第一話 内田奏の日常
あの日から数日経った。
俺はRoseliaのマネージャーとなり、技術指導したり、彼女達のアフターケアをしている。
「んん……」
寝苦しい。そう思った俺はゆっくりと目を開ける。すると目の前にはいる筈のない幼馴染、リサが俺のベッドで寝ていた。
「何でここに……ん?」
背中にも違和感を感じる。まさかとは思うが、俺はゆっくりと振り返る。
「何でお前もいるんだよ……」
もう一人の幼馴染、友希那が寝ていた。つまり今俺は、二人に挟まれている事になる。
──つーか、狭い……
ちょっとでも動けば、リサが落ちてしまう。どうしようかと考えているうちに、「んん……」という声が前の方から聞こえた。
「ん……ん? 奏、起きてたんだ……」
眠そうな目を擦りながら、言ってくる。
「おはようリサ。所で、何でここにいるんだ?」
「何でって……何で?」
「俺が聞きてぇよ……」
「うるさいわよ」
すると後ろの方からも声が聞こえた。友希那が起きたのだろう。
「おはよう友希那。何で俺のベッドで寝ている」
「決まってるじゃない。あなたと寝たかったからよ」
そう言って何故か俺を抱き締める。
──って何やってんの!!
背中に柔らかい感触が当たる。
「むっ……」
リサは面白くなさそうに見ていたが、何か思いついたのか、リサも正面から抱き着いて来た。
「り、リサ!? 何やって……」
「ん~♪ 奏あったかい~」
──いや俺は暑いんだけど!
前と後ろから柔らかい感触が伝わってくる。
──つうかこいつ等付けてないのかよ!
すると「がちゃっ」と音がして、誰かが入って来た。
「奏~友希那ちゃん、リサちゃん、ご飯よ……」
入って来たのはお袋だった。
俺とお袋の目が合うと、お袋はそっと──
「お邪魔しました~」
といって部屋を出て行った。
「待てぇ! 誤解だぁ!」
朝から疲れる、そんな一日だった。
「はぁ……」
朝食も済ませ、俺達は学校に向かう。
「どうしたの奏? 溜め息なんてついちゃって~」
隣のリサが他人事のように言ってくる。
「誰のせいだと思ってんだ誰の」
俺は友希那とリサを睨む。
俺の視線を感じたのか、あからさまに俺から目を逸らす二人。
「おはようかー君!」
すると背後から聞こえたのは、クラスメイトの氷川日菜だ。我がRoseliaのギター、氷川紗夜の双子の妹であり、アイドルバンドPastel*Palettesのギターでもある。
昔は二人の間に壁を感じていたが、今となっては中の良い双子の姉妹にしか見えない。紗夜は何処か気恥ずかしさがあるようだが、満更でも無い様だ。
「じゃあ私はここで失礼するわ。奏、今日のメニューよろしく」
「はいよ~」
そう言ってクラスの違う友希那は俺達と別れる。因みに“今日のメニュー”というのは、今日行われるバンドの練習メニューの事である。マネージャー兼技術指導の俺はこの日どの曲をやるのかも管理しているのだ。
「やぁ、おはよう子猫ちゃんたち」
教室に入ると、さわやかに髪を
「やっほ~薫♪」
「薫君おはよ~」
「うっす。てか、俺は子猫ちゃんじゃねぇっての。いい加減俺をそう呼ぶの止めてくれ」
瀬田薫。何故か女子に大人気で、何かあればすぐに「シェイクスピアが──」って言っている。あと、「儚い」も彼女の口癖だ。
彼女はハロー、ハッピーワールド! のギターをしている。
「ははは。かのシェイクスピアも言っている。男も子猫ちゃんの一部でしかないと。つまり、そういうことだ」
ダメだこいつ。てか、シェイクスピアそんな事言ってねぇだろ。勝手に作ってんじゃねぇ。
「まぁいいや。で? ハロハピの方は順調か?」
「あぁ。こころの素晴らしい案で、今度は商店街でライブをするそうだ。是非見に来てくれ」
「そ、そう……」
弦巻こころ。あの有名な弦巻家の一人娘で、次期社長だそうだ。まだあったことないが、会わないことを願っている。
授業も
「皆さん、こんにちは」
「お、お疲れ様です……」
家に着くと、既に紗夜と白金燐子が待っていた。
「何だ。外で待ってないで中に入ればよかったのに」
「いえ、いくら何でも勝手に入る訳にはいかないと思いまして……」
「んな事気にすんな。早く着いたら中に入って構わねぇよ。ただいま~」
そう言って俺は家に入る。Roseliaのメンバーも続けて中に入り、五人はすぐに地下室へと行った。
俺はリビングに入り、予め作っておいた薄めのスポーツドリンクを人数分出し、地下へと向かう。
「お待たせ」
「来たわね。それで、今日のメニューは?」
「取り敢えず、ブラシャを修正しよう。あの曲は他の曲に比べたら出来は良いが、如何せん完璧とは言えない。だから、今日は完成まで近づける」
「完成させる、ではないのですか?」
「一日で出来る訳ないだろ。まずは土台をしっかりさせるんだ」
「分かったわ。みんな、準備して」
友希那の一言で、全員がスタンバイする。全員が準備できたのを確認すると、俺は頷き、伴奏が始まった。
「OK。今日はここまでにしよう。はい」
そう言って俺は先程のスポドリを渡す。
「今日やったとこ、ちゃんと復習しとけよ」
「はい……分かり、ました」
こうして俺達Roseliaは解散し、友希那とリサは俺の家で飯を食べる。いや、自分の家で食えよ。
これが俺、内田奏の日常である。案外、悪くないのかもな。
ヒロインはどーする?
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リサOnly!
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Roseliaハーレム!
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ハーレム一本!