AFTER LORD   作:フリーマスタード

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プレアデスの恩返し①

 さて、各国の政界やら財界では色々とハチの巣を突いた様な大騒ぎになっていたりする中で、一般市民は日本政府に対して無関心であったりする。

 一番原因として大きいのは、支配者層が1世紀以上に渡りバラエティ番組やらゲーム等の娯楽を利用して政治に無関心である様に仕向けてしまった事もあるのだが、巨大複合企業が義務教育を廃止した事が最も大きいだろう。学歴が高い富裕層とは違い働けども努力が認めらる事は無く、大半の人々は自身の生活に手一杯であり、そこまで考える余裕が無いのだ。

 休み無く働き続けて、ようやく久しぶりに得た休日は楽しい事に時間を使いたいのが人間という物である。

 

 で、この22世紀の世界においても政治を動かすのは国民の世論であり、世論を動かすのはメディアであり、その各メディアにスポンサーとして資金を提供しているのが巨大複合企業であるわけだが、その巨大複合企業を支配するワールドイーター達が内部分裂してしまっている事により、魔導国を徹底的に非難するメディアもあれば、肯定的な見解ばかりを流すメディアもあったりと二極化しているのだった。

 

 それを逆手に取ってモモちゃんはテレビ番組やSNSを駆使して日本国民に対して属国になる様に勧告したのだが、属国になった際には所得税以外全ての税制度が廃止される上に、魔導国からの食糧支援で貧困層でも生野菜や肉を食べる事が出来る様になり、義務教育制度の復活及び教育無償化や全企業ホワイト化計画まで約束したもんだから、今まで苦しんできた国民達は大歓喜して『魔導国の属国になるべき!』『無能な政治家は必要ない!』『ナーベさんは俺の嫁!』とプラカードを掲げた抗議デモが発生して日本の支配者層は『そんな無茶な……』と頭を抱えていた。

 支配者層からすれば、魔導王は所得税だけで国家運営できるのか?と思う物であるが、いかんせん魔導国は日本とは土台が違うのだ。24時間働き続ける仕事熱心なシモベ達や狂信的な変――敬虔な信仰者達による無償の奉仕や御布施で成り立っているので金が掛からないのである。

 また、魔導国の貴族達にとっても『どれだけ神に貢献した高貴なる一族であるか?』というのが一種のアドバンテージにもなっているのだ。

 商人も同じ様な物であり、がっぽり稼いでいるのに神への御布施を出し惜しむと『金に溺れた不信仰な者』として世間から白い目で見られて商売が出来なくなってしまうし、余りにも酷い様ならばスレイン法国からマークされる。

 

 そして、日本がアメリカから離れる事を快く思わない報道メディアは徹底的に『日本は食料と引き換えに国民の自由を独裁者に売ろうとしている』とか色々と言いたい放題叩いているのである。

 また、日本が魔導国の属国になる事を快く思っていない韓国は過去の歴史を掘り起こして『日本が過去に行ってきた悪行』というのを魔導国に対して必死に訴えているのだが、次期支配者のモモちゃんに『異世界から来た我々にとっては、地球における大昔の歴史は関係ありません』と回答されてしまい困っていた。

 反日思想に扇動する行為は国内の問題から目を背けさせ、大統領の支持率を上げる為の政治的パフォーマンスの側面もあったのだが、日本が魔導国の属国になってしまえば、国内に溜まった怒りを外に向けさせる方法が使えなくなる上に、万が一でも属国になった日本を非難しようものならば、魔導国と同盟関係にある中国・ロシア・中東連合を敵に回す事になり、魔導国側に回れば日本嫌いな市民達が暴動を起こすしアメリカとEU等の国連加盟国を敵に回す事にもなり、ライオンに食われるか虎に食われるかな状態で韓国政府は八方塞がりとなっていた。

 ちなみに彼等は北朝鮮の指導者がシャルティアに噛まれて眷属化している事を何も知らない。

 

 

 

 

