加えるなら、彼が魔法使いだったことも一因だろう。未熟な魔法使いだったおかげで、仲間と協力することが多かった。そこでなまじ上手く行っていたために、表面化する機会に恵まれなかったのだ。そしてマトリフに鍛えられたことで、それに気付くことなく実力だけは上がっていた。

 

「ですが……ポップがそう思い悩む、その原因の本質はおそらくは……出自、でしょうね」

「出自だぁ?」

「おや、チルノさんから聞いていませんか? この子は、とある村の武器屋の息子です。普通に生きていたら、今のように魔王軍と戦うことは決してなかったでしょう」

「そういや、聞いた覚えがあったような気もするが……チッ、年は取りたくねぇな」

 

マトリフの舌打ちを聞きながら、アバンは続ける。

 

「ヒュンケルは私が子供の頃に育てました。マァムは英雄の両親から生まれた。ダイ君は(ドラゴン)の騎士の血を引いている。でも自分はただの村人。生まれからして他の四人とは違う、劣っている。このまま自分は、どこかで差を付けられて置いて行かれてしまう。仲間たちと一緒にいる資格が自分には無い。そういった感情が、妙な形で噴出してしまったんでしょうね」

「なるほど、いっちょ前に……いや、知らぬ間に随分と高尚な悩みを持ってやがったのか」

 

マトリフは、チルノからアバンほど詳細に内容を聞いていないのだ。前提となる事前情報の量が違うのだから、その差が生まれるのも当然だった。アバンの語った理由に、マトリフは感心したように言いながら、そして気付いた。

 

「……待て。今更気付いたってのも間抜けな話だが……アバン、お前はどうしてポップを生徒にしたんだ? 自分で言ったように、出会った頃のポップは武器屋の息子のガキでしかなかったんだろう?」

「ええ、そうですよ。ポップは家出同然に押しかけて弟子入りして来ました。それから一年以上は彼に修行をつけてきました」

「一年以上も修行をつけてアレだったのか、オメェの苦労が窺えるようだぜ……」

「ですから、貴方に修行をお願いしたでしょう?」

「まあな……って、んなことはどうでもいいんだよ。家出同然(・・・・)に押しかけて弟子入りする。つまり、まだ親元にいたガキを親の許可無く連れて行ったってことだ。それをお前が許したってのが、不思議で仕方ねぇぜ」

 

マトリフの疑問は、気付けば誰もが当然のことだった。アバンの話から逆算すれば、当時のポップは十四歳かヘタすればもう少し幼い頃だ。この世界ではそろそろ自立する年齢ではあるものの、それでも親に黙って出て行くのは問題以外の何物でも無い。

ましてやそれを許したのがアバンがとなれば、彼の性格からすれば不思議どころか異常と表現してもよいだろう。

 

「いやぁ、さすがはマトリフ……痛いところに気付かれました」

 

実際その言葉はアバンにとっても少々ばつの悪いことだったらしい。苦々しい顔をしながらも、それを説明すべく口を開いた。

 

「ポップとの出会いは、私が彼の村にたまたま訪れたのが切っ掛けでした。風の噂で、小さな村にしては腕の良い武器屋があると聞き、少し見てみよう。そんなことを思って向かったんです。実際、その時に持っていた剣が痛んでいたのでね。ですが、訪れたタイミングが悪かった――いえ、今にしてみれば良いタイミングだったのでしょうか」

 

アバンは当時のことを思い返すように、事実を確認するかのように一つ一つ懐かしむようにして話していく。

 

「ハドラーが倒れ、怪物(モンスター)たちは大人しくなっていましたが、それでもまだ気性が荒かったり乱暴な怪物(モンスター)は存在します。私が村を尋ねた時、ちょうどそんな問題が持ち上がっていました。乱暴な怪物(モンスター)が現れて、ヘタすれば村を襲うかも知れない。そんな不安に襲われているとき、間の悪いことに村の子供が森に入ったという事が分かったそうです」

 

そこまで話せば、誰もが察しはつくだろう。

 

「言うまでもありませんが、森の中は怪物(モンスター)領域(テリトリー)を兼ねている場合もあります。私は偶然にもその話を聞いてしまい、救助に行くことを申し出ました。そこで出会ったのが――」

