私が斬るっ!!……みたいなことしたかったなぁ   作:揚げたて茶飲みのハンバーグ

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第四話 正義はテンプレ、悪は不明

『今回の標的はチブルという男、そしてチブルからコネをもらっている密売組織一味だ。マイン、シェーレ、マナはチブルの所に、タツミとレオーネは帝都の色町に行ってもらう。くれぐれも油断するなよ…』

 

「…って言われてもなぁ…」

 

「なんだタツミ!不満でもあるのか?」

 

 そこは屋敷の中、甘い香りと血なまぐさい匂いが広がる周囲にはおびただしい数の死体が転がっておりタツミやレオーネ以外に生きているものの気配はしない。

 

「姐さんがいたら俺いらない気がしてきたんだよ…」

 

「そんなことないさ!タツミがいるだけでおねーさんはやる気が出てきて嬉しいぞ〜」

 

 レオーネはタツミをふくよかな桃源郷に引き寄せ、頭を撫でた。

 

「ちょっ!姐さん!やめてくれよ!」

 

「あはは!やっぱりタツミのそういううぶな反応は可愛いな〜」

 

 そんな周囲と見合わない会話をしつつ、二人は屋敷を出て街中を歩いていた。

 

「私たちの方は無事だったけど別動隊の皆は大丈夫なのかな」

 

「チブルって奴の方だろ?さすがに三人もいるから帝具使いにでも合わなければ大丈夫だって!」

 

「そうだといいけどな〜…」

 

 レオーネの中で生まれた疑問……それはやがて大きくなっていき疑問は不安へと変わっていった。

 

(無事でいてくれよ…マイン、シェーレ、マナ…)

 

 

 ◆◇◆◇◆◇

 

「チブルって標的、用心深いにも程があったわ」

 

「ほんとにそうだよ〜…」

 

「でも無事に片付いて良かったです」

 

 任務を終えアジトに帰還するために暗い森の中を駆ける3人の人影。マイン、シェーレ、そして私は暗い森の中を駆け抜けていた。辺りは既に日が落ちたため真っ暗で視界がとても悪い。

 こんな時に襲われでもしたらひとたまりも……

 

「っ!?」

 

 突然の殺気。

 身の危険を感じた私は横に飛び退き、周囲の状況を確認した。マインやシェーレも気づいていたようで私同様に避けていた。

 さっきまで私たちがいた場所にはポニーテールの少女が足元に小さな生物を連れ佇んでいた。

 

「…やはり、顔が手配書と一致、ナイトレイドシェーレと断定!連れの二人も先の会話の様子からナイトレイドと断定!帝都警備隊━━セリュー・ユビリタス!絶対正義の名の元に悪をここで…」

 

「先手必勝!!」

 

 私はそんなに長々とした会話を聞くつもりがないので即焼却。だがしかし既のところで炎熱攻撃は当たらなかった。

 そして攻撃を避けた少女、セリューと名乗った人は頬をふくらましとても怒った様子だ。

 

「ちょっと!正義のヒーローの登場シーンは攻撃しないってお約束を知らないんですか!!」

 

 え?何そのお約束?

 悲しいことに私、世間にあまり詳しくないの。ごめんね?

 

「私とマインは援護射撃!シェーレは近接で!」

 

「…えぇ」 「わかりました」

 

「無視ですか!?」

 

 本来であれば私がこの二人に作戦を出すなんておかしな話だが今はそんなことも言ってられない。今見た感じ、このシェーレという人完全におふざけキャラであるが実力はある。私たちが彼女に気づけなかったのと、さっきの私の攻撃をかわしたのが証拠だ。

 

 となると最初は様子見が安定だろう。

 私は手元に火球を作り出し、シェーレに向かって三発投げつける。様子見、といっても一発でも当たれば即死、かすっただけでも大火傷になるほどの威力だ。このまま死んでくれれば楽なんだけど…そうはいかないよね…。

 

「コロ!」

 

 シェーレがそう叫ぶと、近くにいたコロと呼ばれた生物が突然大きくなり火球に直撃する。

 

「…やったか…?」

 

「ちょっとマイン!それ言っちゃダメなやつ!」

 

 これは絶対死んでないな…

 マインの綺麗なフラグ立てのおかげか、案の定煙の中から現れたコロはほぼ無傷。……え?

 おかしくない?だって自慢じゃないけど私の焔って一瞬で炭化させるぐらいの威力なんだよ?なんで傷一つないの?

 

 私はいろいろと疑問が浮かんできたが、マインとシェーレは怪訝そうにやっぱりか…みたいな顔をしている。

 

「あれ、帝具ね…しかも『生物型』の…!」

 

「『生物型』?」

 

 帝具は武器や防具みたいに形に残るものと、私の帝具みたいに体の一部?みたいになるものだけだと思ってたけどそのまたさらに『生物型』とは…

 

「詳しい話は言えないけどその名の通りの帝具よ。体のどこかにある核を砕かないと再生し続ける厄介な……危ない!!」

 

 マインが急に体を下に押してきたと思うと、私の上空を大きな口を開けたコロが通り過ぎていった。

 

「惜しい…!けど…本命はこっち!!」

 

 コロは通り過ぎたかと思うとまた上を過ぎ、セリューの方に突撃していたシェーレに飛びかかっていた。

 口を開け噛み砕けるまで数センチ……そのときシェーレはハサミの形をした帝具━━エクスタスを抜刀し後ろにいたコロを一瞬で両断してしまった。

 

「ごめんなさい」

 

 シェーレは悔しそうに歯噛みする。だがそんな顔も一瞬で変わり、狂気を剥き出しにした笑顔へと変貌した。

 

「コロ!狂化(おくのて)!!」

 

 その言葉を合図にコロは突然の変異を遂げた。

 筋肉は目に見えて肥大化し、纏う雰囲気もより一層、圧を感じるものになる。

 

「ギョアアアアアアア!!」

 

「やれ!コロ!!」

 

 まずい!

