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「ねぇ、あらふねさん。今から会うむらかみ先輩ときたぞえ?先輩ってどんな人?」
「そうだな、鋼は・・・・・・ああ、村上の方な?見た目出来る奴、中身はマジで出来る奴。 でも、ちょっと繊細な所があって面倒臭いとこがある・・・・・・んで、俺の弟子」
「ほぅ!あらふねさんの弟子・・・!」
村上達を呼び出した荒船は、先日完敗した玉狛第2のエース、空閑遊真と共にラウンジで待っていた。
荒船の携帯には既に村上から北添を連れて今から行くというメールが送られている。
勿論、荒船は村上のサイドエフェクトの事を良く知っている。今回は村上と空閑を戦わせるのが目的ではなく、只、友人として面白い後輩が居るから会わせようと思っただけだ。
それに、空閑達が遠征を目指していることをテレビの記者会見で知っていたので、その目標に進むに当たって大きな壁となって立ち塞がるであろう相手を空閑に見せるという荒船にはどちらの方にも会わせる目的があった。
「まっ、とうの昔に追い抜かれたけどな・・・・・・全く、頼もしい限りだぜ」
やれやれと頭を振りながらも笑みを浮かべている荒船を見て何となくだが、そこにある信頼関係を垣間見た空閑はもう1人来るらしい人物について尋ねた。
「フムフム。じゃあきたぞえ先輩は?」
「ゾエは見た目デカくて、それで面倒見の良い奴・・・・・・でも、さすがはB級1位、実力は折り紙付きだ。しっかり
「フム? ナルホド。B級1位は強者揃いと言う訳だな・・・・・・そしてその弟子を育てたあらふね先輩も」
「まぁな」
ニヤリと笑い合う2人。
"ザワ”ザワッ゛
「ん?」
「お、来たか」
暫くして、騒がしくなったラウンジを見た荒船は呼び出した連中が来たと確信する。
「・・・待たせたな、荒船」
「やっほー 荒船君」
荒船の言った通り、荒船達の視線の先にはポケットに手を突っ込みながら此方に来る村上と、手を振りながら来る北添の姿が。
「鋼、ゾエ。悪いないきなり呼び出して」
「いや、玉狛第2の事はこっちも気になってたから構わない」
「丁度話題に上がってた所だしね~」
「試合の
「あぁ。久々に弧月使ってたな」
「そっちじゃねー・・・・・・ってか見んなよ」
「えぇ、矛盾してるよ荒船君・・・」
苦笑いを浮かべながらツッコミを入れる北添を「いいんだよ」と笑いながら適当に手をプラプラ振った荒船は、本題だ、と空閑の頭に手を置き2人に紹介した。
「で、コイツが例の玉狛第2のエース、空閑遊真だ」
「どうもどうも、例の玉狛第2のエース、空閑遊真です」
ペコリと丁寧にお辞儀をして挨拶する空閑。
「はじめまして。影浦隊の村上鋼だ。
「いえいえ、それほどでも」
「本当に小さいや・・・・・・ユズルと同じくらい? あ、同じく影浦隊の北添尋だよ。気軽にゾエさんって呼んでね~?」
「フム、了解した。ゾエさんね・・・」
空閑達が自己紹介してる中、荒船がここに来てない連中を思い浮かべながら、まぁ予想通りだなと若干呆れながら呟いた。
「やっぱカゲは来なかったか・・・・・・絵馬の奴も」
「あぁ。あいつらは終始、テレビに夢中だったよ」
「僕達、結構話し込んでいたんだけど、こっちを見向きもしないくらい夢中だったもんね・・・・・・結局何見てたんだろ?」
確かにそれは気になるな、と相槌を打つ村上。
「フム、カゲ? 絵馬? また知らない名前が出てきたぞ・・・?」
