隣のほうから来ました   作:にせラビア

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スーパー……サイヤ人??
すみません、いったい何のお話でしょうか……?


LEVEL:81 竜を喰らう魔

竜闘気(ドラゴニックオーラ)……!?」

 

ハドラーの全身を覆う黄金色をした闘気を目にして、チルノが叫んでいた。だがわざわざ叫ばずとも、ここにいる殆どの者はその実物を見たことがある。彼女の言葉を口火にしたように、次々に口を開く。

 

「まさか、そんなはずはない! (ドラゴン)の騎士はバラン様とダイ様だけだ!! あれが本物であるものか!!」

「だが、あの闘気……そしてあの重圧(プレッシャー)には覚えがある……かつてバランと戦ったときのそれに酷似している……」

「お前もか、クロコダイン……そしてラーハルト。バランの近くにいたお前なら、あれが本物か偽物かの判断くらいはつくのではないのか?」

「くっ……ぐうぅぅ……!」

 

そう尋ねられ、ラーハルトは蛙が潰されたような呻き声を上げた。

(ドラゴン)の騎士に最も長く付き従ってきたのは彼だ。ヒュンケルにわざわざ問われるまでもなく、あれが竜闘気(ドラゴニックオーラ)だということは一目見た瞬間に理解していた。

だがそれを素直に信じ、受け入れることは彼の矜持が許さない。

彼は(ドラゴン)の騎士に仕えることを誓った身であり、その忠誠の対象にハドラーは間違っても入っていない。だが偽物と断じようとする気持ちとは対照的に、戦士の本能は本物だと訴え続ける。

どうにか否定の材料を探そうとするが、皮肉なことにそれが浮かぶことがなかった。

 

「あ、あれって……」

「ダイよ、お前も同じ意見か?」

「うん……どうしてかはわからないけれど、あれは……」

 

ラーハルトの感じている苦悩とよく似た感情を二人の(ドラゴン)の騎士も体験していた。こちらの場合、彼よりもずっと顕著だろう。各々が自信の身に纏い、活用し続けてきたそれをハドラーが操っているのだ。

その戸惑いは、誰よりも大きいだろう。

 

「ああ、間違いなかろう……腹立たしいことだがな」

 

肯定しつつもバランはハドラーを射殺(いころ)さんばかりに睨みつけた。

当代の(ドラゴン)の騎士として生を受けたバランにとってみれば、我慢できることではない。竜闘気(ドラゴニックオーラ)とは神の生み出した究極の存在だけが操る特殊な闘気だ。

それをただの魔族でしかないハドラーが操るなど、神域を土足で踏みにじるような行為に等しい。

 

「クククク……ダイにバラン。(ドラゴン)の騎士が揃ってオレに怯える姿を見られるとは!! これだけでも、我が命を賭けた甲斐があったというものだ!!」

 

ダイたちの反応を目にして、ハドラーは満足そうに笑う。

かつて己の地位と命を脅かしていた存在に対して度肝を抜くことが出来たのだ。溜飲も多少なりとも下がろうというものだろう。

 

「……ハドラーよ、一つ聞かせろ。その闘気、どうやって手に入れた?」

「気になるか?」

「当然だ。それは努力や偶然で手に入る物でなければ、お前のような半端者が使いこなせる物でもない!」

 

純粋たる(ドラゴン)の騎士ならば、その力の出所(でどころ)を気にするのは当然のことだろう。

ハドラーが竜闘気(ドラゴニックオーラ)を手に入れたということは別の魔族も――下手をすれば大魔王バーンが手にする可能性すらあるのだ。それは(ドラゴン)の騎士の絶対性を崩すことにもなる。

 

「大した自信だな。だが、そうだな……敬意は表さねばならん」

 

敬意――それは果たして何に対しての敬意なのか。

ハドラーはそれまで浮かべていた微笑を消し、真摯な表情で口を開いた。

 

「お前とダイ、二人の(ドラゴン)の騎士のおかげ、とだけ言っておこう」

 

そう、バランとダイ。二人の(ドラゴン)の騎士がいなければ、今のハドラーが存在することはなかっただろう。

 

かつてダイは、テラン王国にてバランと激しい死闘を繰り広げた。

激戦と呼ぶのも生ぬるいその戦いにおい、竜魔人と化したバランは、片翼をダイの手によって切断され、もう片方は己の手で切り裂いてまでも戦い続けた。

ハドラーが目を付けたのはそこだ。

 

彼は超魔生物の研究についてもある程度知っている。ならば、竜魔人の細胞をも組み込めばさらなる力を――(ドラゴン)の騎士の力を得られるのではないかと考えた。

本来ならば超魔生物へと変貌を遂げるだけでも自らの命を削る。その上で、竜魔人の力まで取り込もうというのだ。ノウハウなど何もない、完全なる暗中模索。

確かに成功すれば得られる力は天に届くだろうが、失敗する可能性の方が遥かに高い賭けのはずだった。普通ならば、そんなことはしないだろう。

 

