今やニューヨークや香港を超える規模で200~500m級の超高層ビルや超高層マンションが立ち並ぶ東京湾周辺並びに臨海副都心。温暖化の影響で水位が30メートル程上昇しているのだが、東京を含むニューヨークのマンハッタン等の沿岸都市は巨大な堤防で覆われている。
今では名物であった東京タワーも背の高い巨大建造物に囲まれて見えなくなってしまっていた。ネオンが輝く超高層ビルの直上には巨大なホログラムが空中投影されており、その光景は霧の様な大気汚染や荒涼とした大地も相まって、まるで人類の虚栄心を象徴しているかの様である。
搾取されるだけの未来に絶望しながら生きる者、自分が生きている間だけ大丈夫なら関係ないと退廃的に生きる者などが混沌とした歪んだ空気を生み出している。
そんな東京湾の夜景を見渡す事が出来るレインボーブリッジの主塔のてっぺんに『ちょこん』と佇んでいる赤いローブと仮面が印象的な謎の人物―――というかイビルアイがいた。
「これがサトル達が暮らしていたプレイヤーの国……なんて巨大な建造物なんだ。それにしても、この都市は一体何処まで続いているのだ?流石にプレイヤーの国でも地上全てが都市で覆われている事は無いだろうが……これに比べたら王都なんて村みたいな物だな」
見慣れない異世界の巨大都市の夜景を眺めながら、嘗て『蒼の薔薇』として活動していた頃の仲間達の事を思い浮かべる。魔導国の冒険者としていろんな未知の場所を探検したが、きっとラキュース達が見たら驚いただろうなと。
メンバーが歳を取って冒険者を引退した後も、ガガーランは冒険者組合で新人冒険者を訓練する鬼教官として『ガガーラン・ブートキャンプ』なんて呼ばれる地獄の訓練で鼻水を垂らした新人冒険者を一人前のソルジャーに叩き上げて送り出したりしていた。
……ちなみに何人か童貞の新人冒険者が食われたらしいが。
ともあれ、色んな意味で一人前の漢にして送り出した冒険者達はやがて大陸の全てを探検し尽くして、魔導国が大陸全てを支配した後は治安も安定しており、存在意義を失うと共に冒険者組合は解体された。
モモンガさんが凡人だと知ってから戦略を180度変えてきたアルベドとの正妻戦争にも敗れ、当然、情報的に優位な立場となったアルベドの進撃は止まらずシャルティアにも圧勝した。
モモンガさんの人間の心を女性として支え、魔導国の運営を的確にアドバイスする事ができる『綺麗なアルベド』に成り切ってしまう恐るべき
遥か遠い昔の事を思い出していると
『久方ぶりじゃのうインベルンの嬢ちゃんよ!この世界では魔力の消耗が激しいからお主も早くスマホを持つとええわ』
『む。相変わらずの様だなリグリット……「すまほ」とは何だ?』
『ほう、そんな事も知らんのか?それぐらいウェブで検索するとええわ。ハッハッハ!』
『むぅ……(何を言ってるのかよくわからん……)』
相変わらずなリグリットに仮面の下で少し青筋を浮かべているイビルアイ。
『……それで、一体何の用だ?今、サトルやナーベラル達と悪党を追っていて忙しいんだぞ』
『何を言っとる。景色を眺めて油を売ってる癖によく言うわ』
『何!?まさか私が見えているのか!?』
『監視衛星で丸見えじゃわ』
『ぐぬぬ……(こいつには勝てん……)』
大気汚染が酷くて軌道上から何も見えないのでは?と思うかも知れないが、この監視衛星は量子レーダーカメラが使われており、『もつれ合い光子対』と呼ばれる所謂『量子もつれ』を利用しているので光学式や電波式と異なり、量子効果によって対象にヒットした光子と対になった光子の変化を画像として記録する。故に大気汚染も不可視化や不可知化の魔法も無視して軌道上から地表の様子を監視する事が可能だ。
要は対象に物理的に触れる事が出来る物なら全て見えるのだ。
日本の大学がDARPAの開発した量子計測器を基にして2016年に実験装置を完成させ、2148年では政府や軍にとっては一般的な物として普及していた。
実験装置の段階では有効射程距離が10キロメートルだったが、1世紀以上に及ぶ改良が加えられて現在は400キロメートル先まで観測可能な精度を誇っている。
