私が斬るっ!!……みたいなことしたかったなぁ 作:揚げたて茶飲みのハンバーグ
多分しばらくはこっちの方を書くと思いますのでよろしくお願いします!
「はい、ここが会議室ですよ」
部屋を出てからしばらく歩き、シェーレに案内された先はとても大きな部屋だった。
その中央には机に4つの椅子があり、それぞれ緑髪の少年、リーゼントの男、金髪のグラマラスな女性。そしてとても抜けていた黒髪の少女━━アカメがいた。
(う〜ん…襲ってきた時と全然雰囲気が違うな〜)
他にもピンク髪の少女や茶髪の少年、あと他のあからさまに雰囲気が違う銀髪の女性もいた。
「お、やっと来たか!アカメが気に入った女性とやらが!ボス!こいつも仲間にするのか?」
「へ?仲間?一体なんのこと?」
目覚めたら知らないところで、そこにいた人に突然仲間になりますか?なんて聞かれたらどう答える?無論、答えはNOだ。
「落ち着けレオーネ、混乱しているだろう。その件も踏まえて今日はみんなを呼んだんだ」
ボスと呼ばれる人に宥められた金髪の女性━━レオーネは照れくさそうに頭をかいた。
「いやぁ〜分かってても新しい帝具使いってなるとちょっと興奮しちゃうんだよな〜」
帝具━━昨日もアカメとやらが言っていたが一体なんの総称なのだろうか?
私が昨日手に入れた赤い玉がその帝具とやらというのわかる。だがそれ以上は分からない。
「では君、レオーネが先走ってしまったが改めて聞こう。君はナイトレイドに入るつもりは無いか?」
「ナイトレイド?」
この目の前のボスとかいう人が言うには、ナイトレイドとは革命軍の組織の一つで、情報収集や暗殺…つまり裏の仕事をしている組織だという。
「そんな所に何故私が……って絶対あの帝具とやら取っちゃったからだよねぇ…」
「そうだ。本来であればあれは革命軍の方に送られ、然るべきものに渡されるはずだったんだが…それを運び屋が落としてしまってな、それをアカメが回収しに行った結果が今ということだ」
あぁ…こんなことになるんだったらあの時に素直に渡しておけばよかった…
…なんてことを普通の人なら思うだろうな。ま、私は違うのだけども。
だってこんなまたとない機会見逃すわけにはいかない。ここに入ればほぼ確実に私の『復讐』は果たせる。
「嫌ならば構わない。素直に帰す…とまではいかないが革命軍の作業員として死ぬ確率の低い場所で働いてもらうことも出来る。それ踏まえてマナ…どうする?」
『所詮貴様程度の力では私を倒すどころか、家族を守ることさえできん。だから力をつけてこい。そしてまた私に挑むのだ。その度に貴様を絶望の淵に叩きつけてやる』
そんなの答えは決まっている。
もし私の復讐が果たせるのだとしたら…
「ナイトレイドに入らせてください」
…私は暗殺者にでもなんにでもなってやる。
「…決まりだな」
ボスが左手を差し出し笑顔をうかべる。
「ようこそマナ!我々ナイトレイドへ!」
「マナさん、意外と決めるの早かったですね。もしかして何か事情があったりするんですか?」
「確かに!それは私も気になるな!」
ボスとの話が終わり、会議室の椅子でくつろいでいるとシェーレとレオーネがそんなことを聞いてきた。
「……う〜ん、なんて言うか復讐って言ったらわかってくれるかな?もしかしたらナイトレイドに入ったら出来るんじゃないかなって」
「なるほど…深くは聞きませんね」
「え!?私は聞きた…むごっ!」
「レオーネ、人の事情にはそう首を突っ込まない方がいい」
さきの話を聞いていたのか、アカメがレオーネの横に来て口を抑える。
「それとマナ、復讐という言葉で飾っても結局人を殺すということだ。いつお前が報復で殺されるかもわからない」
「そんなの知ってるよ。私はそれも踏まえてこのナイトレイド入ったんだから、覚悟は出来てるつもりだよ?」
アカメはその言葉を聞き、ふっ…と笑った。
「ならいい、だがだからといって死ぬなんてことはしないで欲しい。それが私からの願いだ」
アカメが手を差し出す。
「うん、私だってさらさら死ぬつもりは無いしね!」
