隣のほうから来ました   作:にせラビア

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LEVEL:95 次元の違い

「いでよチョコボ!!」

 

しかしなにもおこらなかった。

 

「……レモラ! シルフ! セイレーン!」

 

気を取り直し、再び集中して叫ぶが、相変わらず何も起こらない。

 

「うーん、今回もだめか……」

 

一通り叫び終えると、半ば予想していた事実を再確認したように呟く。

それを行っているのは、大魔王へ挑んでいる現在よりもずっと幼い頃――きちんとした生年月日が不明なため正確な年齢ではないが、おおよそ四歳くらい――のチルノだ。

 

彼女が行おうとしているのは、召喚魔法と呼ばれるものだ。

その名の通り召喚獣または幻獣と呼ばれる存在を呼び出し、その力を借りる魔法である。単純な火力としても優秀であり、場合によっては物語の根幹を構成する大きな要素の一つとなることもありと、有り体にいえば花形と呼んで差し支えない技能だろう。

 

そんな召喚魔法を使いこなそうと少女は奮戦していた。

チルノが叫んでいたのは、いずれもその召喚魔法によって呼び出される者の名である。それも大別すれば簡単な部類に属する、いわゆる初心者用のそれだ。

だが、結果はお察しだった。

誰に見られることもないように、デルムリン島でも生命の気配のない場所を吟味した上で隠れて行っているため、無反応を笑う者が皆無なのがせめてもの救いだろう。

まあ、仮に誰かに笑われたところでチルノはどう思うこともなかっただろうが。というのも、彼女がこの行為を行ったのは今回が初めてではない。過去に何回か試行している。

それも初歩的な黒魔法や白魔法――この世界における攻撃呪文や回復呪文――を扱えるようになり、少なからずコツを掴んだと言える状態で試している。

これまでならば、なんらかの反応が返ってきていた。たとえ魔法を操るのに失敗していたとしても、魔力がさざめくなどの予兆のようなものが感じ取れたのだ。

 

だが今回に至っては、それが全く微塵も感じられない。

 

「使えないって考えた方がいいのかな?」

 

何度目かの試行を終えた彼女は、召喚魔法という技能についてそう結論づけた。それはとても残念であると同時に、ある意味では仕方ないとすら言える。

 

「そもそも迂闊に使えないよね……」

 

炎を操る魔神(イフリート)冷気を操る女王(シヴァ)雷を操る長老(ラムウ)大地を操る巨人(タイタン)額にルビーを持つ獣(カーバンクル)、等々…………

その名を上げれば枚挙に(いとま)がないほどであり、そのどれもがこの世界には存在しない者である。それを知った上で召喚魔法を使えば「いったいどこにいた? 何時の間に知り合った? どういう手段で呼び出しているのか?」などの疑問が新たに湧き上がる。

 

つまるところ、見た者に与えるインパクトが良くも悪くも大きすぎるのだ。そしてそれは、新たな問題を生む温床にもなりかねない。

 

「しかたないか。今は出来ることを増やしていかないと!」

 

ならばいっそ「不可能だ!」と、すっぱり現実を突き付けられたほうが諦めもつくというものである。

気持ちを切り替え、自身が扱える技能を更に増やすことへとチルノは思考を向ける。

 

「……バハムートとか呼んでみたかったんだけどね」

 

彼女が口にしたのは、最上位の召喚魔法。その口から吐き出すブレスは全てを灰燼へと変えてしまうほどの破壊力を誇り、竜王、幻獣王、幻獣神などの肩書きでよばれる巨大な竜の名だ。

どうやら口ではどう取り繕ったとことで、召喚魔法を使いたいという未練は断ち切ることができなったらしい。

 

チルノが、ほんの僅かに残していた未練。それが起点だった。

 

そもそも召喚魔法を扱うには「呼び出す対象と契約を結び」「召喚対象をこの場に呼び出すだけの魔力」が必要となる。

チルノが思い違いをしていたのはその前者、すなわち契約を結ぶと言う点だ。

そして契約を結ぶには、召喚対象に従っても良いと思わせるだけの力を示す必要がある。力と言っても、単純な暴力で打ち倒すことだったり、協力してやろうと思わせるだけの態度や行動を見せたり、単純に何か代償を支払う必要があったりと様々な形式をひっくるめて力と呼んでいるわけだが。