当然、まだ日本に来たばかりでそんな技術が存在している事など知る由も無いイビルアイは脳内で『未知の超凄いアイテムでこちらを監視しているリグリット』を思い浮かべるが、実際の所はパソコンモニターの前で『ズズズ』とお茶を啜りながら眺めているだけである。
というか、スマホを使いこなすどころか防衛省の監視衛星にも簡単にアクセスできるリグリットは唯ならぬスーパーお婆ちゃんだ。
『それでちょっと頼みがあるんじゃが……ウチらでは手が出せん法に触れる案件をやってもらいたくてな。トライセンデンス社という表向きは製薬会社じゃが、裏では麻薬密輸や誘拐して人体実験を行っている巨大複合企業の支社で派手に暴れて潰して欲しいんじゃわ……警備は始末しても構わん。証拠を確保すれば後はウチらでフォローするから心配はいらん』
『……まるで八本指だな……面白い。わかった。それで何処に向かえばいいのだ?』
『今、ラナーのヘリがそっちに向かっておるから暫く待っとれ。サトルとナーベラルもハムスケに乗って現場に向い首都高を移動しておる』
後に首都高を颯爽と走り抜ける巨大ハムスターがSNSにアップされてハッシュタグが付く程の話題となるのだが、それは少し先の話である。
『……へりとは何だ?』
『回転する翼の浮力で空を飛ぶ乗り物じゃわ。お主ぐらいの子供なら誰でも知っとるぞ』
『……(誰かこのババアに死に方を教えてやってくれ)』
どうやらリグリットとラナーはかなりプレイヤーの国に馴染んでいる様だが、まあ、ある意味彼女達らしいと言えば彼女達らしいな、と一人ごちる。
取り合えず、後でサトルに『すまほ』の意味を聞こうと思うイビルアイであった。
『それにしても、この巨大都市……「とうきょう」だったか?眺めていると色々と考えさせられるな』
『ほう、どうしたんじゃ?柄にも無い』
『ああ、我々には想像もできない程遥かに発展しているのに、滅びかけていると思うとな』
『……まあ、これが限界まで成長した文明が辿り着く最後の姿なのかも知れんな。ウチらとて他人事ではないかも知れんぞ?』
『そうだな。何故サトルが世界征服を行ったのか、この異世界を見て少しだけ理解できたぞ』
『ほう、お主はまだヤルダバオトの件を根に持っておるのか?……しかしのお、随分と大所帯で来たようじゃが、向こうは大丈夫か?ツアーの奴まで日本に来るとは流石に思わなかったわ』
『それなら心配には及ばん。サトルの娘が爺のコキュートスと共に魔導国を統治している。フールーダも駆り出されてシズと共に守護者代理をやっているからな。法国と評議国の主戦力が抜けた穴埋めは王国軍と帝国軍が主導で亜人部隊も混合して合同で行っている』
『儂が最後にモモちゃんを見た時はまだお主と同じぐらいじゃったが、今はどうじゃ?』
『ぐぬぬ……ああ、アルベドの様な頭脳とサトルの様な優しい性格をした立派な女性に成長したぞ』
『ほう、それは向こうも安泰じゃな』
モモンガさんとアルベドの娘のモモちゃんは人間とサキュバスのハーフで、モモンガさんの優しさとアルベドの頭脳を兼ね備えている。爺コキュートスとの修行により近接戦闘が得意で、爺から受け継いだ『斬神刀皇』を愛用の武器として使いこなす刀の名人であり、シャルティアとも互角に渡り合う実力を持っている。向こうでは番外席次と並んで武技が使用できる二人目の難度300クラスでもある。
爺コキュートスの事を今でも『お師匠様』と呼んでおり、彼女の右腕として信頼されている。ちなみにパンドラズ・アクターも妹思いな兄として面倒見が良かったりする。母アルベドと兄パンドラズ・アクターの教育もあって、非常に頭が良い。当然、家庭教師のユリ・アルファによって基本的な知識は全て教育されている。
しかしながら、ナザリックのNPCと違い非常に人間的な感性が強い故に無益な争いを好まず、農耕都市カルネが壊滅した件では涙を流し心を痛めた程で有る故に、魔導国の民からは『女神』として親しまれており、王国軍、帝国軍、聖王国軍、竜王国軍、亜人軍が死を覚悟してワールドイーターとの戦いに率先して参加する程の求心力を持った有望な女性である。
