スタジオを出ると、私達は奏の家に向かって走り出した。
「友希那。どうして奏の所に行くの?」
「リサ。今日の奏の会話覚えてる?」
「確か、バンドの方を気にした方が良いって……まさか!」
リサも感づいたのか、驚いた表情をする。
「えぇ。そのまさかよ。恐らく奏はこうなる事を予測していた。バンドのメンバーは、紗夜の事だったんだわ」
そう言って話していると、奏の家の前についた。
燐子は運動が苦手なのか、もの凄く息を切らしている。
「行くわよ」
私はインターホンを押す。すると出てきたのは奏のお母さんだった。
「いらっしゃい、友希那ちゃん、リサちゃん、それから後ろの二人も」
「こ、こんにちは……」
燐子とあこは挨拶をする。
「おばさん。奏は?」
「奏ならいつもの場所よ」
「ありがとう。失礼します」
そう言って私達四人は中に入って行く。目の前には二階に上がる階段があるが、そこを通りすぎる。
「あれ、友希那さん。いつもの場所って、奏さんの部屋じゃないんですか?」
「いいえ。奏は別の場所にいるわ」
あの部屋に繋がるハッチを見つけると、私はそこを開ける。
「二人とも、驚かないでね~」
「う、うん……」
開いたハッチに、私達は下りていく。扉を開けるとそこには背中を向けてギターを弾いている彼の姿があった。
「す、すごい……」
「普通の一軒家に、こんな地下室があったなんて……」
初めて見た二人は驚愕で固まってしまった。
そんな二人を置いて、私は彼の後ろに立つ。
「来るとは思っていたが、まさかこんなに早く来るとは思ってなかったよ」
そう言うと立ち上がり、ギターをスタンドにおいて、こちらを振り向く。
「説明してもらうわよ、奏」
―――――
―――
―
いつかは来ると思っていた。それが今日だとは思っていなかったが……
「説明してもらうわよ、奏」
友希那は真剣な目でこちらを見る。まぁ、ヒントを与えたのはこちら側だ。話す義理はあるな。
「取り敢えず、上に行こう。あこ、白金、後でゆっくり見させてやるから帰って来い」
固まっていた二人を呼び戻し、俺達五人は上に上がる。
リビングに入ると、お袋は既に五人分の飲み物を用意しており、テーブルの上に置かれていた。
そして俺は一人用ソファーに、四人はその左右に向かい合うように置いてある二人用ソファーに座る。
「奏。あの言葉は、紗夜の事を言っていたのね?」
「あ、あの……話が見えないんですけど、何かあったんですか?」
何も知らないあこが申し訳なさそうに聞いてくる。
「あ~あこ達は何も知らなかったね。実は――」
そう言ってリサは今日の出来事を話す。その話を聞いた時、あこを白金は目を見開いてこちらを見ていた。
「さぁ、話して頂戴」
「その前に何があった。それが分からなきゃ話そうにも話せん」
すると珍しく、あこが話し始めた。今回の要因はあこだったらしい。
「実はあこ、お姉ちゃんに憧れているって言って、お姉ちゃんの様になりたいって言ったんです。そしたら……」
「氷川が爆発した、そう言う事か」
俺が言うと、あこはコクリと頷く。
――やっぱり、予想通りだ。
俺は深く深呼吸をすると、ゆっくりと口を開いた。
「そうだな。まずは、ある双子の姉妹の話をしよう」
これから語られるのは、姉に憧れ、姉の真似をするも、何でもそつなくこなしてしまい、姉はそんな妹に劣等感を抱き拒絶し、終いには距離まで開いてしまった姉妹のお話。
内田奏(主人公)を他のバンドと絡ませる?
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絡ませる
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数名だけ絡ませる
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Roseliaだけで良い