「ポップだったってわけか……」

「ええ。見つけたときは、ポップは魔物(モンスター)に追い詰められていました。間一髪のところを、呪文で撃退して救出したというわけです。なにしろ剣は傷んでいましたからね」

 

概ねマトリフの予想通りの事柄だった。こう言っては何だが、そうそう珍しい事ではないとすら言える。だが、その予想は良い意味で大きく裏切られることになる。

 

「ポップは私の呪文に驚き、感動していましたよ。争いとは無縁の小さな村でしたからね、攻撃呪文を見たこともなかったのでしょう。助かったと自覚した途端、それまで恐怖に震えていたのも忘れて目を輝かせていました。今の呪文はなんだったのか。自分にも出来ないかと矢継ぎ早に尋ね、そして遂には見よう見まねで呪文を使おうとしましたよ」

「ヘッ、それで上手く行かずに弟子入りしたってわけか?」

 

まだ幼いポップがアバンにまとわりついて尋ね、必至で呪文を唱えようとする。まるでその時の光景が聞いているだけで目に見えるようだ。だがこの世界では呪文を覚えるには契約をしなければならない。契約を結ばなければどのような傑物であれ、呪文を操れないのが常識だ。

マトリフはそう考え、弟子入りの理由を推測した。だがアバンはそれを首を振って否定する。

 

「いいえ。驚いたことにポップはメラの呪文を発動させました」

「なにっ!?」

「正確には、メラとも呼べないお粗末な物でした。一瞬何かが発生したかと思えば、次の瞬間には消えていた。後にあったのはほんの少しの煙と炎の残り香だけです」

 

それはアバンの言うように、呪文とは呼べないだろう。だが多くの者は、その呪文とは呼べない状態に辿り着くのすら苦労を要する。間違ってもまぐれでどうにかなるものでは無いのだ。

ましてやそれを呪文について何も知らぬ小僧がやってのけるなど、あり得ることではない。

 

「驚くのも無理はありません。当時の私も驚きました。これは誰もが持つ才能ではない、育てればきっと歴史に名を残すような大魔法使いになる。そう考えた私は、彼の両親の所へ向かいましたよ。どうかこの子を私に預けて欲しい、とね」

 

そんな黄金の原石を見つけたときの当時のアバンの気持ちはいかほどだろう。同じ魔法使いたるマトリフには、その驚きが手に取るようにわかった。

 

「幸いにもポップも乗り気でしたが、彼のご両親は猛反対でした。魔法使いになるということは、否応なしに戦いに巻き込まれると言うことです。子供の身を案じたのでしょうね。仕方なし、私は引き下がりました。そしてポップには『もう少し大人になった時に、私の所へ尋ねてきてください』と言って別れました」

「そのはずが、当のポップ本人が家を抜け出してお前のところに来ちまったってことか?」

「その通りです。お恥ずかしながら、彼が追い掛けてきたのは私が村を出た後でして。それに、彼の才能に惚れ込んでしまい家へ帰そうとしなかった私も悪いのです……ああそうそう、結局剣は傷んだままでした。何しろその武器屋はポップの家ですからね。とてもそんなことは頼めませんでしたよ」

 

なるほど、これではばつが悪いのも当然の理由だった。勝手に家を出たポップにも非はあるが、アバンの非も大きい。教師の血が騒いだということなのだろうが。しかしアバンは、罪悪感こそ感じているものの、それ以上にこれが正しい行動なのだと心のどこかで直感していた。

 

「ですが、私の下で学び始めたポップは少しでも辛い課題を出すとすぐに投げ出してしまいました。それでも彼のことを信じて、教え続けました。いつか自分で気付き、努力して欲しいと。それが無駄ではなかったと、デルムリン島での貴方を見て心からそう思えました」

 

いつの間にかアバンはポップの方を向き、いつのも様な優しい瞳と柔らかな口調で彼へと語りかけていた。未だ目覚める気配すら見せないポップには、どれだけの言葉を尽くしても届くことはないだろう。だがそれでも、アバンは言わずにはいられなかった。