……モモンガさんの『流れ星の指輪』は残り1回分しか残っていなかったりするが、その理由は言わずもがな。
◇
『そこの巨大ハムスターに乗った二人組!今すぐハムスターの速度を落として脇に寄せて止まりなさい!』
首都高を『ウゥーン!』とサイレンを響かせながらハムスケを追って来る覆面パトカー。理由は当然、ハムスターに乗って高速道路を走るのは道路交通法違反である故に。
「クッ!……
「ま、待つのだナーベよ。彼等は生活の為に自分達の仕事をしているだけで悪意があるわけでは無い。警察を殺してしまったら、たっち・みーさんに会わせる顔が無くなってしまう……そうだ、あの車の車輪を狙うのだ」
「ハッ!畏まりました―――〈
青い閃光が走り、直撃を受けた覆面パトカーのタイヤは高熱で内部の空気が急激に膨張した圧力に耐えきれなくなりバーストを起こすと、煙と火花を出しながら失速していき停車する。
「クソ!異世界人め!今のは一体なんだ!……おい、今すぐ署に連絡して応援を呼ぶんだ!」
「あの……それがEGHのラナー会長が賄賂を流したらしく、この件には手を出すなと上層部からの圧力が……」
「ちくしょう、巨大複合企業はどいつもこいつも……この国の法律は一体何の為にあるんだ!」
この場合、『同じ土俵で戦っても、善は悪に勝つことはできない』という言葉があるが、法律を賄賂で捻じ曲げて何でもありの相手に法を守りながら戦っても身動きが取れず勝てないのである。
当然、ラナーは巨大複合企業の常套手段を『目には目を、歯には歯を』で利用して本気で追い詰めていくつもりである。
例え世の中に絶大な影響力を持っている巨大複合企業とは言えども所詮は企業であり、恐怖政治が通用する『独裁国家』では無い。裏で行っている非人道的な行いが表沙汰になれば社会的な『信用』が墜落して瞬く間に崩壊する。特に企業とは内外の信用があって初めて成り立つ物である故に。
これが10年前ならアーコロジーや人工心肺や呼吸マスク等の生存に必要不可欠な技術を独占していたので王国貴族達の様な強引な方法が通用したかもしれないが、今はEGHが新規参入して投げ売りの様な原価ギリギリで攻めているので彼等が居なくっても誰も困らないのだ。
当然EGHにとっては赤字になるのだが、他で儲けた利益を大衆に還元する一種の慈善活動である。他にも学校に多額の寄付を行ったりしており、ウルベルトさんからも『もっとこういう富裕層が増えたら良いのにな』と尊敬されている程。
ラナーの最終目的―――それは彼等の手足を削ぎ落して行き現実世界の支配権をワールドイーターから横取りし、クライムが望む全ての民が幸福に暮らす理想郷をこの地に築き上げる事であり、その為にクライムが望む慈悲深き支配者を演じ続けているのだ。
ある意味では、ワールドイーター達の方が遥かにマシと思える様なデミウルゴス公認の悪魔の様な本性が暴走しないで済んでいるのはクライムが手綱を握っているお陰である。
そう言った点では、今のアルベドとモモンガさんの関係はラナーとクライムの関係と全く同じだ。
モモンガさんが凡人だと知ってからのアルベドは超が付くほど献身的であり、『鈴木悟』としての『優しさ』を守ろうと全力でサポートしている―――まるで『守護天使』だと言わんばかりに……角があったり翼が黒い事は気にしてはいけない。
そんな事情もあり、友人達が暮らす故郷をきっと救いたがるだろうとアルベドが気を利かせて提案した事もあり、漆黒のモモン・美姫ナーベ・ハムスケ・イビルアイのメンバーで『漆黒』が再結成されたのである。
非正規社員に残業手当を出さない悪しきブラック企業や法外な手数料を請求する悪質業者、逮捕しても保釈金を払って外に出てきてしまう企業の経営者と戦う正義のスーパーヒーロー『モモン・ザ・ダークウォリアー』として。
久しぶりに嘗ての様な活躍が出来る事もあり、ナーベラルとハムスケは凄く御機嫌でウキウキしていたりする。平和になってから活躍の機会が全く無かった故に。ハムスケも武技を複数習得してレベルで言えば5~10程は上がっていると思われ、なんやかんや言ってペットとして愛着が沸いた事もあり不老不死化していた。