その賭けに乗ろうと決意を後押ししたのは、フレイザードの存在だ。

ダイに敗れ瀕死となりながらも、その命を捨ててでも勝利を掴もうとハドラーへ懇願してきた。その姿が、自身の立場と重なったのだ。

命を捨ててでも、がむしゃらに勝利だけを追い求める。その覚悟と執念を、自ら禁呪法で生み出した仮初めの生命によって教わっていた。

 

――余談ながら、その一方でザボエラたちは(ドラゴン)の騎士に対する独自の対抗策を模索することも忘れていなかった。なにしろ最高のサンプルが手に入ったのだ。実験し、効果的な手段を手にするだけの時間はあった。

その成果の一つが、かつてザムザがダイに対して用いた毒である。竜魔人の細胞を研究した結果、(ドラゴン)の騎士にのみ効果を及ぼすように改良したものだ。

 

そして、超魔生物への改造は行われた。

切断された竜魔人の翼より細胞を取り出し、超魔生物の技術を使ってハドラーへと組み込む。その結果は知っての通りである。

唯一欠点と呼べるものがあれば、(ドラゴン)の紋章の存在だろう。超魔生物化による細胞の影響か魔族としての力の影響か、竜闘気(ドラゴニックオーラ)を発しても紋章が発現することはなかった。

とあれ、超魔生物へと生まれ変わったことに加えて竜闘気(ドラゴニックオーラ)という新たな力を得たことにより、魔王軍の大幹部たるミストバーンとキルバーンすら驚かせる存在へと変貌を遂げていた。

 

ダイとバランという二人の(ドラゴン)の騎士が存在していたからこそ、今の自分が存在している。そう考えたからこそ、ハドラーは先ほどのような言い回しをしていた。

 

「よく、わかった。答える気はないようだな」

 

だがそのような背景など、バランが知るはずもない。そう言うとバランは背の剣を抜き放ち、宣戦布告のようにハドラーへと突き付ける。

 

「貴様の存在は見過ごせん!! (ドラゴン)の騎士の誇りに賭けて、今この場でなんとしてでも討つ!!」

 

そしてあらん限りの怒りを込めて叫んでいた。

 

「ましてや今の貴様には、(ドラゴン)の紋章すらない半端者よ! (ドラゴン)の騎士とは本来は一代限り! 例外は我が息子だけだ!! 竜闘気(ドラゴニックオーラ)は貴様の手には余る、過ぎた玩具だ!! どのような手を使おうとも、貴様だけは二度と甦らぬよう、魂もろとも打ち砕いてやろう!!」

 

味方をも萎縮させるほどの凄まじい闘気を発しながら、続いて剣を正眼に構えた。今すぐにでも飛びかかっていきそうな程の殺気だ。

 

「バラン様! 自分も!!」

「ならん!!」

 

すぐさま声を上げたラーハルトだったが、すぐさまバランに一喝される。

 

「ラーハルト、お前も感じ取っているだろう? どういう手段を使ったのかは知らんが、ハドラーの力は本物だ。竜闘気(ドラゴニックオーラ)を纏った者を相手に戦えるだけの力を持っていない者は離れていろ! 邪魔だ!!」

「な……っ!」

「くっ、だが……!」

 

激怒したような荒々しい言葉は、逆に言えばバランの心の余裕のなさの現れでもあった。ハドラーを強敵だと無意識に認めたからこそ、戦いとなれば他者を気に掛けるのは実質不可能となりかねない。ならば最初から参加させないという手段を取るしかないだろう。

それを聞いた者達は、バランの言葉に不承不承頷く。概ね、彼らも似たようなことを考えていたからだ。

 

「う、うう……」

 

ただ、ノヴァだけはバランの言葉に押されて尻込んでいた。ハドラーだけでも初見だというのに、それに加えて竜闘気(ドラゴニックオーラ)まで体験させられたのだ。無理もないだろう。

背中に氷柱でも詰め込まれたかのように全身を震わせ、新兵が初めて戦場に出るときのように怯えていた。

だが、そんな彼の手をチルノは優しく握ってみせる。

 

「……えっ?」

 

不意に手を握られ、ノヴァは僅かに顔を赤らめながらその相手を見る。そこには、彼が今まで見たことがないほど真剣な表情をしているチルノの姿があった。

 

「私達が相手をする大魔王バーンは、あれ以上の化け物よ。今は恐れてもいい。その代わりに、今のうちに慣れておいて」

「は、はい……」

 