 シェーレは先の咆哮で耳を塞いでて動けていない。マインも同様で耳を塞いでいる。このままではシェーレが殺されてしまう。

 

 それだけは…それだけは…!

 

「絶対にさせるもんかァァァ!!」

 

 自分でも驚くほど驚異的な速度でシェーレの前に来る。目の前に迫ってきているコロは大きな口を開き、今にも噛み砕かんとしていた。もしあんなものに噛まれでもしたらただでは済まないだろう。

 

 だけど私の狙いは一点━━━━私は迷うことなく右手をコロの口の中に突っ込んだ。

 

「えっ?マナ!!」

 

 コロの口がそれに反応して口を閉じる。それと同時に手にありえないほどの痛みが襲ってきた。

 

 痛い…痛いけれど、これでいい。これで一気に体内に焔を送り込めるのだから。

 

「これで…終わりだァァ!!」

 

 

 ◆◇◆◇◆◇

 

 マナが大きな声を上げたあと、バァンッ!と大きな爆発音が周囲に鳴り響いた。

 

「なっ!コロ!!」

 

 目の前にいた白い化け物はほとんど原型を留めておらず、消し炭なったと言ってしまってもいいだろう。そして出てきたマナの右腕……それは噛み跡や火傷跡などで使い物にならないぐらいボロボロになっていた。シェーレはその光景を見て驚きに目を見開いており、私も驚きで何をしたらいいかわからない。

 

「コロ!コロ!!ねぇ、返事してよ!コロっ!!」

 

 セリューに関しては、私たちのことはもう見えていないかのように原型がないコロに話しかけていた。

 

 正直、今すぐにでもこいつは殺したい。けれど…

 

「何だったんださっきの音は……なっ!いたぞナイトレイドだ!!」

 

 応援がさっきの戦闘音を聞きつけたのか、ここに来てしまった。こうなるとさすがに時間がかかり最悪の場合、マナが死ぬかもしれない。

 

「シェーレ!マナを連れて逃げるわよ!」

 

「…!わかりました」

 

「逃がすな!追え!!」

 

(エクスタス)!!」

 

 シェーレがそう叫ぶと、シェーレの帝具であるエクスタスから眩しい光が溢れ出した。

 

「なっ…前が見えん!!」

 

「今のうちに行きましょう!」

 

「ええ!」

 

 そして私たち3人はどうにか任務を終え帰還することが出来た。

 

 

 ◆◇◆◇◆◇

 

 廊下の壁にもたれかけ、しばらく待っていると部屋の扉が開いた。

 出てきたのはボスだ。

 

「マナは…マナはどんな状態なの!」

 

 そう問いかけるとボスは怪訝そうに眉をひそめた。

 

「…酷い怪我だ。最初は腕だけが重症かと思ったが、何故か内臓まで火傷をしていた…多分帝具の代償だろう。できる限りのことはしたつもりだがどうなるかは分からない」

 

「…私も様子を見ていい?」

 

「構わない。だがあまり刺激はするなよ」

 

 そう言い残しボスはどこかへと去っていった。

 とりあえずここでたってても意味が無いのでマナがいる部屋へ入る。

 

「マナ……」

 

 そこには右手だけ包帯でぐるぐる巻きにされて、心身ともにとても疲れているような顔をした彼女がいた。

 

「あ…マイン。やっほ〜…」

 

 その声もいつもの彼女とは思えないほど元気がないもので、なんだが心がチクチクとする。

 

「マナ、突然なんだけど聞きたいことがあるの…」

 

「ん?なぁに?」

 

 それはずっと聞きたかったこと。

 昨日、ボスの話を聞き訓練所に行ったのはいいものの、そこにはタツミとブラート、そしてラバックの三人しかいなかったため聞けなかったこと。

 

「もしかして私たち………ううん、やっぱりなんでもない」

 

 何故か今となって聞くのが怖くなってきた。もし違っていたら、もしそうだったとしても何故突然いなくなったのか…それを聞くのが怖かった。

 

「そうなの?まぁ、私はマインがそう言うならいいけどね…」

 

「うん、ごめん。じゃあ、私ちょっとシェーレに会ってくる」

 

「いってらっしゃい〜…」

 

 そして私は部屋を出た。

 

 …今回は怖くて聞けなかったけど、いつか必ず…私の口から聞くんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




何かマイン回が長くてマインがこの小説のヒロインみたいになってるけど、実は…この小説のヒロインはアカメなんだぜ?
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