『――続いて次のニュースです。今話題になっている巨大ハムスターに乗った謎のスーパーヒーローが暴力団のアジトを壊滅させました。現場では人身売買が行われており、暴力団に拉致された被害者は全員保護されたとの事です。また、暴力団の構成員に多数の死傷者が出ており、警視庁は殺人の容疑で謎のスーパーヒーローに対して逮捕状を出すと発表していますが、渋谷事件で彼に助けられた市民の間では反対の声が上がっており、各地で署名運動や抗議デモが発生している模様です』

 

 そして、そんなテレビを観て『うへぇー』となっている獣王メコン川さん。

 仲良くソファーも兼ねているベッドでゴロゴロしながらテレビを観ているメコン川さんとルプーだが、最近のメコン川さんは一人用のベッドでルプーと密着状態で寝るもんだから、緊張して寝不足気味だったりする。年齢=彼女いない歴のメコン川さんにとってはルプスレギナとの同居生活はハードルが高かったり。おまけに家事とかは全てルプーが率先して行ってくれるので駄目人間になりつつある。

 とはいえ、掃除や洗濯やゴミ出しを一人暮らしの癖で全て自分で行ってしまうと、メイドとしての仕事が無くなったルプスレギナがウルウルして悲しそうな顔をしてくるので彼女に任せたわけではあるのだが……

 

 その様な中『ピンポン』とドアベルが鳴ると、そそくさとルプスレギナは誰が来たのか確認しに行く。

 

「おっ!この気配はナーちゃんとソーちゃんとエンちゃんっすね!」

「あら、お久しぶりねルプー。今日はご不在のウルベルト様に代わって公安の警護任務で来たのよ」

「差し入れで料理長が作ったお菓子と紅茶を持ってきましたですぅ」

「獣王メコン川様、再びお会いする事が出来て光栄でございます」

「うぉ!超美味そうっす!日本の料理不味くてずっと恋しかったっすよー!」

 

 一人暮らし用の狭いワンルームアパートに戦闘メイド(プレアデス)が4人もいれば相当に狭くわけで、申し訳なくて『どうしよう……』と焦っているメコン川さんとは裏腹に、彼女達は全く気にしていなかったりする。強いて言うならば……

 

「至高の御方である獣王メコン川様に、こんな窮屈な暮らしをさせている下等生物(ウジムシ)はなんと不敬な……まさか、弐式炎雷様も!?」

 

 と、青筋を浮かべているのはナーベラルだけであり、比較的ソリュシャンとエントマはウルベルトさんから説明を受けているので日本を理解していたり。

 

「弐式炎雷様なら、このあいだゲームで一緒に遊んだっすねえ。ぷにっと萌様やたっち・みー様の御息女も一緒で楽しかったっすよ!」

「うぅ、羨ましいですわぁ……」

「そうそう、獣王メコン川様と『浅草』でデートしてきたっす。人工肉はビミョーっすけど綿飴はなかなか美味しかったっすよ」

 

 雷門の前で着物姿で写っている写真を姉妹に披露するルプスレギナ。プレアデスの女子トークで肩身を狭く感じているメコン川さんをよそにヒートアップしていく。

 

「ところで、公安の警護任務ってさっき聞こえたんだけど……」

「実は……不敬にもCIAとMI6が獣王メコン川様の御命を狙い、ルプスレギナを拉致しようとしている情報が入りましたので……」

「でも、ご安心くださいですぅ。至高の御方の盾として作られた私達プレアデスが必ずお守りしますぅ!」

「え……CIAとMI6が家にやってくるの?」

「はい、その通りでございます」

 

 それを聞いて一番カチンと来ているのはルプスレギナ。自身の創造主を殺そうとする相手がいる事を知って目付きが変わる。

 

「……良い度胸ね。()()()()()()()である獣王メコン川様を殺害しようと企むなんて。死んだ方がマシと思える様な地獄を味合わせてあげるわ……一体、どんな表情を見せてくれるのかしら?」

 

 急に目付きが悪くなり口調も変わるが、こちらが本来のルプスレギナであり、いつもの明るい性格は演技である。何よりソリュシャンと並ぶカルマ値極悪なのだから。

 そして、また『ピンポーン』とドアベルが鳴ると、今度は家電量販店のロゴが描かれた袋を持っているシズが入って来る。

 

「……少し秋葉原で買い物をしていて遅くなった」

「あら、シズ。一体何を買って来たの?」

 

