GOD EATER2 ~Nam Oratorium~   作:〆渡

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副隊長回です。
これが私の精一杯だと、生温かく見て頂ければ幸いです。


第22話

エミールさんたちが極東へ帰って数日。

結局、柊さんとあの後話す事はなかった。お互いに避けてしまっていたというのもあるだろうし、働いている場所が違うというのも、要因の一つではあっただろう。

結局、『また合おう会』(命名はナナさん。お別れ会じゃ寂しいから、との事だった。)にも顔を見せる事は無く、結局、主賓が一人不在のまま開催され、終了してしまった。

エミールさんやナナさん、ロミオ先輩が探したそうだけれど、見つからなかったらしい。

結局、出発の日には何事もなく車の最終点検をしていたのだけれど。

エミールさんがどこにいたのか聞いてもはぐらかされるばかりで、結局解らないまま終わってしまったのだった。

けれど、そんなもやもやとした気分のままで何時までもいるわけには行かない。

 

「そろそろ、かなあ」

「お、落ち付けってナナ。ここはこう…先輩としてどっしり構えてだな…」

「おいロミオ。まず、お前が落ち着け」

 

ギルさんの一言で、場の空気が弛緩する。

今僕たちは、ラケル博士の研究室で新しいメンバーを待っているところだった。

いったい、どんな人なんだろうか。

と、扉をノックする音が聞こえて、そちらに視線が向かう。

博士に促されて入ってきたのは、僕と同じ位の女の子だった。

綺麗な銀髪を、少し変わった形で2つにまとめ、高い位置で結んでいる。

服装も、女の子らしい印象と、まるで軍人のような厳めしさが融合したような意匠で、妙に似合っていた。

そんな彼女は、かっちりと音のしそうな敬礼を向けて、僕たちに自己紹介をする。

その、殆ど呪文のような自己紹介に、僕たちはあっけにとられてしまう。ひょっとしたら、ギルさんあたりには理解できる内容だったかもしれないけれど。

その間をどう取ったのか、シエルと名乗ったその人は若干居心地悪そうに、そしてどこか恥じらうように顔を背けると、「以上です」と付け加えた。

すでに出来上がっている関係の中に踏み行っていくのは、少し、もしくは大いに勇気がいる。

彼女も、ひょっとしたらそうなのかもしれない。

大人びた表情に隠れているだけで。

 

「えっと。よろしくお願いします、シエルさん」

 

僕が小さく頭を下げると、彼女は少しばかり驚いたようだった。

確かに、頭を下げるという意味が、地域によって異なってくる。僕はついつい、やってしまうのだけれど、ひょっとして失礼だっただろうか。

けれど、それを聞く前に、皆もそれぞれ、シエルさんに挨拶し始めていた。

そういえば、ナナさんにとっては、初めての同性の仲間でもある。お互いに仲良くなれるといいのだけれど。…そんな心配は無用か。

 

「みんな、仲良くやっていけそうね。ともあれ、これでブラッドの候補生が全てそろいました。これからも、『血の力』で、皆を導いてあげてくださいね」

 

そう言い、皆の顔を順番に眺めるラケル博士。

それぞれに頷く僕たちを見ると、何かあるのか、促すようにジュリウス隊長の名前を呼んだ。

頷き、壁から僕たちに近づいてくる。その表情は、すでに隊長としての物だ。

 

「ブラッドも人が増えてきた。これからより、戦術面での連携が重要になってくるだろう。そこで、命令系統を一本化するためにも副隊長を任命する」

 

副隊長。すると、ブラッドとしての期間が長いロミオ先輩か、経験豊富なギルさん辺りだろうか。

二人がいる方向、僕の右側を見ると、何故か皆が揃って僕の方を向いている。

何故だろうか、嫌な予感がする。

ゆっくりと正面を向けば、そこにはジュリウス隊長が。

 