何者とも契約を結んでいなければ、そもそもが呼べるハズもない。そして、仮に契約を結んでいたとしても、望んだ召喚獣たちはこの世界を飛び越えた場所に存在している。どこにいるとも分からぬ相手を呼び出すには、人智を超えた魔力を求められる。

 

この二つの要素によって、少女は召喚魔法をまったく操ることができずにいた。だが、本人は断ち切ったつもりの未練は、諦めることをよしとしなかった。

無意識と呼び変えてもいいだろう。最強の竜王のことを微かに思い続け、なんとか呼び出す方法を模索する。そして幸運なことに、彼女の近くには(ドラゴン)の騎士と呼ばれるこの世界最強のお手本があった。

お手本と彼女の中の想いを糧に、日々の修行や生活の中でもゆっくりゆっくりと、彼女が気付かないほどの速度で出来ることを広げていく。

 

十年以上の歳月を重ね、彼女の負担にならないよう少しずつ少しずつ行われて来たのだ。それも本人が(あずか)り知らぬところで、彼女の中には竜が息づいていった。

なにより決定打となったのは、バランの存在だ。彼がチルノに自らの血を分け与えたことで、その情報を取り込み竜は完成形となる。

 

こうして彼女の中に生まれた竜は、召喚獣とはまた違う存在となっていた。契約に縛られることなく力を操れる存在、自分自身のもう一つの姿と言って良いだろう。

そしてチルノの身体は、その力を操るだけの技能を知らず知らずに身に付けていた。肉体が自然と覚えた防衛本能のようなものなのかもしれない。

その技能の名はトランス。

幻獣と人間の間に生まれた少女が、幻獣の力を存分に行使するために身に付けた技能だ。

 

――尤も、チルノ本人がそれに気付くことはなかったのだが。

 

そして、その強大すぎる力は、外部から無理矢理気付かされた。

先に述べたように、チルノの中の竜はダイとバランの影響が大きい。すなわち、(ドラゴン)の騎士の影響すら受けるようになっていた。ダイが(ドラゴン)の紋章の共鳴によって記憶を消された例のように、未熟な力は大きな力に影響されやすい。

ハドラーが(ドラゴン)の騎士の力を操れるようになり、その凄まじいまでの闘志と戦意をダイたちに向け、そして彼らもまた(ドラゴン)の紋章を全開に操り戦う。そんな戦場に居れば、影響を受けないはずがない。

 

例えば、貴方の"頭が痛い"とする。ではその頭痛はどのようなものなのか?

誰かに殴られたのか?

病気によるものなのか?

気圧が原因で一時的に痛いだけなのか?

放置していても自然と治るものなのか?

医者を頼る必要があるのか?

もう二度と治らないものなのか?

 

人間であれば答えられる。知識と経験があれば、対処法もすぐにわかる。

だがチルノにはそれがない。

(ドラゴン)の騎士の力の影響という未知の影響を初めて体験し、どうすればいいかまるで分からない。

そこにキルバーンの罠による激痛を受けた。

ハドラーの放った敵意の影響を受けていたところへ、苦痛によって意識を飛ばしてしまう。制御を失った肉体は闘気や戦意と言ったものに引きずられるように行動する。

 

その結果――

最強の力を持ちながら、自らの意識を失い本能のままに行動する竜王が生まれた。

 

バハムートへと変身した少女であったが、本能のままといえど元の人格の影響かその本質は大人しい。だがそれも時と場合による。誰が敵で誰が味方か分からぬまま、小さき者(キルバーン)に攻撃を受ければ、黙ってはいられない。

 

手近な場所にいる小さき者の仲間(ダイたち)へと向けて、最強の竜が牙を剥く。

 

 

 

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キルバーンの行動を視界の端へと捕らえ、バーンは一つ嘆息する。

 

「……まったく、仕方のないヤツめ」

 

まだ力量の分からぬ黒竜を挑発し、戦線に引きずり込む。場に混乱を生み出そうとしているとしか思えぬ行動だ。何が狙いか真意を探りたいところだが、大魔王は思考を切り替える。

