六人目の青薔薇   作:黒い野良猫

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第三話 史上最悪の初ライブ

 日曜日。俺は約束通りPastel*Palettesのライブを見に来た。モデルの若宮イヴ、女優の白鷺千聖がいるせいか、会場は大満員だ。

 時間になると、会場は真っ暗になり、ステージに光が集まる。するとパスパレの五人が上手から出てきた。その時、観客は拍手で迎い入れる。

 丸山以外の四人が楽器を持って、セットする。

 

 ──さて。では見せてもらおうかな。アイドルバンドの力を。

 

 だが、それと同時に嫌な違和感もあった。

 

 ──何だこいつ等。変に脱力しすぎてないか? まるで演奏する気が無い様な……

 

 そして、演奏が始まる。

 

 ──……は? 

 

 俺は耳を疑った。今まで聴いて来た演奏の中で、それはあり得ない位最悪な演奏だったからだ。

 

 ──……こんなお遊びの為に俺は呼ばれたってのか。友希那達に悪い事したな。

 

 本当なら、今日はRoseliaの練習だった。だが、俺は友希那達に無理を言い、ここまで来たのだ。

 

「帰るか」

 

 俺がそう呟くと隣の人が、

 

「何でだい? こんな素敵なライブなのに」

 

 と言ってきた。確かに、素人なら彼女達が演奏していると思っているのだろう。だが、俺の耳は騙されない。

 

「……俺にはこんなライブ、不愉快でしかありませんよ」

 

 俺はそう吐き捨て、会場を出た。

 

「ただいま~」

「あれ? 奏、帰ってくるの早いね」

 

 家に着くと、リビングには休憩中のリサ達がいた。

 

「どうでしたか? パスパレのライブ」

「ライブぅ? あんなのライブとは言わねぇよ」

 

 冷蔵庫から取り出したペットボトルを飲み干し、握りつぶす。

 

「バカにされた気分だよ。客を騙しやがって……」

「ちょちょ、一旦落ち着こうよ奏!」

「日菜が何か悪い事を……?」

 

 俺を抑制するリサ。申し訳なさそうにする紗夜。

 

「いや、別にアイツらが悪いって訳じぁ……いや、一概にも言えるか」

「何が……あったん、ですか?」

 

 俺は五人に事の顛末を話した。

 

「そんな事が……」

「おかしいと思ったんだ。いきなりアイドルがバンドを組むって話。事務所としては恐らく、アイツらの名前を売り広めたいだけだ」

「……」

 

 友希那が先程から口を挟まず聞いている。

 

「今は騙せても、そのうちボロが出るぞ。例えば機材のトラブルで、演奏が止まったりとかな」

「そうなったらパスパレは……」

「あぁ。間違いなく批判を喰らうだろうな。そして解散まで追いやられる」

「か、奏さん!」

 

 スマホをいじっていたあこが突然声を上げる。

 

「どうした?」

「こ、これ……」

 

 スマホを俺に渡し、画面を見る。

 

「まさか、既にボロを出したとはな」

 

 内容は「Pastel*Palettes、エアバンドか!?」という記事だった。

 

「これはかなり痛いぞ。それも、初ライブとなると」

「日菜……」

 

 紗夜が心配そうに画面を見つめる。

 

「こうなってしまった以上、アイツらの自業自得だ。さて、練習しようぜ練習」

 

 俺はスマホをあこに返し、ハッチへ向かう。その時、記事に書かれていた白鷺の言葉を思い返す。

 

『皆さんごめんなさい。機材のトラブルで演奏が出来なくなってしまいました。私達は今後もライブをやっていく予定なので、もし宜しければ是非遊びに来てください! Pastel*Palettesでした』

 

 ──無理だよ。今のお前達に居場所はない。周りは敵だらけだ。それをどう打開するかは、今後のお前達次第だ。

 

 こうして、Pastel*Palettesによる史上最悪の初ライブは幕を閉じた。

ヒロインはどーする?

  • リサOnly!
  • Roseliaハーレム!
  • ハーレム一本!
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