ハドラーがどのようにして竜闘気(ドラゴニックオーラ)を操れるようになったのか、それはチルノには分からない。だが、過程は理解できずとも原因は間違いなく自分にあるはずだ。

そう考えた彼女は、内心の恐怖を押し殺して声を上げる。

何しろ、再び竜闘気(ドラゴニックオーラ)を操る相手と戦うのだ。恐れぬはずがない。ノヴァの手を握ったのも、彼を落ち着かせるのと同時に、自分も心を落ち着かせるための方便のような意味合いが強かった。

 

「参加させてもらうわよ。だって、私はその資格を持っているものね」

「姉ちゃん!?」

 

まさか出てくるとは思わなかったのだろう。ダイが驚きの声を上げる。バランもまた、この戦いの主役はダイと自分だけだろうと思っていただけに、態度にすら出さないものの驚かされていた。

 

「バラン、あなたに痛手を与えたのは誰か、忘れたわけじゃないでしょう?」

「……なるほど、お前ならばその資格はあるな。いいだろう」

 

かつて、ダイを巡って戦い合った間柄でもあるのだ。ある意味でバランはチルノの力を一番よく知っている。僅かに躊躇ったが、背に腹は代えられぬとばかりに頷く。

参戦を認められ、彼女もまた鞘へ納めていたガリアンソードを引き抜き構える。

 

「三対一か、面白い!!」

 

そして、対戦相手を目にしながらハドラーは愉快そうに笑う。

かつてデルムリン島でも、同じように三対一で戦ったことがあった。その時はバランではなくアバンであったが、それぞれの絆という意味ではアバンに負けず劣らずだろう。

 

――まるであのときの焼き直しのようではないか!

 

巡り巡ってきた戦いの好機に、昂ぶる感情を抑えることなどできなかった。

 

 

 

 

「くっ……このような一大事に、オレは見ていることしか出来ないのか……!!」

 

チルノが声を上げる姿を見ながらラーハルトは叫ぶ。

彼が加勢すると言った時にバランは拒んだが、チルノは参加を認めた。それは、今のラーハルトではまだ(ドラゴン)の騎士を相手に出来ないと言われたように感じていた。

 

「そう腐るな。バランとダイという二人の(ドラゴン)の騎士を相手にするだけでも戦力は過剰だ。むしろ、下手に前衛を増やす方が危険だと判断したのだろう」

 

だがヒュンケルの読みは違った。

後方から呪文を放つ機会の多いチルノだからこそ選ばれたのだと。仮にダイがいなければ、バランはラーハルトの参加を許していたことだろう。現状で最も効率的な選択をしただけだろうと考えていた。

 

「それにまだ機会はある。竜闘気(ドラゴニックオーラ)は無限に使い続けることは出来ん……オレたちに出来ることは、闘気が切れた瞬間を狙ってそこに最大の攻撃を叩き込むだけだ」

 

クロコダインもまた、この戦いへの参加を諦めていない。

竜闘気(ドラゴニックオーラ)は確かに強力だが、完全無欠というわけではない。息切れの瞬間は必ず訪れる。三人の中で最も実力が劣るクロコダインは、その時を見極めるべく瞬きすら忘れたように注視していた。

その言葉に気付かされ、ラーハルトはハッと顔を上げる。

 

「この中で最速を誇るお前が諦めてどうするつもりだ?」

「いや、今のままの方がいいだろう。口やかましい言葉を聞かずに済むからな。コイツは多少落ち込んでいるくらいが丁度良い」

 

からかうようなそれは、彼へとハッパを掛けるべく放たれた言葉だった。

下手くそな台詞を耳にしながら、ラーハルトもまた参戦の時を待ち構え始める。

 

 

 

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「行くぞ!!」

 

真っ先に動いたのはハドラーだった。

数の上で不利な以上、待ちの姿勢は愚策と踏んだのだろう。猛烈な勢いでダイたちへと飛びかかっていく。

 

「【マイティガード】!!」

 

ハドラーが動くと同時にチルノが全員に防御魔法を放った。超魔生物に加えて竜闘気(ドラゴニックオーラ)を持つハドラーの攻撃を前にしてどれだけ有効なのかは不明だが、何もしないよりは数倍もマシだ。

そもそも超魔生物は強い再生能力を持つのだから、このくらいの対抗策は備えてしかるべきとすら言えるだろう。

 

「来い! ハドラー!!」

 

バランはハドラーを迎え撃つように飛び出していた。

薄い結界のようなそれの効果を、バランはよく知っていた。かつてチルノたちと敵対していた時に彼女が使っており、その防御性能の高さは折り紙付きだ。ある意味で身をもって証明している。

 

「おおおぉぉっ!!」

 

右腕の地獄の爪(ヘルズ・クロー)による強烈な殴打の一撃を、バランは真魔剛竜剣で受け止めた。思わず剣が弾き飛ばされそうになるほどの衝撃だったが、マイティガードはその衝撃を緩和する。