 シズが何やら袋からごそごそと箱を取り出すと、最新式2148年春モデルの量子タブレットパソコンを『ん』と見せて来る。それを見て凄く羨ましがるメコン川さん。彼の5年分の年収に匹敵する、有名デザイナーが手掛けた高級ブランドモデル故に。

 量子タブレットパソコンは名前の通り量子演算装置を積んでいるので、タブレットで在りながらも旧式のデスクトップを遥かに凌駕する性能を誇っており、グラボ無しでもユグドラシルを始めとした仮想空間系のゲームがサクサクと動くのだ。21世紀初頭のビルの一室に並べられたスーパーコンピュータと同じぐらいの処理性能を持つタブレットである。

 それに比べて、メコン川さんのデスクトップはジャンクや中古品を寄せ集めて組み立てたPCで、空冷装置やキーボードに至っては曽々お爺さんが2020年頃に使っていた128年前の代物である。

 とはいえ、若き日の曽お爺さんや、祖父に父親がエロ画像を検索する為に代々使って来た歴史が詰まった一族に伝わるアーティファクトであり、感慨深く思うメコン川さん。

 

「うわぁ……すげえ、実物初めて見た……シズ……なんでそんなに高い物が買えるの?」

「……アインズ様から頂いた給料が1300年分溜まっているので、日本円に換金して貰いました」

 

 と、言いつつ量子タブレットを箱から出して背面に1円シールを貼っているシズ。自身の身体をバッテリー代わりに充電出来るので半永久的に量子タブレットを使用できる。

 

「……人型アンドロイドが店頭で販売されていたけど、古くても私の方がずっと高性能。彼等は自我を持っていない。私は楽しむ事も悲しむ事も出来る……もしも、私の創造主であるガーネット様が偽物の人形に心を奪われているかも知れないと思うと……凄く不安。私はガーネット様に恋をしている……この愛は本物」

「ま、まあ、そうですよね……はい」

 

 そして、一連の会話を聞いて『はっ!』とするルプスレギナ。そういえば全く使っていなかったお給料が1300年分溜まっていた事を思い出して、自身の創造主の為に何かプレゼントしようと思いつく。メコン川さんが道端で高級スーパーカーを見て『一度で良いから、あんな車を運転してみたいなぁ……』と言っていた事を思い出し、その車をプレゼントしたら獣王メコン川様がお喜びになるに違いないっす!と考える。それにこんな狭いアパートでは無く、至高の御方に相応しい家を買わなければと、自分の給料の使い道を発見したルプスレギナだった。

 そして、またもや『ピンポーン』と鳴るので『一体あと何人来るんだ!?』となるメコン川さん。流石にこれ以上来たら物理的に入らない。

 

「おぉ!オーちゃんじゃないっすか!久しぶりっすねー!桜花聖域から離れて大丈夫なんすか?」

「本当は良くないんですけど、主戦力が出払っているので急遽私が派遣されました。事が済んだら直ぐに帰る予定ですが、今日は宜しくお願いします……あとこれ、桜花聖域の桜の木の種なのですが、日本では絶滅したと聞いていましたので宜しければ日本で育ててあげてください」

 

 オーレオール・オメガはプレイアデスの末っ子のレベル100NPCで指揮・支援系統が得意であり、神社の巫女の様な外見をしている。絶滅した桜の種なんて渡されたら、ブループラネットさんが発狂するだろうなと思うメコン川さん。

 プレアデス5名にレベル100のオーレオールまでいればCIAとMI6が来ても大丈夫だろうと思い、彼女達と一緒にお菓子を食べる事にするのであった。

 

「どうぞ獣王メコン川様。紅茶とお菓子になります」

「ありがとう、ソリュシャン。おぉ!クッキーってこんなに美味かったのか!?……生まれて初めて食べた……」

 

 その言葉を聞いて嬉しくもあり、同時に複雑な感情が芽生えて来るプレアデス一同。クッキーですら食べた事が無いなんて、至高の御方達は普段、どんな生活をしているのだろうか?と。

 

