Fate/Day light   作:ラビット晴晞

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さて、書いてて早速ぐだぐたになってきた気がする。
夕立も改二になり、瑞鶴や瑞鳳も来て、ついに本格的に中級提督になったと思える。
肩書きだけみれば大将なんで場違いも良いとこですが、早く那珂を改二にして先制対潜撃てるようになりたい。


Day1-2 昼/発端の説明

「……ふぅ」

 

 ため息を1つ吐いて、紅茶を啜る。

 その動作には、少女の年齢にそぐわない優雅さが感じられる。

 まだ成熟しきっていない少女らしい可憐な容姿が、いまのたおやかな動作とのギャップを生み、知的かつ落ち着いた女性らしさをバランスよく醸している。

 少女の名前は遠坂凛。

 遠坂家の6代目当主にして、冬木市の管理者(セカンドオーナー)を務めている。五大元素使い(アベレージ・ワン)を操る天才魔術師。

 その類い稀なる才能を持ち、それを持つに相応しい一人前の女性になりつつある少女は浅い暗みを漂わせた表情で、一週間前のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は空港。  

 何故そんなところにいるのかといえば、客を出迎えるためというのが、妥当な理由だろう。

 来てから既に30分が経過していた。予定の便の到着時間が大幅に遅れてしまったのだ。

 軽い苛立ちを隠しながら待っていると、その男は現れた。

 

「待たせてすまなかった。ロード・エルメロイ二世だ」

 

「初めましてロード・エルメロイ。遠坂凛です」

 

 ロード・エルメロイ二世と名乗った男の言葉に魔術師として答える。

 手早く握手を交わして、男は深く被っていたシルクハットを取り、続けて言う。

 

「立ち話も難だろう。そこに誂え向きののカフェがある、詳しい話は腰を下ろしてしよう」

 

「分かりました」

 

 男の名はロード・エルメロイ二世。

 正確には通り名であり本名はウェイバー・ベルベットという。

 魔術協会の総本山、時計塔で一級講師であり、同時に近年創立された近代魔術学の君主(ロード)を勤めている。

 近年の魔術師でもっとも出世した男である。

 場所は変わり、到着ロビーの近くにあるカフェに入り、喫煙席の窓側の席に座る。

 

「すまない、エスプレッソを二つを頼む」

 

「はい、かしこまりました」

 

 手早く注文を済ませるエルメロイを横目に、凛は窓から見える飛行場を眺めていた。

 そんなすぐに飛行機が飛び立つわけがないので、三機ほどの飛行機が動かずにいる。正確には、何人かの整備士が飛行機の状態を確認をしている。

 エルメロイは煙草に火をつけ一服を始めると、凛に話しかけた。

 

「遠坂凛。君は二日前の手紙を読んだのかね?」

 

「……はい」

 

 凛は数秒遅れて答えた。

 当然ながら、遅れた理由は窓から見える景色に眼を奪われていたからではない。

 遠坂凛という人間は、どこぞの奉仕大好き人間とは違い、きちんと公私を分けることができる。こんなことで回答が遅れるわけがない。

 魔術師として表情を表に出すことはない凛にしては珍しく、困惑と怒りが交わった複雑な表情でエルメロイを見ている。

 何故そのような表情を見せているかを説明するには、この遡った時間から、さらに二日前に後退する必要がある。

 二日前の夕方、衛宮邸に時計塔からの封筒が届いた。

 士郎にそれを渡された凛は、封を切って中にある手紙を読んだ。

 

『遠坂凛

 

 貴公の弟子である衛宮士郎を此度の学園都市に於ける上条当麻の護衛を任ずる』

 

 短く簡潔に纏められた衝撃的な手紙の内容は、これ以上ないシンプルな衝撃を凛に与えた。

 ある程度落ち着きを取り戻してから、改めて手紙を読んでみたが、やはり間違いはなかった。

 手紙と同じ封筒のなかにあった学園都市のパンフレットと護衛対象である少年の名前や学年などの基本的な情報が入っていた。

 

