私が斬るっ!!……みたいなことしたかったなぁ   作:揚げたて茶飲みのハンバーグ

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第五話 幻聴聞こえる=ヤバい

「暇だなぁ〜」

 

 ナイトレイドのアジトの私の部屋、そこのベットで私はゴロゴロしていた。他のみんなは今、作戦について聞いていて誰も話し相手がいないため暇だからだ。

 

「何かすることないかなぁ〜」

 

 先までは脳内しりとりという名のぼっち遊びをしていたのだがさすがに飽きを感じてきた。だってあれほぼ同じような回答しか出ないんだもん。

 部屋を出て鍛錬をしようにも右腕の怪我のせいでほぼ出来ない、というかやらせてもらえないし…

 

「誰か話し相手いないかなぁ〜」

 

『我ならいるぞ』

 

「はい!?」

 

 何か聞き覚えのある声が聞こえびっくりする。周囲を見渡しても人影らしいものはいない。もしや私の幻聴…?怪我のせいで頭がおかしくなったとか……

 

『幻聴などではない。我は貴様の中にいる』

 

 ……あ、はい。幻聴じゃなかったのね。

 私の中にいるってことは多分玉の人……玉の人ってなんか犯罪臭がする言い方だな〜…ってそうじゃなくて。

 

「何で今になって出てきたの?」

 

『…?貴様が呼べば我はいつでも出てきたぞ』

 

 それ最初に言っててよ。

 

「ま、まぁちょうど良かったからいいや。暇だし聞きたいことがあるんだけどいい?」

 

『構わん。我にわかる範囲であればいくらでも答えよう。貴様は我の適合者なのだからな』

 

 適合者ぁ〜?もっと訳が分からなくなってきたぞ〜。

 

「じゃあ私の帝具について…そしてさっきの適合者ってのを教えて!」

 

 あの時、状況が状況だったので仕方なく使った帝具レーヴァテイン。それについて聞きたいことが山ほどあるのだ。

 何故、焔が操れるのか。何故、帝具が喋るのか。何故、その声が他の人には聞こえていないのか…などなど。

 

『焔が操れるのは我の力ゆえだ。なぜ我が喋れるのかは我の魂がまだ生きているからで、我の声を聞けるのは適合者のみだ』

 

「じゃあ次、何で魂が生きてるの?素材で作られた武器に魂が宿るなんておかしくない?」

 

 帝具というのはあくまで何かの素材で作られたものだ。つまり、死体から削いだものか生物ではないものが原材料であり、それで作られたものに魂が宿るのはありえないと思う。まぁ、現在はその矛盾の根源と話してるからなんとも言えないんだけどね!

 

『我は素材では無い。我はこの帝具を作りしもの。名をヘファイストスという』

 

「へ〜そうなんだ〜…ってつまり人の魂ってこと!?」

 

 人の魂が物に宿るなんてさらにありえないと思う。だって人だよ?そんな人類の力を超越するようなことがあってたまるか…ってそう言えば帝具自体がそういうものだったね。

 

『そういう事だ。そして適合者、というのは我の魂の波長と合うもの…つまり貴様のことという事だ』

 

 魂の波長とかもっと意味がわからなくなってきた……聞けば聞くほど謎なんだよね…

 

『質問には答えた。それで、だ。我から貴様に帝具について助言をしたい』

 

「助言?ちょっと突然すぎる気がするけどありがたいから全然いいよ」

 

『正直、貴様の使い方は荒すぎる。我の能力は焔を操る。つまり威力も性質も性能も自由自在という事だ。それを踏まえた上で次から使え』

 

 威力は知ってたけど性質まで?何か思ってたよりこの帝具、チートかもしれない。

 それでも代償は一応あるし、使い勝手がいいとはいえないんだけどね。

 

「例えばどんな使い方が『すまぬ、時間切れだ』…」

 

「え!?ちょっと待って時間切れとか聞いてない!いつでも出られるって言ってたじゃん!」

 

『いつでも出れると言っても制限はある。しばらくは会えぬだろうがそれまでに死ぬなよ?…あとその腕の傷は既に治した、感謝するのだぞ?』

 

 ヘファイストスはそう言い残すと、心の中で何かが消えた気がした。それと同時に腕に響いていた痛みも消えていった。

 包帯をとり、腕を見ると噛み跡や火傷跡はまるで最初からなかったように綺麗な白い肌へと変貌している。……何あの人怖い。

 

 そのとき、

 

「えぇっ!?」

 

 気がつけば部屋の中で私の腕を見て驚いているマインがいた。

 

「…!?い、いつからそこにいたのかな…?」

 

「それはいいの!!どうして腕が治ってるの!?」

 

 いや、あの、帝具の力です…なんて言ったら信じてくれるかな?

 …うん無駄だ!だって私の帝具、焔を操る能力だもん。って言っても一応傷が治った原理は分かったんだけどね。

 

 とりあえずマインが色々と困惑していたのでさっきの状況について説明をした。

 

「…はぁ、帝具の力で治るのね…心配してた私がバカみたいじゃない…」

 

 さっきのことを聞いたマインはあからさまに落胆していた。それが安堵から来たものなのか、呆れから来たものなのかは分からない。だけどそんなふうに心配していてくれた、ということだけで私は嬉しいのであまりそういう所は気にしない。

 

「あはは…私も驚いたよ」

 

「うん、でも大事に至らなくて本当によかった」

 

 そう言いマインは笑顔になる。その笑顔は女である私ですら惚れてしまいそうな程に可愛い笑顔だった。やばい、凄い(語彙力)。手放したくない。ていうか出来ればお嫁にもらいたい。

 

「あ、そうだ!腕の怪我も治ったし作戦について教えてくれないかな?見ての通り全然ピンピンしているし、ボスにもお願いしてくるから」

 

 私はベットから飛び降りで、回ったり、ジャンプしたり、走ったりして大丈夫であることを示す。彼女も最初は疑っていたが、私が走り回る様子を見て『仕方ないわね…』といい作戦について教えてくれた。

 

 

 今回の作戦は暗殺ではなく護衛だそうだ。

 ターゲットは二人の大臣。そのため二チームにわかれ、それぞれを護衛をするという形だ。

 人選は、タツミとブラート、アカメとラバックである。タツミとブラートは“竜船”と呼ばれる船で、アカメとラバックは辺境の村での護衛。マインとシェーレはお休みである。

 

「作戦の他にもナイトレイドの偽物を名乗るものが出てきたりとか……あ!あと『エスデス』が帝都に戻ってくるとか…」

 

「…エスデスが帰ってくる…?」

 

 突然、周囲にありえないほどの殺気がひろがった。

 エスデス……何度も何度も思い出し、何度も何度も『殺したい』と思ったものの名前。

 そのエスデスが帝都に来る。そう考えただけでニヤケが止まらない。

 昔の力ではエスデスに追いつくことさえままならなかった。でも今の私には帝具がある。

 

 ━━━━だから、待っていろエスデス。私のこの手で、お前を憎しみの劫火で焼き付くしてやる。

 

 

 




あぁ…ブラート兄貴が…ブラート兄貴がぁぁ(フラッシュバック)

…まぁ、この小説では『基本』誰も死なせないつもりなんですけどね!!

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