「デイト。お前を副隊長に任命する」

「ちょ、ちょっと待ってください。僕より他に、もっと適任の人が…」

「いや。早くも『血の力』に目覚めた事、これまでの立ち回り。それに、周囲の人間との関係を鑑みた結果だ。引き受けてくれるな?」

「ぅ……。はい」

 

そう言われては、引き受けない方が難しい。評価されたことは、純粋に嬉しい事だし。

それに、反対されなかった事に、すごくほっとした。

分不相応だとは解っていても、反対されればきっと悲しくなる。

 

「…えと。副隊長に任命されました。これからも、よろしくお願いします」

 

少し情けない声の就任挨拶は、概ね笑顔で受け入れられた。

 

 

 

 

「それにしても副隊長かあ、なんかすごいねー」

「まあ、妥当なところだろ」

「…そうですね。妥当であれるようにがんばります…」

「まあ、そう堅くなるなって。大丈夫だよ、俺らも居るし」

 

皆に囲まれて、力無く「はい」と頷く彼の姿は、先生やジュリウス隊長から聞いていたよりも、…なんと言うのでしょう。そう、年相応、と言った感じでした。

アラガミの狙撃や、『血の力』に目覚めた時の状況を聞いた限りでは、もっと逞しい感じの、年上の男性を想像してしまっていました。

けれど彼は、特に筋骨逞しいという訳でもなく、寧ろ細身で、こうして会話している姿を見るだけなら、失礼な話、頼りになりそうには見えません。

立てるようにセットされた髪も、逆に輪郭の柔らかさを強調してしまっていて、幼さを誤魔化す為にそうしているのなら、却ってやめた方がいいという印象を受けました。

けれど、彼の目は話に聞いていた通りのものでした。

おっとりとした、という表現が適切でしょう垂れ目の中に、仲間への感情が伺えます。

彼とコンセンサスを重ねるように言われ、私たちだけがラケル博士の研究室に残る事になりました。

 

「それでは、よろしくお願いします、シエルさん」

「はい。よろしくお願いします、副隊長」

 

私がそう返答すると、副隊長は何故か困った顔になりました。今の短い文章の中に、何かおかしな点でもあったのでしょうか。

間違いは是正されなければいけません。

 

「何か、おかしな点がありましたか?」

「え?ああ、いえ。シエルさんがおかしい訳じゃないんです。…ただ、その」

「なんでしょう?」

「その、できれば、任務中以外は、名前で呼んでもらうわけには、いきませんか?」

「名前で、ですか?」

 

そう言われて驚いてしまう。ずっと、上官や部隊内でも上位にある人は、その人の役職や地位で呼んできたから余計に。

 

「それでは…、デイト殿、で宜しいでしょうか」

「いえ、できればもっと軽い感じでお願いしたいです…」

「ですが、それでは隊規が乱れます」

 

眉の下がった顔で、懇願するように言われる。けれど、締める所は締めなければならない。それが、戦場での迅速な連携にも繋がるのだから。

結局は副隊長も折れ、本題に入る事になった。

いや、部隊のコンセンサスを重ねる前に、しておくべき事がまだ残っていました。

 

 

 

 

名前で呼ぶことをあっさりと拒否されてしまった。

確かに、彼女の言った理由は納得できるものだったので、この場は大人しく引き下がる事にする。

一体、どんなことを話すのだろうか。

コンセンサスは確か、"複数人数での合意"とか"意見の一致"とか、そんな意味だったはずだ。

つまり、ブラッドという部隊に対しての、情報の共有、という事でいいのだろう。

何から話せばいいのだろうか。いや、それよりも、シエルさんから質問してもらった方が、僕も色々と話しやすいかもしれない。

 

「副隊長。何か、質問などはありますか?」

「え?えーと…」

 

いきなり聞かれても困ってしまう。ここは「何から話せばいいですか?」とでも聞くべきなのだろうか?