「そういえば、ユリ・アルファは?」

「ユリお姉様はぁ、たっち・みー様の御息女の為にセバス様と一緒に働いていますぅ」

「へぇー、未来ちゃんも大変だなぁ……折角だから皆でドライブでもしない?ウチでドンパチやったらお世話になった近所に迷惑が掛かるからさ、首都高を適当に流し運転するよ……夜景は綺麗だよ?」

「良いですね!実は桜花聖域の元になった日本がどんな国なのか気になっていたのです!」

 

 と、オーレオール。

 

「いや、あの場所の景色は今の日本には存在していないよ……まあ、それを再現したくて皆で造った場所だったけどね。大昔の日本に存在した神社を参考にして作った場所だからさ……」

「つまり、桜花聖域は至高の御方の世界が荒廃する前の最盛期を再現した場所なのですか?」

「そうだね……機械が無い時代の日本を再現した場所だよ。ずーっと昔のね」

 

 そして、またまた『ピンポーン』と鳴って『いい加減にしろ!』と思うメコン川さん。

 

「お!占ちゃんじゃないっすか!……どうしたんすか?」

「あ、ルプスレギナさん。実はスレイン法国から至高の御方と従属神様のサポートをする様に言われまして……そして、こちらが――」

「漆黒聖典第五席次のクアイエッセと申します。至高の41人である獣王メコン川様にお会いでき、一生の喜びでございます。アインズ様にご迷惑をお掛けした一族の面汚しである不信心な妹に代わり、神の為に最大限にお仕えする所存であります。どうぞ、この私の曇りなき信仰をお受け取りください」

「私はバハルス帝国から派遣された()()()のレイナースでございます。呪いを解いて頂いた上に、永遠の若さと命まで頂いた恩義を返すべく、どうぞ何なりとお申し付けください」

 

 と、漆黒聖典第十一席次『占星千里』と第五席次『一人師団』と帝国三騎士『重爆』のレイナース。

 スレイン法国も生身である神が命を落としかねないリスクに気が気では無く、プレイアデスに協力する為に主戦力を派遣してきたのだ。バハルス帝国からも何としても魔導国をも超える驚異的な技術力を持つ日本と友好関係を結びたいジルクニフ陛下の命でレイナースが派遣されたのだ。彼は新参者として甘く見ている王国と違い、属国同士での経済戦争において日本国が評議国でさえ赤子の手を捻るが如くに一切他者を寄せ付けない無双状態になる事を読んでいた。魔法や錬金術とは異なる未知の方法で製造された『育毛剤』と呼ばれる神秘の霊薬を大量生産できる国力から根本的に次元が異なると予想したのだ。

 

「良いっすねえ。エンちゃんとクーちゃんが眷属を召喚すれば数でもこっちが優位っす……フフフ、ギガントバジリスク10体と私達プレイアデスを相手にして絶望する表情が思い浮かぶわ。彼等を楽に死なせる事は禁止よ?私が愛する獣王メコン川様の御命を不敬にも狙う罪は決して許されない」

「はっ。必ずや神に抗う不信仰な異端者どもに正義の鉄槌を下すとスレイン法国を代表してお約束致します。従属神様」

 

 一方では、自分に感動泣きして嗚咽を漏らしながら祈りを捧げている3人組を見て『俺はいつの間にカルト宗教の教祖になったんだ?』と困惑しているメコン川さん。そして、宗教を利用して魔導国を1300年に渡り束ねているモモンガさんの卓越したカリスマ性に『あのギルド長、まじパネェ』と思うのであった。

 余り深く関わる事は少なかったが、アインズ・ウール・ゴウンを国にしてしまう上に米中ロを相手に互角に渡り合っているモモンガさんは、恐らく切れ者であり、異世界で才能を開花させたに違いないと確信する。ぷにっと萌さんやウルベルトさんとも仲が良かったし、相当に頭の回転が良いのだろうと思う。

 ボーナスを全額ガチャに注ぎ込む事が出来たのも、リアルでは出世コースのレールに乗った勝ち組だったからなのだろうと納得する。

 

「あぁ……俺もお金があったらなぁ……」

「ご安心ください!私が獣王メコン川様の欲しい物をシモベとして何でも買うっす!」

「ハハハ……有り難うルプー。まあ、気持ちだけでも嬉しいよ……」

 