しかしながら、まだ同族は見つかっていない。恐らく可能性があるなら別大陸だと思われる。
首都高速都心環状線を走っているとリグリットから
『久方ぶりじゃなサトル。ウルベルトはウチら公安第一特務課で元気にやっておるぞ』
『あ、お久しぶりですリグリットさん。アルベドから全て聞いています。もう、本当に色々と有り難うございました。ラナーにもヘロヘロさんの件を感謝していると伝えてください』
『何を言っとる。お主のお陰でワシらの故郷は平和になったからのう。その恩返しじゃ。それにお主のお陰でワシも千歳越えにしてはピチピチじゃからのう』
『ハハハ……』
『うむ、そういえばな、さっき夜のバラエティ番組にアルベドが出演しておったのだが、お主、最初にアルベドの胸を揉んだのは本当かのう?それに夜の営みも随分と激しかったようではないか?』
『ホワッツ!?』
(ちょっと待て!違うんです!あれは状況確認で……そもそもアルベドに何度も襲われたんです!アルベドは番組で一体ナニを話したんだ!?というか、そもそもバラエティ番組に出演する話なんて聞いて無いんですけど!?ど、どうしよう、タブラさんに何て言い訳をすれば……女性陣に会わせる顔が……)
『それに「モモンガを愛している」と設定を書き換えたらしいではないか?ウルベルトが「うわぁ……」と言っておったぞ』
(うわぁああ!?嘘だぁああ!?)
リグリットの『モモンガさん弄り』で沈静化が追い付かず、パンドラズ・アクターなど可愛く思える程の超ド級の黒歴史が全国に流れたショックで心のHPが0になるモモンガさん。完全に燃え尽きて残っているのは骨だけである。
イビルアイが何時まで経っても『泣き虫の嬢ちゃん』と弄られている様に、これからモモンガさんもこのネタでリグリットから弄られるのだろう。
まだこの時、ウルベルトさんがデミウルゴスの様な深読みをして勘違いしていってる事や一部の宗教で神扱いされている事をまだ何も知らない。ちなみに日本ではアルベドの所為で風評被害が広がり『エロ魔王』と呼ばれる事になる。
基本的にアルベドは凄く優秀な女性なのだが、モモンガさんの話題になるとポンコツになってしまう欠点がある事をすっかりと失念していたのだ。
心の中のペロロンチーノさんが『モモンガさん見直しましたよ!GJです!安心してください、私は味方ですから!』と涼しい顔で歯(クチバシ)を光らせてサムズアップしていた。
『どうしたのじゃサトル?生きておるか?そういえばアンデッドじゃったな、ハッハッハ!』
『……ほ、放送事故だ……違うんです。誤解なんです』
『恥ずかしいなら当分は正体を隠すしかなかろうて。お主がヒーローとして活躍しておれば友人からの評価も回復するかも知れんしの。ナーベを見れば漆黒のモモンの正体を察するじゃろうからな』
『はぁ……』
『ま、アルベドの事じゃからな。放送事故を装ってサトルを他の友人から遠ざけて独占する腹積もりだったのかも知れんぞ?完全に妻に出し抜かれて尻に轢かれておるのぉ。ラナーと同じで独占欲が強いから気を付けるんじゃな、ハッハッハ!』
『……(お、おのれアルベドめ!)』
縦に割れた瞳孔をギラりと光らせて『ウフフ……全ては計画通り』と不敵な笑みを浮かべているアルベドを想像して身震いするモモンガさん。物凄くあり得そうだから困るのである。
『ところで聞きたいのじゃが……大体察しは付いておるがな、何故お主自らモモンに扮してヒーロー活動をやろうと思い至ったのか?』
『ええ、あのウルベルトさんが公安で社会の腐敗と戦っていたり、たっち・みーさんが外務大臣になって国を良くしようと皆それぞれ信念を持って戦っているのを知って、私もリアルの世界を良くする為に自分にできる事をやろうと思ったんですよ。それに、ギルド長としてベルリバーさんが安らかに眠れる様に必ず真相を解明してやりたいんです』
『よしよし、その言葉が聞きたかったわ。まあしかし、怒りで我を見失わぬように気を付けるのじゃぞ?復讐は麻薬みたいな物じゃからな……それで本題じゃがなサトル。お主はトライセンデンス社は知っておるか?』