 

「カクゴ!!」

 

ハドラー親衛騎団のブロックが目前に迫ってきていたからだ。

それまでの鈍重そうな姿から一転、筋肉質な中肉中背の青年のような姿へとその身を変えた彼は、かなりの速度でバーンへと迫る。何も武器を持たぬため徒手空拳ではあるが、オリハルコン兵である彼らは皆、肉体そのものが兵器となる。

突進の勢いを利用して繰り出された拳は、直線的な動きではあったが凄まじい速度と威力を備えて放たれた。

 

「そうか、お前は確か城兵(ルック)の駒であったな? ならばあの能力はキャスリングか? ……なるほど、余興としては少しは楽しめたぞ」

「ウッ……!!」

 

その拳の動きに合わせ、バーンは掌から超圧縮した暗黒闘気を放つ。それだけでブロックの身体を弾き飛ばし、攻撃そのものを封殺させる。だがバーンが口にしたのは、それとはまるで関係のない事柄――つい先ほど、ハドラーを救って見せたのが、誰のどういう仕業かということの推論だった。

つまり、戦闘とはまるで別のことを考えていても、反射だけで対応できるということになる。とはいえこれは、ブロックの動きがあまりにも直線的過ぎるというの原因ではあるのだが。

 

「我らハドラー親衛騎団の力を舐めるな!!」

 

後に続けとシグマが飛びかかる。こちらはブロックとは違い、速度と技術を活かして槍を振るう。本来ならば攻撃になっていたはずのそれは、だがバーンは槍を片手で掴んで止めて見せた。

 

「ハドラー親衛騎団……確かにそれは間違いではない。だが忘れたか? そなたらは元々は余の道具であった。飼い犬はおろか、道具にまで手を噛まれるとは……」

 

槍を掴む手に力が込められた。

 

「さしもの余も、少々腹が立つ」

「ウオオオォォッ!?!?」

 

そのまま槍が捻られた。

瞬時に強烈な回転に襲われ、シグマは抗えず力任せに吹き飛ばされる。それだけでは終わらるはずもない。バーンは無造作に間合いを詰めるともう片方の手でシグマに掌底を放つ。

 

「ガハッ!!」

「うおっ!?」

「クッ!!」

 

シグマの身体が砲弾の様に吹き飛んだ。それも、身体が地面と水平になって飛ぶほど強烈な一撃だ。吹き飛ばされたシグマは連携のため後に迫っていたヒムとフェンブレンを巻き込んで衝突する。その光景はさながら多重衝突事故現場といったところか。

 

「丁度良い、まとめて灰にしてやろう」

 

団子になって倒れているシグマを見て、バーンは片手に魔法力を集中させた。魔法力は炎を生み出し、それは掌中で瞬く間に燃え上がりとある形を作り出していく。

 

「想像を絶する威力と優雅なる姿から、太古より魔界では余のメラゾーマをこう呼ぶ……」

 

それは巨大な鳥の姿だった。一般的に知られるメラゾーマの呪文とは比べるのも烏滸がましいほどの熱量とすさまじさに親衛騎団たちは我知らずのうちに呑まれていく。

 

「カイザーフェニックス!!」

 

大魔王の手から炎の鳥が羽ばたいた。

 

「なんのっ!!」

 

最も早く正気に返ったのは、シグマだった。彼は放たれた呪文を見て、己の役割を思い出したのだろう。二人を庇うように前に立ち胸部の装甲を開いた。その奥からは鏡のように磨かれた美しい盾が現れる。

 

「攻めの手段を誤ったな大魔王!」

「ほう、呪文返し(マホカンタ)か」

 

その盾の名は、シャハルの鏡。

ハドラーより授けられた呪文返し(マホカンタ)の効果を持つ伝説の武具の一つだ。

如何にカイザーフェニックスが高威力であろうとも、それはメラゾーマの呪文だ。ならば跳ね返せぬ道理はない。そして、親衛騎団を襲う呪文を鏡を用いて打ち返すのはシグマの役目でもあった。

