六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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みなさんお久しぶりです!



日常〜二年生〜
第一話 内田奏の日常


 あの日から数日経った。

 俺はRoseliaのマネージャーとなり、技術指導したり、彼女達のアフターケアをしている。

 

「んん……」

 

 寝苦しい。そう思った俺はゆっくりと目を開ける。すると目の前にはいる筈のない幼馴染、リサが俺のベッドで寝ていた。

 

「何でここに……ん?」

 

 背中にも違和感を感じる。まさかとは思うが、俺はゆっくりと振り返る。

 

「何でお前もいるんだよ……」

 

 もう一人の幼馴染、友希那が寝ていた。つまり今俺は、二人に挟まれている事になる。

 

 ──つーか、狭い……

 

 ちょっとでも動けば、リサが落ちてしまう。どうしようかと考えているうちに、「んん……」という声が前の方から聞こえた。

 

「ん……ん? 奏、起きてたんだ……」

 

 眠そうな目を擦りながら、言ってくる。

 

「おはようリサ。所で、何でここにいるんだ?」

「何でって……何で?」

「俺が聞きてぇよ……」

「うるさいわよ」

 

 すると後ろの方からも声が聞こえた。友希那が起きたのだろう。

 

「おはよう友希那。何で俺のベッドで寝ている」

「決まってるじゃない。あなたと寝たかったからよ」

 

 そう言って何故か俺を抱き締める。

 

 ──って何やってんの!! 

 

 背中に柔らかい感触が当たる。

 

「むっ……」

 

 リサは面白くなさそうに見ていたが、何か思いついたのか、リサも正面から抱き着いて来た。

 

「り、リサ!? 何やって……」

「ん~♪ 奏あったかい~」

 

 ──いや俺は暑いんだけど! 

 

 前と後ろから柔らかい感触が伝わってくる。

 

 ──つうかこいつ等付けてないのかよ! 

 

 すると「がちゃっ」と音がして、誰かが入って来た。

 

「奏~友希那ちゃん、リサちゃん、ご飯よ……」

 

 入って来たのはお袋だった。

 俺とお袋の目が合うと、お袋はそっと──

 

「お邪魔しました~」

 

 といって部屋を出て行った。

 

「待てぇ! 誤解だぁ!」

 

 朝から疲れる、そんな一日だった。

 

「はぁ……」

 

 朝食も済ませ、俺達は学校に向かう。

 

「どうしたの奏? 溜め息なんてついちゃって~」

 

 隣のリサが他人事のように言ってくる。

 

「誰のせいだと思ってんだ誰の」

 

 俺は友希那とリサを睨む。

 俺の視線を感じたのか、あからさまに俺から目を逸らす二人。

 

「おはようかー君!」

 

 すると背後から聞こえたのは、クラスメイトの氷川日菜だ。我がRoseliaのギター、氷川紗夜の双子の妹であり、アイドルバンドPastel*Palettesのギターでもある。

 昔は二人の間に壁を感じていたが、今となっては中の良い双子の姉妹にしか見えない。紗夜は何処か気恥ずかしさがあるようだが、満更でも無い様だ。

 

「じゃあ私はここで失礼するわ。奏、今日のメニューよろしく」

「はいよ~」

 

 そう言ってクラスの違う友希那は俺達と別れる。因みに“今日のメニュー”というのは、今日行われるバンドの練習メニューの事である。マネージャー兼技術指導の俺はこの日どの曲をやるのかも管理しているのだ。

 

「やぁ、おはよう子猫ちゃんたち」

 

 教室に入ると、さわやかに髪を(なび)かせ、あいさつしてくる奴が一人。

 

「やっほ~薫♪」

「薫君おはよ~」

「うっす。てか、俺は子猫ちゃんじゃねぇっての。いい加減俺をそう呼ぶの止めてくれ」

 

 瀬田薫。何故か女子に大人気で、何かあればすぐに「シェイクスピアが──」って言っている。あと、「儚い」も彼女の口癖だ。

 彼女はハロー、ハッピーワールド! のギターをしている。

 

「ははは。かのシェイクスピアも言っている。男も子猫ちゃんの一部でしかないと。つまり、そういうことだ」

 

 ダメだこいつ。てか、シェイクスピアそんな事言ってねぇだろ。勝手に作ってんじゃねぇ。

 

「まぁいいや。で? ハロハピの方は順調か?」

「あぁ。こころの素晴らしい案で、今度は商店街でライブをするそうだ。是非見に来てくれ」

「そ、そう……」

 

 弦巻こころ。あの有名な弦巻家の一人娘で、次期社長だそうだ。まだあったことないが、会わないことを願っている。

 授業も(つつが)なく終わり、俺とリサは友希那、中等部で後輩の宇田川あこと合流し、自分の家に向かう。

 

「皆さん、こんにちは」

「お、お疲れ様です……」

 

 家に着くと、既に紗夜と白金燐子が待っていた。

 

「何だ。外で待ってないで中に入ればよかったのに」

「いえ、いくら何でも勝手に入る訳にはいかないと思いまして……」

「んな事気にすんな。早く着いたら中に入って構わねぇよ。ただいま~」

 

 そう言って俺は家に入る。Roseliaのメンバーも続けて中に入り、五人はすぐに地下室へと行った。

 俺はリビングに入り、予め作っておいた薄めのスポーツドリンクを人数分出し、地下へと向かう。

 

「お待たせ」

「来たわね。それで、今日のメニューは?」

「取り敢えず、ブラシャを修正しよう。あの曲は他の曲に比べたら出来は良いが、如何せん完璧とは言えない。だから、今日は完成まで近づける」

「完成させる、ではないのですか?」

「一日で出来る訳ないだろ。まずは土台をしっかりさせるんだ」

「分かったわ。みんな、準備して」

 

 友希那の一言で、全員がスタンバイする。全員が準備できたのを確認すると、俺は頷き、伴奏が始まった。

 

「OK。今日はここまでにしよう。はい」

 

 そう言って俺は先程のスポドリを渡す。

 

「今日やったとこ、ちゃんと復習しとけよ」

「はい……分かり、ました」

 

 こうして俺達Roseliaは解散し、友希那とリサは俺の家で飯を食べる。いや、自分の家で食えよ。

 これが俺、内田奏の日常である。案外、悪くないのかもな。

ヒロインはどーする?

  • リサOnly!
  • Roseliaハーレム!
  • ハーレム一本!

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