「……あれは、いったいどういう意図なんでしょうか?」

 

「君ともあろうものが、そこに気付かないわけではないだろう」

 

「……」

 

「図星か」

 

 確かに、そんなことに気付かないほど、凛の目は決して節穴ではなかった。

 要は、協会は士郎を試しているのだ。聖杯戦争の勝者である士郎のことを。

 そうなれば、生きていれば彼の魔術師としての技量を知れるし、凛と違い協会に所属していないので人的損害には成り得ない。

 組織として、ここまで正解な選択はないだろう。

 だからこそ、凛はその采配に怒りを見せていた。別に凛は士郎のように誰かが犠牲になるのを阻止しようとするほどお人好しではない。

 あくまで、身内に降りかかった問題だからこそ、凛は怒りを見せている。

 エルメロイは、先程と同じように機嫌が悪そう顔で煙草の煙を吐きながら、淡々とした口調で凛に言い聞かせるように重ねて言う。

 

「まぁ、私もこの采配には反吐が出る、私も君も協会に所属している身。逆らうわけにもいかん」

 

「いったい彼を試すことになんの意味が……」

 

「恐らく衛宮の家柄が異端だからだろう」

 

 凛の問いはエルメロイはハッキリと回答する。

 その回答を聞いた凛は、さらに疑問を深める。それを見たエルメロイはこれまた不機嫌そうにため息をつきながら言う。

 

「長い間日本に居た君は知らないだろうが、時計塔では“衛宮”の名は知られている」

 

 エルメロイは、その話をしながら過去に記憶を巡らせた。

 その男を表現するには、“外道”という一言で足りるだろう。目的の為ならば手段は選ばず、その手は血という血で染まりきっている。

 エルメロイは男と直接相対したことはないが、第四次聖杯戦争の記録を見るなかでその男の性格は容易に想像できた。

 その養子である少年が、どんな人物であるのかはしらないが、どちらにせよ自分とはあまり相性がいいとは思えない。

 だが、その方向性は違えど『使えるものはなんでも使う』という点が共通しているため、案外話してみれば意気投合するかもしれない。

 

「彼の祖父は、協会から封印指定を受けていた。才能溢れる魔術師だったそうだ。まったく気に喰わん」

 

「……へぇ、そうなんですか」

 

 これは凛も驚いた。

 彼の父である切嗣は、血の繋がりのない養父だというのは、聞いていた。

 ただ、いくら文献を漁っても、“衛宮”という一族に関する記述はなかったので、てっきり、というか十中八九マイナーな一族だと思っていたが、まさか封印指定を食らってしまうほどの魔術師だったとは。

 エルメロイは煙草を再び咥えて離し、煙を吐き出してから、続けて説明した

 

「衛宮の得意とする魔術は、固有結界のなかの時間の流れを操るで、体内や小因果の時間操作に特化したものであったらしい」

 

「固有……結界」

「君が驚くのも無理はない。固有結界なんて禁忌はお互いに見たこともないだろうからな」

 

 続けざまに来た先ほど以上の凛の驚愕の理由をエルメロイは、固有結界という魔術の希少さと、特殊すぎる禁忌を使える人間が居たことを知ったからだと結論づけ、その結論をもとにした回答をした。

 しかしながら、凛の驚愕の方向性は、エルメロイの想定のむしろ逆をいくものだった。

 凛は固有結界という魔術をその身で体感していた。

 そして、その使い手のことをよく知っていた。

 その使い手とは、二人の会話の中心点にいる、遠坂凛の弟子にして、一番大切な人間である衛宮士郎なのだ。

 これは身近なところに固有結界の使い手がいるため、エルメロイの予測は成立しない。

 となると、遠坂凛の驚愕の理由は一体なんだったのだろうか。

 話題からして、固有結界がその理由の中心の水底にあるのは確かだろう。恐らくは、衛宮家の魔術というのがその理由を水面に引き上げるための釣糸になるだろう。

 まずそれを判断する材料として、衛宮士郎の才能は固有結界に一転特化したものだ。

 そして、先程の釣糸と表現した衛宮家の魔術も固有結界を基点としたものである。

 つまり、凛は士郎自身と衛宮家の魔術に共通項を見出しているのだ。

 