 この時、メコン川さんは『狼の恩返し』とでも言うべきなのか、本当にルプスレギナが家から車までなんでも買ってくれるとは夢にも思っていなかった。

 そして、愛車のミニバンに9人乗るのはキツイかも知れないと思うが、体格が小さいシズとエントマを誰かの膝の上に乗せて貰えばギリギリ行けるかな?と思うメコン川さん。近所でドンパチやられて大家さんに追い出されては堪らないので、申し訳ないが首都高でドンパチをやってもらおうと考えていた。

 

 その一方で、ルプスレギナは『獣の勘』のスキルで敵意を察知する。

 

「危ないっす!」

 

 彼女が慌ててメコン川さんの盾になるや否や、ベランダの窓ガラスに『パシッ、パシッ』と穴が空き、ソリュシャンに弾が当たるが、スライムに対して弾丸は無意味であり直ぐに元通りになる。

 

「安全の為に私の中にお入りください獣王メコン川様」

「え……マジで?……溶けたりしない?」

 

 そんなやり取りが行われている中でオーレオールは全員にバフを掛け、エントマとクアイエッセは外に出て巨大ムカデやギガントバジリスクやらクリムゾンオウルをありったけ召喚し、シズは窓ガラス越しに『ズガガガ!』と魔導弾を連射して応戦し、ナーベラルとレイナースは前線に向かう。

 

 

 

 

「ターゲットを確認した。予定よりも人が多い様だがどうする?」

『構わない。目撃者は全員始末だ。日本政府にバレる前にさっさと済ませて夕食までには帰るぞ』

「了解した」

 

 CIAの工作員はビルの屋上でDARPA製の誘導ライフル弾EXACTOを使用するスナイパーライフルやら、最新式のサーモグラフィーを使用して狙いを定めていた。

 この誘導ライフル弾は弾薬自体にスラスターや制御機構が備わった超小型の誘導ミサイルみたいな物である。

 さらに地上には光学迷彩を使用したMI6の工作員やCIAのステルス多脚戦車が待機しており、完璧な布陣である。何よりも今回の任務では対ルプスレギナ用に急遽用意した”水銀弾”を使用しており、弾が一発でも当たれば体内でカプセルが破裂し水銀が拡散するので人狼にはひとたまりも無いだろうと読んでいた。

 しかしながら、弾が外れてソリュシャンの頭部に当たるのだが、信じがたい光景を目にした工作員の一人がスコープ越しにあんぐりと口を開ける。

 

「オウ、マイ……ゴッド……あれは一体なんだ?未来の殺人ロボットか何かか?」

「クソ!青いエネルギー弾みたいな物を撃ち返して来たぞ!こんなの話に聞いて無いぞ!……なんてこった。巨大な爬虫類の化け物が10体出現!ステルス戦車は光学迷彩を解除して応戦しろ!」

『魔女と騎士から攻撃を受けている!仲間の半数が石化してかなり不味い!戦争になるなんて聞いて無いぞ!』

 

 CIAのステルス多脚戦車15台が光学迷彩を解除して姿を現すと、召喚された無数の眷属に対処する為に上部のペイロードをパカッと開き、小型の武装クアッドコプターを大量に発進させる。

 さらにブォオオン!という轟音を立ててバルカン砲でギガントバジリスクを次々とミンチに変えていくステルス多脚戦車。

 しかしながら、多脚戦車15台を相手に正攻法では不利と見たナーベラルは戦法を変えて、転移魔法を多用しCIAとMI6の工作員を直接殺していく。

 流石に戦車15台相手ではプレイアデス側が不利であり『何か打開策は無いか?』と考えているオーレオール。彼女は支援に特化しているので、レベル100でも戦闘能力はあまり高く無いのだ。倒すのは困難と諦めるや否や、すぐに頭を切り替えて全員に伝言(メッセージ)を飛ばす。

 

『獣王メコン川様を守るのが最優先任務です。あの兵器を私達だけで倒すのは困難ですので、転移門で魔導国に撤退してください』

 

 オーレオールが制御する転移門を通って撤退していくのだが、アパートがボロボロになって全財産を失ったメコン川さんにとってはいい迷惑である。

 


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