だがそれだけでは終わらんとばかりに、ハドラーは右手へさらに力を込める。奇妙なつばぜり合いの格好となったそれは、ただの消耗戦に近い。

通常ならば無理に付き合う必要はないが、今は違う。むしろハドラーの気を強く引くかのように、バランもまた力を込めて剣を押し返す。なぜならば――

 

「今だッ!!」

 

動きが止まった瞬間を見計らい、ダイが飛び出していた。息子の動きを見たバランは、顔には出さずに微笑んだ。

多対一となったこの戦いでは、攻防の全てを一人で担う必要はない。むしろ一人がハドラーを押さえ込めば、他の仲間は攻撃に専念できるのだ。ならばそれを狙わない意味はない。

バランが率先して囮役を買って出たのも、最も戦闘経験に優れた自分ならば状況をコントロールできると考えたからだ。

 

「くくく、考えが甘いなバラン!」

「ッ!?」

 

考えを見透かしたかのような言葉に、バランは小さく目を見開いた。その反応に満足しながら、ハドラーは自由になっていた左手を振るう。ダイの迎撃を考えているとすれば、あまりにも動くのが早すぎる。不可解な動きにしかみえなかっただろう。

 

「なっ!」

 

驚きの声を上げたのはダイだ。なにしろ襲いかかっていた相手の左腕から、鎖が飛び出してきたのだから。

これもまた、超魔生物と化したハドラーの新兵器であった。地獄の爪(ヘルズ・クロー)と同じく自身の骨を魔力で硬質化させて鎖状にして放つ、地獄の鎖(ヘルズ・チェーン)と呼ばれる攻撃法方である。

地獄の爪(ヘルズ・クロー)しか知らなかったダイは、初めて見るその攻撃に僅かに反応が遅れた。

 

「くっ!」

 

バランは言わずもがなである。地獄の鎖(ヘルズ・チェーン)の存在を知らず、加えてハドラーの右腕に封殺されている彼は下手に動くことが出来ない。敵の動きを封じるつもりが、逆手に取られたのは自分の方かと臍を噬む。

 

「いけない!!」

 

だがこの中で唯一ハドラーの新兵器の存在を知っていたチルノは即応してガリアンソードを操っていた。すぐさま剣を分割して鞭状にすると、地獄の鎖(ヘルズ・チェーン)を絡め取るように飛ばす。

 

――あれ? ダイに教えてなかったっけ??

 

自身の記憶を必死で掘り返しながら、彼女は剣を操って鎖の動きを止めていた。さながら釣り人同士が釣り糸を絡ませ合ったかのようになっている。とはいえそのおかげでダイは迫り来る鎖から逃れる事が出来た。

 

「ありがと姉ちゃん!」

「ほぅ、コレを止めるか!」

 

結果として両腕を封じられた形となったが、それでもなおハドラーは不敵に笑う。一見して劣勢となったとは思えない態度に、(ドラゴン)の騎士二人は違和感を感じる。だが彼らが次の手を考えるよりもハドラーが動く方が早かった。

 

極大爆裂呪文(イオナズン)!」

 

僅かな動揺の隙にハドラーは魔法力を貯めると呪文を放つ。右手に生み出された光球はその場で爆発を起こすと、本人も含め周囲にいた全ての者に襲いかかる。

 

「えっ……!?」

「うわっ!?」

「むっ!?」

 

反射的にダイたちは竜闘気(ドラゴニックオーラ)で防御を試み、離れた場所にいたチルノは片腕で顔を庇うように防御する。爆風はハドラーが抱えていた拮抗状態を崩し、バランとダイを弾く程度の威力を持っていた。

だが意外な程にダメージは少ない。マイティガードの結界が防いだことを差し引いても軽すぎる攻撃を身に味わい、彼らは思わず疑念の声を漏らす。

 

「……いかん!」

「きゃあっ!」

 

ハドラー狙いに気付きバランが声を上げると同時に、チルノの口からも悲鳴が上がった。

周囲はイオナズンによって引き起こされた煙で一時的に視界が封じられ、決して低くはない威力の攻撃呪文を放った事で(ドラゴン)の騎士二人の姿勢を崩す。仕切り直しと煙幕を兼ね備えた攻撃である。

 

バランはてっきり、再び自分に攻撃を仕掛けてくると思った。だがその予測は覆され、狙われたのはチルノであった。ハドラーは左腕の地獄の鎖(ヘルズ・チェーン)を、その怪力を活用して力強く引っ張った。

チルノとて戦士としての鍛錬も積んではいるが、ハドラークラスの相手から見れば不足している。ましてやその相手は超魔生物のパワーを兼ね備えているのだ。あらがえたのは一秒にも満たない時間だった。