トライセンデンス社。先ほども出てきたが、真っ先に映画のタイトルでは?と思い浮かんだ人も多いだろうが、トライセンデンスとは『超越』という意味の単語である。表向きは薬品や遺伝子治療に人工心肺と言った医療方面で名高い巨大複合企業なのだが、裏では細菌兵器やVX兵器に誘拐した貧困層の人間モルモットを使用した遺伝子実験を行っている。
ゾンビで有名な某傘な巨大複合企業と似たような会社ではあるが、ウイルスが漏れてゾンビが大発生する事態は一度も起きていない。
『ずっと昔の事なのであまり覚えてはいませんが、確か人工心肺のメーカーでしたよね?』
『今はラナーのEGH製の人工心肺がトップシェアを誇っておるがな。今回の件、もしかするとベルリバーとも関係しておるかも知れんのだ……ニューロニストが吸った脳から得られた情報じゃが、マフィアと思っておった輩は実は「N17」と呼ばれる民間諜報組織の工作員でな。雇い主が誰なのか調べる為に手の甲のマイクロチップを解析してみたら、このトライセンデンス社からのビットコインの入金記録が見つかったのじゃ。やまいこの小学校で狙撃事件があった日にな』
N17。正式名称は『Naixatloz 17』であり、民間諜報組織である事以外は謎に包まれている。22世紀に入ってから昔ケネディ大統領を暗殺したのはこいつらでは?と噂されている事以外は一切謎に包まれた組織だ。少なくとも、ケネディ大統領の件に関与しているならば最低でも20世紀から存在する組織である。
『つまり、ベルリバーさんを殺したのはN17の工作員の可能性が高いという事ですね?』
『うむ、そうじゃ。あくまで憶測じゃがな。恐らくトライセンデンス社が裏で行っている非合法な行いの証拠を掴んで消された可能性が濃厚じゃな。そしてこのトライセンデンス社は魔導国を襲撃したワールドイーターと繋がっておる可能性が高い……そして、ラナーの推測では今回魔導国が評議国のドラゴンを500頭も引き連れてエリュエンティウで派手に現れおったから、日本と魔導国の交流の様子をしばらく見て観察する可能性が高いらしいわ……魔導国との交流に賛成派の日本の政治家のトップ、磯野総理と春日官房長官はワールドイーターの息が掛かっている可能性が高いとな』
そう、彼らはラナーやデミウルゴスと同等の頭脳を持っている故に、武力行使の方針を転換して魔導国と独占的に交流する日本に便乗してしばらく様子を見て来る可能性が高い。
『ラナーの話ではお主らプレイヤー達が遊んでおった「ユグドラシル」と言った仮想空間にダイブする技術を開発したアーク・インダストリー社という巨大複合企業も怪しいらしいわ』
『え……アーコロジーやナノマシンで有名なあの巨大複合企業がですか!?』
『うむ、そうじゃ。でも心配はいらん。ここだけの話じゃがな、ロシアと中国は魔導国の味方じゃ……条件付きではあるがな。イスラエルは無条件で魔導国の属国になる事を望んでおる。ラナーに感謝するんじゃぞ?支配者ロールは忘れておらんよな?』
『まさか……ロシアの大統領と中国の国家主席相手に魔導王として対談しないといけないんですか?』
『そうじゃな』
流石に超ド級のハードルの高さに今から無い筈の胃が痛くなってくるモモンガさん。しかしながら、ベルリバーさんの仇を討つためにもギルド長として一矢報いてやらねばと心に鞭を打つ。
『まあ、当面先の話じゃから今は「漆黒のモモン」として目の前の事に集中すればよい。国連サミットにはツアーが出席するから当面は大丈夫じゃろうて。ツアーの奴も一応あれでも評議国の永久議員だからのう……お主には日本のトライセンデンスの支社で派手に暴れて潰して欲しくての、警備は皆殺しにしても構わん。お主もベルリバーの件で色々と思うところがあろうしな……お主なら強固な壁も突き破れるじゃろうから、誘拐されて人間モルモットにされておる市民の救出と証拠を確保して欲しいのじゃ……タイミングを見てウチからも第一席次と番外席次を送る。恐らく戦車ぐらいは出て来るじゃろうからな』
『わかりました』
244様、誤字報告大変有り難うございます。