 

「すみません、言葉が足りませんでした。何か、私に対しての質問などはありますか?というべきでしたね」

 

疑問が顔にまで出ていたのだろう、シエルさんがそう補足してくれる。

それにしても、

 

「どうしていきなり?」

「いえ、これから同じ部隊で任務をこなして行くことになるのですから、こう言った情報の共有も…必要かと…」

「……」

「余計な事だったら、すみません。本題に入りましょうか」

 

そう言って、最初この部屋で見せたのと同じように、体毎視線を逸らすシエルさん。

彼女は彼女なりに、僕たちと打ち解けようとしてくれているのだ。

その方法が、少し不器用なだけで。

 

「いえ。余計な事なんかじゃありませんよ」

 

僕がそう言うと、少し驚いた後、安心したように笑ってくれた。それまでの無表情との差が激しいから、余計にそう感じるのだろうけれど。何というか、女の子らしくて、柔らかい笑顔だった。何故か僕の頬まで赤くなってしまう。

それを誤魔化すように、僕は急いで口を開いた。

 

「えっと、それじゃあ―」

 

 

 

 

それから、色々な話を聞いた。

彼女やみんなが過ごしたという施設の話、そこで彼女が学んだこと。

正直、児童養護施設と聞いていたから、簡単な読み書きから初めて、座学を中心に学んでいくのかと思っていたのだけれど。

そんなレベルじゃなかった。第一線で戦ってはいる僕だけど、それは誇ってもいいレベルなのではないだろうか。

読み書きは当然、その他一般教養的な知識に加えて、先ほどの自己紹介でも言っていた軍事学や戦闘術。ここまでは、まあ解らなくはない。適正が見込まれていて、将来ゴッドイーターになることが解っていたって言うなら、その為にもなったのだろうし。

けれど、暗殺術ってなんですか。

まさか本当に暗殺をするために学んだわけではないだろうけれど。隠密行動とか情報戦略とかもっと単純に体術とか。そういう事も含めてのものなのだろうか。

内容と、それを平然と話す事の両方に驚いてしまう。

フェンリルって、実はそういう組織なんだろうか。

 

「え、えっと…。そうだ、好きな食べ物とかは?」

「食べ物、ですか?いえ、栄養のバランスがとれているなら、特に好き嫌いはありません」

「そ、そうですか…」

 

何というか、とても合理的な返答を頂いた。

 

「甘いものとかは?」

「そうですね、体力、疲労の回復にも効果が見込めますから適量の摂取ならいいと思います」

「…お魚もおいしいですよね?」

「そうですね。魚類の油は良質ですし、特に小魚などは骨毎食べることによってカルシウムを補給する事もできる合理的な食材だと認識しています」

「あー…、お肉は?」

「筋肉を作り、維持する為にも必要ですね。特に、低カロリーかつ高蛋白な鶏肉、そしてビタミンを含む豚肉が摂取するのには理想的だと思います」

「野菜なんかは…?」

「食物繊維、ビタミン群、その他カロチンなどを含む栄養素を効率的に摂取するためにも重要な食材だと考えます」

「…そうですか」

「はい。私の栄養知識は、何かのお役に立ちましたか?」

 

本当は好きなものを知りたかっただけなのだけれど、何故か食材の栄養講座になってしまった。

けれど、この会話でもなんとなく解った事がある。

とりあえず、回答のニュアンスでは、お肉よりお魚派。野菜は好き、甘いものも好き。そう判断した。

 

「ええ。ありがとうございます、シエルさん」

 

後は、この情報をロミオ先輩やナナさんに教えてみよう。

そうしたら、メインの変更は無理でも、何か一品位付け加える時間はあるかもしれない。

 

「結構時間をとっちゃいましたね。それじゃあ、コンセンサスに移りましょうか」

「はい、それではまず、ブラッドとして作戦行動を行った回数は?」

「そうですね…片手の指よりは多いですけれど、全員が揃って、となると、殆ど無いと言っていいと思います」

「なるほど…そうすると、次回の任務以降は、戦術レベルでの訓練を行うべきですね」

 

そう言うとシエルさんは、腰のポーチから電子手帳を取り出した。

液晶に表示されているのは、何かの予定表だ。

 