 

「くぅっ……!」

 

単純な引く力の前にチルノは強制的に動かされる。まるで石に躓いたかのように身体が前に投げ出され、ハドラーの足下目掛けて飛び込むような格好を強いられる。慌ててガリアンソードを操って戒めを解き元の剣へと戻すが、少し遅い。

いつの間にか彼女は、ハドラーの攻撃範囲へと足を踏み入れていた。

 

「姉ちゃん!!」

「チルノ様!!」

 

慌てて二人がカバーに入る。未だ視界は悪いままだが、チルノが動かされたこともあってか多少なりとも開けていた。加えて彼女が上げた声も、位置を知る一助となる。

ラーハルトは己の神速を活かしてチルノの傍まで移動すると、そのまま彼女を引っ張って攻撃範囲よりも外まで退避させた。

そしてダイは、地獄の鎖(ヘルズ・チェーン)を切断すべく剣を振るう。

 

「固い!?」

 

剣先が鎖に触れた瞬間、その手応えに彼は思わず口走る。

前述の通り、地獄の鎖(ヘルズ・チェーン)地獄の爪(ヘルズ・クロー)同様ハドラーの骨を魔力で変質させたものだ。爪がオリハルコンと化すのであれば、ならば同じ呪法で作られた鎖もまた、オリハルコンとなっているのは道理であった。

 

「そこか!!」

 

チルノ()を狙えば、ダイ()が動く。視界が封じられ、悲鳴だけが聞こえればそれはより顕著になるだろう。よしんば動かなくとも、チルノはチルノで封じておく必要があるとは思っていたのだが――目論見が当たったことに笑みを浮かべ、ハドラーはダイ目掛けて攻撃を繰り出していた。

 

「逃がさんぞっ!!」

「うわああぁぁっ!!」

 

既に鎖は納め、地獄の爪(ヘルズ・クロー)を両手に生やしている。剣よりも短い分だけ取り回しに優れた攻撃が、まるで暴風雨のようにダイ目掛けて襲いかかった。まるで拳が壁のように迫ってくる絶え間ない連撃を前に、ダイは辺りを飛び回るようにして身を躱しつつ、剣で攻撃を受け流しながら反撃の糸口を掴もうとしていた。

 

――だが、ハドラーの攻撃は何の前触れもなくピタリと止んだ。

 

「ッ!?」

 

圧倒的有利と思われる攻勢から一転して不可解な動きのハドラーにダイも思わず動きを止めた。

 

「むっ!!」

「【バイオ】……えっ!?」

 

次の瞬間、ハドラーは宙返りするような動きを見せるとバランへ飛びかかった。続き、遅れてチルノのバイオの魔法が炸裂したが、すでにハドラーは狙いの場所から離れた後だ。何もない空間に細菌が虚しく放たれ、強すぎる毒素によって自滅していく。

 

「その呪文は! ……避けて正解だったか」

 

どうやら彼女が魔法を放つことまで予測していたらしく、タイミングを見計らって避けたようだ。とはいえ、放たれる魔法がどの様な物かまではわからなかったようだが、生体牢獄(バイオプリズン)を易々と破壊した魔法については彼も知識があったらしく、軽く冷や汗を拭う。

 

「次は貴様の番だ! バラン!!」

 

着地する前から待ちきれぬとばかりに拳を放ち、着地するや否やダイに見せた猛攻をハドラーは放つ。

拳のラッシュは嵐のような勢いだが、バランも竜闘気(ドラゴニックオーラ)を全開にしながらハドラーの連続攻撃を冷静に見極めていた。

ダイよりも戦闘経験が豊富であり、(ドラゴン)の騎士に受け継がれる闘いの遺伝子による補佐もあってか、早々に攻撃の切れ目を見切ると機を逃すことなく動いた。

 

「同じ手が何度も通用すると思ったか!?」

「ぐっ!」

 

脇腹を抉るような蹴りを放つ。竜闘気(ドラゴニックオーラ)を強く込めた一撃は、同じ闘気を持つハドラーの防御を打ち破りその動きを縫い付けると、続いて流れるような澱みない動作で続いて剣を振るう。

 

「アバンストラッシュ!!」

「【魔法剣ブリザガ】!」

 

ハドラーの動きが止まったのが好機と見たのは、バランだけではない。その瞬間を逃さぬよう目敏く(アロー)タイプのアバンストラッシュを放ち、チルノもまた剣に冷気を伝わせると、ガリアンソードを分割させ鞭のように躍らせる。

 

「ぬうっ!!」

 

