GOD EATER2 ~Nam Oratorium~ 作:〆渡
今回。申し訳ない位、実に短い事になっております。
何やら半階下の受注カウンターの辺りから、言い争うような声が聞こえてきた。
階段を降りると、カウンター前に設置されているモニターの前にギルさんとハルオミさんが居た。
喧嘩というほどではないけれど、穏当な空気でもない。
「だから、ちょっとは落ちつけって。一人だけでどうにか出来る奴じゃないだろ?」
「……それでも、これは俺がつけなきゃならないケジメです」
頑なな表情でそう答えるギルさんに、ハルオミさんは若干苛立ちを感じさせる様子で、かき混ぜるように自分の頭を掻いた。
ハルオミさんと向かい会う形で立っているギルさんは、ハルオミさんの背後から近づく僕に気づくと、帽子を目深に下ろしてしまう。
まるでハルオミさんすら拒むような動きだ。
あの話を聞いた今なら、その理由も解りはするけれど。
「どうかしたんですか、お二人とも?」
「ん?ああ、デイトか」
困ったような表情で振り返るハルオミさん。二人に近づいても、ギルさんの表情は隠れて伺えない。
なんと切り出したら良いのかと迷いを見せるハルオミさんに構わず、ギルさんが口をひらいた。
「お前には関係ない」
拒絶する為の言葉に、ハルオミさんが「おい、ギル」と窘める。
けれど、ギルさんの拒絶に僕は「そうですか」としか言えない。
それで、僕が引き下がったと思ったハルオミさんが、また何かフォローの言葉を言う前に、また僕が口を開く。
「それでも、僕は気になります。あの時、怒ってくれたギルさんの事が」
何か言いかけた口を引き結ぶギルさん。視線が合い、睨み合うような格好になる。
そのまま僕たちの周りだけ静かになっていた所に、横から小さく漏れてしまった笑い声が聞こえてきた。
「ハルオミさん?」
「何笑ってんすか、ハルさん」
「いや、まあ……色々とな」
憮然とした表情のギルさんと、少し驚いた僕の視線がお互いからハルオミさんへ移る。
その表情を、僕はどう言ったら良いのか解らなかった。
嬉しそうでいて、寂しそうな。でも、どこかほっとしたようなそんな複雑な顔だ。
「なあギル。一人で行って、それでその後……どうするんだ?」
ハルオミさんの言葉を思っても無かったんだろう、目を見張るギルさん。
あのまま一人で行かせてしまったら、そのまま帰って来なかったような気がしてしまった。
それは、僕の考えすぎなのかもしれない。でも、一度そう思ってしまったら、放ってなんておけなかった。身勝手でもなんでも、皆に居なくなって欲しくはない。
「……一人で、無茶しないでください」
「…………」
僕の言葉に目を見張るギルさん。
引き結ばれていた口元が僅かに緩んで小さなため息を吐いた。
「……解った」
小さく吐き出された言葉に、僕もハルオミさんもほっとする。
「よかった」と言うと、ギルさんが決まり悪そうに見える表情で僕を見ていた。
*****
未だに、デイトに対する違和感のような物は拭えない。
それでも、今目の前でハルオミと二人、ほっとしたような表情を浮かべる相手を懐疑的に見るのは難しくなっていた。
*****
砂埃を上げて進むジープの揺れが、僅かに変わった。
それまでの剥き出しの地面じゃなく、ある程度舗装された場所に入ったみたいだ。
一見今までと同じ黄土色だけれど、よく見るとコンクリートの灰色が混ざっている。
どうやら、目的地に近づいていたみたいだ。
隣のギルさんを横目で見ると、厳しさを増した表情で神機を握りしめている。
その手も、普段より白っぽく見えた。
「ギールー?ほら、前向けよ……見えてきたぞ」
運転席からかけられた声に、ギルさんと僕が前を向く。
そこには、海に迫り出した鉄の塊が近づきつつあった。
押しつぶされ、きつ立するような形になったコンクリートの壁。その合間から、赤く輝く巨体が見える。
ハルオミさんとギルさんの二人が、巨体のアラガミを注視して、はっきりと目的のアラガミだと言った。
その二人の目は、アラガミの肩口に刺さったブレード型の神機に向けられている。
あれが、ケイトさんの神機なんだろう。
「……さて、行くか」
口調だけはいつもと同じハルオミさん。
でも、神機を担いだその横顔は堅く緊張している。
無言でその隣に立つギルさんも、似たような表情を浮かべていた。
読んでくださっている皆様、何時も有り難うございます。
未だ稚拙な文章ですが、少しでも精進してければと思っております。