「睡眠が8時間、任務4時間……これは?」

「そちらの資料は、私が組み立てた訓練予定です。そしてこちらが、訓練の内容になります」

 

隣に立って手帳を操作するシエルさん。

次に表示されたのは、細かな訓練内容だった。

僕たちの名前の下に、それぞれが行うべき内容がかかれている。

 

「これも、あなたが?」

「はい。多少は精度が甘いでしょうが、十分戦力の底上げにはなると思います」

 

確かに、細かく指示が出されている。たまに専門用語が出てくるけれど、解らない程ではない。

 

「えっと、シエルさん。これ、予定表の方、休憩時間が合りませんけど…」

「え?ああ…忘れていました、すみません。座学と戦闘訓練の間に10分程度で大丈夫ですよね」

 

そう、特に表情を変えず言うシエルさん。

どうやら、天然で鬼教官が2人に増えてしまったらしい。

と、そんな現実逃避は置いておいて。

 

「ええと…。戦闘訓練を途中で区切るのは難しいですけど、せめて座学は、間に3~4回は、10分の休憩を挟んだ方がよくないですか?それ以上連続すると、集中が途切れやすくなって、かえって効率が悪いと思うんですけど…」

 

特に、ナナさんやロミオ先輩あたりは、あまり長い間机に縛られていると寝てしまいそうだ。

 

「成る程…。では、座学の時間を1時間半として…いえ。でもそれで休みを10分取ると、どこかの時間だけ1時間になりますね」

「でも、あんまり細かく分刻みになるよりは、多少のゆとりもあったほうがいいと思いますよ」

 

そう僕なりの意見を言ってみると、「そうでしょうか…」と、予定とにらめっこを初めてしまった。

けれど、その顔はどこか楽しそうにも見える。

 

「?どうかしましたか?」

「あ、いえ。何でもないです」

 

何となく、ずっと見ていたというのが後ろめたくて誤魔化してしまう。幸い、追求は無かった。

結局、座学は4分割され、中だるみしやすい3時間目が1時間他は一時間半という所に落ち着いた。

とはいえ、自分も口を挟んで置いてなんだけれど、このスケジュールを毎日粛々とこなせるものだろうか。とても不安だ。

 

「では、これからもよろしくおねがいします」

 

そう言って軽く頭を下げ退出するシエルさん。

僕も後を追うように、博士の部屋を後にした。

とはいっても、別々に部屋を出たところで、当然エレベーター前で合うことになる。

 

「…」

「何か?」

 

隣に立った所で、こちらを見上げるシエルさん。

透き通っているというか、透明度が高いというべきなのか。そういう目で見られると、悪い事をしていないはずなのにドキリとしてしまう。

 

「いえ。…こんな事を言っては失礼かもしれませんが、話に聞いていた印象とは、随分違うのだな、と思いまして」

「どんなお話だったんですか?」

「そうですね…。試験後まもなく、訓練用のダミーを素手で葬ったとか、神機を解放した後には何も残らないとか、背後に立たれる事を嫌うとか…」

「どんな化け物ですか僕は…」

 

というか、最後のは僕ではない誰かだ。凄腕のスナイパーだ。

 

「そ、そうですよね。すみません…」

 

そう、申し訳なさそうにあやまるシエルさん。けれど、別にシエルさんが言い出した訳ではないし、彼女が悪い訳じゃない。

 

「気にしないでください。噂は、色々大きくなりがちですから」

 

僕がそう言うと、ほっとしたような表情になった。

そのあと、彼女と別れてナナさんやロミオ先輩を探す。

今の時間なら、食堂に居るだろうか。

そう考えて食堂へ行くと、当たったようで、いつものニット帽を被ったロミオ先輩が、カウンターでコックさんとなにやらはなしていた。

 

「先輩」

「お?おお、デイト。どうした?」

 

振り返ったロミオ先輩はいつものようにそう聞いてきた。けれど、どこか違和感がある。

 