だが敵も()る者。すぐさま動きを再開すると、バク転のようなアクロバティックな動きで闘気の込められた剣から距離を取ってみせた。

続くストラッシュこそ避けきれなかったが浅い。ハドラーの胸を僅かに切り裂いた程度のダメージにしかならなかった。

魔法剣ブリザガも同じことだ。大腿部へ傷を付けることには成功し、冷気によって追加のダメージを与えるものの、超魔生物を相手にするには心許ないダメージでしかない。彼女が狙っていた「冷気によって動きを止める」という効果は期待できそうになかった。

 

「ずいぶんと厄介な相手になったようだ……」

 

三人を相手に戦い抜くハドラーを見て、バランはそう吐き出す。

圧倒的な身体能力を持ち、最上級呪文を放つ。加えてまがい物――バランは認めていないので――ではあるが、竜闘気(ドラゴニックオーラ)までもを操る。さながら、毛色の違う竜魔人といったところか。

 

「……フッ」

 

そこまで考え、不意にバランは鼻で笑う。

かつて竜魔人となった自分を相手に息子は勝利を収めた。ならばこの闘いもあの時と同じことをやるだけだ――そう断じる。ましてや今回は、その闘いの勝利者たる二人がついているのだ。

ならば自分たちが負けることは、万に一つもないだろう。

 

「ギガデイン!!」

 

意を決したバランは、呪文を放ち自身の持つ真魔剛竜剣へと雷撃を落した。それを見た途端、全員の表情が一段と険しい物へと代わる。何しろ、彼がこの次に何を繰り出すのか理解できぬ者はこの場には皆無だからだ。

 

「口惜しいが、認めてやろう! そして、どうやら貴様を倒すには下手な小細工など無用のようだ!!」

 

帯電した剣を大上段に構える。バランの持つ最強の剣技たるギガブレイクを放つ準備は完全に整った。

 

「ほう! ギガブレイクか!! 父親はこう言ってるようだがダイよ、貴様はどうする!? ライデインストラッシュは撃たんのか!?」

「……ッ!!」

 

ハドラーの煽るような言葉を耳にしても、ダイは動けずにいた。バランが判断したように、ダイもまた同じ――このハドラーを倒すのに、強烈な一撃を持って屈服させるより他にはないという結論に達していた。

 

だがダイは、ハドラーの胸に黒の核晶(コア)が仕込まれていると姉から教えられている。大威力の魔法剣を放つということは、誘爆の危険性がつきまとうということを知っているのだ。その情報が、少年に必殺剣技たるライデインストラッシュの使用を躊躇わせていた。

 

「……ダイ、覚悟を決めましょう」

 

迷っているダイへ向けて、チルノが声を掛ける。誰よりも事情をよく知る姉からの、意外過ぎる言葉に弟は思わず彼女の方を見た。

 

「でも、姉ちゃん! だって!!」

「私を何だと思っているの? 一応、考えくらいはあるわ……タイミングはちょっと厳しいけれどね」

 

ダイがこれ以上何かを言うのを封殺して怪しまれることのないよう、チルノは口早に語ってみせる。

 

彼女の考えは、ラスピルの魔法を使うことだった。

魔法力を直接削り取るこの魔法は、かつてバランの魔法剣すら打ち消して見せた実績がある。それを今度は黒の核晶(コア)へと直接放つのだ。

黒の核晶(コア)の破壊力が蓄えられた魔法力に比例するというのなら、ラスピルの魔法で可能な限り削り取ることで威力を押さえ込む。

さらにダイとバランの二人掛かりで竜闘気(ドラゴニックオーラ)を使って爆発を押さえ込めば、なんとか防ぎきれるはずという算段である。

そしてもう一つ、不確定ではあるものの嬉しい誤算があった。竜闘気(ドラゴニックオーラ)は呪文を弾く性質を持っている。だったらその影響で、コアが魔法力を吸うのを遮断している可能性がある。もしもチルノの目論見通りならば、威力は更に低くなるはず。

 

だが、これを今口頭で伝えるわけにはいかない。下手に不信感を持たせれば、黒の核晶(コア)の権限を持つバーンが気付き、遠隔操作で起爆させる可能性があるためだ。

 

「だから、安心して! 私も援護するから、全力で攻撃しなさい!!」

 

迷っているダイの背中を強く押し出すように、チルノはそう叫んでみせた。信頼する姉の言葉を受けた弟はコクリと大きく頷き、父親に倣うように呪文を唱えた。

 

「ライデイン!!」

 

ダイの剣に雷撃が降り注ぎ、魔法剣となる。親子が最大技の準備を終えたことを見て、ハドラーはようやく低く笑い声を上げる。

 

「魔法剣……だがもはやそれは(ドラゴン)の騎士の専売特許ではなくなった!」

「なんだと!?」

極大閃熱呪文(ベギラゴン)!!」

 