「すみません、後で衛宮の魔術に関する資料を頂いてよろしいでしょうか?」

 

「ん、それは別に構わんが……どうしてだ?」

 

 衛宮の魔術を調べることが、今後の士郎との魔術講座にいかせるかもしれない、と考えた凛はエルメロイに衛宮の家に関する資料を要求した。

 と、衛宮家の話だけをするつもりが、固有結界などの禁忌の話まで脱線してしまった。

 そして、衛宮家のところまで引き返して考えてみると、魔術協会が衛宮士郎にここまで無茶な依頼をしたのかが少し分かって来るだろう。

 それがわかった少女は、自分の出した結論を答え合わせのように口に出した。

 

「つまり、血は繋がってないとはいえ、封印指定を受けた男の孫が急に現れたから、魔術協会は怖くて仕方ない……ってことですか?」

 

 バッサリと、それはもうバッサリと当たり前のように、なにも取り繕うことなく、言葉をオブラートに包むこともせず、ただただ自然体で当たり前のように、鋭く言いきった。

 

「……あ、あぁ、結論からいえばそうなるな」

 

 遠坂凛の物言いにエルメロイが少々戸惑いながら、それでも冷静さを極力崩さずに答えるエルメロイ。

 積んできた修羅場での経験が為す技だろうか。

 さすがは、君主(ロード)といったところだ。

 そして、そのまま話を引き戻して、本線へと強引にレールを繋げる。

 

「結局のところ衛宮士郎にそのことは伝えたのか?」

 

「……」

 

 エルメロイの質問に言い淀む凛の反応を、エルメロイはNoと判断した。

 

「成る程。それでは判断のしようがないな。私は日本に一週間ほど滞在するつもりなので、それまでに答えを出してくれ。頼んだ」

 

 エルメロイは支払いを立ち上がる。

 そのままレジに向かっていこうとするが、少し立ち止まってから、凛に先ほどとはまた違う質問をした。

 

「一つ質問なのだが、秋葉原はどんなところなのかな」

 

「……え?すみません、秋葉原ってどこのことですか?」

 凛は典型的な魔術師なので、科学の方面では疎い。

 2004年当時でさえ、誰もが知っている秋葉原を知らないほどに。

 そして、凛のそのあまりにも酷い科学オンチに望む答えを得られなかったエルメロイが周りの目も憚らず激昂したのは言うまでもない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこまで振り返ってから、凛はもう一度紅茶を啜った。

 先程、士郎は快くこの依頼を引き受けてくれた。

 魔術協会も、事態が深刻になれば応援を派遣してくれると言っている。

 それについては、あまり当てにしていないが……

 それを差し引いても、曲がりなりにもサーヴァントと渡り合ったこともある士郎だ。こと戦闘において、士郎は自分よりも上かもしれない。

 その士郎が、ここで失敗するはずがないと、凛は思っていた。

 続けてエルメロイも衛宮の魔術に関する資料をできる限りのかき集めて昨日の晩に届けてくれた。

 何故か、『大侵略』とプリントされた変なTシャツを着ていたが、そこは気にしないことにした。

 とりあえず今日自分のすべきことは、士郎を学園都市に行かせる準備だが、それに関しては全て済ませているのでする必要はない。

 今日という一日は、衛宮の魔術の資料を読み漁る方向で固めていこう。

 そうと決まれば、早速遠坂邸に急いで取りに行こう。

 凛は、身支度をすぐに済ませて、遠坂邸に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どしたの、桜?」

 

「……え、はい。なんでしたっけ、部長?」

 