デルムリン島で不本意な別れをした際に、もっときちんと伝えられていたのならとそう思ったからだ。

 

「許されるのなら、私は声を大にして言いたい。貴方は他の仲間にも決して負けない……いえ、それ以上の才能を秘めているのだと。生まれの差など関係ない、貴方も立派な私の教え子なのだと」

 

故にアバンは語る。かつて見た生徒の可能性について。

 

「それにね、ポップ。私は貴方が羨ましいですよ。今の私では、もはや勇者という名が知られ過ぎています。私が何かをしても、常に"勇者"という二文字がついて回ります。何かをしても"勇者だから当然"だと思われ、"勇者にしか出来ないこと"と諦められてしまう」

 

教師と生徒という立場だからこそ、そう易々と見せるわけにはいかなかった苦悩を。

 

「ただの村人でしかない貴方だからこそ、人々は"自分にも出来るかもしれない"と希望を持ち、勇気を奮い立たせてくれます。多くの人たちと同じ目線だからこそ、貴方の声は誰よりも届くのですよ。貴方が悩んだ数だけ、ね」

 

今のアバンでは――いや、十五年前のアバンでもそうだろう。きっと彼にしか出来ない未来の作り方を。

 

「貴方は自分の力が足りないから、卒業できなかったのだと思っているのかもしれませんが、それは違います。卒業というのは、もはや師が傍で見ていなくとも自分の力で巣立つことが出来るようになったその証です。私から学んだ事を、自分の力で発展させる時期が来ただけのこと……自分の力に悩んで頑張っている今の貴方は、どこに出しても恥ずかしくない自慢の生徒ですよ」

 

眠り続けるポップへと向けて、そう語る。決して届く筈のない言葉。だがそれを受けたポップの寝顔は、気のせいか安らかなそれへと生じたように見えた。

 

「……直接言ってやればいいじゃねぇか。何もそこまで台本通りにする必要もねぇだろ? ここでお前が力を貸してやってもいいはずだ」

「ええ、それも実に魅力的な提案なのですが……どうやら私は、過分にも大魔王バーンにすら恐れられているようです。ならば私の存在はギリギリまで伏せた方が良いでしょう。何しろ私たちの最大の利点は、敵が人間を甘く見ているということなのですから」

 

それほどまで気に掛けているのならば、正体を明かしても良いのではないか。そう口にするマトリフであったが、アバンはそれを否定する。彼の口にした通り、相手が油断しているということは古今あらゆる状況において有利に働く要因の一つだ。

そして秘密を知る者は少なければ少ないほどよい。ヘタに知る者が増ることで差異が産み出され、やがて違和感となって感づかれる。

何より彼らには未来を知っているというアドバンテージがある。ならば変化は最少限度にとどめるべきだ。変化が増えれば、それは不確定要素となって予期せぬ結果を齎し、アドバンテージが崩れる事になりかねない。

 

アバンはそれを熟知しているがため、断腸の思いで身を隠し続けるという選択肢を選ぶことを決断していた。

 

「なにより、隠れていた場面で登場した方がカッコいいでしょう? まさに秘密兵器!」

 

……いや、ホントだから。ノリだけで決めたわけじゃないから。

 

「それに、私たちの道は未来で繋がっています。一人の少女が運命をねじ曲げてまで繋ごうとしてくれた道ですよ。再会出来ないわけがない……今、私たちがこうして話し合っているようにね」

「……難儀なヤツだ」

 

アバンの言葉に、マトリフは苦笑しながらそう答えた。

 

 

 

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「ザメハ」

「ん……?」

 

マトリフの唱えた覚醒呪文を受けて、ポップは目を覚ます。しばらくの間、自分がどこにいるのかも分からずボーッとしていたが、やがて弾かれたように身体を起こす。

 

「こ、ここは……あの世か!?」

「いんや、この世だ」

「し、師匠!? ってことは……おれ、助かったのか!?」

 

キョロキョロと辺りを見回しながら、それでもポップは今の自分の様子が信じられずにいたようだ。辺りは未だ暗闇に包まれた夜のまま。マトリフ以外に人影もなく、それ以外には焚き火が燃える音が響くだけだ。

