奏が帰ったあと、静寂が訪れるスタジオ。
アタシはさっき奏が言っていた事を思いだす。
『……悪い。俺はもうバンドに関わる気はない。ごめんな……』
――奏……一体何があったの? アタシ達と別れた後、何が奏を変えちゃったの……?
昔は楽しそうにギターを弾いていた奏。でも、奏のおばさんに聞く話によると、今はそんな楽しそうに弾いていないと言う。
この十年、何が奏を変えたのか知りたい。それは恐らく、友希那も一緒の筈。
アタシは友希那を見ると、奏が出て行った出口をずっと見ていた。
「……湊さん、取り敢えず今日は終わりにしましょう」
「……そうね」
紗夜がそう言うと、友希那達は片づけを始める。アタシもそれに続いて自前のギターをギターケースにしまう。
「あ、あの! 結局バンド名ってどうするんですか?」
するとあこが話を変えてくれた。
「そうね。みんな、良いのある?」
「う~ん、いきなり言われても難しいかなぁ~」
「そうですね。考えてもいませんでした」
全員が唸る。
「では、一人一つ考えてきて。そして明日聞かせて頂戴」
そう言ってアタシ達は解散となり、アタシは友希那と帰る。
「……ねぇ、友希那」
「どうしたのリサ?」
アタシは前々から思ったことを聞いてみる。
「どうして、そこまで奏に拘るの?」
奏が帰ってきてから、友希那は所構わず奏をバンドに誘う。学校でも、登下校時も。
確かに、奏がいればもっと良くなると思うし、それこそ技術指導だったら、もっと上手くなるかもしれない。でも、どうしてそこまでして奏を誘い続けているのか分からなかった。
「奏自身、バンドには関わりたくないって言ってたし、これ以上――」
「リサ」
アタシの言葉を、友希那は遮る。
「このバンドを組むとなった時、おかしいと思わなかったの? 奏はあなたのベースの音を聞いた事ないのにも関わらず、あなたを推薦した。今回の燐子の件もそう。小学生の頃の音は聞いた事あっても、今の音は嘗ての音と同じだとは限らない。でも奏は燐子を推薦した。そしてこうなる事を確信してた」
言われてみれば、奏はアタシがベースをやったことがあるって知らなかったのに、アタシの手を握っただけでそれを見抜いた。
燐子の件も、奏は「更なる力を与えてくれる」といって、その結果、本当になった。
「私の勘だけれど、恐らく奏はこの十年で、何かあった筈なのよ。それはリサも感じているでしょ?」
「う、うん……」
「私はまだ、奏がバンドを完全に嫌っているとは思えない。じゃなかったら、ここまでメンバー集めに手を貸してくれる筈ないわ。それに、奏のその
アタシ達は奏が好きだ。幼馴染としてもそうだが、異性としても。だから、先程の奏を見ていると、すごく胸が締め付けられるほど痛くなる。
大好きな幼馴染で、恋敵の友希那がこう思っているんだ。なら、アタシの答えも一つしかない。
「分かった♪あたしも手伝うよ、友希那♪」
「あらリサ、無理しなくて良いのよ? そしてそのまま奏を諦めても良いわよ?」
「おっ! 友希那が珍しく煽るね~。アタシだって負けないからねっ?」
――奏。アタシ達が絶対、奏を助けるから。だから、待ってて。
アタシ達は夕日に染まる帰路を歩いて行くのだった。
内田奏(主人公)を他のバンドと絡ませる?
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絡ませる
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数名だけ絡ませる
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Roseliaだけで良い