「なに言ってんの。いまの部長はアンタでしょ、しっかりしなよ」

 

 場所は穂群原学園の弓道場。

 射手が的に向かって弓を引く射場と、矢道を挟んで、的を設置する的場に分かれた立派な弓道場からは部員たちのカンッ、と矢を射る澄んだ音が響き渡っている。

 今季はもうすぐ三年生にとって最後の大会であることも手伝い、弓道場の熱気も普段より上がっている

 そして、ここにも一人、心ここに在らずといった少女に居た。

 少女の名は間桐桜。彼女もまた、今回の魔術協会の案件にも少なからず関わっていた。

 

「……はい、そうでしたね」

 

「もう、しっかりしなさいよ。新部長」

 

「……すみません」

 

 いつになく、頼りない口調で答える桜を、美綴綾子は不思議そうに見つめていた。

 その理由を説明するには、5日ほど前にまで遡る必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 5日前の晩。

 いつものように衛宮邸で夕食を食べ終わり、食器を片付けていると、凛から呼び出しを貰った。

 反射的に了承してしまったが、気後れと緊張により身体を硬直させていると隣の士郎が言ってきた。

 

「話してこいよ。俺一人でも大丈夫だから……」

 

「で、でも……」

 

「いいって、こういうときぐらいカッコつけさせろ。って、それほどでもないな」

 

「……はい、ありがとうございます」

 優しく笑う士郎に、頬を赤らめつつ了承する。

 そして、そのまま居間をあとにして、凛の部屋に向かう。

 

「し、失礼します」

 

 気後れしながら凛の部屋にドアを開けると、凛はベッドに座っていた。

 その表情は、学校での凛とした態度とも、衛宮邸にて見せる『あかいあくま』の一面とも違う、悲壮と形容詞できるほどの暗いもので満ちていた。

 凛のそんな表情を始めて見る桜は、戸惑いながら部屋の入り口で立ち竦んでいた。

 桜が入ってきたことに気付いた凛は、少し表情を明るく作りながら答えた。

 

「あぁ、いらっしゃい。桜、適当に座って」

 

 先程の僅かな悲壮な雰囲気が嘘のように、普段している振る舞いで桜を歓迎する。

 桜は、それが作られた上辺だけの表情であることぐらいならわかってきた。だが、それが何故かということは当然ながら理解できなかった。

 遠坂凛は強い。

 少しのことで、決して狼狽えたりはしない。

 そんな凛のここまでの表情を見るのは桜には初めてだった。

 凛自身、“遠坂たる者、常に余裕をもって優雅たれ”という家訓を実践していて、人にそんな弱味を見せてはならない、と常にそういう振る舞いを努めている。

 

「……じゃあ、ね、姉さんの隣に座ってもいいですか?」

 

「……え、えぇ、いいわよ」

 

「じゃあ、失礼します」

 

 凛の隣に座る。

 これで距離も縮まり、会話も円滑に進むと二人は考えたようだが、実に甘い。短慮な考えである。

 ただでさえ、二人は複雑な関係だ。

 学校では先輩後輩であり、血の繋がった姉妹である。

 学校内でこれを知っているのは、極々限られてくる。

 まずは間桐慎二。桜の義理の兄であり、二人の事情を最初から把握していた一人。

 もう一人は衛宮士郎。凛と桜の共通の想い人である。聖杯戦争が終わって間もない頃に二人で事情を士郎に話したのだ。

 あとは、間桐の人間と士郎関係で大河と、士郎に話したあとは、親しい友人数名にも話した。

 士郎が自分達が姉妹であると知ってしまえば、士郎の態度が変わるのでは、と桜は考えていたようだったが、そんなことは談じてなかった。

 しかし、士郎はこれから二人は失った姉妹の関係を取り戻すべきだ、と言っていた。二人はそれを了承し、桜は可能な限り、凛のことを“姉さん”と呼んでいる。

 そんな感じで、二人は姉妹であろうとして、ぎこちない関係が続いている。

 そんな二人が背伸びして距離を無理矢理詰めた結果、逆に心理的距離が広がり、お互いに障壁を張ってしまった。

 