 

アバンは少し前に、ルーラの呪文を唱えて夜空へと消えていった。まるで語るべきことは全てを言ったと言わんばかりに、あっさりとした別れだった。騒々しくしていたかと思えば、まるで煙の様に消える。だが、マトリフが会話したという記憶と、なによりもポップの存在こそがここにアバンがいたという何よりの証でもある。

 

「ずいぶんと寝てやがったからな。いい加減退屈したんで、呪文で無理矢理たたき起こしてやったんだよ」

「寝ていた……?」

 

師の言葉に、自分が覚えている最後の記憶が蘇ってくる。そしてその記憶が事実ならば、自分が地上へと戻っていることなど決して無いはずだ。ましてや呑気に眠っているなど、どう考えてもありえない。

 

「おうよ。迷宮からお前が出てきたと思ったら、何も言わずにぶっ倒れたんだ。まあ、死なれても困るから最低限の手当はしたがな」

「ウソだろ!?」

「嘘吐いてどうすんだ?」

 

そう口にする師の言葉を聞いても、到底信じられるものでは無い。しばらくの間考え続け、やはりあり得ないという結論に達する。

 

「いやいやいやいや、そんなことあるわけがねぇって。隠さなくってもいいんだぜ、かわいい弟子が心配でこっそり洞窟の中まで助けに来てくれたって言っても」

「アホ抜かせ。オレは一歩たりとも迷宮の中には入っちゃいねぇよ。なんなら神に誓ってもいいぜ」

 

そのため、マトリフが照れ隠しで否定したのだと思っていた。だが、そのあまりの雰囲気に彼の言葉が決して嘘や冗談ではないのだろうと悟り、身震いする。心のどこかで、いつでも助けに入る準備をしているのだと期待していた。だがその思いが打ち砕かれたのだ。

 

「じゃ……じゃあ、死んでたらどうするんだよ!?」

「生きてるだろうが」

「いや、そうなんだが……じゃあなんでここにいるんだおれ!?」

 

そうあっさりと言ってのける。確かに生きてはいたが、自分がどうやって戻ってきたのかまるで思い出せないからだ。

 

「推測でしかねぇが、死ぬような目にあっても本能で戻ってきたんじゃねぇのか?」

「そ、そういうものか……?」

 

意識を失ってもなお戦い続ける武術家の話を聞いたことくらい、ポップだってある。だがそれを一介の魔法使いでしかない自分が行えるとは思えなかったのだ。混乱するが、それ以外に何か納得できる理由も思い浮かばない。

戸惑う弟子に向けて、マトリフは言う。

 

「んで、何か掴めたか?」

「何か……ああ、そうか!!」

 

何か掴めたか、という言葉に自分が何故洞窟へと潜っていたのか、その理由を思い出す。とはいえ「行けば分かる」と言っていたが、こうして戻ってきた今でもポップにはそれが何なのかさっぱりとは分からない。

 

「その、なんて言うか……洞窟の中で死にそうな目に遭ってよ。そこで意識を失ったんだ。それからのことはまるで覚えてねぇ」

 

だからポップは一番印象に残っていたことを話すことにした。自分でも夢か幻としか思えない、記憶すら朧気なそれについてを。

 

「でも意識を失った中で……上手く言えねぇんだけど、すげぇ良いことがあったような気がするんだ。洞窟の中では、足りないことだらけだった。もっと強い力が欲しいって思ってたけど、今ではそれでもいいんじゃねぇかって。心のどこかで引っかかっていた何かが、綺麗さっぱり消えたみたいな、そんな気持ちだ」

「ほぉ……」

 

――案外、馬鹿に出来ねぇものなのかね……

 

ポップの回答を聞きながら、思い浮かんだのはアバンの言葉だった。届くはずがない、と言った筈の言葉は、確かに届いていたのだ。今はまだしっかりとした言葉にも出来ないそれだが、もはやポップの心は大丈夫だろうと、マトリフにはそう見えた。

 

「これで、よかったのか……?」

「何がだ?」

「洞窟に入った理由だよ。納得したみてぇな声出してたけれども、こんな曖昧な答えで良いのか?」

 