聞き捨てならない言葉に反応するが、その返事の代わりだとでも言うようにハドラーはベギラゴンを唱える。本来ならば強大な高熱のエネルギーが放たれるはずのその呪文は、だがダイたちの肉体を焼くことはなかった。代わりに――

 

「ああっ!!」

 

極大閃熱呪文(ベギラゴン)の全エネルギーは、ハドラーの地獄の爪(ヘルズ・クロー)に宿っていた。まるでダイやバランの持つ剣と同じように。

 

「馬鹿な……魔法剣まで操るだと……!?」

「超魔生物の肉体、(ドラゴン)の騎士の細胞、そしてオリハルコンの存在。これらが揃い、ようやく貴様らと同じ位置まで上がることが出来た」

 

驚愕にも似た呟きをバランが見せる。

ここまでことごとく(ドラゴン)の騎士のお株を真似され続ければ、どれだけ温厚な性格であっても反応せずにはいられないだろう。

ダイだけでなくバランもが度肝を抜かれ、攻めのタイミングを見失っていた。

 

「魔法剣まで操るなんて……本当に竜魔人を相手にしていると考えた方が良いみたいね……」

 

チルノもまた、ハドラーの一挙手一投足をつぶさに観察していた。ここまで似通ってくれば、同じ存在と判断しても良いような物だろう。

 

「でもお生憎様! 竜魔人を相手の経験だって多少はあるんだからね!!」

 

内側から湧き上がる感覚を振り払うべく景気づけのように叫ぶと、彼女は剣を鞘へと納めた。そして集中すると同時に、一気に魔法を放つ。

 

「【コメット】!!」

 

彼女が選んだのは、かつてバランに痛手を与えた魔法だった。魔力によって生み出された擬似的な流星を対象へと激突させるそれは実績もある。その名を聞いた途端、あの時のことを思い出したのだろうバランが僅かに顔を顰めた。

つまりは、その程度には効果的ということだろう。

 

「甘いわぁっ!!」

 

だが無策で放たれた攻撃を受けるほどハドラーも甘くはない。迫り来る流星は単純な軌道を描くため、見切りも容易だ。素早く落下予測地点から離れると、次に来るであろうダイとバランへと警戒を向ける。

普通ならばそれで正解だろう。だが、チルノを相手にするのにそれは誤りだった。

 

「【フレア】!!」

「がああああぁぁっ!!??」

 

大雑把に放ったコメットの魔法など、避けられるのは百も承知。そもそも、バランが顔を顰める攻撃を迂闊に喰らうわけにはいかない。これは完全なる誘い水の攻撃だ。

フレアの魔法こそが大本命。超高熱と閃光を伴った爆発による一撃は竜闘気(ドラゴニックオーラ)の防御を突き破ってハドラーの肉体を焼き焦がしていく。

攻撃時間は一秒にも満たない僅かな時間であったが、その破壊力は極大閃熱呪文(ベギラゴン)を上回るほどだ。

 

「今だッ!! ライデインストラッシュ!!」

「ギガブレイク!」

 

ハドラーの足が止まった瞬間を狙いダイは右から、バランは左から攻める。高熱の影響に耐えきったハドラーは左右から襲いかかる二振りの凶刃の殺気を感じ取り、それぞれの剣に向けて自身の必殺技を放つ。

 

「ちっ……超魔爆熱覇!!」

 

ハドラーの闘志に呼応するかのように爪に宿る高熱が一気に燃え上がり、二本のオリハルコンの剣――ダイの剣と真魔剛竜剣と激突する。その瞬間――

 

「ぐわああああっ!!!!」

「うわああぁぁっ!!」

「ぬおおおぉぉっ!!」

 

大爆発が巻き起こった。

魔法剣同士の激突と呪文による干渉の結果か、はたまたハドラーが魔法剣を制御しきれなくなったのが原因か。理由は不明だが、三人を巻き込んだ強烈な爆発が起きたことだけは確かである。

 

「ダイ!! バラン!!」

 

思わずチルノは叫んでいた。余波によるものか奇妙な痛みを感じるが、気にしている場合ではない。状況が一切わからず、かといって視界が開けないことには下手に動くことも出来ない。

だがその心配はすぐに杞憂へと代わった。

 

「ぐう……っ」

「いたたた……」

 

爆煙の向こうから二人が姿を見せる。

熱と爆風を受けたことで真新しい火傷や打撲の傷跡が全身に痛々しく刻まれており、ダメージは決して軽くはないだろう。だが命に別状はないようだ。

 

「よかった……」

 

無事であったことに安堵の息を吐くと同時に、続いてハドラーのことが気に掛かる。もはや爆弾爆発は秒読み段階に入っているかもしれないからだ。

 

「【エアロ】!」

 

一刻も早く確認すべく、チルノは風を操る魔法を最小限に放ち強引に爆煙を吹き飛ばす。

 