事実、シグマの狙い通りにフェニックスは鏡によって打ち返され、主へと牙を向けた。それを見ながらも、大魔王は余裕の態度を崩すこともなかった。迫り来る凶鳥を迎え撃とうとして、不意に動きを止める。

 

「む?」

「ウゴ、クナ……!!」

 

いつの間にかバーンの足をブロックが掴み、動きを阻害していた。超圧縮された暗黒闘気に打ち貫かれ戦線を離脱したとばかり思っていた彼だったが、残る力を振り絞ったのだろう。オリハルコンの肉体に細かな罅を幾筋も走らせながら、それでも腕の力を緩めない。

 

「なんと、健気なことか……」

 

ブロックの姿を目にし、バーンは感慨深く呟く。

そのままブロックに手を伸ばすと、しがみつこうとする彼の動きなど意にも介さずに持ち上げ、自身の前にずいと押し出した。

 

「ナ……!?」

「ありがたく使わせてもらうぞ」

 

迫り来る火の鳥へ向けて、彼の身を盾として利用する。宙釣りにされたブロックは足掻くがビクともしない。

 

「オオオオオッ!!」

「馬鹿な!!」

「ブロックーーッ!!」

 

ブロックとカイザーフェニックスとが激突する。

如何にオリハルコンで作られた身体であっても、バーンの超魔力の前には話が違ってくる。加えて既に大きなダメージを負っていた彼に、この一撃を耐えられるだけの余力はない。

無防備に攻撃を受け、そして砕け散った。

 

「卑劣な……! ブロックを盾とするなど……!」

「先ほども言ったが、元々は余の道具であった貴様らだ。それを使って何が悪い? まあ、あえて言うならば、近くにいたあの城兵(ルック)が悪かった。それだけのことよ」

 

仲間を失った悲しみと怒りに、シグマは叫ぶ。

だが怒りの言葉をどれだけ投げようとも、大魔王に届くことはない。むしろそれが当然のこととばかりに、バーンの心にはさざ波すら起こらない。

 

「さてその鏡、少しばかり邪魔だ。割らせて貰うぞ」

 

大魔王の右手より再び炎の不死鳥が放たれた。

 

「またそれか!」

 

先ほどの行動の焼き直しのように、シグマは再び跳ね返そうと動く。シャハルの鏡にて火の鳥を受け止めようとした瞬間、彼は見た。

 

「……!!」

「そら、もう一つ」

 

左手からもカイザーフェニックスを生み出し放つ大魔王の姿を。それも、さも当然と言わんばかりにだ。

 

「に、二連続だとぉっ!!」

 

対してシグマはようやく初撃を受け止めたばかり。そこへ、もう一羽の不死鳥が揚々と襲いかかる。

 

「ぐわああああぁぁっ!!!!」

 

二発分の超魔力を受けては、シャハルの鏡とて無事では済まない。跳ね返せる限界を超えた魔力量を受け止めきれず、鏡はその瞬間粉々に砕け散った。無論のこと、シグマもただでは済まない。

既にラーハルトとの戦いによって少なからずダメージを負っていた彼の身体は、二重の炎に飲み込まれ、消えた。

 

「シグマ……!」

 

無敵を信じたはずのハドラー親衛騎団が、瞬く間に二人潰えたのだ。しかもそのどちらもが、一矢報いることすらできずに。

悪夢のような光景に、ヒムは仲間の名を呼ぶことしかできなかった。

 

「……参った」

 

それは残ったフェンブレンも同じだったのだろう。だが彼の場合は、少々感じ方が違ったようだ。

大魔王を見ながら、誰の耳にも届くようなはっきりとした口調でそう告げる。

 

「お、おいフェンブレン! 何を言ってやがる!!」

「聞こえなかったのかヒムよ? ワシは参ったと言ったのだ!」

 

思わず耳を疑う仲間の発言に、ヒムはフェンブレンの肩を掴もうとした。しかしその手を躱すように動きながら、再びそう答えた。

 

「このまま残った戦力で戦いを続けたところで、勝ちの目などない。ならば、生き延びるためには至極当然のことよ」

「何を馬鹿なことを言ってやがる!! オレたちはハドラー様と一心同体だ!」

 