言った自分ですら納得できるとは思っていない言葉だったが、マトリフはもはや興味なさそうな顔になっていた。それは決してポップの答えに興味が無かったからではない。マトリフが百万言を尽くすよりももっと大事なことが、既に伝えられていると思ったからだ。

 

「ああ、良いんじゃねぇの? お前が死ぬような目に遭って掴み取ってきた答えなんだ。ならそれがお前の中の正解なんだろうよ」

「なんだそりゃ!?」

「あとはソイツを大事にしていきゃいい。それになにより、良い経験だっただろ? 普段知らねぇことが痛いほど知れたはずだぜ」

 

だがまあ、それはそれとして。潜ったことも意味が有る。そこは現在のポップの師としての最後の意地だった。そう言うマトリフの言葉に、ポップは「まぁ……」と曖昧に頷いた。

 

「ほれ」

「なんだこりゃ?」

「待ってる間、暇だったんでな」

 

そう言いながらマトリフは鍋の中身を木皿へとよそり、ポップに手渡した。受け取ったポップは、同じく木製のスプーンで一匙(ひとさじ)掬って口にする。

 

「味は保証しねぇぞ」

「いや、助かるぜ。なにしろまともな食事は一日ぶりだからよ」

 

アバンとよく似たことを口にしながら食べていくポップの姿を見ながら、マトリフは気付かれないように薄く笑っていた。

 

 




さて、つい出してしまったアバン先生。でも色々なフラグを折ってしまった以上、もうこの方にお願いしないとポップが覚醒してくれそうにないんです……
ヒュンケルは先生に「誇りです」と言ってもらいました。でもポップだって言って欲しかったと思います。
でもどうやって言わせよう。悩んだ結果がこれです。

しかし、二ヶ月で150階……化け物ですかアバン先生……
(というか「ミナカトールを使ってくれたから決戦が近いことに気付いた」発言から、原作では下手すればずっと気付かないままだった可能性もあったんですよね)

(原作でもそうですが)彼は再登場までの間に破邪の洞窟で修行していました。
でも、三ヶ月間ずっと洞窟にいたわけではないはず。水と食料の問題があります。ついでに原作で「用意しておいた数々の回復道具や食料も底をつきかけ」と言っているので、アイテムの問題も出てきます。持ち込めるアイテム量の制限ですね。
(それらアイテムを手に入れる代金はどうやったのか? 実家は魔王軍の侵攻を受けていて、下手をすれば実家が焼かれていても不思議じゃない。という問題も出てくるのですが)

原作で描写されたアバンは、荷物と呼べるのは肩掛け鞄だけでした。それだけでどうやったんだ!? と考えて、結局のところいわゆる「無限に物が入るバッグ」に頼ってしまいました。
(入る時はもっと大荷物で、途中で捨ててきた。と言う可能性もありますが)
これがあればバーンパレスで再会後に「その格好のどこにあんなお弁当を持っていたんだ!?」とか「ミエールの眼鏡を掛けたとき、その手のハンマーはどこから出した!?」という疑問も解消です。

一日で潜って外に出て。というのも、特殊な力が無いとリレミト不可の洞窟ですし、150階まで潜るのに時間が掛かる。それに毎日洞窟に出入りしていたら、誰かが気付くだろうと思って。出入り回数は人目につかないように少なかったと判断。

しかし。
洞窟の中って普通は暗いわけで、そうなると明かりが必要なわけで。餌も太陽の光も必要なわけで……つまり魔物は暗視と飲食不要がデフォで装備されてるんですかね? この辺りはファンタジー永遠の命題ですね。
(洞窟の奥深く、秘宝を守るべく配置したドラゴンが餓死してた。とかギャグですから)

そしてアンケート協力していただきありがとうございました。
まさかの武器でしたね。さあ、武器に打ち直すように頑張ろう。

覇者の冠をどうしましょう?

  • 打ち直さずそのまま装備しよう
  • 打ち直してチルノ用の武器を作ろう
  • 打ち直してチルノ用の防具を作ろう
  • 覇者の剣と一緒にまとめてダイの剣を作ろう

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