GOD EATER2 ~Nam Oratorium~   作:〆渡

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第16話

「残念だなー」

「しょうがないよ、本当に大変だったんだろうしさ」

 

いくら神機使いが一緒だからと言って、対抗手段を持たない人間が外に出た場合、その精神的疲労は大きいだろう。

神機使いである二人だって、それを全く感じない訳ではないのだから。

 

「それは解るけどさ。…あーあ、しゃーない。食事がてら、エミールって奴から聞いてみるとするかあ!」

「一応、歓迎会も兼ねてるんだから、それ忘れちゃだめだよ?先輩」

「解ってるって、ナナ。でも、気になるだろ?」

 

ロミオの言葉に、「まあねー」とうなずくナナ。

聞きたいのは、極東から来たというデイトの事だ。エミールとは知り合いの様だったし、色々聞いてみよう、という事になった。

勿論、折に触れ本人にも聞いてはいるのだけれど、どちらかというと、本人の事より、極東の事に内容が偏りがちだ。

なので、と今回の事を考えた2人であった。

デイトとしても、わざと自分の事を話さない訳ではないのだろうけれど。本人の性格故か、端的な事実しか口にしないようなところがある。そのため、彼自身の思い出を聞くというよりは、記録を報告されている、という感が否めなかった。

今回は、せっかくの機会なのだから、他の人間から見た以前のデイト、というものも聞ければ。そう思ったのだ。

 

「まあ、エミール辺りは、結構話してくれそうだしな」

「ああ。あの金ぴかの人?凄かったよねーっ。いきなり出てきて、アラガミをドカーンって」

「向こうは激戦区って話だからなあ」

 

そんな風に他愛のない話をしながら移動する二人。ロビーに着いたとき、話題に上っていた2人を見つけた。

そういえば、と口を開くロミオ。

 

「正確な時間、伝えて無かったな」

 

と、ナナを連れて2人に近寄る。

合えなかったら、フラン当たりに連絡を頼もうと思っていたから丁度いい。

そう思って近づくけれど、どうにも重い空気だ。

喧嘩をしているような雰囲気ではないようで、二人とも一見普通に会話をしている。けれども、周囲を取り巻く空気はどこか重いのだ。

 

「おーい。なんかあったのか?」

「だいじょうぶー?」

 

ロミオとナナ、二人そろっておずおずと声をかける。

その声に、わずかに肩を跳ねさせて振り返るデイト。その顔が、少し頼りなく映る。

 

「あ、お二人とも、どうしました?」

「あー、いやー。さっき、何時にって、伝えてなかったから」

 

ロミオが言えば、「ああ」と頷くデイト。そのまま「聞きに行こうかと思ってたんですよ」と続ける様子からは、どんどん先ほどの頼りなさが消えていき、普段と変わりないように感じられる。

ロミオが気のせいかと思い始めたとき、唐突にナナが口を開いた。

 

「んー…。痛かったら、ちゃんと『痛い』って言わなきゃだめだよ、デイト」

 

内容も唐突すぎて、その場の全員が、ポカンと口を開ける。

 

「なんだよナナ、いきなり」

「うーん、なんだかデイト、痛そうな顔してたから…つい」

 

どうやら何かを確信して口にした訳ではないらしい。その事に脱力するロミオ。

「あはは」と、誤魔化すように笑い、頭を掻くナナ。

デイトはポカンとした顔のままだし、エミールに至っては、何故かプルプルと震えている。

 

「素晴らしいっ!戦友(とも)を想うその心!まさに、騎士!!そしてその淑女たる心遣いっ、極東を離れやってきたこの壮麗な船の中で、まさか騎士道を持つ朋友に巡り会えるとはっ!!!」

 

上からスポットライトにでも照らされそうな程、芝居がかった動作で感動を表すエミール。慣れているデイト以外は若干引いているが、彼はそんなことは気にせず、自分の感動に浸っている。

 

「ありがとうございます。…今はちょっと、痛いかどうか解りませんけど。もし、痛いって思ったら、その時は相談させていただきますね」

「おう!」

「うんっ」

 

笑顔で応える二人に、ここに来て良かったと、確かにデイトは感じた。

その後は、ナナとロミオが考えていた通り、食堂へ集まる時間を告げて分かれる事になった。

 

 

 

 

ナナさんとロミオ先輩が、手を振りながらエレベーターに乗り込んでいく。

そういえば、きっとギルさんとエミールさんの歓迎会なんだろうに、僕も企画側にいなくていいのだろうか。と少し思ってしまう。

そして、そう思う余裕が出てきた事に驚いた。

二人が来るまでは、何を言われてもそんな余裕出来なかったのに。

どうやら僕は、僕が思っている以上に、この場所で出会った人達に感化されてきているみたいだ。

そう思うと、極東の人たちに申し訳ないような、でも誇りたいような、くすぐったい気持ちになる。

なんだか、柊さんの事ですら、大した事ではないと思えてくるから不思議だ。

ナナさん達ではないけれど、『なるようになる』そう思えてくる。

 

「よい友人に巡り会えたようだな、デイトよ」

「ええ。極東の皆さんにも自慢できる『家族』です」

 

フッ、と笑い「そうか」と静かにいうエミールさん。彼に「ええ」と頷き返す。今なら、気持ちを切り替えられるような気がした。

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