ちょっと違う影浦隊   作:suraim

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この作品に目を通して頂きありがとうございます。

さて1話目ですが、これは影浦隊の日常を語る導入なのでおかしな点や分かりにくい点も多いと思います。
主人公はカゲと村上の予定。

タグにも書いたようにこの作品は原作既読推奨です。


ちょっと違う影浦隊

『戦闘体活動限界。緊急脱出(ベイルアウト)

 

 

ドスンッ!

 

1人の青年がベットに落ちた。青年はフゥとため息を吐いて、今も尚戦っているチームメイトのサポートをしている彼女達の方へと足早に向かった。

 

「やられた。やっぱ二ノさんは別格だよね~ 」

「おいゾエッ!なるべく粘って死ねって言っただろっ!全然粘れてねーぞ?」

「えぇ~? 無茶言わないでよヒカリちゃん・・・」

「まっ、最低限の仕事はしたからいいんじゃない?」

 

ゾエとあだ名で呼ばれた青年、北添尋はいつも通りの扱いに苦笑いを浮かべた。

北添の視線の先には、こちらに見向きもせずにパソコンとにらめっこする彼女、仁礼光に開始早々転送位置が悪く直ぐに落とされてしまった彼、絵馬ユズルが、彼女のデスクに片手を置いてクールに戦況を眺めていた。

 

「っしゃあ!!」

「お?どっちが(・・・・)点取ったの?」

「今カゲさんが王子先輩を倒して2ポイント目を取ったとこ。そのまま辻先輩が樫尾先輩、蔵内先輩と戦ってるとこに向かうみたい」

 

カゲと呼ばれた隊長、影浦雅人が取ったポイントをあたかも自分の事のように喜ぶ仁礼。それを横目に見ながら北添に状況を教える絵馬の表情も何処か嬉しそうだ。

 

「本当だ。1対2で辻君も良く耐えてるね~・・・・・・でも、2人とも合流しようとするだろうから、いくらカゲでも1対2対2は厳しいんじゃない? 」

「・・・いや、そうはならないよ」

 

絵馬達が見てる画面に映るのはこざっぱりとした公園。

その敷地内で、辻は多少のトリオンが漏れてはいるものの、樫尾の弧月を余裕を持って捌き、その後方に居る蔵内の動きを注視しながら引き気味に戦っている。

その様子は端から見ても隊長の二宮と合流しようとしてるのが丸分かりだった。

 

しかし、その北添の懸念に絵馬は、どうってこと無いよと言い切った。そしてその疑問に答えるように仁礼がニヤリと笑みを浮かべながら内部通話でもう1人の隊員(・・・・・・・)に激を飛ばした。

 

「頼んだぞ! 鋼っ(・・)!」

「あぁ、任せろ。隊長の邪魔はさせないさ」

 

辻と合流しようとしていた二宮の行く手を阻んだのは、影浦達と同じチームに所属する青年、No.4攻撃手(アタッカー)村上鋼。

静かに佇んでいた彼は、二宮を捕捉した瞬間にバックワームを解除し、弧月を右手にレイガストを左手に構えて臨戦態勢を取っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らは影浦雅人、北添尋、絵馬ユズル、仁礼光、そして村上鋼で作られたチームで名は影浦隊。

影浦率いる超攻撃的なチームの彼らは、現在B級1位の座に君臨する何処の派閥にも属さない、自由気ままな精鋭部隊である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『試合終了!5対4対1で影浦隊の勝利です。解説の嵐山先輩。今回の対戦を振り返ってみて如何ですか?』

「そうですね。今回は珍しく全体的に転送位置が悪かったですね・・・・・・絵馬隊員が最初に落とされたのは影浦隊に取っても予想外だったでしょう」

『確かに。影浦隊の絵馬隊員が開始直後に落とされたのには驚きました』

「えぇ。もし絵馬隊員が最後まで残っていれば影浦隊はいつも通り有利に事を運べた筈だし、二宮隊や王子隊も積極的に点を取りに行かなかった筈です・・・・・・スナイパーは影浦隊しか居ませんからね」

『なるぼど。生駒先輩は何処か印象に残った所はありましたか?』

「そら終盤の鋼が二宮さんと対峙した所やな・・・・・・何やあれ?かっこよすぎひん? 俺ちょっと鳥肌立ってしもたわ」

 

実況していた結束、解説席に座るのは嵐山と生駒の同級生組。終始、生駒が大袈裟にリアクションして、嵐山が解説して終わりだったが、見に来ていた非番の隊員達の反応は上々だった。

 

『確かに格好良かったですね。その後の二宮隊員との白熱したバトルも見物でした』

「そうですね。攻撃手(アタッカー)射手(シューター)では距離を詰めれれば基本攻撃手(アタッカー)有利ですが、さすがは二宮隊長。その程度のハンデは自身が持つ圧倒的なトリオン量でカバーしていましたね」