「む、ぐぐぐぅ……ッ!! がああァッ!!」

 

そこにはハドラーがいた。

負っている怪我の種類こそダイらと同じだが、その規模が違う。熱で全身が黒く焦がされており、その傷は痛々しい。額の角もヒビが入っている。ダメージは相当深いのだろう、膝を突いており今にも倒れそうだ。だが魔王としての最後の矜持か、雄叫びを上げながら懸命に身体を起こしている。

幸いなことに、黒の核晶(コア)は今だ爆発する素振りすら見られずにいた。

そして、彼の身を包んでいた黄金色の闘気はもはやどこにも見えなくなっていた。

 

「……ッ! 今だッ!!」

 

そのことにヒュンケルが気付いた。

彼は手にした剣を瞬時に構えると、ハドラー目掛けて飛びかかる。それに続くようにして、クロコダインとラーハルトも動き出す。

 

「このような闘いは腑に落ちんが、覚悟しろ!!」

「ぐぅっ……!!」

 

対するハドラーはまだ満足に動く事も出来ずにいた。強い再生能力を持つ超魔生物であっても、これだけのダメージでは即座に回復することなど不可能だ。

頼みの綱である竜闘気(ドラゴニックオーラ)も使い切ったらしく、今のハドラーには歯噛みしつつも、迫り来る戦士たちをただ見ていることしか出来ない。

 

瞬間移動呪文(ルーラ)ッ!!」

 

だが、ヒュンケルたちよりも早く動く影があった。ルーラの呪文を唱え誰よりも先にハドラーの元へと辿り着き、手早く彼の身体へと触れる。

 

「お、お前は……!!」

 

突然現れた謎の影をハドラーは見つめ、そしてその正体に驚きの声を上げた。

いや、驚かされたのはヒュンケルたちも同じだ。ハドラーたちの前に姿を現した瞬間、相手の正体を確認することが出来た。

それはこの場の誰もが知っている相手であった。

 

「馬鹿な! 貴様は!!」

「一体どこから!!??」

 

思わず声を上げるが、それも当然だ。

何しろその相手とは妖魔司教ザボエラその人であった。

想像もしえなかった相手の突然の登場に、思わず誰何の言葉が飛ぶ。

 

瞬間移動呪文(ルーラ)ッ!!」

 

だがザボエラの方はそんな些事に構っている時間などない。再びルーラの呪文を操ると、ハドラーを伴って瞬く間にその場から立ち去ってしまう。

 

「届けッ!!」

 

微かな可能性に賭けて、チルノはガリアンソードを分割させて目一杯伸ばした。だが彼女の剣速では、ルーラの移動速度に敵わない。そして彼女の剣とて無限に伸び続けるわけでもない。

 

「逃げられた……」

 

遙か彼方へと姿を消したハドラーたちの消えた方角を向きながら、チルノは力なく呟くのが精一杯だった。

 

戦場の様子を伺い続ける気配に気付かぬまま。

 




前回の答え合わせ。
・命を賭けたフレイザードを見た結果  → ハドラーの覚悟を上乗せ
・ダイとバランの戦いの途中の出来事  → 竜魔人のサンプル大量入手
・改造手術を受ける際のハドラーの言葉 → 覚悟をキメまくりの結果
・ダイにだけ効果を発揮した毒     → 研究の成果の一つ
・ミストとキルの反応         → この二人を驚かせるのは並のことではない

超魔生物からすれば、竜魔人は到達点のようなもの(ザムザ談)
ならばその到達点のサンプルがあるなら、当然使うというわけです。
ザムザの使った毒は、竜の騎士"のみ"が影響を受けるという特殊な物。つまり、あの時点で竜魔人の細胞を入手しており、解析と実用化を進めていた。
その成果の一例です。
(ただ、まだロモスでお仕事が残っているのであの時点のザムザは竜魔人細胞を埋め込んでいない(下手に失敗したらお仕事完了しなくなっちゃう)
 ロモスでさらった人間は竜魔人の細胞を埋め込む実験目的。毒はモルモットが暴走した時のために予め準備しておいた。
 ……という後付け設定)

・超魔爆『熱』覇
原作は超魔爆『炎』覇ですが、良い名前が浮かばず。極大閃『熱』呪文を使っているので、爆熱にしたという安直なネーミング。
メラゾーマなら爆炎覇。イオナズンなら爆爆覇……もとい、爆烈覇。
(マヒャド? バギクロス? いえ、知らない子ですね。
 魔炎気?? もっと知らない子ですね。
 ゴッドフィンガー? Gガンダムがどうしました??)

フレアにギガブレイクにライデインストラッシュまで受けておきながら、黒の核晶(コア)は何でピクリとも反応しないのかな? 不思議だね? おかしいよね? 爆弾が湿気っていたのかな??

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