叫び続けるヒムの言葉に背を向け、フェンブレンは大魔王の近くまで歩を進めてから跪く。

 

「大魔王……いや、偉大なる大魔王バーン様。改めて忠誠を誓う。その叡智と超魔力で、どうかワシだけでも助けては貰えぬだろうか?」

「よかろう」

 

伏したまま告げられた言葉を、バーンはいとも容易く頷いた。それは傍で聞いていたヒムが一番強く衝撃を受けてしまうほどに、あっさりとしたものだった。

 

「ならば、余への忠誠心を試したい。残る兵士(ポーン)女王(クイーン)、そなたの手で始末をつけてみせよ」

「なるほど……それが望みとあれば……」

 

顔を上げ、背後に残る二人の姿を振り向きざまに見つめると、フェンブレンは腕を掲げ――

 

「その命貰った!!」

 

バーンへ向けて全力の一撃を振るう。

だがその攻撃が大魔王へと届くことはなかった。フェンブレンの動きなど予定調和、最初から全て分かっていたかのように、バーンは魔力球を放つ。

 

「ぎ……っ! やあああぁぁぁぁ!!」

 

攻撃に対してカウンターで放たれたそれはフェンブレンに衝突した途端、極々限られた範囲だけに猛烈な破壊の嵐を起こす。一定空間だけがまるでぽっかりと削り取られるようなその光景を見て、放たれたのが極大爆烈呪文(イオナズン)だと理解出来た者は果たしていただろうか。

 

「生憎だが、余もその手の猿芝居には慣れている。昔はまだ、余に逆らおうとする者も多くてな………昔を思い出し、少しだけ楽しめたぞ」

「や、やはり、慣れぬことはするものでは……」

 

身体の半分以上を削り取られ、もはや立つことも出来なくなった僧正(ビショップ)は、その言葉を最期に力尽きた。

 

「フェン……ブレン……すまねぇ……お前を疑って……」

 

だまし討ちは決して褒められたことではないだろう。だが、そうしてでも勝利を得たいという気持ちはヒムにも分かった。なにより、仲間が本気で裏切ったと信じてしまった自分が許せなかった。

ヒムは、本人すら気付かぬうちに一筋の涙を零す。だが、感傷に浸る間など存在しない。

 

「涙か……」

 

残るヒムへとバーンは接近していた。

 

「どうした? お前は兵士(ポーン)であろう? 兵士(ポーン)は恐れを知らず、愚直に前へと突き進むものだ」

「な……くっ!? 違う! オレは……」

 

彼が流した涙を恐怖によるものだと判断し、バーンは役に立たぬ兵士(ポーン)の存在を笑う。接近され、嘲笑されたことでようやく反応したヒムは、大魔王へと拳を振るう暇すらなかった。

 

「ぐはぁぁっ!!」

 

格闘術を得意とするヒムのお株を奪うように、正面から拳にてヒムを打ち倒す。たった一撃、それだけでヒムの肉体もまた砕け散ってしまう。

最初に襲いかかってきた四人。その全てを片付け終えたことを確認すると、バーンは虚空へ向けて呟いた。

 

「お前たちが万全の状態ならば、もう少し愉しめただろう」

 

全員がポップらアバンの使徒たちとの傷も癒えぬまま大魔王へと挑んだのだ。しかも戦いそのものは、親衛騎団が劣勢となっていた。加えてバーンは彼らを少々本気で潰そうという腹積もりで戦っていたとなれば、この結果も仕方のないことなのだろう。

 

そして残る二人の元へと向かう。

 

「ヒム……シグマ……フェンブレン……ブロック……」

女王(クイーン)は迂闊に動かぬが定石、お前もそれに倣っての行動か?」

 

仲間たちの名を呼びながら、アルビナスは信じられないものを見るような瞳で大魔王を凝視する。その姿は、既に心ここにあらずの状態だ。

少し離れた場所にいたことで、大魔王の実力を一端とはいえ垣間見せられた。そしてその力は彼女の想像を遥かに上回っていた。

さらにハドラーが崩壊寸前というのも彼女の心を追い詰める。

女王(クイーン)として、(キング)に位置するハドラーへ向けてゆっくりと心を注いでいた。ならば、ハドラーが死ぬと聞いてどうして平静でいられようか。

 

