俺だ。指揮官だ。グリフィン所属のな。
・・・何?いきなり言われたって分からない?
ああ、すまない。ここ連日災厄に見舞われていたからな。
少し冷静さを欠いていた。
「待ってください。これ前にも書いていましたよね?」
日記を書いていた俺に申すはルガーP08。
「気のせいだ」
「嘘はいけませんよ」
「気のせいだ」
確かに前にも書いた文だが、ここは知らぬを通す。
否定されたP08はしばらくの間黙っていたが、
「・・・今記憶領域を再確認しました。
指揮官、やはり以前に書いていました」
「・・・」
こいつ、その場にいなかったはず。
勝手に・・・いや真面目が服を着ているような奴だ。
覗いたとかは無いだろう。
「どうなんですか?」
「・・・はいはいそうだよ。以前にも書いたよ」
これ以上、嘘をついても無駄だろう。正直に白状する事にしよう。
「はあ、何でわざわざ嘘をつく必要が?」
「というか、何で知ってるんだよ?」
呆れ気味に質問してくる彼女に対し、こちらも質問で返すという暴挙に出る。
「ナガンが万が一に備えて、自分の記憶領域にある指揮官の活動記録をフロッピーディスクにして、私に渡したのですよ」
幸い真面目な彼女は律義に質問に答えてくれたが、さりげなく気になる言葉も混じっていた。
「その万が一ってなんだよ」
「指揮官が言い訳をしたり、嘘をついたりしたときのため、と」
「・・・それだけ?」
「それしか言わなかったですね」
いろいろ気になる部分はあるが、とりあえず分かる事はナガンおばあちゃんマジ有能。
「さあ指揮官、書いてしまいましょう。じゃないとナガンにまた何言われるか分かりませんよ」
「分かったよ。大体俺よりもアーキテクトの方も」
「大丈夫です。アーキテクトの活動記録も一緒に入っていたので」
一緒くたにされてるのかアレと。
「ああ、それと質問に質問で返すのは失礼ですよ」
少しショックを受けている俺に容赦なく指摘してくるP08であった。
・
「指揮官指揮官!今日もお疲れ様!」
ようやく解放された矢先にアーキテクトはやってきた。
「何の用だアーキテクト」
「はい報告書!」
報告書を受け取り流し読みしていく。
ちゃんと読むのはひと眠りしてからで良いだろう。疲れてるし。
「そうそうRFBがね、いい加減ARを増員してくれって」
「あー?」
RFB・・・RFB・・・誰だっけ?
思い出せない。まあ名簿見りゃ良い話か。
「分かった。検討しとく」
「じゃまた明日ね!」
手を振りながらアーキテクトは退室していった。
「さて・・・」
名簿を探すのだが見つからない。隣の私室に持ち込んだのかと思いそちらも探すが見つからない。
「うーん?」
勝手に持ち出したなら、すぐにセキュリティが作動するはずだが。
「仕方ない。出来る限り起こしたくはなかったが」
端末を取り出すと、M1911へと繋ぐ。
数秒もしないうちに彼女の顔が映し出された。
『ダーリン、こんな夜中にどうしたんですか?』
眠そうに目を擦る。やはり深いスリープモードに入っていたようだ。
『ああすまない。大した用事じゃないんだが、名簿知らないか?』
『名簿ならアーキテクトが訓練場と一緒に吹き飛ばしましたよ?』
何で訓練場にあるんだよ。
しかもまたアーキテクトかよ。
一気に聞きたい事が増えたが、
『分かった、ありがとう』
『ダーリン、ちょ』
礼を言って通信を切る。ナガンおばあちゃんが負傷してからは、休む暇も無いほどM1911の仕事が増えてしまった。だから彼女には休める時に休んでもらわねば。
そもそも俺がやれば良いだけの話なのだが、生憎指揮能力だけでなく、運営に関しても難ありである。
「・・・俺も寝るか」
私室へと移動し、制服を脱ぎ捨て、ベットへと倒れ込む。
ふかふかの枕、ふかふかの布団、ふかふかの抱き枕。
意識は一気に微睡へと、
(抱き枕なんて、置いたっけ?)
少しだけ意識が戻るが疲労の方が大きく、結局確認することが出来なかった。
・
「ふふ、たまには自分を占ってみるもんだね」
P38「あれ、私一言も触れられていなくないですか?」