「聞いたよ。またなにもしないでください負けたって?アハハ。へーんなのー」
「変な格好をしているお前にだけは言われたくない」
それもそうだねと言う遊士の目の前にいる黒いマントを羽織り、頭に奇妙な仮面をつけた少女は 中空 彼方(なかそら かなた)。彼女はこのデュエルアカデミアの中で、というより遊士と会話をする遊士にとって唯一の友人である。彼方は客観的に見ると可愛い見た目をしており、美少女に属すると思われるのだが、言動や格好などで帳消しにされ、いままでに告白された経験はいまだに0である。
「というか、その変な格好をやめたらどうなんだ?そうすればモテるだろうに」
「アッハッハ。ボクはね。見た目に群がってくる有象無象より、ありのままの自分を受け止めてくれるたった1人の親友がいてくれれば、それでいいんだよ」
「さよか」
「さよさ」
この2人は世界中に設立されているデュエルアカデミアの中で五本の指に入る問題児とされている。
1人目は教師陣なら1度は口にする遊城 十代
2人目はイエロー寮の生徒なのにレッド寮に居着いたティラノ剣山
3人目は種族限定デュエルにも関わらずパワーツールドラゴンをこっそりとデッキに加えていた龍亞
そして4人目と5人目とされるのがこの2人である。
そんな2人には本人以外の誰もが知っている二つ名が付けられている。“堕落のタッグ”と。そんなことをつゆ知らず、当事者2人は
「で、今日はさ久し振りにデュエルしようよ!!ボクとなら本気で戦ってくれるでしょ?」
「・・・はあ、わかったよ。それじゃあ放課後お前の家に行くから準備はさせておけよ」
「わかってるよ」
そんな普段通りの会話をしていた。その会話に聞き耳を立てていた人物に気付かずに。
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授業とホームルームが終わり、下校する。俺は予定通り彼方を校門で待ち、一緒に下校し、彼方の家に向かう。
「あーあ、つまんないな。なんで自分のデッキを使ったらダメなんだよ。レイナさんとか普通に使ってるじゃん」
「授業のレベルが違うだろ。黙静はAランク、俺たちはEランクだろうが」
デュエルアカデミアはいまランク制になっている。ランクが上がるごとに授業の内容はデュエルが中心になり、逆に下がるごとに基礎授業が増えていく。
基礎授業では、主に種族固定デュエル、パズルデュエル、レンタルデュエルの3つが主なものになる。
それでも、自分のデッキを使う授業は存在するのでデッキは毎回持って来なければならない。
「ブー。不公平だぁ。・・・ていうかさ、遊士ってさ実は上がれるよね?なんで上がらないの?」
「お前がいないクラスだとつまらんからな。流石にボッチは堪える」
「アハハー!!寂しがりやだなぁ遊士は・・・っと、ついたついたっと」
どうやら話しているうちに着いたらしい。まあ、彼方の家の車に乗せてもらえばこんなもんか。にしてもやっぱでかい家だな。流石は個人でデュエル台を持つ金持ちだな。
「それじゃ、デュエルしようか」
「ああ」
そう言って俺たちは倉庫にあるデュエル台に向かう。
「ん?」
「どした?」
「いや、一瞬だけ視線を感じてな」
「気のせいでしょ」
「そうか?」
背後から視線を感じた気がしたが、気のせいか。
「・・・・・・本気、か」
次回、友人と(現時点での)本気でデュエルします。