「……」

 

「……」

 

 気まずさだけが広がる。

 そのまま数分が経ってから、桜はなけなしの勇気を振り絞って決断する

 

「……あの、なんで呼び出したんですか。姉さん」

 

「……あ、えっと、そうね。どこから話しましょうか」

 

 アタフタと慌てながらこめかみに手を当てて、思考を始める凛に、桜は苦笑した。

 

「実はね。魔術協会から依頼があってのよ、学園都市ってところに行ってこいって」

 

「え、学園都市って、あの学園都市ですか!?」

 

「そうだけど……桜は知ってるの?」

 

「知らないはずありません。結構有名なんですよ。なんでも、人工的に超能力者を作れるとかなんとか」

 

「超能力を人工的に……?それは、確かにすごいわね」

 

 凛は、この二日前に学園都市の存在を初めて知った。

 こういう類いの情報に関しては、本当に疎い。

 

「でも、大丈夫なんですか?あそこの技術はここの数十年先を行っていて、携帯電話を使えない姉さんが行ったら……」

 

「少しカチン、と来るけど、大丈夫よ。行けって言われたのは、私じゃないの」

 

 そこまで言ってから、凛の表情は先程と同じようになった。

 

「士郎なの、行けって言われたのは」

 

「……へ」

 

 瞬間。

 間桐桜という少女の思考が停止した。

 凛も、その反応は想定していた。想定していたからこそ、あえて少し寄り道をして、情報を間をおいて話すことで桜の動揺を最小限にしていた。

 それでもなお桜にのし掛かる動揺は、少女の心を打ち砕くには十分だった。

 

「……それ」

 

「……え?」

 

「それ、先輩には……もう伝えたんですか」

 

 まだ情報を処理しきれず、纏まっているわけがないぐちゃぐちゃな思考で、凛に問う。

 桜は本能的に重要な要素だけを噛み砕いて理解した。

 魔術協会が衛宮士郎に学園都市に行け、という本当に身勝手な依頼をした。

 

「いいえ、まだしてないわ。だからまだ、了承もとれてない」

 

「それは、なんでですか?」

 

「それは……言いたくないから、かしらね」

 

 そんなことぐらい桜もわかっている。

 凛だって怖い。士郎を失うことがたまらなく怖い。士郎の強さは信頼しているし、保証も出来る。

 だが、それと成功率は必ずしも直列で繋がっている訳ではない。だから、ギリギリまで悩んでいる。一人では答えなんて出ないのを分かっていて、それでも悩んでいる。これは、きっと誰かに委ねていい選択ではないから。

 それが分からない桜ではない。分からないわけがない。だって、その気持ちを一番理解しているのは桜しかいないのだから。

 

「……わたしは、先輩が言うなら良いと思います」

 

 桜は、それを全て理解したうえで、自分の考えを口にした。

 それは、当たり前な正解で、幼稚な選択で、誰でも思い付くような普遍的な考えだった。

 これは、なにも自分の意見を通そうとして言っているのではない。

 ぐだぐた悩んで、袋小路に迷い込んでいる凛の考えを明確にするためだ。

 

「それを決めるのは、私たちじゃなくて、どこまでいっても先輩です。私たちに出来るのは道を示して、先輩の選択を信じることぐらいしか出来ませんから」

 

「……そう、よね。ありがとう。桜、スッキリしたわ」

 

「フフ、なによりです」

 

「あ~ぁ、悩んでたのが馬鹿らしくなってきた。桜、明日買い物に付き合ってもらっていい?」

 

「はい、大歓迎です」

 

 話が終われば、次に広がるのは姉妹の会話になる。

 きっと、それは“しあわせ”を勝ち取った二人に対する褒美なのだろう。

 そして、この後士郎が荷物持ちに駆り出されたのは、いうまでもない……

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