「一目鋼の方が厳しいんちゃうかなーと思たんやけど、やっぱレイガスト硬いなー」

 

思い出されるのは二宮の圧倒的トリオン量から敵を近付けさせない弾幕攻撃。

シールド1つじゃとても防げないそれらを村上はレイガストの(シールド)モードで防ぐとお返しだ、と反撃に旋空を放った。

無論二宮もシールドを張ってガードした。

その後もレベルの高い一進一退の攻防が続き、最終的には二宮の辛勝となったが、後に影浦に倒された。

 

『では変わって、王子隊です。こちらはいきなり王子隊長が犬飼隊員、影浦隊長との三つ巴になりました』

「うーん。やっぱり転送位置が悪かったですね・・・・・・王子隊長がどう動いてもどちらがとは鉢合わせする状況にありました。普通なら避ける展開の筈ですが、王子、犬飼両名はグラスホッパーを持っておらず、瞬間的な機動力はありませんからね」

『結果的には王子隊長が0点と振るわない結果となりました』

「そうですね。そこまで実力が離れている訳ではないのですが、結果的に見ればやはり影浦隊長の方が何枚か上手だったかなと思います 」

「澄晴も動きは別に悪なかったしな、アイツ意外に近距離も行けるんやで? 知らんかったやろ」

 

普段の犬飼は、銃手(ガンナー)で中距離戦を挑む戦いをするのだが、影浦と王子両名が攻撃手(アタッカー)だったということもあり、突撃銃とスコーピオンを用いた王子顔負けの変則的な攻撃になった。

 

 

『では最後、二宮隊についてお願いします』

「二宮隊長のいつも通りさは相変わらずでしたね。最後も村上隊員との戦いで既に満身創痍だったのにも関わらず、離れた所から蔵内隊員を倒したのは流石の一言です・・・・・・が、今回俺が印象に残ったのは辻隊員です。普段はウチの充と同じサポートに特化しているんですが、1人でしっかりと点を取れる実力を再確認しました」

「確かに辻ちゃんはヤバかったな。1対2であれだけ不利な状況やったのに・・・・・・しかもカゲまで乱入して来たのに最後の最後まで粘って1点もぎ取った所は俺普通に感動したわ」

「生駒は感動してばっかりだな」

 

最早、口癖のように感動という言葉を使う生駒をからかいながら爽やかに笑う嵐山。場には多少の笑いが起きた。

 

『いつも通りの貫禄を見せ付けたB級不動のツートップの順位は変わらず、王子隊は6位にダウン。

これでランク戦実況を終わります。解説の嵐山さん生駒さんありがとうございました!』

 

「「ありがとうございました!」」

 

 

 

 

 

 

 

影浦隊室

 

「ナイス鋼っ!ニノさん相手に良くやったな!」

「2人ともお疲れ様」

「あぁ、お疲れ様。色々助かったよ・・・・・・絵馬は災難だったな」

「・・・別に気にしてないよ」

「最後はカゲが決めて終了か・・・・・・ニノさんが緊急脱出(ベイルアウト)するなんて久しぶりじゃない?」

「うっせーゾエ! オレはムカついてんだ。二宮の野郎、オレの獲物横取りしやがって」

 

ニカッ!と笑顔で迎える仁礼に、二宮との死闘を演じた村上も漸く緊張した表情が解けた。

後から来た影浦に北添が声を掛けるが、前述した通り獲物を横取りされた影浦は苛ついていた。

 

「結果的に勝ったんだからいいじゃねーかカゲ」

「あァ!? 良くねーよ! オレはオレが楽しくなきゃ意味ねーんだ!」

「・・・仕留め損なって悪かったなカゲ」

「あァ!? 何でそうなんだ!鋼は悪くねーだろ!」

「そうそう。寧ろ良くニノさん相手にあそこまで追い詰めたよ」

「なら次戦う時は勝っちゃうかもなっ!」

「勿論その積もりだ」

「・・・で? これからどうするの?」

「チッ!・・・・・・ さっさとオレん家行くぞオラッ!」

「「賛成ー!」」

 

鬱憤を晴らすように吠える影浦に、祝勝会だー!と仁礼と北添は笑いながら支度を始めた。

何度目かわからないその光景に村上と絵馬は、もう慣れたと半ば呆れ気味に3人を眺めていた。

 

暫くして、影浦の「置いてくぞ!」の言葉に我に返った瞬間に目が合った村上と絵馬は、クスリと笑いながら準備の終わった影浦達の後に着いて行った。

 

 




影浦隊の皆と村上君が好きな作者です。よろしくお願いします。
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