六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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第十四話 新バンド結成

 結果は予想外。あそこまで絡み合うとは思わなかった。

 俺は賞賛の拍手と言葉をかける。

 

「すげぇよ。まさかここまでになるとは思わなかった」

「お、奏がべた褒めだねぇ」

 

 リサが嬉しそうに反応する。

 

「さて、友希那……友希那?」

 

 俺は友希那を見ると、何か考えている様な表情を取った後、意味ありげな目で俺を見てきた。

 

「湊さん、どうかされたのですか?」

 

 そんな友希那に、氷川が声を掛ける。

 

「え、ああ、ごめんなさい。それで、結果なのだけれど……」

 

 友希那は白金の前まで行き、手を差し伸べた。

 

「燐子。合格よ。今日からあなたは、このバンドのキーボードとして、このバンドに死力を尽くしてもらうわ。みんなもそれで良いわよね」

 

 友希那が残り三人に確認するも、全員頷く。

 

「さぁ、FWFの予選まであと半年。それまでに経験を積むわよ」

 

 友希那が言った時、白金の動きが固まった。

 

「FWFって、確か……」

「音楽の最高峰を決める大会、FURTURE WORLD FES.。私達はそこで頂点を目指す為にバンドを組んだの。あこや奏から聞いていないのかしら?」

「い、いえ……何も……」

 

 白金がそう言うと、友希那が俺を睨む。仕様がないだろ、説得することに手いっぱいだったんだから。

 

「そ、そんな……私……」

 

 すると白金はおどおどしてしまい、お得意の気弱な白金が出てきてしまった。それを友希那は呆れたように言う。

 

「無理なら良いわ。他のキーボードを探すだけだから。というか、そこにいる奏にやって貰うだけだわ」

「わ、私……」

 

 すると、白金から今まで聞いたことのない声が聞こえた。

 

「私、弾きたいです! このバンドで……キーボードを弾きたいです!!」

 

 白金の声が、スタジオに響き渡る。

 友希那はそれを聞いてフッと笑い、白金の加入を認めた。

 

「紗夜、リサ、あこ、燐子。私達は頂点を目指す為、どんな努力も惜しまないわ。あなた達にその覚悟はある?」

 

 友希那がみんなに問う。その答えに全員が頷いた。

 

「なら決まりね、私達、バンド結成よ!」

「そうなると、バンド名決めないといけませんね」

 

 紗夜が言う。ここから先は友希那達が決める事だ。お役御免の俺はそっとスタジオを出ようとする。

 

「奏、待ちなさい」

 

 だが、友希那に止められた。

 

「どうした友希那。俺はキーボードを連れてきた。もう俺はお役御免だろ」

「そうはいかないわ。このバンドは、少なからずあなたも関わって来た。あなたもこのバンドの一員よ」

「一員って……もう全部埋まったじゃねえか。他に何やれってんだ」

 

 すると友希那は先程同様、フッと笑う。

 

「……あなたに、このバンドのマネージャー兼技術指導をお願いするわ」

 

 友希那がそう言った時、俺は昔の事を思いだした。

 

『なぁ、バンド組まね?』

『俺達にギター、教えてくれよ!』

『あ、俺にドラムを教えて貰っても良いか?』

 

 最初は嬉しかったのに……

 

『もう、お前には付いて行けねぇわ』

『一人でやってくれよ』

『これだから天才は……』

 

 そう言って、また離れていく……

 

「――で、奏!」

「――っ!」

 

 友希那の声で現実に戻される。

 気付いたら血が出そうなほど手を握りしめていた。

 

「奏、どうかした?」

「い、いや……」

 

 心配そうな表情をしてリサが近付く。

 

「それで奏、答えを聞きたいのだけれど」

 

 答えは決まってる。

 

「……悪い。俺はもうバンドに関わる気はない。ごめんな……」

 

 自分でもわかる。力のない返事をして、スタジオを出て行った。

 

 ――もう、あんな思いはしたくない。音楽なんて、一人で楽しめばいいんだ……俺が深く関われば、また()()()()。これくらいが丁度良いんだ。

 

 俺はそう心に決め、CiRCLEを後にした。

内田奏(主人公)を他のバンドと絡ませる?

  • 絡ませる
  • 数名だけ絡ませる
  • Roseliaだけで良い

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