「いえ、あの。シエルさんが好きなものを…」

「お、丁度よかった、なんだって?」

「それが…本人からは、"栄養バランスがとれていれば特には"…としか」

 

僕からの情報に、「あぁー」と、声を漏らす先輩。さっきの様子から、納得できてしまったんだろう。

 

「で、でも。どちらかというと、お魚が。後は、やっぱり甘いものも好きそうでしたよ。…恐らく、ですけど」

 

言い回しや、ちょっとした反応からの推測でしかないけれど、なんの情報もないよりはいいいだろう。

 

「そっかあ…サンキュ、デイト」

「いえ…」

「バランスかあ…、そうなると鍋なのか?やっぱ鍋なのか?」

 

そう言いながら、またカウンターの方に向き直るロミオ先輩。

 

「先輩、あの…」

「悪いデイト、ちょっと、後にしてくんないかな?」

 

ごめん、と片手をたてる先輩。確かに、今夜歓迎会をするっていうなら、早々にメニューを決めないといけないだろう。

僕の感覚で、それを遅らせる訳にもいかない。

 

「解りました。…それじゃあ、また後で」

「おう、7時にまたここでな!」

「はい」

 

手を振るロミオ先輩に会釈して、エレベーターに乗る。

小さな違和感の筈なのに、何故かすかすかと穴があいたような気分になった。

 

 

 

 

「……」

 

エレベーターのドアが閉まって、俺も手を振るのを止める。

なんだか微妙な顔してたけど、ひょっとして顔に出まくってたかな。

 

「で?どうするんだい?そろそろ決めないと、作る時間がなくなるよ」

「うわぁ、そうだった。なんかおすすめの魚料理とか無い?あと、甘いものも」

「今ある材料だと、そう大したものは作れないけどねえ」

 

そう言って、食材の仕舞ってある冷蔵庫を見るおっちゃん。

このフライアで、俺たちに丁寧語を使わない数少ない人だ。

 

「そんなあ…、何とかならない?」

「うーん…」

 

今までやってきた歓迎会なんかでも、多少融通を利かせてくれた相手だから、無理を承知で言ってみる。

どうしてもダメだったら、しかたないけど。

 

「そうだなあ…、さっきお前さんも言ってたが、鍋なら何とかなるってとこだな。他の材料である程度嵩を増やせる。魚料理となると、人数分はちょいとな…」

「じゃあ、甘いものは?全員分じゃなくてもさ、その子の分に、ちょっとしたものとか」

 

これは、ちょっと良い考えじゃないか?一応、名目上とはいえその子の歓迎会な訳だし。

デイトの情報で確信もできたけど、やっぱ甘いものが嫌いな女の子なんていないみたいだし。

俺がそう言うとおっちゃんは、「まあ、それくらいなら」と頷いてくれた。

 

「サンキュ、おっちゃん。いつも悪いねー」

「なに、良いって事よ」

 

結局、今回の料理はお任せ、デザートだけ、少しいい奴を作ってもらう事になった。

これで、後は時間を待つだけだ。

シエルがどんな顔をするか、それを想像するだけでワクワクしてくる。

 

「それにしても、熱心だなロミオ」

「んあ?そうかな、普通だよ、普通」

「いやいや、今時、他人の事にまでそう気を配れる人間は、なかなかいないよ」

 

俺の答えに、笑いながらそう言って、おっちゃんは厨房の奥に戻っていった。

 

「……」

 

まあ、元々人と仲良くするのは好きだし、みんなが笑ってるの見るのも好きだし。

…何だ俺、誰に言い訳してんだよ。

まあとにかく、俺は俺がしたくて、そしてできることをしてるだけだ。

だから、おっちゃんのあの台詞は、なんていうか、そう。くすぐったい。

 

「あー。しっかりしろ、俺!」

 

わざと声に出して、頬を軽くたたく。

周りにいた奴らが何事かとこっちを見るけど、それは気にしない事にした。

「うっし」と気合いを入れると、しょぼくれた犬みたいな顔で立ち去ったデイトを追いかける事にした。

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