大魔王へハドラーの助命を懇願すれば、まだ可能性はあるかもしれない。だがその可能性も、このような状態になってしまっては不可能だ。

思考が空回りし、目の前にバーンが現れてもなお、アルビナスは動けなかった。

 

「戦いすら忘れた貴様には、もはやなんの価値もない」

 

つまらない物を。本当につまらない物を見るようにして、バーンは手刀でアルビナスの胸を刺し貫いた。

 

「ぁ……ハド……様……」

 

今にも消え去りそうな、かすれた声。それが最期の言葉だった。人間の心臓と同じ、左胸に納められた(コア)を貫かれ、彼女もまた果てる。

 

「すまん……」

 

親衛騎団全てが倒れ、最後に残ったハドラーはもはや虫の息でしかない。

 

「ダイ、チルノ……すまん……オレが迂闊だったばかりに……」

 

支える者もなく、大地に身体を横たえたままうわごとのようにそう呟く。もはや起き上がることすら出来ないハドラーなど、大魔王にとっては興味すら湧くことはない、路傍の石よりも無価値な存在だ。

もはやまともにハドラーを見ることもなく、バーンは暗黒闘気を放つ。圧縮すらまともにしていない、大魔王からすれば虚仮威し以下の技とも呼べない何かだ。だがその程度の攻撃であっても今のハドラーには致命傷となる。

 

「もしも……次があるならば……そのときは……この償いを……」

 

崩れゆきながらなおもそう口にする言葉を耳にしながら、バーンは「所詮は叶わぬ夢」と切り捨てる。

魔族の肉体を捨て、暗黒闘気による復活すら出来なくなったハドラーには「次の機会」など永遠に訪れないのだから。

 

 




冒頭、長々と書いていた説明文は、大雑把に言うとこんな感じです。

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ダイ大の世界にはチョコボすらいません。存在しないので呼べません。
つまり【召喚魔法】は使いこなせないとチルノさんは諦めました。

いらない子になった【召喚魔法】さんは考えました。
「召喚獣がいないなら、自分で契約して呼べばいいじゃない」
ということで、モンスターと契約すれば使えるようになりました。
「ほぉら、私はFFでメイン題材にもなった技能ですよ。私がいないなんてありえない。さあ使いましょうね」
とプライドの高い【召喚魔法】さんは待ち構えますが、それでも使ってくれません。というか気付いてくれません。

そこでさらに考えました。
「契約してくれないなら、召喚獣を自分で作ればいいじゃない」
と彼女の中に素材のような物が作られました。チルノのバハムート発言とダイが近くにいたことから竜になりました。

トドメにバランがくれた竜の血が召喚獣作成を一気に加速させました。
「まるで高速建造材のようだ」(艦これ)
ということで、バハムートさん爆誕。

しかし新たな問題発生。
「どうやって外に出すんだよ……」
と困っていたところに【トランス】(FF6)さんが
「あ、召喚獣さんいるんですね。じゃあ、僕も使えるようになっておきます」
と気を利かせてくれたおかげで、変身できるようになりましたとさ。
(しかも本人の知らないところで)

でも竜の騎士の影響受けるの。
だからハドラーの影響受けて引きずり出されちゃった(テヘペロ)
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という屁理屈です(むしろコレを下地に本文を書いた)
弟が竜の騎士なら姉は竜に変身くらいできないと(無茶)
(DQ1の竜王(変身後)も候補でした。あのシンプルさ大好き)

早い話が「俺自身が召喚獣になることだ」ってことです(ブリーチ)

ティナつながりで、ライオットソードを使っていたりとか。

アモス(DQ6)だって、魔物に噛まれたのが原因で変身するんだから問題なし!!
FF14には「トランス・バハムート」という能力があるから問題なし!!
現場プリズニャン(ねこ)も「ヨシ!」と太鼓判でしょう。


そして親衛騎団……
ごめんね、昇格とか活躍の場とか考えるのは私には無理だったよ……
でもハドラーと一緒のところに行けたから許して……
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