「・・・あ、ごめんね? えっと、カゲって言うのが僕らの隊長の影浦雅人。仲良い人は大体『カゲ』ってあだ名で呼んでるよ・・・・・・で、絵馬って言うのは僕達と同じ影浦隊のメンバーで絵馬ユズル。狙撃の腕がピカイチなんだよ。年は空閑君と同じくらいだと思うし、もし何処かで会ったら仲良くして上げてね?」
知らない名前が出て来て首を傾げる空閑に、一言謝って影浦と絵馬の説明をする北添の表情は何処か誇らしげだ。
「ほうほう。影浦先輩にユズルね・・・・・・良し、覚えました」
「ちょっと待て。アイツらが何見てたかわかるか?」
「え? ここへ来る前にチラッとは見たが・・・・・・すまんわからない。ゾエは解るか?」
「うーん。僕も鋼君と同じたがらなぁ・・・・・・あ、でも多分見てたのは映画だと思う。テーブルに
「・・・・・・・・・じゃあ多分それは、俺が昨日カゲに貸したアクション映画だな」
暇潰しに借りに来たと、荒船隊室を訪れた影浦に荒船が自身のお気に入りのアクション映画を何本か勧めて貸してやったが、まさかそれがハマるとは思わなかった。
あちゃー、と天井を仰ぐ荒船だが、村上達から見れば荒船は何処と無く嬉しそうな雰囲気を醸し出していた。
(今度普通に映画に誘って見るかと荒船は考えている)
「・・・まぁ、アイツらの事はこの際放って置いて・・・・・・何処か飯でも行くか?色々聞きたい事とかあるだろ? お互いにな」
「お、いいね。ゾエさん丁度お腹空いてたんだ~」
「俺も構わない」
荒船の提案に賛成する2人だが、空閑は首を傾げて村上に訪ねた。
「あれ?・・・・・・おれと戦ってくれないの?」
「・・・・・・それは」
空閑の思わぬ提案に村上は困惑した。
彼は村上の師匠である荒船を斬り倒す程の優れた
だが、村上が困惑した理由は他にある。
それは空閑が、自分のサイドエフェクトの事は既に知っているものだと思っていたのだ。
戦う度に不利になって行く相手。そんな奴と戦いたがる酔狂な物好きはごく稀だ。
どう返事すればいいのか分からず、言葉が詰まる村上に荒船が助け船を出した。
「空閑、やめとけ。もし次に
「うんうん。荒船君の言う通り、僕達と戦うのはランク戦まで取っておこうよ」
場が少し神妙な雰囲気になったのを肌で感じた空閑だが・・・。
「うーむ、そう言われると余計に戦ってみたくなるな」
「ええ~?」
「・・・空閑」
「わかってるよ。何でかはわからんけど、今むらかみ先輩と戦うとこっちが不利になるんでしょ? あらふねさんもゾエさんも
自身が持つ、嘘を見抜くサイドエフェクトが反応しないことから2人の言葉を信用する空閑。
空閑達は遠征を目指している。普通ならば荒船達が言うように村上との対戦はランク戦に持ち越すのが好ましい。
しかし今回ばかりは、空閑の━━空閑達の目的よりも、好奇心の方が勝ってしまったようだ。
「・・・そうか」
挑戦的な笑みを浮かべる空閑に、目を細めて何処か懐かしい雰囲気を感じた村上は、うっすらと笑い空閑に歩み寄る。
「玉狛の
2つ頼みが━━」
━━ある。そう言おうとした所で不意に村上の携帯が鳴った。
「すまん。電話だ・・・・・・カゲ、どうした?」
『おー、光の奴が帰って来たんだけどよォ?腹減ったっつってウルサイから飯食いに行く事になった。だからオレん家行くからオメーらも来いよ、オレの奢りだぜ』
「・・・今からか?」
『あ?・・・・・・おー、そういや荒船と会ってんだっけか? なら荒船も連れて来いよ』
「「「・・・・・・。」」」
『じゃ、ユズルと光連れて先行ってんぞー』
通話が一方的に終わりどうしたものかと沈黙する村上。通話の声が聞こえていたのか、何とも言えない雰囲気になる荒船達に村上は微妙な面持ちで
「・・・取り敢えず空閑、お前も来るか?」
まだ会って数分の空閑をお好み焼きに誘ったのだった。