それに私も手を出し、握手した。
「…おや?意外とこの二人仲がいいんじゃないのか?」
「確かにそうですね…」
そんなふうに少し場の和んだところで、柱の方に持たれかけ影が見えないくらい薄まっていた緑髪の少年━━ラバックが突然大声をあげだした。
「…!敵だ!人数は恐らく5人!」
「昨日に続いて今日もか…まぁいい、緊急出動だ。全員生かして帰すな!」
そのとき私は穏やかだった空気がピリリとした空気に変わったのを感じた。気がつけばナイトレイドのみんなは既に会議室を出ており、残っているのは私とボスだけになっていた。
伊達に殺し屋をやってる人は違うってことか……。
「何をしているマナ。お前はタツミと同じか?初陣だ、始末してこい!」
物凄く引っかかる言い方をされた気がするが、多分気の所為だろう。そう思いつつ私は会議室を出た。
◆◇◆◇◆◇
アジトから出て、走り出している途中三体ほど死体を見かけた。
一つは首を切られており、体に変な模様が浮かび上がっているもの。
二つは同じように首を切られているが、断面図がとても綺麗だったもの。
三つ目に関してはほぼ跡形が無いくらいになっていたもの。
…やっぱりあの人たちガチめでやばい人たちだったんだ。
みんなに畏怖の念を抱いたものの、ラバックが言うにはまだ二人ほど残っているので試したいこともあるし私は敵を探すことにした。
しばらく森を走っていると、誰かが会話している声が聞こえてきた。
「ここがナイトレイド共のアジトってのが分かっただけで収穫だ。早く逃げて情報を売るぞ」
「わかった、他の奴らはどうする?」
「せいぜい身代わりにでもなってもらうさ」
「へい!そこの人たち!私マナっていうのってことで実験相手になってもらうね!」
何か自分で言ってて意味の分からなかったが多分基本的なことは伝わっただろう。
帝具レーヴァテイン━━━━『永久劫火』の名を持つ、焔を自在に操ることの出来る帝具。それ以外が不明で、私が帝具から声が聞こえたことを言うと『そんなことあるのか?』とみんな知らないようだった。
実際にその場に居合わせていたアカメにも聞いてみると、『そんな声は聞こえなかった』と結局分からずじまいであった。わかったことと言えば焔が使えるので料理に生かせるのではないか、ということだけである。
まぁ、実戦で使えば分かるだろう…そう思いまず手始めに念を込めてみることにした。掌に力が集まるイメージで。
(これで出来たら苦労しないよなぁ…)
と思っていたのだが、手が少し熱いと思った時にはなんと掌に小さな火の塊が出来ていた。
目の前にいた二人も驚いたようで身動きをとっていない。
チャンス!!
掌に出来た火球をボールを投げる感じで二人組に投げてみる。すると……気がつけば二人組は本来の形を留めていない灰になっていた。
「Oh……この帝具…いや私、恐ろしい子!!」
ちょっと体が燃えて、わ〜この帝具すごい〜みたいな感じで済ませようと思ってたのに一瞬で灰になるなんて驚きだよ。これは…料理の時には使えないかな…
そんな感じで私の初陣はいろいろと驚かされることになるものであった。
◆◇◆◇◆◇
戦いを終え、部屋に戻ってきたピンク髪の少女━━マインは、あのマナという人に会ってからずっと考え事をしていた。
(なんだか…見たことがある気がする…)
それは幼き頃の記憶。
『ねぇ大丈夫?』
そう言い、一人でいた私に手を差し伸べてくれた小さな女の子。初めて、私の友達と言える存在になってくれた人。
『あなたマインって言うの?私は◇◇!よろしくね!マイン!』
それからというもの私たちは毎日のように会っては話し、会っては遊んだりしていた。こんな幸せな時が続けばいいのにと思っていた…それなのに彼女はある日を境に姿をあらわさなくなり、また私は一人になった。
あの地獄の日々を超え、ナイトレイドに入ってからも未だに彼女に会ってはいない。
もし、マナが彼女だったのならば……
(…明日、聞いてみようかな…)
…今までのお礼を私は言いたい。
それがマインという少女の『今』の願い。